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【爆撒英雄サトルのガイア建国記】  作者: 池上雅
第2章 銀河宇宙篇
321/325

*** 321 総事業費予想5000京クレジット、総工期予想1万6000年だと…… ***

 


 しばらくして、最終的な『破滅エクシティウムトニーテュラ』の拡散・無害化事業計画が出来上がったって言うんで、俺はケイちゃんの説明を聞くことにしたんだ。


 最初に計画書の概要を見せて貰って俺は目を剥いちゃったよ。

 こ、この総事業費予想5000京クレジットって……

 総工期予想1万6000年って……


 そ、それに超大型恒星船の建造2億5000万隻だと……

 それに使用する超大型高性能ダークエネルギー駆動エンジン30億基と姿勢制御用核融合エンジン3000億基だと……


 うわっ!

 その恒星船の大きさが、厚さ300キロ、直径30万キロって……

 そ、それ地球の直径の24倍近いじゃないか!

 それに端から端まで行くのに光ですら1秒かかるのかよ!

 そ、それが、に、2億5000万隻……



「な、なあケイちゃん……

 こ、この宇宙船ってちょっと大きすぎないか?

 そ、それに2億5000万隻って……」


(ええ、故障や事故による損耗を見込んでの数になります。

 また、最低でもそのぐらいの大きさは必要でございますね)


「そ、そうなのか?」


(サトル神さまはご自分では計算されておられませんでしたか。

 もちろんそれぐらいは必要になりますでしょう)


「…………」


(まずは『破滅エクシティウムトニーテュラ』の断面積でございますが、半径0.1光年として、2.8×10の24乗平方キロメートルほどになります。

 それを半径15万キロ、7.1×10の10乗平方キロメートルの『空間転移装置』でスイープしようとしますと、単純計算で全部で約40兆回のスイープが必要になります。


「……………………」


(光速で飛来する超々高エネルギーガンマ線の影響を最小限にするために、この『空間転移装置』搭載の宇宙船は光速の99%ほどの速度で飛んでいる必要がございますが、そのため3光時の長さの『破滅エクシティウムトニーテュラ』の中を通過するには300時間かかります。

 ということは、1組の宇宙船で40兆回のスイープをするとして、すべてのガンマ線を拡散させるには1兆4000億年かかってしまうのです」


「………………………………」


(ですが、2億隻、1億組の『空間転移装置』がそれぞれ12万回のスイープを行えば、約1万6000年でスイープが完了致します。

 5000万隻は破損に備えた予備でございますね)


「『破滅エクシティウムトニーテュラ』……

 あ、甘く見てた……」


(如何致しましょうか? 計画は中止致しますか?)



「い、いやちょっと待ってくれ……

 これだけのカネをつぎ込んでこれだけの超々大型宇宙船を造れば、あのガンマ線はすべて排除出来るんだな?」


(はい)


「ほ、本当に出来ると思うか?」


(排除可能性は99%を超えておりますでしょう。

 また、この計画が失敗したとしても、失う物は機材と労力とご資金だけになります。

 ヒューマノイドはすべて当初計画通りに避難、移住出来るでしょうから)


「そ、そうか…… そうだよな……

 失う物はカネと労力と資源だけか……」


(そのご資金と資源についてでございますが、資源はともかくご資金については大きく削減する方法がございます)


「どんな方法なんだ?」


(これらはすべて銀河宇宙に発注した場合のコスト予想でございまして、サトル神さまがご自身で宇宙船を建造される場合には、かなりのコスト削減が可能でございます)


「そうか……

 宇宙船を設計して、それを魔法マクロで造ってコピペで増やせばいいんか……

 エンジンや制御系はどうする?」


(エンジンにつきましては、当初ダークエネルギー駆動エンジンと核融合エンジンを銀河宇宙に発注し、それを見本に複製されてみては如何でしょうか?

 もっともその場合でも特許使用料は支払う必要はございますが、エンジンそのものをすべて発注する場合に比べて、コストはかなり少な目になりますでしょう。


 また、制御系につきましても工学系部分は複製可能ですし、中央制御部分につきましては、アダムブラザーさま配下のプチAIを複数配置されれば可能でございましょう)


「い、いや、それって万が一そのスイープ船が失われたときにアダムブラザーが……」


(サトルさま、アダムブラザーはプチAIたちを離れた位置から『空間転移装置』で制御可能でございますから安全でございますよ)


「そうか……

 でもそれだと専任のアダムブラザーも相当数必要になるな」


(いえいえ。

 アダムブラザーでしたら1人で同時に10万隻ほどの宇宙船をコントロール可能です。

 ですので、中央コントロール船の規模もそれほどには大きくする必要も無いかと)


「そ、そうか……

 っていうことは、魔法マクロさえ作れれば、コストは相当に圧縮出来るっていうことか……」


(そうですね。

 おおよそ100分の1、つまり総工費は50京クレジットほどに抑えられるかと……)


「それでもけっこうコストがかかるんだな。

 まあ余裕で払える範囲内ではあるけど」


(流石に高次元空間への転移ユニットは銀河宇宙に発注しなければなりません。

 そして、そのユニットは相当に出力の大きなものになりますので、出力1000億KW/h程の核融合発電ユニットも必要になります。

 それらを含めてのコストになりますね)



「よ、よし!

 や、やれるだけやってみよう!

 但し最初は恒星船の建造は100万組200万隻だけにしよう。

 そ、それで様子を見てスイープが順調だったら追加することにしようか……」


(畏まりました)



「それじゃあさ、そのスイープ用宇宙船と中央コントロール船の設計を頼むわ。

 それを建造するためのドックの設計もな。

 後はダークエネルギー駆動エンジンと、核融合駆動エンジンと、高次元空間転移ユニットの仕様書を作って、銀河宇宙への発注も頼む。

 制御系の仕様書と発注もだな。

 他になにかあるか?」


(資材運搬その他のために、宇宙空間に特化した作業用ドローンが100億体ほど必要になりましょうか)


「わかった。

 それじゃあその設計と工場建設も頼む。

 他には?」


(ドックの設置場所でございますが……)


「ん? このガイア近傍の俺の神域じゃあまずいのか?」


(このご神域は3.05次元でございますので、どうしてもガイアや太陽の重力の影響を受けてしまいます。

 もし重力の影響のほとんど無くなる3.5次元以上の高次次元にご神域を作りましても、そこでは時間の流れがかなり変わって来てしまいますので)


「あ、そうか。

 宇宙空間といえども無重力じゃないもんな。

 衛星軌道上にいるときには体感的に無重量に感じるだけで、重力そのものは存在してるのか……」


(ええ、ですから長さ30万キロに達する構造物を作ろうとしますと、場所によっては重力源からの距離に数万キロの差が発生することがございます。

 もちろん完成後には『慣性吸収の魔道具』によって重力の影響は無くなりますが、その建造途中で潮汐力によって破断する恐れがございますので)


「それじゃあどうしたらいいんだ?」


(このガイアを含む恒星系から5光年ほど離れたところに、近隣の恒星系との間に重力の均衡するラグランジュポイントがございます。

 そこならばほぼ完全に広範囲にわたって重力均衡点となりますので、そこに新たなご神域を作られては如何かと)


「なるほど。さすがだな。

 それじゃあそこにも大きめの神域を作って、ここと大型の『空間転移装置』で繋ぐとするか……」


(畏まりました)




 こうして『破滅エクシティウムトニーテュラ』の拡散・無害化計画の準備が始まったんだ。


 でもさ。

 なんというか、俺の「この宇宙の大脅威と対決したい」っていう感情以外にも、もうひとつモチベーションが欲しかったんだ。



「なあアダム、『破滅エクシティウムトニーテュラ』による知的生命体の滅亡予想惑星数って確か1万8525で、その惑星世界には合計52兆人の知的生命体がいるんだったよな」


(はい。もちろんこのまま何もしなければという前提ではありますが)


「それって『神界認定世界』だけの話だろ」


(はい)


「それ以外にも被害予想範囲内には生命のいる星もあると思うんだけど、どれぐらいあるもんかな?」


(まずは、神界の関与の無かった自然発生知的生命体の文明世界が80ほどございます。

 サトルさまのことですから、当然これら世界も救済されるでしょう)


「ああ、もちろんだ」


(それ以外でしたら、『生命』という括りでカウントした場合、合計でおおよそ1億程の惑星が被害に遭うものと推測されます)


「そんなにあるんか……

 それでどんな段階の生命なんだ?」


(まずは石器時代と見られる文明が約3000ございます。

 それから『原人』と看做される生命体がいる惑星が約2万、哺乳類や鳥類爬虫類がいる惑星が50万、多細胞生物が発生した惑星が約2000万、単細胞生物が発生している惑星が8000万でございます)


「そうか……

 それら生命発生世界を全て救済するって大変だろうな……」


(そうですね……

 生命の移転そのものはなんとかなるにしても、神界が新たな世界を1億も用意するのはかなり困難でございましょう。

 総労力は『破滅エクシティウムトニーテュラ』分散・無害化計画を上回るものと推測されます)


「ということは、かなりの星が放置されるっていうことか……」


(はい)


「なあアダム、そうした星々に調査隊を派遣してくれないか?

 それでその映像をまとめて俺に見せて欲しいんだ」


(畏まりました)





 それからは1週間おきぐらいにAI調査隊からの映像が届いたんだ。


 まずは単細胞生物の発生した世界の映像だった。

 これさ、見た目にけっこう来るものがあるんだよな。

 なにしろ陸上には生物がいないんだもの。

 つまり動物はおろか植物すら無いんだ。

 あるのは海と陸地だけなんだぜ。


 その陸地もほとんどが花崗岩で、堆積岩はほとんど無い。

 当然土も無い。

 土って言うのはかなりの部分有機物から出来てるからな。


 なんかこう完全に生物のいない世界って不気味だよ。

 海もなんか蒼黒くって薄気味悪いし……


 でもこの海には単細胞生物が満ちているんだそうだ。

 あと数億年で多細胞生物になって、それからまた数億年で魚類や両生類に進化して行くであろう単細胞生物が……










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