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【爆撒英雄サトルのガイア建国記】  作者: 池上雅
第2章 銀河宇宙篇
309/325

*** 309 神界でのプレゼン *** 

 



 数日後。

 なんかまた惑星スキモーノのネルギッシュ大統領が俺を尋ねて来たんだ。

 なんでも俺にお願いがあるんだと。



「早速の御面談をご許可頂き、誠にありがとうございます、サトル神さま」


「ああ、いやまあ貴惑星にはお世話になっていますからね」


「また、ローゼマリーナさまの『ガイア観察日記』にて、最近の『救済機関』のご活躍は目にさせて頂きました。

 なんという尊いご活躍でございましたことでしょうか……」


 あー大統領さんなんか涙目になってるわー。



「い、いやあれも神界の任務の一環ですからね。

 と、ところで今日はなにか御依頼事項があるとか」


「は、はい。

 実はサトル神さまの『ゲーム』の販売代行をさせて頂きましていたところ、それで我が惑星のGDPが10年前の10万倍になってしまったのでございます……」


「げぇっ!」


「それで余剰分は惑星予算剰余金に回していたのですが……

 これも剰余金が予算額そのものの50万倍になってしまいました」


「げげげげ……」


「つ、つまり我が惑星は、今後50万年の間、税収ゼロでもやっていけるようになってしまったのでございますよ」


「げーげげげげげげ……」


「もちろん、現在の我が惑星には税が無くなってしまいました。

 それどころか公共住宅はすべて無料、食料価格は政府補助金によって10分の1以下になりました。

 こっ、このままでは我が惑星の住民は皆ダメになってしまいます……」


(か、考えてなかった……)


「そこでサトル神さまにお願いがございます。

 どうか、どうか販売手数料をゼロにして頂けませんでしょうか……

 それに加えて、今まで頂戴していた手数料の御返納も……」


(あ、これちょうどいいかも……)



「あのですね。

 実はわたしも貴惑星にいくつかのお願いがあるのですよ」


「!!! な、なんなりとお申し付けくださいませ!」


「まずは、銀河中のヒト族の男たちのために、今まで通りの歓楽産業を続けてやっては頂けませんでしょうか」


「は、はいっ! それはもう必ずや!」


「それからですね、こんど私は銀河全域をカバーするインター・プラネット・ネットを構築する予定なのですよ。

 それでヒューマノイド世界にプロバイダーを作るつもりでいたのですが、貴惑星に作らせて頂けませんでしょうか」


「!!!」


「その見返りとして、販売手数料は今まで通りで如何ですか?

 そうして、そのネットで流せる楽しいコンテンツをたくさん用意してやって欲しいんです。

 例えば、各惑星のインターネットに繋いで人気サイトが全部見られるとか、新しい娯楽コンテンツを作って頂くとか。

 ああ、ネット上の詐欺行為や人権侵害を防ぐために、監視用のAIもたくさん雇って下さい。


 我々にも仲間はたくさんいますけど、どうも彼らはヒューマノイドの『娯楽』という点につきましては苦手でしてね。

 どうしても教育番組みたいなものになってしまうんですわ」


(あ、アダムが項垂れてる……)



「つまり、惑星スキモーノには、いままでの歓楽産業のみの星ではなく『総合エンターテイメント星』になって欲しいと思っているんです。

 貴惑星でしたらそういうのは得意でしょう」


「は、はい。

 歓楽街にも風俗産業以外にさまざまなエンターテイメント施設がございましたので。

 と、ところで、サトル神さまがお考えになられるエンターテイメントとは、具体的にどのようなものがございますでしょうか……」


「そうですね……

 そうだアダム。

 この間のガイア幼稚園のお遊戯会の映像を出してくれるか」


(畏まりました)



 それでその場の3Dスクリーンに映ったんだよ。

 あの26種族の子供たちが一生懸命お遊戯をしている姿が。


 あ、大統領さんの口が開いた……

 ああっ! 手がわきわきし始めた!

 よ、よだれも垂れとるっ!


 俺はついでに、種族会の熊人族の中級神さまに頼んで取り寄せた、パンダ族の星の幼稚園の映像も見せてやったんだ。


 ああっ! 

 大統領さんの目から涙がっ!


「す、素晴らしい……

 こ、このような素晴らしい映像を拝見したのは初めてでございますっ!」



 画面ではパンダ族の保育士さんが、子パンダたちにわしゃわしゃとマッサージをしてあげていた。

 恍惚の表情を浮かべて、きゅーきゅー言いながら悶える子パンダたち……

 それを見て、自分でも恍惚の表情になって悶える惑星大統領さん……



「そ、それでですね。

 たとえば、将来的にはこの保育士さんに『VRゲーム』のヘッドセットをつけて貰うんですよ。

 そうしてギャラクシーネットで、皆さんのゲーム機からも接続出来るようにするんです。

 そうすれば、大統領閣下もVR世界でこの子パンダたちをわしゃわしゃ出来るようになりますよ」


 あー、大統領さんが本格的に泣き出したわー。

 あ、いきなり土下座した……


「や、やらせてくださいっ!

 ぜ、是非その総合エンターテイメント産業をお任せくださいっ!

 全惑星の国民を従業員とさせてくださいませっ!」


 い、いやなにもそこまでしなくても……




 それにしても……

 とうとう惑星を丸ごと1個、配下のプロバイダー会社にしちまったか……




 あとで聞いたんだけどさ。

 あの3D映像を持ち帰ったネルギッシュ大統領は、惑星議会の議場でみんなに見せてやったそうなんだよ。

 そうしたら議場の議員さんたちが全員腕をわきわきし始めたんだと。

 それでどうやら、星営プロバイダー会社の設立は満場一致で可決されたそうだ。


 まったく神界の神々もヒューマノイドも、もふもふ幼児にはヨワいんだなぁ……






『空間転移装置』のプロトタイプが出来上がった。

 俺の希望でドア形にしてもらってある。


 ふっふっふ……

 リアル『○こでもドア』の完成だぜ!



 それで俺はまたゼウサーナさまの秘書官AIに依頼して、ゼウサーナさまとの面談を取りつけて貰ったんだ。

「非常に興味深い装置が完成致しましたので、御披露がてら御相談にお伺いさせて頂けませんでしょうか」って言って。


 そしたらさ、翌日ゼウサーナさまの執務室に行ったら、最高神さままで居るんだわ。

 それから最高顧問の神々も4人。



「サトルくん。

 キミが『興味深い装置』とか言うもんだから、わくわくしちゃって見に来たよ♪」


「は、はあ。

 実は神界の神々にはそれほど珍しいものではないでしょうけど、この装置を『神界運輸・通信部門』の役割として銀河世界に持ち込めば、ヒューマノイドたちが相当に喜ぶと思いまして」


「うーん、もったいぶっていないで早く見せてよぉう」


「は、はいっ、そ、それではただいま!」



 それで俺はその場に2つのドア枠みたいなもんを転移させたんだ。


「これは『空間転移装置』と言いまして、2つの空間を物理的に繋げるものです。

 まあ神々の持つ転移の能力を装置化したものですね」


 俺は片方のドア枠に手を入れた。

 もうひとつのドア枠から俺の手がにょきっと出て来る。



「こ、これは……

 神力を使わずとも空間の移動が出来るのか……」


「はいゼウサーナさま。

 この装置自体にわたしの神力魔法が内蔵されていますので、神力の無いヒューマノイドでも利用が出来ます」



 あー、さっそく最高神さまが近寄って来て、腕を入れたりドア枠に入ってもう一方から出てきたりしてるよ……

 子供か……



「それでこの装置の有効距離は?」


「はい、5万光年ほどになります」


 あー、ゼウサーナさまが仰け反ったわー。

 初めて見たぞー。



「それでこの装置の保安措置なのですが、現在銀河宇宙で所持が禁止されている兵器、爆発物、禁止薬物など10万種類、それから有害なウイルスや病原菌など30万種類につきましては、すでに通過禁止登録が為されております」


「…………」


「あの、この場にごく少量の火薬を持ち込んでもよろしゅうございますでしょうか?」


「あ、ああ……」


 俺はその場に薬莢付きの銃弾をひとつ取り出した。

 同時に執務室の隅に鉄格子の嵌った檻も出現させる。


「それ貸して貸して―」


 俺から銃弾を奪った最高神さまが、止める間もなくドア枠に入って行った。

 同時に檻の中に出現する最高神さま。


 俺は慌てて檻のドアを開けた。

 まあ鍵はかかっちゃいなかったからな。


「これ面白いねー♪」


 最高神さまは銃弾を持ってドア枠を潜ったり、持たずに潜ったりして遊んでいた。



「それでゼウサーナさま。

 この装置を『神界運輸・通信部門』の主力輸送手段としてヒューマノイドたちの利用に供したいと考えているのですが、よろしければ神界調査部の事前チェックをお願いできませんでしょうか」


「し、しかし、そのようなことをすれば、この装置を改変して悪用する者も出てくるのでは……」


「この装置は、光速の99%の速度で1キログラムの鉄球を当てても破壊出来ません。

 また、1ペタケルビンのプラズマを当てても無傷のままです。

 加えて、改造の試みを察知すると、装置全体を自壊させる機能を持ったプチAIも搭載されておりますので、銀河技術をもってしても改変は不可能かと。

 それも含めて神界調査部に検査をお願い出来ないかと思います」



 あー、ゼウサーナさま、おっかない顔して考え込んでるよー。



「現状この装置を作れるのは誰だ」


「わたしくとアダムだけです」


「このひと組の装置を作るためのコストは?」


「ほとんどが私の労力ということになりまして、それ以外のコストは1セットにつき100クレジット以下かと」


「製造能力は?」


「日産100億セットほどになります」


「!!!」



 あー、また仰け反っちゃったよゼウサーナさま……



「ねえねえゼウサーナくん。

 この装置が普及したらさー。

破滅エクシティウムトニーテュラ』が来襲して来ても、被害を受けそうなひとは全員無事に避難出来るよねー。

 あ、そうか。

 事前に惑星を1コ与えておけば、そこに入植することも出来るんだ。

 そうして3万年も経てば、そこはもう故郷星と一緒だよね♪

 そうすれば元の故郷星を失っても、あんまり悲しまなくって済むかもだよ。

 うっわー、これすごい発明品だー。

 すごいすごいー」



「あ、あの…… 最高神さま。

 そ、その『破滅エクシティウムトニーテュラ』というのは一体何のことなのでこざいましょうか……」



「わー、やっぱりサトルくん、『破滅エクシティウムトニーテュラ』のこと知らなかったんだー。

 なのに『銀河救済機関』を作りたいとか、こんな凄い装置を開発しちゃうとか、キミってほんとに凄い神だね♪」


「は、はあ……」


「それじゃあ神界科学部が調査した、最新の『破滅エクシティウムトニーテュラ』の調査結果をアダムくんに渡しておくからさ。

 後でアダムくんに教えて貰ってよ」


「は、はい……」


「そうそう、それよりもさ。

 この装置って、こことガイアの神域を繋いでるものもあるの?」


「は、はい。

 今回はその装置を持参してここ神界に参りましたので……」


「ねえねえ、だったら今からガイアにお邪魔させて貰えないかな。

 キミの子供たちに会ってみたいんだよー」


 俺は慌ててゼウサーナさまの顔を見た。

 ゼウサーナさまは諦めきった顔で頷いている。

 あー、シュリフィスラーナ議長さんたちは嬉しそうな顔になってるわー。




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