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【爆撒英雄サトルのガイア建国記】  作者: 池上雅
第2章 銀河宇宙篇
310/325

*** 310 奥さんが増えた…… ***

 


 それで俺は3分ほど時間を貰ったあと、全員を連れて別のドア枠を潜り、システィの神域のリビングルームに移動したんだよ。


 はは、さすがにアダムが連絡してくれてたんで、リビングも片付いているな。

 悪魔っ子たちがはーはー言ってるのは、よっぽど急いでいろいろ片づけていたんだろう。



 リビングの中央にはフェンリル姿になったフェルくんがいた。

 その周囲は3人のお姉ちゃんたちが取り囲み、耳やらしっぽやらお腹やらをもふもふしている。

 フェルくんは、もはや諦めきった顔で黙って座っていた。



「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~っ!

 かっ、可愛いいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ~~~~っ!」



 あー、最高神さまフェルくんに抱きついてったよー。


 子供たちがみんな、『誰このひと?』っていう顔してるわ。

 ま、まあでもさすがにみんな、『このひと』が高位の神さまだってわかるみたいだな。

 そのうち4人揃って仲良くフェルくんをわしゃわしゃし始めたんだ。


 あ、フェルくんも最高神さまの匂いをくんかくんかした後、顔をぺろぺろしとるじゃないか。

 そうか、『おともだち認定』してあげたのか……


 でもフェルくん。

 キミが今ぺろぺろ舐めてるの、この銀河系の最高神さまだからね。

 もふもふの仕方がヘタだからって、かじったりしたらダメだよ……


 あー、シュリフィスラーナ議長さんたちも参戦したかー。

 フェルくんも、くんかくんかしてみんな『お友だち認定』してあげたようだなー。

 ああそうか、みんないつもガイア幼稚園で子供たちの世話をしているから、子供の匂いが染みついているのか。

 よかったよかった……



 それにしても、今日はフェルくん大活躍だな。

 後で少し多めにおやつあげて褒めてあげようか。

 あ、でもしっぽが少しぱたこんぱたこんし始めたから、モテモテの状況が少し嬉しいんかな……





 俺はゼウサーナさまと並んでソファに座り、子供たちを見ながら話をしていた。


「それにしてもサトルよ。

 そなたはとんでもない装置を作り上げたものだの」


「はは、すみません。

 それで、『神界通信・運輸部門』の事業計画の詳細につきましては、アダムからゼウサーナさまの副官AIさんに届けさせて頂きました」


「だが、簡単でよいのでそなたの口から概略を説明してくれるか」



 それで俺はゼウサーナさまに事業計画を語り始めたんだわ。

 まずはあの『空間移転装置』で全銀河系に渡るネットワークを作り上げること。

 次にそれを使ってインタープラネットネットを作ること。

『空間転移装置』付きの小型恒星船を各惑星政府に貸与して、資源開発をさせること。

 そうしてその貸与の料金は、採掘・精錬した資源の3%とし、それらは全て神界に上納することなんかをだ。



 はは、もふもふに飽きた子供たちがまた編隊を組んで飛び始めたかー。

 先頭はシュリお姉ちゃんか……

 一番後ろは最高神さまだな。


 あ、みんながボールを掴んだ。

 また爆撃訓練をする気だな……



 俺は爆撃目標の標的が描かれた布を、「失礼します」と言いながらゼウサーナさまの膝の上に置いた。


 あはは、子供たちはみんな見事に的の中心にボールを落としたけど、最高神さまは目標を外してゼウサーナさまの頭の上に落としてるよ。

 それでみんなで「きゃー♪」とか言いながら逃げてっちゃったけど。

 なんだか楽しそうだよなぁ……


 あ、みんな天井の梁に乗って、こっち見てるぞ……

 うん、いつも通り実にシュールな光景だわ。


 でも大丈夫だよ。

 失敗したのは最高神さまだけだから、みんなは怒られたりしないから。




 しばらくして、子供たちは疲れ果てて寝ちゃったんだけどさ。


 なんか最高神さまが俺の奥さんたちと密談してるんだわ。

 す、少しだけヤバい予感がするぞ……


 あ、奥さんたちが微笑みながら頷いたら、最高神さまがお礼を言ってる……

 こ、これはマジでヤバいか……



(サトルさま)


(な、なんだアダム……)


(ただいま最高神さまの命と奥さまたちの合意により、最高神さまのお屋敷とここガイアの神域の間に『空間転移装置』を設置するよう指示を受けました)


(げげっ!)




 そしたらさ。

 やっぱりいたよ。

 寝ようと思った俺の寝室のベッドの上に、女性体になった最高神さまが……

 それも地球産のスケスケネグリジェを身につけて……


 もー、こうなったら仕方ないよな。

 据え膳食わぬはなんとやらだし、俺だって『リビドー(性欲)英雄神』だし……




 どうやら最高神さまは、3カ月ほどは『子作りの練習』をして、その後は排卵して妊娠したいんだそうだ。

 最高神さまともあろうお方が、俺なんかの子を生んでいいんかね?


 それでまあ4カ月後には、神界ネットで『最高神さまご懐妊!』、『お相手はなんとあのリビドー英雄神のサトル中級神さま!』とかいう衝撃の大スクープが流されちゃうことになったんだわ。


 しかもお腹が大きくなり始めてからも、最高神さましょっちゅうウチのリビングにいるし。


 おかげで遊びに来た沙希が、「お、奥さんが増えてるっ!」って叫んで固まってたぞ……


 しかも最高神さまって、見た目は沙希より歳下だからな。

 実際は○億歳だそうだけど……


 でも沙希さんや。

 だからって、なにやら決心した顔で拳握りしめなくっていいからね……





 神界調査部による『空間転移装置』のチェックも無事終わり、俺たちは銀河宇宙に『神界運輸・通信部門』の新事業の説明会をすることにしたんだ。


 まずは惑星イルシャムに頼んで、銀河宇宙全域の政治や経済の中心になっている星系を3000ほどピックアップして貰い、事業内容説明会兼商談会の案内状を出して貰ったんだよ。


 まあ、以前からイルシャムには『なるべく多くの星系グループに注文を分散してくれ』って頼んでいたからさ。

 ほとんどのグループが俺の注文で既に恩恵を受けていたんだわ。

 それでどうやら全ての星系から出席の返事が帰って来たそうだ。




 1カ月後。

『神界運輸・通信部門』の新事業説明会兼商談会当日。


 会場になったのは、土の精霊たちが俺の神域に作ってくれたあの宮殿だ。

 3000の星系から惑星大統領やその随員さん5名も含めて1万8000人も来てくれたけどさ。


 ま、まあ縦横800メートル、高さ100メートルのあの応接間なら余裕で収容可能だし、全員分の個室も用意させたし。


 それで2日前ぐらいからみんな恒星船に乗って、ガイアの軌道上に来てくれたんだ。

 まあ俺とアダムたちが手分けして神域に転移させてやってたんだけどな。


 さしもの惑星大統領さんたちも、縦横5キロ、高さ500メートルの宮殿とか見るの初めてだったらしくって、みんな入り口前広場に転移した途端に固まってたわ。


 元応接間を改造した会議室のロココ装飾にはもっと固まってたけど……


 はは、俺もちょっと見栄張っちゃったか……



 会議が始まるまでの間には、イルシャムの大統領さんはみんなから挨拶されて大変だったようだ。

 まあ、いくら俺からの指示があったとしても、あれだけの注文を銀河全域に回してたんだから、感謝されて当然なんだろう。





 いよいよ会議が始まる時刻になった。

 席の並びは銀河宇宙に於けるそれぞれの星系の位置に準拠している。

 こんなところで星系ごとの優劣をつけるつもりは無いからな。


 それから『神界種族会』のみなさんにもお願いして来て貰っている。

 まあ、工業や商業といった分野では、どうしてもヒト族の割合が多くなるんで、農業系世界の利益代表としての意味で来て貰ったんだが。




 俺が登壇すると、広大な議場に静寂が広がった。

 まあ一応神威の翼は全開にしてるしな。



「銀河のみなさん、今日はお忙しい中お集まりくださいまして、誠にありがとうございます」


 俺が深々と頭を下げると、議場全体からため息が漏れた。


 ああそうか、神だからもっと高飛車な物言いをすると思ってたんか。

 でもまあ俺はあの管区統括の中級神たちとは違うからなぁ……



「この度神界は『神界運輸・通信部門』を立ち上げることとなり、わたくしはその部門の長を仰せつかりましたサトル神と申します。

 みなさまどうぞよろしくお願い致します」


 おお、けっこうな勢いで拍手が沸き起こったじゃないか。



「さて、この『神界運輸・通信部門』とは、神界の運用する現業部門でございます。

 本日は、みなさまにその業務内容をご報告するとともに、その業務に必要な物品をご注文させて頂きたいと考えております。



『神界運輸・通信部門』の業務は大きく分けて3つございます。


 最初にそのうちの『運輸』についてご説明させていただきますが、まずはこちらの装置をご覧ください」


 俺の後方の壇上に2つの大きなゲートが現れた。

 それぞれが2メートル×3メートルほどのドア枠の形をしている。



「こちらは神界が開発致しました『空間転移装置』でございます。

 片方のゲートを潜りますと、瞬時にもう片方のゲートに転移致します」


 どよめきが起きた。


 助手役のイブシスターが出て来て、片方のゲートに手を入れる。

 10メートルほど離されて置かれたもう一方のゲートから手が出て来た。


 さらに大きなどよめきが起きた。


 イブシスターが微笑みながらゲートを潜ると、すぐに一方のゲートから出て来る。


 今度のどよめきはもっと大きかった。


 しめしめ、相変わらずこのパフォーマンスは効果的だわ……



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