*** 58 超美少女悪魔っ娘たちのお願い(!!) ***
「そうそう、そういえばベギラルム、お前って歳はいくつなんだ?」
「は、はい、180歳でございます……」
(こ、こいつ、そ、そんなに歳上だったんだ……)
「そ、それって、地球のヒト族だと何歳ぐらいに相当するのかな?」
「一概には言えないのですが、私ども種族の寿命が約500年でございますので、某ほどの歳であれば、おおよそ6で割った数がヒト族の年齢に相当いたしましょうか」
「へえ、お前って30歳だったんだなあ。それで、お前のヨメは?」
「は、はい。ベルミアと申すのですが、先日100歳になったばかりであります」
(100÷6≒16.6…… じゅ、じゅうろくさい……)
俺の額にぴきぴきと青筋が立った。
(そ、それ『事案』だろう! て、天が許しても、お、俺が許せんっ!)
「まだ若輩者でございますので、みなさまにはご迷惑をおかけすることと思われますが、どうぞご指導ご鞭撻のほどお願い申し上げますです……」
(く、くっ…… 嬉しそうな顔しやがってコノヤロウ!)
「どうしたのサトル? なんかさっきからミシミシ音がしてるわよ?」
はっ、い、いかんいかん!
あ、あやうく奥歯を噛み砕いてしまうところだった……
俺の筋力ってもう今やあちこちトン単位だからな…… 危ない危ない……
翌週、ベギラルムの奥さんになったベルミアがシスティの天使域にやってきた。
うん。可愛ええわ。
地球のエルダさまの使い魔たちを見てもわかるけど、悪魔族の女性ってヒト族にそっくりなんだよな。小さな角と手足の薄いウロコとしっぽ以外は。
ベルミアは悪魔っ子たちと同じ銀色の髪で、目は薄いブルーだった。
体型も華奢で、ぱっと見は地球の16歳女子と変わらんわ。
くっ、こんな可愛ええ娘がベギラルムの子を生むだと……
俺は、溢れ出そうになる暗黒のオーラを必死で抑え込みつつ、ベルミアの挨拶を受けた。
「ろ、ローゼマリーナさま…… エルダリーナさま…… システィフィーナさま……
そ、それからサトルさま……
悪魔族サモン一族長老の孫、ベルミアと申します……
こ、このたびはわたくしのわがままを聞き入れてくださいまして、本当にありがとうございました……
これからは御恩をお返しできるよう精いっぱい働きますので、どうかよろしくお願いいたします……」
「いいえ、ベルミアさん。御恩とか働くとか、そんなことはどうでもいいのよ。
そんなことより、このガイアで楽しく暮らしてくれたら嬉しいわ。
それにわたしたち、年恰好も近いから、お友だちになって欲しいの♪」
「し、システィフィーナさま……
あわわわわ…… ほ、ほんもののシスティフィーナさま……」
ベルミアは、それからも俺たちを見渡して、「ああ、ガイア写真集で見たローゼマリーナさまだ……」とか、「こ、これが、実物の爆撒英雄サトルさま……」とか、小声で呟きながら感動の面持ちだった。
う~ん、有名人にヨワイのは地球人も悪魔族も変わらんのだなあ。
俺には自分が有名になった実感はこれっぽっちも無いが……
俺たちはまたみんなでシスティの天使域に集まって、ベギラルムたちの結婚祝いのパーティーを開催したんだ。
どうも悪魔界ではそういう結婚式の風習は無いらしくって、ベルミアが驚いてたな。
ちょっと涙ぐんでもいたけど。
俺とシスティからのプレゼントは、2人の結婚式衣装だ。
ベギラルムがタキシードで、ベルミアがウエディングドレスだな。
これにもベルミアは驚いてたよ。
エルダさまからのプレゼントは、天蓋付きの大きなベッドと豪華な応接セットだった。
ローゼさまからのプレゼントは、地球の家電製品一式だったよ。テレビとか冷蔵庫とかPCとか……
なんかついでに自分のも買ってたみたいだったけど。
そうして和やかにパーティーは進んだんだけどさ……
「そうそうベルミアや。子作りはいつ始めるのかの」
「は、はいエルダリーナさま。実はもう悪魔界の故郷で済ませて参りました」
途端に俺の体から暗黒のオーラが噴き出そうになった。
俺が必死でそれを抑え込んでいると、システィがベルミアに頼んでお腹を触らせてもらってたんだよ。
「いいなあ。ここにあなた達の子が宿ってるのね……」とか言いながら。
そうして俺の隣に座ると、可愛らしい声で言ったんだ。
「ねえ、サトル。今晩はまた一緒に『子作りの練習』してくれる?」って……
それだけでもう俺のオオカミさんは暴発しちゃいそうだったよ。
今度は暗黒オーラじゃなくってオオカミさんを抑え込むのがタイヘンだったわ。
まったく…… いつまで経っても慣れないよな。
ここにいる中で、純粋な性欲持ってるの俺だけなんて。
他の連中は、アレも単に種族保存本能か、親愛の情を示す挨拶ぐらいにしか思って無いなんてなあ。
「はは、いつかわたしとも『子作りの練習』をしてくれる約束だったの」
エルダさま…… あなただけは地球ヒト族17歳男子の性欲をよくご存じでしょうに。
ったくもう……
「わ、わたしも是非お願いしますね。
神界の『観察者になろう』の運営から、是非サトルさんとの『子作りの練習』シーンを書いてくれって頼まれてるんです……
読者のみなさんが、ヒト族の性欲がどういうものなのかって興味を持ってるからって。
そのときは撮影班も寄こしてくれるそうなんです」
ローゼさま…… それって俺にとっては公開処刑に等しいんですけど……
そしたらさ。いつの間にか俺たちを悪魔族の女の子たちが取り囲んでたんだわ。
それにしても、この娘たちってほんっとみんな超絶美人揃いだよな……
その中で代表らしき、ひときわ清楚で綺麗な娘がおずおずと言い出したんだよ。
「あ、あの…… ご歓談中たいへん失礼致します。
今お話させて頂いてもよろしいでしょうか」って。
「ああ、かまわんぞ」
(よかった…… これでローゼさまの追求から逃れられる……)
「あ、あの…… 今度わたしたちにも、順番に『子作りの練習』のご指導をお願い出来ませんでしょうか……」
「!!!!!!」
「故郷のみんなに言われたんです。
『早く一人前になって、サトルさまの子種を頂戴して帰って来なさい』って……
それにわたくしたち、まだほとんど全員『子作りの練習』すらしたことが無いものですから……」
「!!!!!!!!!!!」
「もしサトルさまに『初めての子作り練習』をお導き頂けたら、わたしたちの一生の想い出になるかと思いまして……
厚かましいお願いで誠に申し訳ございませんが、どうか……」
見れば周りの女の子たちも真剣な顔で頷きながら、純真この上ない目で俺を見つめていたんだ……
俺は脂汗をダラダラ流しながら助けを求めてシスティを見た。
あ、鼻血も…… き、キュア……
「うふふ。みんながそう思うのも当然よね、サトルってとってもステキだもの。
わたしもね、この世界を幸福にして試練に合格できたら、サトルの子を産ませてもらう約束をしてるの。
だから、そのときはあなたたちもまたサトルにお願いして、『初めての練習』をさせてもらったらどうかしら」
「は、はいっ! 早くそうなれるようにわたしたちもお仕事がんばりますっ!」
システィさん…… それほとんど全く助けになって無いんですけど……
ってゆーか、俺を追い詰めてるだけなんですけど……
「そうそう、悪魔の娘たちよ。
サトルはお前たちのような可愛らしい娘たちと一緒に風呂に入るととっても喜ぶのだ。
特に今のお前たちのように子供から娘になりかけているような状態なら、更に喜ぶかもしれん。
熱心に誘ってもっと一緒に風呂に入るようにしてみたらどうかの」
「「「「「「「 はいっ! そうさせていただきますっ! 」」」」」」」
「「「「「「「「 ご教授ありがとうございましたっ! 」」」」」」」」
エルダさま……
どうしてあなたさまはそう、『首吊られてるヤツの足にぶら下がる』ようなことを仰られるのでありましょうか……
………… やっぱり爆ぜましょう、サトルくん …………




