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【爆撒英雄サトルのガイア建国記】  作者: 池上雅
第1章 ガイア建国篇
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*** 76 魔法マクロ【住宅ユニット全配備】実行っ! ***

 


 俺とゴブリン族の重鎮たちは、しばらくの間『9時街』の展望台から街を眺めていた。


「ということで、これが俺たちの街の全容になる。

 それでは次は『住』を見てもらおうか」


 俺たちは『初心者用』の階段を降りて行った。

 あはは、みんな肩を壁に押しつけて、なるべくガラスの壁から離れたところをずりずり降りてるよ。

 ああそうか。昇りと違って地面が見える分だけより怖いのか。

 なるほどなるほど。



 俺はみんなをモデルルームに案内した。

 はは、ご婦人方は興味津々だな。


「さあこれがこれから俺たちが作っていく家の原型になるものだ。

 見ての通り3種類あって、それぞれが『大きな種族用』、俺ぐらいの大きさの『中型種族用』、『小さな種族用』になっている。

 キング以外はみんな俺ぐらいの大きさだから『中型種族用』に案内しようか。

 ご婦人方もそれでよろしいですか?」


 みんな頷いてくれてるけど、でもしまったよなあ。

 キングみたいな「旦那が大きくて奥さんが小さい種族」のことは考えてなかったわ。

 まあ、最初は踏み台でも置いて対応してもらうか。


「それじゃあ人数も多いから二手に分かれるか。

 アダム、一方のご案内を頼んだぞ」


(それではわたくしのアバターを出現させてもよろしゅうございますでしょうか)


「もちろん」


 途端にその場にアダムのアバターが現れた。

 うん、もうみんなあんまり驚かなくなって来てるか。順応も早いわ。



 俺たちは二手に分かれて家の見学会を始めた。

 みんな、部屋の大きさに驚き、アルミサッシとガラスの窓に驚き、明りに驚き、ベッドに驚いてくれたよ。

 おお、もうソファも出来てたんだな。明るい色調のクッションがたくさん置いてあるわ。

 あー相変わらずモールディングだらけの豪華装飾ソファだわ。

 あっ、脚まで猫脚になっとる……


 はは、やっぱりご婦人方はキッチンが気になるようだな。

 なんか嬉しそうにあちこち触ってるぞ。


「それは『熱の魔道具』です。

 そのボタンに触ると、ここが光ってこの部分が熱くなって料理が出来ます。

 火を使わないんで、火事の心配が無く安心ですね。

 火で焼いた料理を作りたければ、外の土の上でお願いします」


 はは、みんな頷いてるわ。やっぱり森の生活で火事は怖いもんな。


「あ、あの…… サトルさん……」


「なんだい?」


「も、もしもおらたつがここで暮らせるとして……

 外の土の上に小屋を建てて、そこに住むわけにはいかないもんですかの。

 こったら綺麗な家に住むのはなんか恐ろしいで……」


 やっぱり来たかこの質問……

 みんなも頷いているし……


「それは俺も考えたんだ。

 その方が生活のギャップが小さくていいだろうからな」


 ほとんど全員が頷いている。


「でもさ、俺たちの方針が、『みんなで幸せに暮らして欲しい』っていうものなんだよ。

 この幸せには、『病気になりにくい』と、『寒くない』が含まれるんだ。

 そのためには、どうしてもこうした清潔で温かい家が必要なんだよな。

 でもどうしても辛かったらそのときに言ってくれればいいさ。

 そのときは何か考えよう

 ただ、こうした新しい暮らしにも、暮らしてみればすぐ慣れるもんだぞ」



 そのときアダムから連絡が来たんだ。


(サトルさま。土の大精霊ノームさまからご連絡が入っております。

 今そちらにお邪魔してもかまわないかとのことですが)


(おお、かまわんぞ)


 すぐにその場にノームくんが現れた。

「サトルさま、ようやく地球からカーペットが大量に届いただ。

 それで、たった今住宅ユニットのマクロが完成して、アダムさのシュミレーターでも上手く走っただよ」


「そんなことまでやってたのか。

 相変わらずアダムのマルチタスク能力はすごいなあ」


(お褒めに与り恐縮でございます)


「キング、紹介するよ。

 こいつが土の精霊たちと植物の精霊たちを束ねている、土の大精霊のノームだ。

 ノーム、こちらはゴブリン・キングさんとゴブリン村の村長さんたちだ」


「初めますて、ノームだす。

 いつも土の精霊や植物の精霊たつがお世話になっておりますだ」


「とんでもない。お世話になってるのはわしらたちの方だ。

 いつもありがとう存じます。

 それにしても、ここには大精霊さままでいらっしゃるのか……」


「他にも水の大精霊も風の大精霊も火の大精霊も光の大精霊もいるだすよ。

 みんなともだちだす。

 ところでサトルさま。

 住宅のマクロが走るところを皆さんに見て頂いたらどうだすかね?」


「おお、それいいな。そうするか」



 それで俺たちは住宅ユニット建設工場に移動したんだ。

 移動途中にはゴブリンたちの呟きも聞こえたよ。


「それにしても、サトルさんはこんなにも精霊さまたちと仲がいいんだな」

「ああ、本当に『仲間』っていう感じだ」

「こんなに気さくなヒトなのに、実はすごいヒトだったんだな。

 畏れ入ったよ」



 お、工場の屋根と壁を取り払ってあるのか。

 もういつでも住宅が作れるっていうことだな。


「アダムさが3つのマルチマクロにしてくれたんで、3軒同時に作れるだすよ」


「あ、ちょっと待ってくれ。

 そんな面白そうなマクロを走らせるんなら、ローゼさまやエルダさまやシスティも呼んでやらないと後で文句言われるわ。アダム、連絡を頼む。

 そうそう。その間に、『大きな種族用』の住宅のキッチンに2つほど踏み台も置きたいんで、そのマクロも追加しておいてくれるかな」


(畏まりました)


 はは、すぐにローゼさまたちが現れたよ。


「こんどは住宅建設ですか。

『ガイア観察日記』の来週号は盛りだくさんで読者も大喜びでしょう」


「ほんにお前は……

 破壊も建設もと忙しいヤツだ。まあどれも実に面白いからいいがの」


「いよいよ街が完成するのね。楽しみだわ」


「それじゃあサトルさまの体内マナを使わせて頂くとして、サトルさま、『魔法マクロ【住宅ユニット全配備】実行』って言ってくれるだすか」


「よし、それじゃあ行くぞ。

『魔法マクロ【住宅ユニット全配備】実行っ!』


 おお、始まったか。

 最初はユニット住宅の骨組みからだな。

 マナ建材がひゅんひゅん飛んでって、20メートル×28メートルのユニットが出来上がっている。

『中型ユニット住宅』の場合、1階は3LDK120平米の大家族向けを4室、2階は2LDK90平米の核家族向けを6室、3階は1LDK60平米の独身者向けを8室作った計18軒の家が集まった集合住宅になる予定だ。

 各階は階段状にして、各部屋のベランダが下の部屋のリビングの上に来るような構造をしている。

 すぐに1階部分の余ったスペースに、クリーンの魔道具が飛んで行ってランドリーコーナーを作っていた。

 同時に色の付いたマナ建材が飛んで行って、廊下や階段部分のモールディング装飾を仕上げて行っている。


 さらに集合住宅の屋上には、『転移の魔道具』を埋め込んだ水槽が設置され、ここから各家庭に伸びる水道管が設置されて壁に埋め込まれた。

 同時に下水管も配置されてこれも床を通って壁に埋め込まれている。

 また、これも同時に、家の中に倉庫から転移して来た各種カーペットが飛んで行き、すぐにベッド、ソファ、クローゼット、チェストも飛び込んで行って床に固定されていた。

 さらには各種魔道具が飛んで行き、それぞれの場所に固定されている。

 その後は踏み台やキッチン用品などの小物が続き、それらが屋内に収まったところでアルミサッシとドアが飛んで行って固定され、カーテンも配置された。


 これでユニット住宅の完成だ。

 この間、約10秒。

 やっぱりマクロ化すると作業が早いよなあ。

 完成されたユニット住宅は次々と飛び立ち、あらかじめマクロ式で指定してあった場所まで行って固定されている。


 工場ではすぐに次のユニット住宅の建設が始まった。

 こうして10時間弱で8023のユニット住宅が配置され、40万人都市が完成するだろう。

 材料さえ揃えておけば、【都市建設】のマクロと合わせて10時間弱で中規模都市が出来上がることになる。

 やっぱり魔法マクロってすごいよなあ。



「ローゼさま、エルダさま。

 お呼びだてした割には地味な作業で済みませんでした」


「いいえ、先日は豪快な建設を見せて頂きましたし、先ほどは超過激な攻撃シーンも見せて頂きました。

 そして今は、とっても繊細な家づくり……

 サトルさんの、豪快で過激で繊細なところが余すところなく伝えられてうれしいです」


「のうサトルや。

 これ、都市をもう少し広げて、住宅同士の間隔を少し狭くすれば、100万都市も簡単に出来るのであろう」


「そうですね。基本的な魔法マクロはもう出来上がっていますので、あとは中身の数字を変えるだけですから、家具やカーペットの在庫があればすぐにでも出来ます」


「ふふ、地味に見えても中身は凄まじいノウハウが詰まっておるよのう。

 後は水と食料さえあれば、100万人が明後日から暮らせる街が出来るのか……」


「あのステキなお家がたくさん出来たのね。

 早くたくさんの住民さんたちが来てくれるといいわねえ♪」


 天使さまたちには好評のようだ。

 それじゃあゴブリンさんたちはと……


 あ、ご婦人方がみんな泣いてる……

 顔は笑顔だけど、涙ぽろぽろだよ。

 そ、そんなに感動してくれたんかい。

 あ、村長さんたちもほとんど泣いてるわ。

 でも、キングだけはちょっと難しい顔をしとるな……




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