表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【爆撒英雄サトルのガイア建国記】  作者: 池上雅
第1章 ガイア建国篇
37/325

*** 37 俺の心頭滅却Lvって…… ***

 


 金抽出に関するエルダさまの喰いつきはまだ続いていた。


「それで、金はあとどれぐらい用意出来るのだ?」


「あ、はい。産出量は全部で135万トンほどになる予定ですが、いくらかはこの世界の金貨にして経済戦争を仕掛ける原資にしますので、売却希望量は取りあえずあと50万トンほどかと……」


「それで1000兆円を手にするつもりか……

 日本の国家予算10年分以上を手にするというのか……

 そして、この世界のGDPの1000年分の金貨を鋳造して、インフレ戦争を仕掛けようというのだな……

 ほんにお前は恐ろしい男であるのう」


「はは、使えるカネは多い方がラクですからね。

 今日はとりあえず50トンの金を預かって頂けませんでしょうか」


「うむ。それでは久しぶりに金融シンジケートの連中に連絡を取るとするか……」


「そ、そんな方々をご存じなんですね」


「わたしを誰だと思うておる。

 わたしは地球のヒト族の創造天使なのだぞ。

 政治や経済の中枢ぐらいは押さえておる。

 だがその前に。くくくっ…… 

 NYMEXに口座でも作って、金の先物を大量に売り建てておくか……

 くくくくくっ……」


(ま、また黒いオーラが……)


「そ、それではエルダさま。

 地球での金の売却や、製品購入の代金を金で支払うことが出来るのであれば、さらに大量の物資を調達したいと考えますが、よろしいでしょうか?」


「うむ。1000兆円相当の金塊が有れば相当な物資が用意出来るであろうが。

 最終的にどのような規模の物資にするつもりかの」


「はい、当面は400万人の住環境を整えて、彼らを10年間食べさせて行くだけのものを準備しようかと考えてます。

 最終的には2400万人分の住環境と余裕を見て30年分の食糧でしょうか。

 それで、とりあえず10万人の1年分の物資を1単位としたリストをお渡ししますので、購入可能かどうかのチェックと費用の概算をお願いしたいのですが」


「あいわかった。

 さっそく地球で世界の金融シンジケートの連中に連絡することとしよう。

 多少の時間がかかるがかまわぬな」


「もちろんです。

 わたくしの概算では、1人が新生活を始めて1年間暮らすコストとして100万円程度を考えているのですが、海外製品を使ってコストを削減したとして、費用は800億円ほどかと思います。

 緊急増産を考えればその5割増し、1200億円まで許容しますので、その範囲内で調達出来るとありがたいですね」


「ふふ、地球の農工業に迷惑はかけたくないということか」


「はい。ガイアのために地球経済をあまり混乱させたくはないですから」


「ところでサトルよ。

 ということは、お前があれほどまでの努力を費やして魔力レベルを上げていたのは、このためでもあったのか?」


「あ、はい。レベルが上がって土魔法を極められれば、マナトンネルも直せるし大地から金だの鉄だのも抽出出来て一石何鳥にもなりますからね。

 神界のおかげで達成時期が早まりましたけど、これが主な目標でした」


「ふう。わたしも長年ヒト族を見て来たが……

 ここまでの深謀遠慮を為せる男がいたのだのう。

 しかもそれを呆れるほどの努力によって実現してしまうとは……

 なにやらこの世界ガイアの支配者どもが気の毒になって来たわ……」


「はは。早く実際に気の毒にしてやりたいものですね……」


「お前も既に『爆撒英雄サトル』の名に恥じぬ男になったのう」


「は?」






 その日の夕方…… (英雄?)サトルは……



 俺はまた悪魔っ子たちの別の班と一緒に風呂に入ったんだ。

 ふふ。俺も成長したもんだよ。

 女の子たちの裸に囲まれても、もうほとんど意識しないでいられるようになったもんな。

 みんなシスティのおかげだな。

 もしも心頭滅却レベルがあったら、もうレベル10ぐらいにはなってるんじゃないか。はは。


 そう自己満足して俺が湯に浸かってるうちに、悪魔っ子たちがタイルに座りこんで楽しそうにお互いを洗いっこしはじめたんだよ。

 きゃっきゃ言いながら……

 でも……


 お願いです……

 どうかお願いですからみなさん脚を開いて座らないで下さい……

 男の子ならともかく、女の子の、それも美少女たちのそんなお姿は、地球人の17歳男子にとって難易度が高すぎる攻撃です。

 そ、それ心頭滅却レベル100でも勝てないかもしれません……

 さっきから眼球が俺の意思に反して不審な運動始めちゃってるんです……


 俺は湯の中で氷を作り出し、暴れ始めたオオカミさんを半ば氷漬けにして鎮めた後、涙目のまま脱衣所に逃亡したんだ。



 みんなに俺に慣れてもらいたいけど、俺も早く悪魔族に慣れないとなあ……

 俺は肩を落とし、また悄然としてシスティの天使域に帰ったんだよ。


 それでさ……

 そのときなんとなく自分のステータスを見たら、なんと『心頭滅却レベル』の表示が生えてたんだよ!


 心頭滅却Lv 0.05 (もう少しがんばりましょう。 TдT)


 なんだよこれ!

 余計なお世話だよ!


 これじゃあ加護のネックレスつけてレベル100倍にしても、心頭滅却レベルはたったの5じゃねぇか!







 翌日、俺はダム建設予定地に飛んだ。

 植物の精霊たちのおかげで、一帯は見事に植物が撤去されている。

 俺は、加護のネックレスに加えて『神界銀聖勲章』も装着した。

 これで俺の魔力は保有力も操作力もLv100万以上に跳ね上がる。

 もちろん体力もだ。

 はは。体が光って髪の毛も金髪になってるぜ。



 俺は半径10キロほどの範囲に浅い溝を掘ってあるダム予定地に降り立った。

 予定地内は表土以外はほとんど岩石だが、これはすべていったんアダムの倉庫に転移させる。

 あとで鉱物資源を抽出したり、建物の材料にしたりするからな。


 よし、それじゃあ作業を始めるか。

 まずは魔法マクロ定義からだ。


「魔法マクロ定義 マクロ名【岩石掘削×1】

『マクロ発動者の前方100メートル地点に於いて、100メートル×100メートル×100メートルの立方体状の岩石を切り取って、システィの天使域内倉庫に転移させ、崩れないように積み上げておけ』

 以上、魔法マクロ定義終了」


 へへ。見事に巨大な穴が切り取られたわ。

 もともと加護のネックレスや勲章が無くっても、10メートル角ぐらいの岩は切り取って転移させられたからな。

 あらゆる能力が1万倍になった今、その1000倍の岩を切り取るぐらいはなんでもないわ。


 それじゃあ次の魔法マクロ定義だ。


「魔法マクロ定義 マクロ名【岩石掘削×100】

『前回【岩石掘削×1】を実行した場所の隣、発動者の前方方向に隣接する地点にて、【岩石掘削×1】を実行せよ。この作業を100回繰り返せ』

 以上、魔法マクロ定義終了」



 わはははは。

 あっというまに巨大な穴が広がっていったぜ。こいつぁラクチンだわ。

 あ、でもけっこう体内マナが減ってるぞ。5%も減ってる……

 そ、そうか。

 ここの岩って砂漠の砂と違ってあんまりマナが含まれてないんだな……

 それでも今の作業は力仕事だけあって、『マナ操作力』はほとんど使わずに済んだのか。これなら精霊たちの治癒キュアも必要無いか。



「なあアダム。あのマナ鉱石って、粉末にして喰ったらマナ補給って出来るかな?」


(それでは水の大精霊ウンディーネさまが開発した『マナ水溶』の魔法で水に溶かしてみられたらいかがでしょうか。

 かなり強力な『マナ・ポーション(超級)』が出来ると思われますが……)


「おお! それいいな、さっそく作ってみるか。

 ほお、綺麗な白い液体だな。まるで牛乳みたいだ。

 それじゃあさっそく…… んぐんぐ……

 あ、こ、これすげえ! あっという間に体内マナが満タンになったぞ!」


(あ、あの…… サトルさま……)


「なんだ?」


(た、たいへん申し上げにくいのですが……)


「どうした?」


(強力すぎるマナ・ポーションのせいで、余分なマナのエネルギーが……)


「なんだなんだ? どうかしたのか?」


(サトルさまのおしりから噴き出しております……)


「お、おわっ! 

 な、なんだコレ、俺のケツからなんかが猛烈に噴き出してるっ!!!」


 俺は慌てて【岩石掘削×100】のマクロを20回ほど繰り返し、ようやくケツを鎮めることに成功したんだ。


 それにしても、なんだかヤバいもん作っちまったなあ。

 これみんなのいる前では飲めないよなあ。

 ただこれ、噴き出るマナエネルギーが、不思議なことにぜんぜん臭くないんだよ。

 ま、まあ最初だけちょっと臭かったけど。

 でもすぐに無色無臭の気体になったんだ。

 まあ、マナが気体化したもんなんだからだろうけど……


 まあ面白そうだから、今度ベギラルムに「試供品だ」って言って騙して飲ませてみるとするか……



 それから俺は、【岩石掘削×100】のマクロを繰り返し、その度に『マナ・ポーション(超級)』をちびちび舐めてダムを掘って行ったんだ。


 おかげでその日のうちに、ダム掘削予定地の半分の範囲を100メートル掘ることが出来たんだよ。

 この分ならあと40日ほどで、予定の深さ2000メートルまで掘れるだろう。


 その後は、ダムの内面を綺麗に削ってから、あの白いマナ建材をダムの内壁に塗りつけて補強する作業になるかな。

 強度を上げるために、底部の角はRを持たせるか。


 ということは、あと2カ月ほどでダム工事は終わりそうだ。

 この工事が終われば、有効貯水容量6000億トンの巨大ダムが完成する。

 地球最大のダムの約3倍の貯水量を誇る超巨大ダムだぜ。へへ。

 ここからあと標高で2000メートルほど上がったところには大氷河があるから、そこから氷を運んでこのダムに満たしておけば、後は太陽が溶かしてくれるだろう。

 もし溶けなければ、俺が超高温の火球をブチ込むか、火の精霊たちにお願いするつもりだ。


 このダムでは出水口は作らない。万が一にも決壊させたくないからだ。

 つまりは単なる湖だ。

 だから、ここから距離にして南に50キロ、高度にして300メートルほど降りたところに3つ程小さなダムを作る。

 1つは飲料水用、もう2つは発電用だ。


 そうして大きなダムから、管理システムアダムの管理下にある転移魔方陣を通じて飲料水用の小さなダムに水を転移させて満たす。

 飲料水用のダムには水の精霊たちを配置して、水を綺麗にしてもらおう。

 そうして現在開発中の簡易魔法陣を通じて各街や村の貯水槽に水を転移させる予定だ。

 各街や村には、多少標高のある場所に貯水槽を作って、そこから各家の中に水道管を引けばいいだろう。


 また、発電用のダムからは、水路トンネルを通じて下の小さなダムに水を流し、発電機を回そうと思っている。

 その水はまた転移の魔法陣で上のダムに戻せばいいな。


 はは、魔法のおかげで永久機関が出来上がるぜ。

 まあ、マナのエネルギーを使ってるから厳密には永久機関じゃないけどさ……




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ