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【爆撒英雄サトルのガイア建国記】  作者: 池上雅
第1章 ガイア建国篇
41/325

*** 41 みんな俺のことをなんだと思ってやがるんだ…… ***

 


 翌日からは、街の建設予定地の視察だ。

 管理システムアダムがきっちり調べてくれた地域だが、それでも実際に自分の目で見てみないとな。


 視察メンバーは、俺とベギラルムとシスティと土の精霊たち、それから取材のつもりかローゼさまもついて来た。

 ここはシスティの天使域ではないから、全員に死の危険はある。

 まあ、いざとなったらアダムがいつでも全員を転移させてくれるように準備はしてくれているが、それでも注意は必要だ。

 俺は加護のネックレスと『銀聖勲章』を身につけ、システィが全員に『隠蔽』の加護をかけてくれている。


 街を作る予定地は、中心拠点から放射状に50キロほど離れた12カ所だ。

 今は暫定的に『1時街』とか『2時街』とかって呼んでいる。

 将来はさらに放射状に街を建設していくつもりだ。


 幸いにも建設予定地の視察は順調に終わり、各街の予定地には小さな石造りの小屋が建ったんだ。

 さあ、ここから俺たちの国が広がって行くんだぞ!




 その日の夕食後……


(サトルさま…… 今お時間を少々頂戴してもよろしいでしょうか?)


「おお、アダムか。いいぞ。なんだ?」


(あ、あの、サトルさまに賜わりました『アバター』が本日届きまして、最終調整も済みました。

 そ、それでイブと一緒に御礼に参上したいのですが……)


「おお! もう届いたのか! それじゃあお披露目してくれよ」


((は、はい……))



 いや驚いたよ。

 どちらのアバターも壮絶に美しい美男美女で、どう見たって人間と変わらないんだ。

 アダムのアバターは25歳ぐらいに見える男性型だ。

 身長は185センチほど。

 体は細めだが引き締まった見事な体つきをしている。

 髪は青くさらさらだ。執事服のような服を完璧に着こなしていた。

 まあ、見た目は完全にヒト族だな。

 それにしても素晴らしいイケメンだよ。


 イブは、20歳前ぐらいに見える小柄な超美人だった。

 胸はほどほどで、ピンク色の髪の美しい女性だ。

 表情はまだ少女と言ってもいいほどに若く見える。


 2人は涙ながらにお礼を言い、新たに俺たちに忠誠を誓ってくれた。

 おお、こいつら声もカッコいいのな。

 まあ、ほんとに嬉しそうだからよかったよかった。



 でも…… あの……

 どうしてイブさんはトップレスにショーツ姿なんでしょうか……

 形のいい柔らかそうなおっぱいが丸見えなんですけど……

 し、しかもショーツも布地部分がほとんど無くって、ヒモ状の部分ばっかりで構成されてるんですけど……


「なあ、アダム……」


「なんでございましょうかサトルさま」


「ところでなんでイブはそんな格好をしてるんだ?」


「それはもちろん、大恩人であらせられるサトルさまに、少しでも喜んでいただくためでございます……」



 俺の額に青筋が立った。

 みんな俺のことをなんだと思ってやがるんだ。


「サトルさまの健康チェックの一環で、常にサトルさまのバイタルをチェックさせて頂いておるのですが。

 サトルさまは、女性のこのような姿をご覧になると心拍数が跳ね上がり、また眼球運動も活発になって、実に幸せそうなオーラまでお出しになられていたものですから」


 その場の全員が俺の顔を見た。

 俺の額の青筋が少し大きくなった。


 あっ! そ、そこ! ローゼさまっ!!

 なんでアナタまでうんうん頷きながら服を脱ぎ始めるんですかっ!



「イブ…… 好意はありがたいが、その格好、みんなの前では禁止な。

 その格好はアダムと2人だけのときにしなさい」


 お、幸いなことにローゼさまも停止したぞ。


「申し訳ございませんサトルさま。すぐにショーツも脱ぎますので……」


 だぁぁぁぁぁ~! 

 ローゼさま! 微笑みながらまっぱにならないでぇっ!!!


「脱ぐなイブ!

 そりゃあ地球の10代後半の男の子はそういうのが好きかもしれん!

 というか男子おのこの夢でもあるっ!

 だがそれはのべつまくなしではないのだ!」


「そ、それではどのような服装がよろしいのでございましょうか?」


「アダムの格好に合わせたメイド服なんかいいんじゃないか?」


 あ、エルダさまだけ俺をジト目で見てる。

 ち、ちちち、違いますからね……



 翌日……

 スーパーミニのメイド服姿で楽しそうに俺の両脇に座り、上目遣いに俺をちらちら見てるエルダさまとローゼさまがちょっとウザかったです……


 おっぱいもパンツもほとんど見えてたし、しょっちゅう前屈みになっては俺の視線を追ってたし……

 ローゼさまなんかパンツ穿いてなかったし……

 俺もうほとんど屈服しかけてたし……


 そ、それにあの……

 お、お願いですから、ボクの意思に反して暴れ始めたオオカミさんを指差して、2人できゃっきゃ喜ばないでくださいませんでしょうか…… 

 うううううっ……





 或る日、俺はマナ鉱石と『マナ水溶』の魔法を使って、何種類かの『マナ・ポーション』を作った。中級と上級と超級だ。

 ま、まあ、超級は滅多に使うことは無いだろうが、それでも非常事態に備えて準備しておいた方がいいだろうからな。


 ついでにガラス資源も練成して超強化ガラスも作り、それぞれのランクのマナ・ポーションを1000本ずつ作ったんだ。

 これだけあればまあ安心だろう。





 その頃、アメリカ合衆国国内某所。

 ある大財閥の当主の執務室では極秘報告が行われていた。


 研究者風の白衣を着て緊張した面持ちの男が、当代の当主を前にして発言を始める。


「それでは、お預かりしておりました金塊につきまして、ご報告申し上げてよろしゅうございますでしょうか」


「うむ。始めなさい」


「まずはあらゆるテストによってその純度をチェックいたしましたが……

 純度は完全に『100%』でございました……」


「100%か……」


「はい。比喩ではございません。

 フォーナイン(小数点以下4桁まで9が連なる純度)でもなく、エイトナイン(同じく小数点以下8桁まで9が連なる純度)でもなく100%でございました……」


「そうか……」


「最新の電子顕微鏡による観察でも、金原子の列が見事に揃った完全な形態でございました。

 また、日本の大型放射光施設SPring-8でもその物質特性を検査致しましたが、完全なる『純金』であるとの結論でございます」


 報告者である白衣の男は、額の汗を拭って続けた。


「あ、あのような純物質は、現在の地球の技術力では絶対に作れません。

 エイトナインの金でも、その金の価値の3倍のコストをかけて作るものでございます。

 そ、それに……」


「それに、どうした?」


「は、はい。電気抵抗検査で、『電気抵抗0』の結果が出ました……」


「常温超電導ということか……」


「はい…… あまりにも原子の配列が整っているためと思われます。 

 極低温では無いのでマイスナー効果は見られませんでしたが、それでも超電導類似現象が確認されました。

 あ、あの物質は、もはやヒトが作り出せる物質ではございません。

 あと100年かけても作成は不可能でございましょう。

 ま、まさに『神の作りたもうた物質』でございます……」


「そうか……」


「あ、あの物質はどうやってご入手されたのでございましょうか。

 われわれ物性物理学者の夢でもあるあの物質を……」


「それは盟約によって口外は出来ん。

 お前もこの件については決して口にしないように。

 それでは退出してよろしい」



 報告者は何度か後ろを振り返り、肩を落として帰って行った。

 執務室に残った男は瞑目している。


(『神の作りたもうた物質』か……

 実際には『上級天使様の作りたもうた物質』だがな……


 それにしても……

 上級天使エルダリーナさまか…… 

 なんという偉大なお方様であろうことか……)





 そのころ…… 『神の作りたもうた物質』を実際に作った男は……



 今日もプールでは子供たちが元気いっぱい遊んでるようだな。

 よし、ひとつアトラクションを用意してやるとするか……


「おい、ベギラルム」


「なんでございましょうかサトルさま」


「プールに入ってフチのところに立ってくれないか。

 そこの手摺に掴まって背中をあっちに向けて…… そうそう。

 それで、昨日開発したこの『マナ・ポーション(超級)』を飲んでみてくれないか」


「おお、『マナ・ポーション(超級)』でございますか!

 このような貴重なもの、真にありがとうございます!

 それではさっそく。

 うおおおっ、こ、これはすごいっ! 

 体にみるみるマナが満ち溢れていっておりますぞ!」


「…………」


「あ、あえ? う、うおおおおおおおっ?」


 ぶぅおおおおおおおおおおおおおおおおおおおーっ!


 す、すげえなおい。

 ベギラルムのジェット噴射で、プールがみるみる『流れるプール』になっちまったわ。


「ぐぅおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお~っ!」


 おー…… 中心部に渦が出来始めたぞ。

 もう少しでプールの底が見えそうだ。

 あははは、子供たちがきゃーきゃー言いながら流されてぐるぐる回ってるわ。

 楽しそうだよなあ。


「ひええええええええええええええええええええええええええ~っ!」


 あ、そういえばこれ…… 水質汚染とか大丈夫なんだろうか?

 なんせジェット噴射の出所は……

 か、考えてなかったわ。

 ま、まあ『不純物』が出たとしても最初だけだろうからな……

 お、水の精霊たちが鼻をつまみながら水を綺麗にしてる……

 ま、まあ大丈夫そうだな……


「ぎょえええええええええええええええええええええええええ~っ!」



 それからしばらくの間、ベギラルムの叫び声と子供たちの楽しそうな笑い声がプールに響き渡っていたんだ。





 またそのころ、『神の作りたもうた物質』と呼ばれる程のシロモノを地球に持ち込んだ、偉大なる上級天使さまは……



「なあシスティ。夕食の時間なのにエルダさまはどうしたんだ?

 今日はもう地球に帰っちゃったのか?」


「ううん。お姉さま、さっきからずっとお部屋に籠ってるの。

『夕食のお時間ですよ』って声をかけたんだけど、お部屋の中から、『いっ、今取り込み中だっ!』って言うだけで、出て来て下さらないのよ。

 それになんか、ぶおおおおおおおおおって風みたいなヘンな音もしてたし……

 お姉さま大丈夫かしら……」


「……な、なんか変わったことしてなかったか?……」


「そういえばさっき、サトルが昨日持ち帰った小ビンを見て、『ほう! マナ・ポーション(超級)とな! サトルのやつこんなものまで開発しおったか! どれどれ、このわたしが効果の程を試してやろうではないか♪』って仰ってたんだけど……」


「!!!」


「マナ・ポーションでお腹壊しちゃったのかしら?」


 システィさん……

 壊れたのは、お腹じゃあなくってたぶんおしりだと思います……




 翌朝、疲れ切った顔でまだ涙目のエルダさまに言われちゃったんだ。


「ほんにお前は…… 

 上級天使の尊厳すら崩壊させるほどのブツまで創りおってからに……」




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