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【爆撒英雄サトルのガイア建国記】  作者: 池上雅
第2章 銀河宇宙篇
315/325

*** 315 楽宙市場開設 ***

 



『神界運輸・通信部門』の準備状況は順調だった。


 それでまずはインター・プラネット・ネットワークが完成したんだけどさ。

 いやこの各惑星のホームページがけっこう面白いんだよ。

 特にヒト族以外の連中の暮らしぶりとか。


 それで俺も調子に乗って、惑星スキモーノに俺のVRゲーム専用のサイトを作らせたんだ。

 そう、地球と同じように、銀河全域のゲームユーザーの作り上げた妄想情報を掲載するサイトだ。


 もちろんその妄想世界は、リアルタイムオンラインで好きなだけ自分のゲーム機に追加ダウンロード出来るようにもしてやったぞ。


 おかげで『今日のヘンタイ妄想世界ベスト10!』とかいうコーナーが大人気になってたし。

 ベスト10入りしたヤツに高額賞金を出すようにしたらさらに超人気になってたわ。

 1日当たりの来訪者数500兆件のサイトとかトンデモだよな。

 おかげで『ヘンタイ』とか『オタク』とかが銀河共通語になってやんの。

 あはははは。


 おかげでさらにゲームが爆発的に売れてウハウハ。



 次なる事業として、惑星スキモーノの連中を雇って『銀河宅配便』を作ったんだ。

 3万光年先の惑星に注文した酒が3日以内に届いたりするやつな。


 配送料はバカ安だ。

 儲ける気なんか全然無いもの。

 もちろんこの会社には俺がタダで『空間転移装置』を貸与してるんでバカ安に出来るんだよ。

 しかも配送所の職員はすべてドローンたちだし。



『銀河宅配便』の料金は、定型段ボール箱1つにつき5万光年以内が5クレジットで、それ以上は10クレジットにした。

 日本円換算だと約500円と1000円か。

 まあ届けるのは各惑星首都の配送センターまでだけだけど。

 そこから先は各惑星の運送会社の仕事にしてやらんとな。



 ついでに超空間ネット上に仮想商店街『楽宙市場』も作って惑星スキモーノに運営させたんだ。

 総商品点数10の16乗個のすげぇやつ。


 まあ、最初は掲載商品の金額は5000クレジットを上限にしたわ。

 高額商品で詐欺事件とか起こしたくなかったから。


 でも流石はE階梯の高い連中の世界なもんで、ほとんど詐欺事件は起きなかったんだ。

 もし起きても、アダムたちがサーバーを遡ってその惑星当局がすぐに犯人を逮捕してたし。


 それでもまあ最初は心配だったから、専門のAI部隊を組織して怪しげな商品を売るサイトをチェックさせてたんだ。

 あいつらAI本体にネット接続すれば、同時に10万のサイトをチェック出来て、ひとりで日に1億件のサイトを見られるそうだからなあ。

 そういう専門部隊を1万人用意したから大丈夫だろう。



 でもさ……

 或る日アダムが「気になる商品サイトがあります」って俺に見せに来たんだわ。


 それはウールンという名の羊人族の惑星にある、小さな村が作成したって言う販売サイトだったんだ。


 そのサイト、いかにも素人が作りましたっていう体裁で、写真すら載ってないんだ。

 それで売ってる商品が、『子供たちの羊毛で作ったセーター』だったんだよ。

 価格は1着30クレジットで。


 これ……

 まさか児童虐待案件じゃないよな……



 それで俺はその惑星を管轄する初級天使に連絡を取って、その村の商品をチェックさせたんだ。

 その初級天使は俺からの調査依頼だっていうんで盛大に驚いて、すぐに調査してくれたよ。



 その天使からの報告によると、その村は冬は非常に寒くって、夏はけっこう暑くなるそうなんだ。


 それで、冬には羊人族の連中は全身の毛が長く伸びてもこもこになり、春にはそれを全部切って夏に備えてたんだと。

 切った毛はほとんど捨ててたそうなんだ。

 ま、まあその羊毛でセーターとか作っても、みんな自前の羊毛があるから誰も着てくれないしな。

 だから今まではせいぜい手袋とかソックスとか作るだけで、後は捨ててたそうなんだ。

 たまに一家全員の羊毛で厚い絨毯とか毛布とか作って、冬に備えてたそうだけど。



 それで、今までその農業系惑星には、ネット上の仮想商店街みたいなものは無かったそうなんだけど、俺が『楽宙市場』を作ったもんだから、村ひとつにつきひとつ商品を提供して出品することにしたんだそうだ。



 それで試しにそのサイトで子供たちのセーターを買ってみたんだけどさ。

 これが凄いんだ。

 表面は艶々で、見るからに暖ったかそうで、しかも手触りがまた素晴らしいんだわ。


 お姉ちゃんたちは、それでもふもふの対象をフェルくんからセーターに移したんだけどさ。

 フェルくんは喜ぶかと思いきや、セーターに向かって「うー」とか言って威嚇してたわ。


 フェルくん。

 キミ、実はもふもふされるの好きだったんだね……

 それとも羊さんの匂いがするんで、半分残ってる狼の本能が目覚めちゃったのかな?



 それで俺、惑星スキモーノの『楽宙市場』の職員をその村に派遣させたんだ。

 もっとちゃんとした販売サイトにして、セーターの価格も子供用1着500クレジットにさせろ、って言って……


 それでしばらくしてからその販売サイトを見てみたんだけどな。

 まずサイトを開けると、3D映像で5歳位の羊人族の子供たちが現れるんだ。

 そうして一生懸命商品の説明をしてくれるんだわ。



「ぼ、ぼくたちの村は、冬になるととっても寒くなるんです……」


「でもわたちたちは、そんな寒さの中でもお外で元気に遊んでいます♪」


 映像が雪に埋もれた幼稚園の園庭らしき場所に変わった。

 そこに出て来たのは、もう全身が長い羊毛に覆われたもこもこの子供たちだ。

 みんな丸っこい姿で、深い雪の中でも雪だるまを作ったりソリ遊びをして元気に遊んでいる。



「で、でも夏はとっても暑くなるんで、春になると父ちゃんが冬毛を刈り取ってくれるんです」



 画面が普通の家の土間に切り替わった。

 そこでは大人の羊人族が子供の毛を刈っている。


「痛っ! 父ちゃん痛いよ!

 またバリカンが毛を挟んだよ!」


「それじゃあ、お前の羊毛で作ったセーターが売れたら新しいバリカンを買うか。

 このバリカンは、父ちゃんが子供の頃も毛を刈ってもらったバリカンだからなぁ」


「えっ……

 と、父ちゃん。

 そ、それもったいないから捨てるのヤメようよ……」


「そうか?

 それじゃあ研ぎ直して貰おうか?」


「う、うん……」



 それで子供たちが毛を刈ってもらうと、そこには「キミ誰?」っていうぐらいスリムな羊人族の子がいたんだよ。


 それから父ちゃんがその羊毛を洗って、母ちゃんらしき人が紬車回して毛糸に紡いで……

 それを編んでセーターを作る画像が紹介されてるんだ。


 俺思わずまた奥さんたちや子どもたち、それからベギラルム一家とアダム一家の分のセーターを注文しちまったよ。


 そしたらさ、15着のセーターが届いたときに、お礼の手紙と写真も入ってたんだ。


「たくさんのご注文ありがとう。

 お礼に妹の羊毛で編んだマフラーも同封しますので使ってください」

 って、たどたどしい字で書かれた手紙と羊人族の子供たちの写真が……


 隅っこの方には、「おかげで最近おやつの量が少し増えました♪」って書いてあったし……



 それで感動しちゃってさ。

 15人みんなでセーターを着た写真を撮って送ってやったんだ。

 惑星ウールンの地域担当者には、『使いたかったらこの写真を商品紹介のページで使ってもいいぞ』って言って。


 そしたらさー。

「あのサトル神さま御一家愛用のセーターがある!」って大評判になっちゃって、銀河中で大人気になっちまったんだわ。

 子供の羊毛で作ったセーターなんか、ネットオークションで10倍の値で取引されてるし、とてもじゃないけど子供の数が足りないんで、大人の羊毛も全部セーターになっちゃってるそうだわ……



 まあそうして興味深い商品もあったもんで、俺もヒマなときには『楽宙市場』を覗いたりしてたんだ。


 その中で、或るオーガ族の星が妙なもん売り出してたんだわ。


「名匠が魂を込めて作った逸品!」とか言って、『金棒』を売り出してたんだよ。

 あの大きな金属バットみたいなもんにトゲトゲのいっぱいついたやつ……


 こんなもん誰が買うんだ?



 そしたらさー、その金棒を大量購入した奴らがいたんだよー。

 それで、「誰だこんなもん大量に買ったのは!」って聞いてみたら、なんとウチ(ガイア)のオーガ族の連中だったんだわー。


 ま、まあガイアの連中には全員に小遣いやってたからな。

 みんなよく働いてくれてたし、たまには小遣いでもやるかって思って、楽宙市場の買い物用にひとり1000クレジットずつ渡してたんだけど。


 どうやらオーガ族にとっては金棒って憧れの逸品だったんだそうなんだ。

 もちろん大森林には金属資源なんかほとんど無いから、みんな木で作った棍棒みたいなもんを持ってたそうなんだけど。

 金属製の金棒なんか、持ってるのは大族長ぐらいなもんらしかったんだ。


 それが貰った小遣いで買えるっていうもんで、大喜びでみんな買っちゃったらしいんだわー。

 ま、まあ、欲しいものが手に入ったんならヨカッタね……



 AI族の連中にももちろん小遣いはやってたんだけどさ。

 まあなんか連中もずいぶんいろいろ買ってたようだ。

 生まれて初めてのショッピングとか、楽しそうだよなぁ……

 でもどうしてみんな『スケスケランジェリー』とかばっかり買うんだ?





 それから、ガイアでもなんか売ってみるかっていうことになったんで、試しにあの『ベルミアスープラーメン』を売り出してみたんだ。

 まあインスタントラーメンと言うよりは『生ラーメンセット』だけど。


 そしたらさー。

 初回限定100万食が10分で売り切れよ。

 神界から10万食の追加注文が来てたのには笑ったけど。


 それでベルミアと悪魔っ子たちに、「お前たちが作って売ったこのラーメンの利益は、全部お前たちのものにしていいぞ」って言ったらさ。

 あっという間に10億食売って、全員億万長者よ。

 驚いたぞ。


 当然ガイア産小麦だけじゃあ足りなくって、ガイア産と似たような小麦の輸入も始まったんだ。

 それも1年足らずで、ラーメン用だけで億トン単位の輸入になっちまってたわ。


 ま、まあおかげで農業系惑星が大喜びしてたからいいか……




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