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【爆撒英雄サトルのガイア建国記】  作者: 池上雅
第1章 ガイア建国篇
64/325

*** 64 『9時街』の建設 ***

 


 俺は大勢のギャラリーを前にして、『9時街』の建設を宣言した。


「それじゃあみんな、あの溝で丸く囲ってある地面のところをよく見てるんだぞー。

 よし、魔法マクロ【整地】実行っ!」


 途端にみんなの眼下、直径8キロほどの地面が深さ50メートルほどに切り取られて、30メートルほど中に浮いた。

 はは、非現実的な光景に皆絶句しているぜ。

 次にその岩の円盤が粉々になり、建設予定地の東側に音をたてながら移動したあと、倉庫に消えた。

 ここからだとわかりにくいが、それらの岩は、魔法によるふるいにかけられて、大石(8センチ角ほど)、中石(5センチ角ほど)、小石(3センチ角ほど)に分類され、それぞれの倉庫に運ばれている。

 それより大きな岩石も別の岩塊倉庫に送られて消失している。



 そうして、ギャラリースタンドの北側、みんなの後ろから「ザザザザザーーー」っと大きな音が聞こえて来た。

 あはは、みんなびっくりして振り返ってるよ。

 そうして膨大な量のマナ建材が、みんなの頭上を飛んで街建設予定地の穴に吸い込まれて行ったんだ。

 穴が建材で一杯になると、その建材がすべて液状化した。

 たぷんと揺れるように動いたかと思うと、みるみるうちに平らになっていく。

 面白いことに、これ少し凹面状に見えるんだよな。

 実際には星の中心からの線に対して垂直になってるだけなんだけど。

 周囲の丸い地平線と比較してそう見えるんだろう。


「「「「「「「「 わぁーーーーーっ♪ 」」」」」」」」


 ははみんなようやく声が出せるようになったか。



「次も面白いぞお! 魔法マクロ【斜面形成】実行っ!」


 またみんなの後ろから「ザザザザザーーー」っと大きな音が聞こえた。

 そうして、そこにあった砂状のマナ建材が、やはり音をたてながら宙に浮き上がり、上空150メートルで直径8100メートル、厚さ60センチの薄い円盤状になった。

 そうして、そのままみんなの上を飛んで行って建設予定地のマナ建材の面に着地したんだ。

 すぐにその場で整地面と融着させてるけど、これはみんなには見えないだろう。

 既に舞い上がったマナ建材が、さっきよりも直径で240メートル小さい円盤を作って飛んで行き、これも予定地の上、先ほど置いた円盤の上に着地して融着する。

 すぐにまた直径が240メートル小さい円盤が飛んで行って上に重なった。


「「「「「「「「 わああああああーーーーーっ!!! 」」」」」」」」


 はは、さっきよりも大きな歓声だな。

 こうして全部で32枚の円盤が飛び、最後に直径660メートルの円盤が乗って融着し、このマクロは終了だ。



「さあ、これで直径約8キロ、高さ約20メートルの丘が出来たよー。

 この丘の上が街になるからねー。

 さて、これからはちょっと地味な作業が続くよ。

 まずは、魔法マクロ【道路形成】実行!」


 今度は中央部から東西南北の4方向に、なだらかな道が延びて行った。

 東西方向の道は幅100メートルほどだが、南方向の道は幅が300メートルもある。将来は商店街を作るつもりだからな。

 北側の道はさらに広いが、後で大きな建物を50棟ほど配置する予定なので、最終的には南北どちらも幅100メートルの道になるだろう。


「次は、魔法マクロ【雨水排水路形成】実行!」


 道路の両脇に、幅2メートル、深さ8メートルほどの溝が掘られて行き、すぐにマナ建材が飛んで行って分厚い蓋をしている。

 道路部分以外にも、中心付近から120もの方向に延びる幅2メートル、深さ5メートルほどの溝が掘られてすぐに蓋をされた。

 同時に掘り出されたマナ材が、溝の上を覆って丘の頂上から麓まで、幅15メートルほどのなだらかな斜面を形成していく。この部分は後で作る放射状通路の土台になる部分だ。


「次はちょっと面白いかもねー。魔法マクロ【ユニット住宅土台設置】実行!」


 再び後方でザザザザザーっと大きな音がする。

 上空で20メートル×30メートル、厚さ5メートルの板が無数に形成された。

 よく見れば微妙に台形をしているが、ここからではわからないだろう。

 また、短辺の一部が2メートル角程に切り取られている。

 また、これもここからでは見えないが、この土台には隅に凹凸がついていて、後で作る住宅ユニットを上に乗せて嵌めこむようにもなっているんだ。

 その板がびゅんびゅん飛んで行って、道路の上を除く階段状の丘のフチ部分に乗って融着されて行った。

 土台の数は全部で8000個近いからけっこうな迫力だ。


「「「「「「「「 うわああああああーーーーーーっ!!! 」」」」」」」」


 はは、また大歓声だわ。



 この土台群には、よく見れば土台と土台の間にさっき作った通路の土台を挟んだ15メートルほどの隙間があることがわかる。

 ここに後で作る放射状通路を敷設するんだ。


 おっと、体内マナが残り50%を切ったか。

 それじゃあマナ・ポーション(上級)を飲んでと。

 間違えてマナ・ポーション(超級)とか飲まないようにしないとな。

 こんなところでジェット噴射とか起こそうもんなら『黒歴史』どころか『暗黒歴史』になっちまうぞ。



「次は魔法マクロ、【下水槽設置】実行!」


 また後方上空でマナ建材製の箱が形成され始めた。

 2メートル角程の箱で、上面には穴が開いており、内部には『クリーンの魔道具』がセットされている。

 これも8000個近く作られて飛んで行き、住宅の土台の穴に嵌めこまれた。


「それじゃあ、魔法マクロ【雨水処理用斜路形成】実行!」


 また後方のマナ建材が大量に浮き上がり、これはそのまま飛んで行って、ユニット住宅の土台と土台の間に積もっている。

 よく見れば、雨水排水路に近いところは低く、遠いところには高く積もっているのがわかるだろう。

 これも敷きつめられた後はすぐに液状化した後に固化される。


「さらに、魔法マクロ【雨水処理場建設】実行!」


 今度は10メートル角程の箱が108個形成されて、内側に大型の『クリーンの魔道具』が張りつけられる。

 そうして、先ほど掘られた雨水排水路のいちばん低くなった場所に飛んで行き、その場で深さ18メートルの穴が掘られて、雨水排水路に接続された後に埋められた。

 これで雨が降った際の雨水も、水とその他に分離されるんだ。

 水はそのまま海に転移され、土砂はアダムの倉庫に送られて再利用されるだろう。


「次はちょっと面白いかもなー、魔法マクロ【放射状通路建設】実行!」


 またマナ建材の山から、砂状の建材が浮き上がる。

 それらは今度は上空で、幅15メートル、高さ5メートル、長さ3キロメートルもある角棒のような形に変化していった。

 棒の中は中空になっていて、側面には後でドアやアルミサッシの窓を嵌める四角い穴が開いている。

 はは、まるで電車だな。ちょっと長過ぎるけど。

 それら通路がふわふわと飛んで行って、さきほど設置された土台の隙間に収まった。

 またもすぐに傾斜路との融着が行われている。


「続けて、魔法マクロ【砕石敷設】実行!」


 最初に除去して砕いてあった石のうち、大石(8センチ角ほど)が大量に飛んで行って、ユニット住宅の土台と土台の間に50センチほどの深さで敷きつめられていった。

 ここからではわからないが、石は少し振動していて平らに密集して敷きつめられているんだ。

 次は中石(5センチ角ほど)が飛んで行き、同じように50センチほど敷かれて振動した。

 最後に小石(3センチ)が飛んで行って、おなじく深さ50センチほどに敷きつめられる。



「さあ、みんなが集めて来た森の腐葉土に、植物の精霊が作った肥料を混ぜたものを敷くよー。

 魔法マクロ【土敷設】実行!」


 そうして、今度はみんなの後方に積まれていた腐葉土が飛び始めた。

 この土は、砂漠の砂から抽出した肥料原料用資源を使って、植物の精霊たちが開発した肥料が混合されているものだ。

 なにしろ植物の精霊が、草や木とお話しながら配合を決めた肥料だからな。

 栄養たっぷりで、家庭菜園の野菜もよく育つだろう。


 これらの土は、さっき砕石の敷設が終わったところに、厚さ3メートルほどに撒かれていっている。

 おお、こうして見ると、まっ白なユニット住宅の土台の周りが黒々とした土に覆われて、それが同心円状に幾重にも重なっているように見えるのか。

 なんか幾何学的で綺麗だよ。

 でも早くこれも緑と白の幾何学模様になるといいね。


 ん? あんまり歓声が聞こえないぞ?

 ああ、みんな口開けてるわ。

 あっという間に40万人都市の基盤が出来上がったんで驚いてるのかな。


「次は役所や劇場や学校なんかが入る建物を作るぞー。

 魔法マクロ【建物群建設】実行!」


 またマナ建材が上空に上がり、そこで幅50メートル、長さ80メートル、高さ5階建ての建物を50棟造っていった。

 同時に北の大通り沿いの地面がスパスパと削られて、やはり幅50メートル、長さ80メートルほどの平面を作っていく。

 そこに出来上がった建物がふわふわ飛んで行って、微かな「ずしーん」という音とともに地面に設置されて融着した。


 建物と建物の間は8メートルほどとそれほど広くない。

 将来、渡り廊下を作るかもしれないからだ。


 はは、みんなの開いた口が大きくなったか。



「さあ、これで今日のショーのほとんどは終わったぞ。

 後は土の精霊たちが、街の中心部に建物と塔を建ててくれる予定だ。

 住宅群も今設計中で、魔法マクロを作っているところだから、出来上がったらまたみんなを呼んで見てもらおうかな」


「「「「「「「「 わぁ~い♪ 」」」」」」」」



「それじゃあ最後に城壁を作るか。

 みんな、またよく見ていてくれよ。

 魔法マクロ【都市城壁建設】実行っ!」



 またもやマナ建材が音をたてて舞い上がる。

 そのまま上空で高さ50メートル、幅20メートル、長さ50メートルの無数の城壁が形成されていく。

 そうして出来上がった城壁からふわふわと飛んで、街の周囲に降りて行った。

 そこで微かに「ズズーン」と音を立てて設置され、すぐに接地面が融着されていく。

 すぐに隣にも城壁が着地して、お互い同士も融着した。


 もちろんその場にマナ建材を砂のまま運んで壁を作ってもよかったんだけどさ。

 この方が見栄えがしてビジュアル的に面白いなって思ったんだ。はは。

 まもなく、1000個ほどの城壁が融着されて、『9時街』が大城壁に覆われた。

 南大通りと北大通りの先には少々隙間を空けてある。

 芸術的な城門の建設は土の精霊たちに頼んであるからな。


「「「「「「「「 うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~っ!!! 」」」」」」」」

「「「「「「「「 ぱちぱちぱちぱちぱちぱち…… 」」」」」」」」


 へへ、大歓声だ。みんな喜んでくれたみたいだな。

 はは、子供たちはみんなほっぺを真っ赤にしちゃってまあ。

 あ、ローゼさまもエルダさまもほっぺ真っ赤だ…… 子供か!


「サトルよ! ほんに素晴らしかったぞ!

 お前と言うヤツは日々進歩しておったのだのう。

 これほどまでに巨大な街を、たったの1時間半ほどで作ってしまうとは!」


「感激です! 素晴らしいです! きっと読者も大喜びです!」


 へへ、システィは黙って抱きついて来て、潤んだ目でほっぺにちゅーしてくれたぜ。


 ああ、そういえばベルミナもこういうの実際に見るのは初めてだったか。

 ベギラルムの腕にしがみついて、ちょっと興奮気味だな。

 はは、ベギラルムがなにやら得意げに解説しとるわ。


 あ、地球の悪魔さんたちはまだ口開けとる……




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