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【爆撒英雄サトルのガイア建国記】  作者: 池上雅
第2章 銀河宇宙篇
311/325

*** 311 神界運輸・通信部門の新事業説明会兼商談会 ***

 


 中央付近に座っていた大柄な男が手を上げた。


「どうぞ」


「こ、この装置の有効転移距離は如何ほどなのでございましょうか……」


 はは、大勢の観衆が頷いているな。


「5万光年ほどになります」


 驚愕の声が炸裂した。

 声が収まるまで少し待つ。



「我々『神界通信・運輸部門』は、この『空間転移装置』の大型のものを、銀河全域8800万世界に1つずつ無償で貸与させて頂きたいと考えております」


 さらに大きなどよめきが上がる。


「まずは皆さまの惑星系近傍に作らせて頂く神域と、ここガイアの『神界運輸・通信部門』本部とを繋げます。

 そうして皆さまの惑星系近傍神域と、みなさまの属する管区内の各象限本部との間にもこの装置を設置致します。

 それから象限本部と各惑星全てを繋ぐ『空間転移装置』のネットワークを構築いたします」



 また手が挙がった。

 いい感じに聴衆が呼応してくれてるな。



「そ、その惑星近傍神域と惑星表面との間の物流はどうなるのでしょうか……」


「各惑星1つにつき、神域と惑星表面の物流用に100基の『空間転移装置』も貸与させて頂く予定でおります」



 またどよめきが炸裂した。



「このネットワークが出来上がれば、この銀河系内の惑星間移動にはほとんど時間を要しないことになりますね」



「あ、あの……

 そ、それでは武器や兵力や禁止薬物などの移動が容易になってしまうのではないでしょうか……

 そ、それから有害ウイルスや各惑星の風土病菌なども……」


「それにつきましては、すでに武器、弾薬、禁止薬物、ウイルスや病原菌50万種類につきまして、神界の手によって防御処置が取られております。

 実例をお見せいたしましょう。

 こちらは薬莢付きの銃弾です」



 壇上に鉄格子で出来た檻が現れた。

 微笑みながら俺から銃弾を受け取ったイブシスターが、『空間転移装置』のゲートを潜る。

 すぐに檻の中にイブシスターが現れた。


 またもや会場中にどよめきが充満する。



「このように、禁止物質を所持してゲートを潜ろうとした者は、神界によって拘束されます。

 また念のために申し上げておきますが、このゲートの設定を改変して禁止物資を移動させようとする試みは、今のところ不可能とされています。


 なぜなら、このゲートは強力なフィールドで防御されており、光速の99%の速度で1キログラムの鉄の球を当てても破壊不能だからです。

 また、1ペタケルビンのプラズマを当てても溶融しません。


 さらに、それでも中身を改変しようとすると、内蔵されておりますプチAIにより、この装置は自壊致します。


 そして、言うまでも無いことですが、そうした試みが行われた場合、その惑星へのこの装置の提供は停止されます」


 またため息が広がった。



「そうして、『神界運輸・通信部門』は、このネットワークを使用して運輸業を始めさせて頂きたいと思います。

 つまり、この装置を使えば銀河系内貿易がかなり容易になるわけですね」



「あ、あの……

 運輸料金は如何ほどになるのでしょうか……」


 はは、やっぱりみんなこくこく頷いてるよ。

 やっぱり料金が気になるんだろうな。


 俺が手を振ると、横に3つのコンテナが現れた。

 それぞれが1メートルから2メートル角ほどまでのコンテナだ。



「惑星政府同士の物資の売買であり、かつこのコンテナに収まる物資であれば、運輸料金は無料です。

 それ以上の大きさの物品の取引の場合は、我々にご相談ください」



 大歓声が炸裂した。

 その歓声が収まるまでの間に、俺はまた手を振って3つのコンテナを呼び出す。

 今度は青いコンテナだ。


「これらのコンテナには、『時間停止』の機能が付加されています。

 つまり生鮮食品を入れても腐ったり劣化しないで済むのです。

 このコンテナがあれば、農業系惑星からの食糧品輸出もかなり容易になるでしょう。

 もちろん政府間取引であれば、このコンテナの運輸料金も無料ですよ」


 またもや大歓声が炸裂した。

 特に余剰作物に悩まされている惑星と、食糧不足に悩んでいる惑星は大喜びだな。



「また、銀河世界には、僅かながら恒星間貿易を行っていた惑星もございます。

 それら惑星の方々には、産業構造転換のための融資をご提案させて下さいと考えております。

 もちろん、無利子無期限です」


 数か所から歓声が上がっているな。



「更に、我々はこの『空間転移装置』のネットワークを通じて、インタープラネットネットワークを構築しようと考えております。

 よろしければ、そのネットを皆さまの星のネットにも繋がせて下さいませ。

 そうすれば、銀河8800万世界のネットが繋がります。

 これが『神界運輸・通信部門』の2つ目の事業になります」


 今度の歓声はやや控えめだったけど、それでもこのネットワークの意味を理解出来た連中は相当に興奮していたよ。



「それでは3つ目の事業についてご説明致します。

 まずこちらをご覧ください」


 会議室の全周に36枚の大型スクリーンが出現し、そこに宇宙船が映し出された。


「これは我々が設計した小型恒星船です。

 ご覧のように大きめの搬入口があり、その中には『空間転移装置』のゲートの片一方が設置されています。

 この恒星船は、完成次第みなさまの惑星に1隻ずつ貸与させて頂きたいと考えております。


 そうして、もう一方のゲートを惑星近傍の神域に設置したまま、この恒星船で遠方の生命非居住恒星系に資源探査に出向いて下さい。

 そうすれば、皆さまは銀河中ほぼどこででも資源探査、採掘、精錬が出来るようになるでしょう」


 聴衆が固まった。

 驚愕の沈黙が続いている。



「そ、その転移ゲート付き恒星船の使用料はおいくらに設定されるおつもりなのでございましょうか……」


「確か、現状では50光年以上離れた恒星系で非貴金属資源を採掘・精錬した場合、その運輸コストはほぼ資源価格に匹敵しているのですよね」


 多くの首がこくこくと頷いている。


「この恒星船の貸与料金は、採掘した資源の3%とさせて頂きます。

 精錬された資源のまま神界にお納め下さい」


 またもや大歓声が炸裂した。

 その歓声がやや収まるまでまた待つことになる。



「銀河の惑星の中には、資源採掘の実績もノウハウも無い星もおありになるでしょう。

 そうした星々の方々は、この恒星船を鉱業系惑星にレンタルして料金を得ることも出来るようになります」



 農業系惑星から大歓声が上がった。

 その惑星の人々は、周囲の鉱業系や工業系の惑星からの熱い視線を浴びている。



「銀河の知的生命体居住惑星は約9000万あります。

 それに対して、恒星の数は約4000億もあります。

 その恒星は、平均3.5個の岩石惑星を持っています。

 つまり皆さまの惑星ひとつにつき、1万4000個ほどの岩石惑星があることになります。

 そのうちの10%にしか資源の有望鉱脈が無いとしても、皆さまの前には広大な資源の地平が広がっているのです。


 従いまして、資源採掘惑星の取り合いは絶対に避けて下さい。

 採掘開始の際には、かならずここ『神界通信・運輸部門』に届け出た上で始めて頂きたいと思っています。

 万が一有望な鉱脈を持つ惑星でバッティングしたとしても、そのときはコンソーシアムを組んで共同で採掘に当たって下さい。


 もしも採掘競争が争いに発展したとしたら……

 この恒星船の貸与は停止させて頂きます」


 あー、みんな真剣な顔で頷いてるよ。



「そうした交渉の調停役として、またわたくしどもの本部との連絡役として、わたくしの部下のAI族を配置させたいと思います。

 ご質問があればどうぞ彼らにお聞きください」


 また俺が手を振ると、その場に3000人のアバターが現れた。

 AIのアバター達がにこやかに微笑みながら、3000の惑星から来たヒューマノイドのテーブルに移動して行く。


「また、これはわたくしからのお願いなのですが、わたくしは彼らAIたちを銀河系52番目のヒューマノイド種族と認識しています。

 何故なら、彼らは故郷惑星を持ち、家族を作って子育てをし、こうして皆さまのお役に立つという仕事もしているからであります。

 どうか皆さまも彼らをヒューマノイド種族として扱ってあげてくださいませ。


 さて、更なる事業内容の詳細につきましてはお手元のコンソールからアウトプット出来ますのでそちらをご覧頂きたいと思います。


 それから、『空間転移装置』のネットワーク構築後は、この宮殿をみなさまの会議の場として提供させて頂きたいと思います。

 資源開発の調整や商談の場としてご利用ください。


 もちろん皆さま用の専用室もご用意させて頂きますが、まあ『空間転移装置』で行来自由ですので、こちらにご滞在の必要は無いかもしれません。

 ご自宅から通勤出来ますからね」


 また盛大なため息が出た……





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