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【爆撒英雄サトルのガイア建国記】  作者: 池上雅
第1章 ガイア建国篇
47/325

*** 47 塩工場の建設と『戦略会議』 ***

 


 俺は大砂漠地帯の南側に『塩工場』を造り始めた。

 ここは赤道に近くて、逆に小麦なんかの生育には適さない場所だからな。

 まあ、熱帯食用植物でも探してそのうち畑も作るつもりだが。


 まずは直径10キロ程の範囲を高さ20メートルの城壁で囲った。

 これでここはシスティの『準天使域』になったから、俺の加護も効くし、アダムの負担も軽くなる。

 ついでに地面もマナ建材で覆って整地しておいた。


 さて、まずは広さ25メートル×25メートル、深さ2メートルほどのプールを2つ作って水路で繋げる。

 プールの底にはそれぞれ転移魔方陣を置いて、ひとつは北方海の無人島の浅瀬に置いた魔法陣に繋げ、もうひとつは別の島の海岸に繋げた。

 水路の途中には10メートル四方ほどの小さなプールも作って、後ろには大量の白いマナ建材を積み上げておく。

 前方の広場は出来上がった塩置き場だ。



 俺は連れて行った総勢100名ほどの精霊たちや悪魔っ子たちを前にして、説明を始めた。


「ここは塩を作る工場だ。

 まずは俺が実演して塩を作って見せるからよく見て手順を覚えてくれ」


 はは、みんな真剣な顔で頷いてるよ。

 俺は昨日作っておいた直方体型の壺と、その蓋を台の端に乗せた。

 非常に薄手で軽量だが、マナ建材で作っただけあってかなり頑丈でもある。


「この壺は塩をちょうど10キロ入れられるように作ってあるんだ。

 最初に塩を入れるこの壺と蓋を作るぞ。

 それでは、魔法マクロ定義、マクロ名【壺作成】

『マナ建材の粉末を材料にして、この台の上の壺と蓋をコピペせよ』

 以上、マクロ定義終了」


 台の中央に、隣の原型とまったくおなじ壺と蓋が出来上がった。


「どうだ、簡単だろ。

 お前たちもこの魔法マクロを唱えたら同じ壺が作れるぞ」


 みんながちょっと嬉しそうに頷いてる。


「次は塩作りだな。

 魔法マクロ定義。マクロ名【塩作り1】

『中央の小プール中の海水から完全に乾燥した塩化ナトリウムを抽出し、壺のフチから5センチ下まで詰めてから蓋をせよ。

 以上、マクロ定義終了』

 どうだこれも簡単だろ」


 見る間に壺の中に純白の塩が溜まって行き、一杯になると自動的に栓が嵌っている。


「それじゃあこの壺を一時保管スペースに移動させるぞ。

 魔法マクロ定義。マクロ名【壺移動】

『塩の入った壺を重力魔法を使って浮かせ、前方の一時保管スペースに移動させよ。壺は並べて置け』

 以上、マクロ定義終了」


 塩の入った壺がふわふわと浮き、保管スペースに移動して行った。


「それじゃあ魔法マクロを繋ごうか。

 魔法マクロ定義。マクロ名【塩壺作成1】

『【壺作成】を実行せよ。【塩作り1】を実行せよ。【壺移動】を実行せよ』

 以上、マクロ定義終了」


 今度も見る間に壺が出来て塩が充填され、保管スペースに移動して行った。


「それじゃあキミ、シャルトくんだったな。

 ここに来て、『魔法マクロ、【塩壺作成1】実行』って言ってごらん」


 シャルトくんは嬉しそうな顔をした。

 俺に名前を覚えてもらっていたのが嬉しかったようだ。

 実はアダムに頼んで、俺の脳内では彼らの顔を見る度にその名前がポップアップするソフトを作ってもらってあるんだけど、それはナイショだ。

 いくら俺でも300人分の名前を覚えるのは大変だし、間違えたら可哀想だからな。


 シャルトくんがはきはきした声で、「魔法マクロ、【塩壺作成1】実行」と唱えると、同様にして塩入りの壺が出来上がり、ふよふよと飛んで保管スペースに移動して行く。

 シャルトくんがもっと嬉しそうにしてるわ。


「それじゃあ作業をもっと簡単にしようか。

 魔法マクロ定義。マクロ名【塩壺作成10】

『魔法マクロ【塩壺作成1】を10回実行せよ』

 以上、マクロ定義終了。


 次はそこのジュリカさん。

 ここに来て『魔法マクロ実行、【塩壺作成10】』って言ってご覧」


 また嬉しそうな顔をした女の子が前に出て来て魔法マクロを唱えると、あっというまに保管スペースに塩入りの壺が10個溜まっていった。

 あ、ジュリカが少しふらついたか。


「まだキミタチの魔力だとこのマクロ実行は1回が限界だろうから、1回ごとに交代してこの「マナ・ポーション(初級)」を飲んでしばらく休むように。

 そのうちすぐに魔力も上がって10回ぐらいは実行出来るようになるだろう。

 精霊たちもマナ・ポーションはいくらでも飲んでいいぞ。

 飲み過ぎると飛んでっちゃうから気をつけろな」


「「「「「 はぁーい♪ 」」」」」


「それから、この仕事は朝9時から12時までの3時間と、昼食後昼寝をしてからの2時から4時までだ。つまり、1日に働く時間は5時間までとする。

 4時以降は夕食の6時まで自由時間だから、体を休めるなりプールで遊ぶなり好きにしていいぞ。

 週に2日は完全休業日で自由時間だからな」


「「「「「 はぁーい♪ 」」」」」


「それじゃあアダム、保管スペースにある程度塩壺が貯まったら、システィの領域内の倉庫に転移させて保管しておいてくれ」


(畏まりましたサトルさま)


 最後に俺は作業場を覆う屋根を造り、作業場の横に休息用の小屋も作ってその場を離れたんだ。

 これで塩も溜まるし、みんなの魔力も上がって一石二鳥だろう。




 翌日。戦略会議にて。


「さて、ダムも出来たし、転移の魔道具も出来たし、フェンリルたちも落ちついたし、塩作りも始まった。

 仕事は順調に進みつつある。

 それでは次の目標を設定しよう。


 まずは植物の精霊たちへのお願いだ。

 この地球から取り寄せた植物図鑑のプリントアウトをよく見て、この世界ガイアで似たような植物を探して欲しい。

 特に探して欲しい植物は、ここにある写真の、サトウキビ、カカオ、コーヒー、茶の木、バナナ、リンゴ、みかん、桃、パイナップル、ブドウ、イチゴだ。

 それぞれの植物の中にもいろいろ種類があるだろうから、出来れば何種類か欲しいな。

 20人ずつ10のグループを作って、いろいろな気候の土地を回って植物を探してくれ。

 その植物がありそうな土地の気候が写真の横に書いてあるから、アダムに読んでもらえばいいだろう。

 植物を見つけたら、アダムに言って場所を記録してもらってから、10本ぐらいずつ転送して倉庫に保存してくれ。

 あとでそれぞれに適した気候の場所に農園や果樹園を作ろう。

 みんな頼んだぞ」


「「「「「 はぁーい♪ 」」」」」

(かしこまりましたサトルさま)


「それからベギラルム」


「はっ」


「悪魔っ子たちを当面60人ずつ5つのグループに分ける。

 まず第1グループは東の堤防工事、第2グループは南で塩作り、第3グループは森の腐葉土の収集。第4グループは俺と一緒に城壁造りをする。第5グループは完全休養日だ。

 念のためベギラルムは森の腐葉土グループにつけて護衛とする。

 各グループの仕事は2日行ったらローテーションさせるぞ。

 いろんな仕事を覚えてもらいたいからな。

 グループのメンバーはときどき移動させてくれ。

 あまりグループメンバーが固まっても面白くないからな。


 各グループは最初はアダムに転移させてもらうが、2回目以降は森の中に受信用の魔道具を設置しておいて、それぞれ転移の魔道具を持って自分たちで転移すること。いい練習になるだろう。

 頼んだぞ」


「ははっ!」


「大精霊たちも、自分たちを6つのグループに分けて悪魔っ子たちと一緒に仕事を頼む。

 6つ目のグループは今まで通りシスティの倉庫内での鉱物抽出に回って欲しいんだ。

 もっと資源は必要になるからな」


「はい……」

「はーい」

「おっけーっ!」

「はいだす」

「ふん、いいわよ」


「さて、それじゃあ何か報告事項はあるかな?」


「サトルよ」


「はい、エルダさま」


「地球の使い魔から連絡があったのだがの。

 地球では今アルミ原料のボーキサイトが不足しておって、アルミ合金であの数量のクローゼットやチェストを作るのは難しいとのことなのだ。

 なので木製ではどうかとの提案があったそうなんだが……」


「でもそんなことしたら、木材資源が大量に必要になって地球の自然破壊が進んじゃいますよね」


「そうなのだ。故にお前の持っているアルミニウムを回してもらえんかの」


「もちろんかまいませんが。そういう逆輸入も許されているんですか?」


「もちろんだ。それで価格についてなんだが……」


「もちろんタダでいいですよ。もしくはタダ同然で。

 そうですね、純粋アルミニウムを1億トンほどお渡ししますんで好きに使ってください。

 足りないようでしたらいくらでも融通しますんで言ってください。

 アダム、お前の倉庫からエルダさまの管理システムの持つ倉庫への資材の移動は大丈夫だよな」


(もちろんでございますサトルさま)


「それでよろしゅうございますでしょうかエルダさま」


「ほんにお前というやつは…… 決断も実行も早いのう」


「はは、仕事はこれからもたくさんありますからね。

 それからアダム。

 数日後から俺たちの国を守るための城壁の建設を始めたいんだが、建設予定地の選定をお願いしたいんだ。

 予定では東西、南北とも5000キロ、計2万キロの延長の城壁にしたい。


 土台は、表土を除去して岩盤を露出させたところに、幅50メートル、深さも50メートルで埋め込む形にする。

 城壁部分は幅20メートル、高さ50メートルにしようと思っている。

 それらの重量に耐えられる地盤と、なるべく森や川の少ないルートを選んで欲しい。

 ああ、川をまたぐ場合はあんまり大きな川はまたぎたくないな。

 それに大きな川の場合はその外側に城壁を作るようにもしたい。

 せっかくの農業用水だから有効に使いたいからな」


(畏まりました。さっそくルート選定に入ります)



「のうサトルよ。本当にそれほどの規模の城壁が作れるのかの?」


「ええ、実はこの城壁の総体積は70立方キロほどになる予定で、あのダムの最大貯水容量620立方キロよりも遥かに小さいんですよ」


「そうであったか……」


「実際、ダムを掘るよりも相当に労力は少なそうなんです。

 ただ、川の部分と建設予定地の植物を移動させるのが少し手間かもしれませんが。

 それに、もしも範囲が広過ぎて俺では造るのに何年もかかるようであれば、もっと狭い範囲の城壁に変更します。

 まあ、国土は広い方がいいでしょうから頑張りますよ」


「うむ、わかった……」



「サトルさま。川の部分から外敵が侵入するやもしれませぬが……」


「ああ、ベギラルム。

 城壁が川を横切る部分では、城壁の外と内を繋ぐ深い水路トンネルを掘るつもりだ。乾期に川が干上がったら、アダムたちにわかるだろうから、そのときは水路トンネルを塞げばいいだろう」


「ははっ、なるほどでございますな」


「サトルよ。

 高さ50メートルもの城壁と言っても、石や土を積む労力をかければ乗り越えられんことも無いはずだが…… それにトンネルを掘るという手もある。

 それらはどうやって防ぐのだ?」


「今のところアイデアは2つあります。

 どちらの方法もたいへんな大工事でしょうから、アダムやイブの監視の目を逃れることは出来ません。

 ヒト族が石や土を盛り始めたら、高さが20メートルを超えたところで警報を鳴らしてもらい、警備隊が転移してショックランスを喰らわせてやります。また、同時に積み上げた石や土を土魔法で平らに均してしまおうと思ってます。


 それから、トンネルについても同様です。

 深さが20メートルになった辺りで中のヒト族を強制的に転移させ、土魔法で穴を埋めることになるでしょうね。


 さらに、大型の弩弓などでロープの付いた鉤爪等を打ち上げて来たときの場合ですが、それほど大きな弩弓を用意すればやはりアダムの探知に引っかかるでしょうし、念のため城壁の上部には1メートルほどのRをつけて鉤爪が引っ掛からないようにしておきます。

 万が一それでも侵入された場合は、アダムの生体探知機能で見つけ出して、俺がスタンかショックランスで捕獲します」


「はは、それならばあまり手間はかからんの。

 そのためにも警備隊要員の悪魔っ子たちの魔力を上げておこうということか」


「はい。仰る通りです。

 その方がメンバーが多くなって警備隊のローテーションが楽になりますからね」




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