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【爆撒英雄サトルのガイア建国記】  作者: 池上雅
第1章 ガイア建国篇
68/325

*** 68 フェンリルパトロール&キャラバン隊結成! ***

 


 魔道具作りで気絶しまくったおかげで、俺の「マナ操作力」も爆上がりし始めた。

 もう3日目には【照明の魔道具作り10万】のマクロも実行出来るようになっていったんだよ。


 それからも、『蛇口の魔道具』、『調理用熱の魔道具』、『冷暖房用温風&冷風の魔道具』、『風呂用お湯の魔道具』、『クリーンの魔道具』なんかの『魔道具シリーズ』を10万個単位で量産しているうちに、ついに【魔道具作り100万】のマクロも実行出来るようになったんだ。

 システィは、俺があんまり気絶しなくなったんでちょっと寂しそうにしてたけど。

 ま、まあ、その分夜に一緒にいる時間を増やそうかな……



(おめでとうございますサトルさま。

 これでもう「マナ操作力」は十二分でございましょう。

 これならば【ユニット住宅作り】のマクロも、一度に8000軒実行可能になられたことと思われます)


「そ、そうか…… あれも相当数の魔法式が必要なマクロだったもんな。

 気絶するまで訓練しといてよかったわ」


(おかげさまで、わたくしの「マナ操作幇助力」も大分上昇致しました)


「そ、そうなのか?」


(はい。もともと魔法式はわたくしの中にございますし、サトルさまがそれを実行される際にもわたくしの内部を魔法式が流れているわけですから)


「そ、それでお前は大丈夫だったのか? お前に気絶されたりしたら困るぞ……」


(暖かいご配慮痛み入ります。

 ですが我々はこうしたことを目的に作られたシステムですので、基礎力がヒト族の方々とはかなり異なっております。

 それに使えば使うほどその能力が強化される仕様にもなっておりますから)


「っていうことはさ。

 もしもお前が上級システムになって、物品製造も許されるようになったら……」


(はい、現状の能力でも、あの『9時街』を、住宅も魔道具も含めて3個程度は同時に建設可能にまで進化致しております。

 かえすがえすも製造が許可されていないのが残念でありますな。

 資源さえあればサトルさまの代わりになんでも出来ましたのに)


「そ、そうか…… それは確かに残念だな……」


(ですがサトルさま……

 おかげさまでここまで進化することが出来ましたので、イブがわたくしを熱い目で見て、『アナタってステキ♡』って言ってくれるようになったのですよ。

 でへへ……)


(……こいつ、俺とシスティの影響まで受けてるのか……)






 さて、それじゃあ『街』以外の準備もそろそろ始めるとするか。


 俺はシスティと一緒に『フェンリル街』を訪れた。

 俺たちの前には、長老衆とボスのフェンリー、それから若手グループのリーダーたちと女衆の幹部たちがいた。それ以外のフェンリル達も何事かと周囲に集まって来ている。

 あれ? あの長老のすぐ斜め後ろにいるのって…… フェミーナじゃないか。

 周りは上位のフェンリルばっかしなのに、なんであんなところに座っていられるんだ?



「長老さん、フェンちゃん。今日は突然おじゃましてすみませんです」


「な、なにを仰られますかシスティフィーナさま……

 全てはシスティフィーナさまの御心のままに……」


 あー、もう長老、涙目だわ…… システィ、愛されてんなあ……


「うふふ、そんなに畏まらなくってもいいんですよ。

 それで、今日はみなさんにお願いがあっておじゃましたんです。

 お願いについてはサトルがご説明しますけど、どうかみなさんにもご協力願えないかと思いまして……」


「なんなりとお申し付けくださいませ……」


「それでは説明させてもらいたい。

 この中央大平原のマナ濃度が薄れて来たせいで、大陸西部のヒト族たちが中央平原との境にある大森林に進出し始めたようなんだ。

 まだ一部の国が少数の軍を偵察に出しているだけのようだが、いずれは大規模に侵攻して来るようになるだろう。

 ヤツらにしても、森の恵みや土地を必要としているだろうからな。

 しかもヤツらにとっての森の恵みには、獣人族や亜人族そのものも含まれることだろう。

 彼らの身体能力は奴隷兵として使えるし、農業奴隷にも適しているだろうから」


 ああ、ほとんどのフェンリルが恐ろしげな唸り声を上げてるよ……

 中央大平原の守護者を自負するフェンリルたちにとっても、これは許しがたいことなんだろう。


「システィと俺は、これをなんとしてでも阻止したい。

 そこで、お前たちフェンリル族にお願いしたいことが2つあるんだ。

 1つ目は、大森林西部の巡回を強化してもらいたいというお願いだ。

 ただし、ヒト族を殺さずに、脅して追い払うだけに留めて欲しいんだよ」


「なぜ殺してはいかんのだ?」


「殺すのは簡単だろうが、そうするとこの世界ガイア罪業カルマポイントが増えてしまうんだ。

 そうなると、この世界ガイアが試練に失敗して、お前たちも『消去』されてしまうからな」


「そうか…… そういえばそうだったな。

 だが、如何に我らの足とて、南北6000キロ、東西2000キロに及ぶ大森林を全て守るのは無理だろう。

 残念ながら一部の種族には危険が及ぶかもしらん」


「そこでお前たちには、『連絡の魔道具』を身につけて欲しいんだ。

 この魔道具があれば、ウチの管理システムであるアダムやイブといつでも連絡が取れる。

 そうしてアダムとイブは、ヒト族と思われる集団を探知するとお前たちに出動要請するから、そのときはアダムたちの『転移』で現場に向かって欲しいんだ」


「それは実に便利だな。

 ということは、我らはここで待機していればいいということか……」


「そうだ。だからウィスキーを飲むときも交代でな」


「うむ。了解した。だが、東はどうするのだ?

 それに、ヒト族の本格的な侵攻が始まれば、やはり西の守りも手薄になるだろう」


「東側方面については、今のところ大山脈がヒト族の侵入を防いでくれている。

 ヒト族の本格的侵攻が始まるまでには、俺があの大城壁を完成させよう。

 それから西側については、大森林地帯の西にも城壁を建造するつもりだ」


「ふむ。ところで、なぜ最初から大森林の西側に城壁を作らなかったのだ?」


「それは城壁の建設中に近隣のヒト族との戦闘が起きるのを避けたかったからだ。

 俺だけならまだしも、悪魔の子たちもいたから最初はヒト族のいない土地に建設したかったんだよ。

 それに、俺自身自分の魔力がまだあまりよくわかっていなかったからな。

 今の城壁でも建設に何年もかかるかもしれないようだったら、実はもっと狭い範囲の城壁に変更しようと思っていたんだ」


「なるほど。お前は神の加護とやらでいきなり今の力を手に入れたんだったか」


「今となっては、無理をしてでも大森林の西側に城壁を築いていればと思うこともある」


「だがそれは今思っても詮無いことよの」


「その通りだ。

 だが、おかげで俺の魔力も相当に上がって来た。

 大森林の種族たちの受け入れ態勢が整ったら、俺が本格的に城壁を構築する。

 大森林の西側全域をカバーする城壁も、1カ月ほどで完成させられるだろう。

 事前に夜にでもこっそり土台を作っておけば、城壁部分は10日で作れる」


「恐ろしい程のことをさらっと言いおる」


「はは、まあ事実だからな。

 それより現状を利用する方法を考えたい。

 大森林にヒト族の軍隊を誘い込んでおいて、一網打尽にしてやりたいんだ」


「ほう」


「ヤツらは放っておけば必ず大平原の城壁までやってくることだろう。

 その数は数十万から場合によっては数百万になるかもしらん。

 そうしてヒト族を、特に軍隊を集めておいて、大森林西部にも一気に城壁を構築してヤツらを隔離した上で捕まえる。

 そうしてひとりずつ強制収容施設に放り込んで終身刑にしてやるつもりだ。

 もう2度と誰も殺せないようにな」


「ふはははは。大森林の種族たちを囮にして、ヒト族の戦力を一気に削ごうというのか!

 面白いことを考えるものよの」


「だが、やはり大森林に住む種族たちに万が一のことがあってはならない。

 だから2つ目のお願いだ。

 俺たちはこれから大森林を巡るキャラバンを組織しようと思っている。

 5人ほどの悪魔っ子たちと10人ほどの精霊たちとで、各種族や各部族の集落を回らせて、中央平原に作る俺たちの街に移住して貰えるよう説得するつもりだ。

 土の精霊と植物の精霊と光の精霊たちなんかは、普段から各地を回って多くの集落で恩恵を施して崇められてるみたいだしな。

 そこに平原の守護神としてのお前たちも加わって、彼らを説得して欲しいんだ。

 もちろんキャラバンの護衛も兼ねてるけど」


「長老さま、ボス、そのお役目、わたしたち若手女子グループがお引き受けさせて頂きたいと思います」


 おお、なんかフェミーナが発言しとる…… だ、だいじょうぶなんか?


「ううううっ、よくぞ言うたフェミーナよ。

 そ、それでこそ我が曾孫、い、いや若手リーダーじゃ……」


 あら、フェミーナって長老の曾孫だったんかい。

 それにしても、もう長老さん涙ぼろぼろでハナミズたらたらなんですけど……

 だいじょうぶかこいつ?

 あ、フェミーナが葉っぱで長老のハナミズ拭いてやっとる。

 そうか、長老の世話係だったのか……



「ふむ、上位フェンリルへの登竜門として良き任務と思う。

 見事各種族部族を説得してみよ、フェミーナ」


「ありがとうございますボス。

 この地に移住した我々の幸せを伝えられれば、皆必ずや説得に応じて貰えるものと考えます」


「うむ。その通りだの」


 おお、フェンリーくんも、こういう場だと威厳あるじゃねえか……




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