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【爆撒英雄サトルのガイア建国記】  作者: 池上雅
第1章 ガイア建国篇
7/325

*** 7 エルダお姉さま登場! ***



 翌日、俺とシスティが世界管理用ポイントの割り振りについて相談していると、アダムの声が聞こえた。


(システィフィーナさま。

 エルダリーナ中級天使さまよりお電話が入っております)


「まあ、お姉さまからだわ!

 早く繋いでちょうだい!」


 画面に20代前半ぐらいに見える女性の姿が現れた。

 その姿からはもんのすごい色気が立ち昇っている。

 ちょっとキツい目つきだが、それでもトンデモな美女であることには違いない。

 やはりシスティと同じように金髪碧眼だ。


「システィ、元気そうだな」


「エルダお姉さま! ごきげんよう!」


 お姉さまは俺をちらりと見やると言った。


「そやつが新しい使徒だな…… フム……」


 な、なんだかじろじろ見られてるぞ。

「システィに手を出したらお刺身にするぞ」とか言われるんかな……


「システィ。明日そちらに行こうと思うがかまわんか?

 一緒にディナーでもどうだ?」


「わぁい♪ 嬉しいですお姉さまぁ!」


 お、俺、キ、キンチョーして来たぞ!




 翌日の昼過ぎ。

 エルダお姉さまは配下の使い魔(悪魔)たちをぞろぞろ引き連れてやって来た。

 見事な執事服を着た大きな悪魔たちが、どこからか豪華なテーブルセットやカトラリーを取り出してディナーの下準備を始める中、俺たちはソファに座ってお話を始めた。


 お姉さまはやっぱりシスティと同じような薄いトーガを着ている。

 で、でもお姉さま……

 お姉さまは下着を身につけていらっしゃるんですね…… 

 それも黒くてスケスケしてて小さいのを……


「ふむ。どうやら今度の使徒は少しはまともそうだの。

 まだまだレベルは大したことは無いが、E階梯が6.5もあるのは見間違いではなかったのだな……

 これは私の世界でも最高に近いかもしれん。

 それになにより罪業カルマポイントはゼロか……

 お前は誰にもなんの苦しみも与えなかったのだな」


「あ、あの……

 たったの16歳で死んでしまったので、両親には随分と悲しい思いをさせてしまったかと思います……」


「それは寿命だから仕方のないことだ。お前の責任ではない。

 それにお前は、自分の臨終の言葉を覚えておらんのか?」


「い、いえ…… それどころじゃあなかったもので……」


「ふむ、ということはやはりあれは演技では無かったのだな。

 自然に出て来た言葉だったのか……

 やはりわたしが見込んだ通りだの」


「あ、あの…… 私は死ぬ間際になんと言ったのでしょうか……」


「お前はな、お前の死を目前にして、号泣しながらお前の手を握る両親に向かって、『お父さん、お母さん、僕を生んでくれてありがとう…… 僕、お父さんとお母さんの子でよかったよ……』と言ったのだ。

 病気を恨むことも無く、僅か16年の人生を恨む言葉も無く、最後の言葉が両親への感謝の言葉だったのだ……」


「…………」


「お前のあの言葉で、お前の両親がどれだけ救われたか……

 そのおかげか両親は今も元気に暮らしておる。

 どうやらもうひとり子を作ろうとしておるようだ。

 いささか高齢出産で危険だが、わたしの加護も与えるから母体も子供も絶対に大丈夫だ。

 安心せい」


「あ、ありがとうございます……」


 横を見ればシスティがぽろぽろ涙を零して泣いていた。

 エルダお姉さまは満足そうに微笑んでいる。



「お前のE階梯と能力を見て、あの臨終の言葉を聞いて、私はお前を使徒としてシスティに推薦したのだ。

 こやつは健康にさえしてやれば、実に優秀な使徒になるのではないかと思っての」


「そ、それはどうも……

 と、ところで、そのE階梯ってなんのことなんですか?」


「なんだ、まだ自分のステータスを見ていなかったのか」


「ご、ごめんなさいサトル。

 あなたはもうわたしの『使徒』だから、管理権限でいろいろなもののステータスを見ることが出来るのよ。

 言うのを忘れてたわ。

 自分を思い浮かべながら『ステータスオープン』って思ってみて」


 俺はステータスオープンと念じてみた。

 するとこの世界ガイアのステータスを見た時とおなじような画面が現れたんだよ。



 ------------------------------


 

 名前:サトル

 種族:ヒト族

 年齢:16歳

 総合レベル:1

 幸福ハピネスポイント:3

 罪業カルマポイント:0

 称号:創造天使システィフィーナの使徒(初級)

 権限:ガイア世界の管理権限

 加護:初級天使システィフィーナの加護


 各種レベル

 E階梯 地球基準6.5

 IQ 地球基準160


 体力系

 総合体力(HP) Lv1

 内訳

 防御 Lv1

 攻撃 Lv1

 俊敏 Lv1

 器用 Lv1


 魔法系

 総合魔力(MP) Lv1

 内訳

 マナ保有力 Lv1

 マナ操作力 Lv1

 マナ放出力 Lv1


(註:管理権限者の用語定義により、本来の『天使力』という用語を『魔力』に切り替えております。また、『総合天使力(AP)』も『総合魔力(MP)』に変更しました。

 以後、当ステータス画面では、新定義による表現が使われます)


 天使力スキル(管理権限)

 『管理システム(アダム)アクセス』

 『管理空間内移動』『管理空間内物質保管』『管理空間内物質認識』

 『鑑定』


 神授スキル 

『マナ使用権限(超初級)』『能力上昇上限撤廃』『能力上昇促進』

『不老長寿100年』


 精神系

 任務遂行意欲 Lv12



 ------------------------------




 俺は試しに幸福ハピネスポイントに注目して、アダムに解説を依頼してみた。


幸福ハピネスポイント:3>

 内訳:健康な体、システィフィーナの笑顔、ラーメン


(ラーメンって…… 俺の幸福、安すっ!)



 次は『E階梯』に注目して解説を依頼した。


<E階梯>

 遺伝子の進化レベル

 初期クロマニョン人のレベルを1として、進化肢上の階梯を示すもの。

 レベルが上昇するほど進化度合いが高いことを意味する。



 ------------------------------



「なあ、システィ。

 もしよかったらシスティのステータスも見せてもらえないか?」


「ええ、いいわよ」



 ------------------------------


 名前:システィフィーナ

 種族:天使族(初級)

 年齢:厳重秘匿項目

 総合レベル:520

 幸福ハピネスポイント:12,832,070

 罪業カルマポイント:0

 称号:ガイアの生命創造天使

 権限:ガイアの管理権限


 各種レベル

 E階梯 地球基準8.5

 IQ 地球基準200


 体力系

 総合体力(HP) Lv221

 内訳

 防御 Lv651

 攻撃 Lv1

 俊敏 Lv70

 器用 Lv150


 天使力(魔力)系

 総合魔力(MP) Lv1201

 内訳

 マナ保有力 Lv1510

 マナ操作力 Lv1080

 マナ放出力 Lv1225


 天使力スキル(管理権限)

(多すぎるため割愛)


 神授スキル 

(多すぎるため割愛)


 精神系

 任務遂行意欲 Lv650




 ------------------------------




(さすがのレベルだな。特に『天使力(魔力)』系がすげぇや……

 それにIQもトンデモだわ。でもE階梯8.5って?)



「あの…… エルダリーナさま。

 E階梯以外はなんとなくわかるんですけど、E階梯ってどういうものなんですか?」


「それでは教えてやるとするか。

 サトルよ。1万年前の石器時代の人類と、現代の人類の知能指数(IQ)を比べると、どれぐらいの違いがあると思うか?

 まあ、知識は別にしてだ」


「う~ん…… けっこうな差があるとしか……」


「まあそう思うだろうな。

 だが、これは残された僅かな文献や遺跡を調査した結果、最近地球の人類学者たちも気がついたようなのだが、実際にはほとんど差が無いのだ」


「えっ……」


「そうだ。知能指数には差が無いのだ。

 つまり1万年前の古代人の赤子を現代に連れて来て育てたとして、知力は普通の人間に育つということなのだよ。

 これは実際に見て来たわたしが言うのだから間違いは無い。

 5000年前のエジプトでも三平方の定理は理解されていたからな。

 しかも証明方法も含めてだ」


「そ、そうだったんですか……

 それじゃあヒト族の進化って止まっちゃってるんですか?」


「ところがな。1万年前のヒト族と最近の現代人の間には、6段階の遺伝子の違いがあるのだ。

 まあ、ほんのごくわずかな違いだが、それでも違いがあることに変わりは無い。

 この遺伝子差は、それぞれE1からE6と呼ばれて識別が可能だ。

 現代の人類学者たちも気づき始めておるぞ」


「6種類も……

 それでその僅かな違いってなんなんですか?」


「うむ、わかりやすく言えば、『自分以外の他者の感情を読み取る能力』と『他者に感情移入出来る能力』ということになる」


「ま、まだよくわからないんですけど……」


「現代の学者たちは、最も原始クロマニョン人に近い遺伝子をE1と呼んでいるが、E1遺伝子を持つヒトは、他者の感情がまったくわからない、かつ説明されたとしても理解出来ない、ということだ。

 つまり自分が全てであって、自分以外のヒトはそこいらへんの石ころと変わらんのだ。

 親が死のうが子が死のうがほとんど感情を動かされることは無い。

 子を生んで育てるのも単に原始本能の為せる技だ」


「…………」


「現代でも『アスペルガー症候群』という言葉があるだろう。

 口調や態度から相手の感情を読み取ることが出来ない連中のことだ。

 有名な実験では、画面で<激怒した顔をしながら憎々しげに吐き捨てるように、『ありがとうよ!』と言う男>の映像を見せて、『このひとは今どんな感情を抱いているのか?』と問うものがある。

 アスペルガーだと、『ありがとうと言っているので、誰かに感謝の気持ちを抱いている』と答えるのだ」


「えっ……」


「つまり原始人類は例外なくアスペルガーだったのだよ。

 他人の感情を理解することが出来んのだ。

 したがってもちろん同情することも出来ん。

 というより同情するという感情機能が無いのだ。


 勘違いするなよ。彼らは劣っているのではないのだ。

 原始人類の知能指数は現代人とほとんど変わらんし、現代のアスペルガーもむしろ知能は優れていることが多い。

 ノーベル賞学者など、ほとんどがアスペルガーだったと言われておるぐらいだからな」


「そ、そうだったんですか……」


「このE1原始クロマニョンから進化肢上で枝分かれしたのがE2クロマニョンだ。

 現代では遺伝子型でE6まで確認されておる。

 E6型人類は、特に西欧諸国や最近では日本の若者にも増えて来ておるな。

 彼らは他人の感情を理解して、その上で他人に感情移入し、一緒に泣いたり笑ったり出来る能力が高いのだよ」


「それが出来る出来ないって遺伝子の違いだったんですか……」


「地球の人類学者どもが面白い実験をしておったぞ。

 世界各地でカネを払ってヒトを集めて実験したんだが……

 アフリカや南米奥地や中東の少数部族は、ほぼ全員がE1かE2だったそうだ。

 一方でアメリカやEUの大都市でも調査したが、こちらには5%ほどの割合でE6がいたらしい。ほとんどが20歳以下の世代だが」


「そうだったんですか……」


「よく見るからに酷薄そうな顔つきをしている連中がいるだろう。

 最近大国の大統領になったやつとか、『服を着たサメ』と言われる投資銀行家とか。

 あやつらは間違いなくE1かせいぜいE2だろうの」


「文明の利器に溢れた裕福な暮らしをしていると、遺伝子が枝分かれするんですかね?

 それとも枝分かれしたから文明が発達するんですかね?」


「それはまだわかっておらんのだ。

 わたしの見たところでは、どちらかと言うと文明進化がE階梯の進化をリードしているように思う。

 だが、E階梯が進化すると、文明がより高次になっていくこともあるようだ。

 原始本能を上手に昇華させて、闘争に使う資源を文明に回せるようになるのかもしらん。

 まあ相互補完の関係なのだろう」


「でも、E階梯が進化しても知能が上がるわけでは無いんですよね」


「もちろんその通りだ。知識を別にした知能指数と文明度の間に相関性は無い。

 テスト形式に慣れさえすれば、ジャングル奥地のE1人類でも知能テストで大都会のE6人類と変わらない成績を残すぞ」


「…………」





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