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【爆撒英雄サトルのガイア建国記】  作者: 池上雅
第2章 銀河宇宙篇
312/325

*** 312 銀河連盟設立準備委員会 *** 

 



「それでは次に、我々の活動に必要な資材の商談に移らせて頂きます。


 予めお伝えさせて頂きますが、こうした物品の調達につきましては、『競争入札』は一切致しません。

 我々から提示された設計図、仕様書、価格、数量について、その製品の製作と納入の意思をお知らせくださいませ。


 価格につきましては、たぶん銀河標準価格より若干高めに引き取らせて頂きますのでご心配無く。

 こうした措置は、言うまでも無く銀河全域に対して発注を行いたいがための措置であります。


 それではまず、インタープラネットネットワーク構築に必要なサーバーの発注から御説明させて頂きましょう。

 これは現在銀河最高レベルのサーバーを、予備も含めて全部で5億台注文の予定です」


 軽いどよめきが広がった。



「それから先ほどお見せした『空間転移装置』内蔵の小型恒星船ですが、これは1億隻の発注を予定しております」


 驚愕の声が上がった。



「それから、今みなさまのテーブルにおりますのはAI族のアバターなのですが、このアバターは味覚も含めた五感を持つ銀河最先端のアバターです。

 この最新アバターについては設計図と仕様書をお渡しした上で、これも1億人分の発注を予定しています」


 かなりの数の惑星大統領が仰け反った。


 はは、惑星イルシャムの大統領がドヤ顔しとるわ……

 いままでさんざん俺の注文に驚かされて来たもんだから、みんなが驚いてるのが嬉しいんだろうな……



 また議場から手が挙がった。


「どうぞ」


「サトル神さま。

 誠に不躾ではございますが、ご質問をお許しくださいませ。


 今回御説明頂いた内容は、すべて我ら銀河のヒューマノイドに驚くべき繁栄を齎すものであります。

『空間転移装置』という驚愕の発明品、それを活用した全銀河に広がる物流ネットワーク、インター・プラネット・ネットワークの構築、それによる銀河全域の恒星間貿易の可能性、資源開発をサポートする恒星船の格安でのご提供。

 どれをとっても銀河経済、いや我々の生活をも一変する可能性を秘めたものでございます。


 ですがこの事業には、それこそ天文学的な予算が必要になります。

 いったい何故神界はそこまでして下さるのでございましょうか……」



 はは、議場のほとんどのヒューマノイドが頷いてるよ。



「ごもっともなご質問ですね。

 確かに今までの神界は、『神は天地を創造するのみ、天使は知的生命体を創造するのみ』といった原則論の下にありました。


 ですが今、神界は変わろうとしています。

 それは多分、あの惑星ウールの危機が契機になったのでしょうが、神界はまず『銀河救済機関』を立ち上げて、自然災害で苦しむ世界の救済に乗り出しました」



 大勢の重鎮たちが頷いている。

 まあこのひとたちみんな惑星大統領かそれに準ずるひとたちだもんな。

『銀河救済機関』の活動はかなり詳しく知っているんだろう。



「そして我々はその過程で気が付いたのですよ。

 それは、

『この銀河系には恒星間貿易が発達していない』

『各恒星世界間の理解も充分では無い』

『さらに資源開発もコストの問題で停滞している』

 ということでございました。


 そうして、これらの問題さえ解決出来れば、あのように自然災害で苦しむ世界はもっともっと減らせるのではないかと気づいたのです。


 そこで、神界はもう一歩踏み込んで、こうした現業部門も持つことになったわけです。


 ヒューマノイド世界の争いを、現在はもちろん将来に渡って防ぐにはどうしたらいいか?

 それはおそらく、禁止行為を設定するだけでは不十分でありましょう。

 大型恒星船の建造禁止、かつ重力場近傍のヒューマノイド居住圏から居住圏への超空間航法禁止、放射性物質の恒星間取引禁止。

 加えて母惑星のある恒星系以外の恒星系の領有宣言禁止。

 どれも必要な禁止措置なのでしょう。


 ですがおそらくそれだけでは不十分なのです。

 銀河経済全体が資源不足解消により豊かになり、インター・プラネット・ネットワークによってよりお互いを知り、そうして恒星間貿易も盛んになって、食料過剰の星も食料不足の星も豊かになる。


 こうしたこともまた、恒星間の争いを防止することに必要なのではないでしょうか。


 いかがですか?

 これでご質問の答えになっていますでしょうか」



「これもまた僭越なもの言いで恐縮ではあるのですが……

 わたくしにはもうひとつの理由があるように思えてならないのです……」


「ほう、それはどのような理由でしょうか?」


「それは……

 あなたさまのように、わずか5年前まで我らと同じヒューマノイドであらせられたお方様が、つまり我らヒューマノイドのことを誰よりも理解されている神が、ご顕現なされたからではないかと思われるのであります……


 あなたさまがいらっしゃらなければ、けっしてこのような福音は得られることは無かったことでございましょう……」



 あー、なんかみんな大きく頷いてるよ……


「はは、買いかぶり過ぎですよと申し上げたいところなのですが、この際ですから正直に申し上げましょう。

 わたくしは、必要な資金と資材と能力と、そして大勢の仲間達を手に入れることが出来ました。

 ですから、実行可能なことをやってみようと思っただけなのかもしれませんね……」


「「「「「「「「 …………………… 」」」」」」」」



 はは、みんな黙っちゃったよ。

 まあでも本当の事だから仕方ないよなー。



「それでは発注品の仕様やご質問につきましては担当AI族に聞いて頂くとして、最後にわたくしからみなさまに申し上げたいことがございます」


 俺はそこで言葉を切って、真剣な顔で議場を見渡した。

 神威の粒子も少し強めに出て来ている。

 議場のみんなも姿勢を正してくれてるな……



「わたくしは……

 本日のこの会合が、将来に於いて、『あの会合が『銀河連盟』発足のきっかけになった』と言われるようになることを願ってやまないのであります……」



 会場の全員が立ち上がり、場内に大歓声と大きな拍手が満ち溢れた……





 その後は、まず近隣の恒星系同士での挨拶会をしてもらったんだ。

 まあ顔見知りの連中も多かったけど、新任の大統領さんなんかは挨拶回りする手間が省けて喜んでたみたいだよ。


 それからは、管区別に分かれて俺からの発注をどう分配するかの相談に入って貰っている。

 原則として、恒星系1つにつき最新鋭サーバー5台、恒星船1隻、AI族のアバター1人分の受注になるんだけどさ。

 もちろんそうした工業力を持たない星も多いから、その分をどう分配するかという点が主な相談内容だ。


 結論としては、受注を別の星に譲った農業系惑星には、受注した惑星がその利益の中から一定割合を払うことになりそうだ。

 資源開発力を持たない星に貸与された小型恒星船についても、周囲の恒星系がレンタルする際の基準料金なんかが話し合われている。



 その後は昼食会だ。

 敢えてみんなで歓談しながら食事が出来るように立食形式にしたんだけど、でもまあ失礼の無いように、恒星系代表ひとりにつきひとりのAIアバターもつけてあるから大丈夫だろう。



 広大なダイニングルームのあちこちには、銀河各地の名物料理が並んでいる。

 俺たちはガイアの為や『銀河救済機関』のために膨大な量の食料や料理を購入してたから、こうした調達も慣れてるからな。


 特に人気のあったのはもちろん、『ベルミアスープ』のブースになる。

 なにしろ神界の神々でも1週間待ちの予約制料理だからなあ。

 初めて食べる人も多くって黒山の人だかりになってたよ。

 これを見越して、ベルミアスープのブースは100カ所用意しておいたから混乱にはならなかったけど。


 それからさ、ベルミアが作ってくれたんだよ。

 ベルミアスープを基本のスープにした『ベルミアラーメン』を。

 これが超人気になってたわ。

 体の大きな種族なんか3杯ぐらい食べてたぞ。


 そうだな。

 今度ここガイアの俺の神域で、『各象限有名料理試食会』でもやるか……





 午後からの会合も終始和やかな雰囲気だったよ。

 理由としてはいくつかあるが、なによりもまずこの会合が政治的なものでなく、経済的なものだったということがあるだろう。


 そう、ここは『商談会』の場だからな。


 どの象限世界も既に俺からの発注で潤っていたろ。

 中には余剰食糧が全部売れて狂喜していた農業世界とか、注文が無くて閑古鳥が鳴いてた工業系下請け惑星が俄かに大好景気になっちゃったとか。


 既に俺の大量発注に喜んでいた世界も多かったんだよ。

 その俺が招集したこの場で、政治的思惑で覇権争いをしたり、自惑星の利益を追求したりして争いにでもなったら、俺の機嫌を損ねて大損害を被るかもしれないからな。


 なんか、俺が経済力によってみんなを抑えつけちゃったような気がしないでもないけど、まあそれでみんな豊かになって幸福ならそれでいいだろう。


 ここに来ているような有力な惑星の指導者たちも、それを受け入れてくれたようだわ。

 これが同じヒューマノイドだと少しは反発心も出るかもしれないけど、俺も一応神界の神さまだし。



 それでさ、3000の代表的惑星世界に3000人のAIたちがついててくれてるだろ。

 それでアダムたちが押しつけがましくならないように気をつけて、参加者たちを上手に誘導してくれてたんだ。

 あいつら、個々のヒューマノイドと会話しながら3000人のAIと同時に打ち合わせも出来るからな。

 こうした誘導は得意なんだよ。


 それでどうやら無事に、『銀河連盟設立のための準備委員会』も組織出来たようだ。


 準備委員会の代表には惑星イルシャムの大統領が選ばれたようだな。

 まああのひとなら適任だろう。



 それでさ、後でアダムに聞いたんだけど、準備委員会には神界からの顧問もお招きした方がいいのでは、っていうことになったんだと。

 それでまあ俺に顧問を頼もうかっていうことになったそうなんだわ。


 当初は神界の上級神さまにお願いしようかっていう意見もあったそうなんだが、誰かが言った「あのサトル神さまのことですから、銀河連盟が出来るころにはたぶん上級神さまに昇格されているでしょう」っていうひと言で、笑いとともに満場一致で俺に頼むことになったそうだ。


 ちょっと買い被り過ぎじゃないか?




 翌日になると、大統領さんたちはみんな帰って行ったんだけど、どの惑星も代表として随員を1人か2人残して行ったんだ。

 随員と言ってもそれぞれ商業大臣や外務大臣クラスだけどな。

 どうやら『銀河連盟設立のための準備委員会』の仕事をしたり、商談の続きをしたりするひとたちらしい。


 帰星する大統領さんたちには、大きめの『空間転移装置』の片方を持って帰って貰っているんで、そのうちこのひとたちも自宅から通勤出来るようになるだろう。


 その後は惑星表面との連結用の小型『空間転移装置』を送ってやって、それから象限内の全ての惑星世界の分の装置も送ってやって……

 まあやることは多いけど、専任のAIを50万人ほど用意しておいたから、彼らに任せておけば大丈夫だろう。


 ということで、『神界運輸・通信部門』の新事業説明会兼商談会も無事終わったんだ。




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