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【爆撒英雄サトルのガイア建国記】  作者: 池上雅
第2章 銀河宇宙篇
303/325

*** 303 管区統括中級神会議 ***

 



 神界では『管区統括中級神会議』が始まったようだ。

 まあ俺の出番は最終日だからな。


 そして俺は、また出番の前日にゼウサーナさまの執務室に呼び出されたんだ。

 お、この椅子、なんか豪華な椅子だな……

 別に金銀宝石を使ってるわけじゃないけど、なんかデカい上にすっげぇ風格のある椅子だわ。

 そうか、中級神に昇格したんで俺の扱いも変わったんかな……




「それでサトルよ。

 880の管区担当中級神たちの詳細情報は頭に入れて来たか」


「はい、すべて覚えました。

 ですがあれは……」


「はは、アダムの報告書に基づいて神界調査部が調査補足したものだ。

 なかなか良く出来ておるだろう」


「はい……」


「明日、そなたが『銀河救済機関』の活動報告をした際や『神界運輸・通信部門』の業務計画を説明する際には、相当な反応があることだろうな」


「はい。

 ですがすみません、あのレポートを読ませて頂いた後では、大人しく質問に答えていられる自信がありません」


「まったく構わぬ。

 それどころかそなたの論陣に大いに期待しておるのだ。

 後始末はわたしと最高神さまに任せて、大いに反論してやるがよい。

 その結果、なにが起ころうともわたしと最高神さまが守ってやる。

 ついでに最高顧問の方々もついておるぞ。

 そなたの後ろに控えているのは、これ以上は有り得ない最強の布陣だ」


「はい、ありがとうございます……」





 翌日の神界最高神政務庁内大会議室。


 ほほー、ここが大会議室か。

 なんか大学の階段講義室みたいだな。

 後列に行くほど高い場所の席になってるのか。


 おお、いるいる。

 管区担当の中級神たちがガンクビ並べて座ってるわ。

 はは、管区ナンバー順、つまりは中級神の在位期間順に座ってるせいか、前列の奴ほどジジイやババアが多いんだな。



 それ以外には……

 お、片側には各種族の代表も座ってるじゃないか。

 まあ、オブザーバー席ってぇやつだな。


 壇上にはひとり若い上級神さまが座ってるよ。

 どうやら新しい議長が正式に決まるまでの間、臨時議長代行を務めている新任の上級神さまらしい。

 ずいぶんと若くて真面目そうな奴だな……




 俺は用意された演説台に登壇した。


「それではこれより『銀河救済機関』責任者であるサトル中級神より、まずはこの1年間の救済機関の活動内容について報告をしてもらいます」


 あー、なんか最前列のジジババが俺を睨みつけてるよ。

 よっぽど俺が気に喰わないんだろうな。

 でもそんな真っ赤な顔して歯ぁ喰いしばってると、脳溢血でポックリ逝っちまうぞ。



「ただいまご紹介に与りましたサトルでございます。

 わたくしは、ほぼ1年前に新たな機関を発足させるよう神界より命を受けました。

 活動を開始した機関は、当時『銀河使徒育成・派遣機関』と申しました。


 その活動は、当時試練中の世界の内、試練合格に困難さを覚えている初級天使達からの要請により、育成した使徒を派遣してその試練合格を助けるというものでございます。


 この活動は順調に推移し、活動開始から3カ月ほどで試練合格困難世界世界500にて顕著な改善が見られ、現在ではその全てで罪業カルマポイントの伸びがゼロに近づいて参りました。

 また、120ほどの世界では既に試練合格判定が下され、その他の世界でもすべて合格確実予想が出されております」



 はは、なんかジジババどもがますます機嫌悪くなってるわ……

 あ、でも後ろの方の若い連中の中には嬉しげな顔をしている奴もいるじゃないか。



「その結果、神界最高神政務庁より『銀河使徒育成・派遣機関』の組織、業容を拡充し、新たに『銀河救済機関』として改組するよう指示を受けました。

 その救済活動対象を、試練中の世界だけでなく、神界認定世界のすべてに拡大するためであります。


『使徒育成・派遣機関』の人員と資材に余裕が有ったため、ただちにこれを投入し、以来全銀河系を対象に救済活動を続けて参りました。


 その救済依頼の受け付けは、当初皆さまの統括される管区からの依頼を神界最高神政務庁がランク付けしたものを対象としておりましたが、その後準備が整いましたので、各惑星政府からの直接依頼にも対応を拡大致しました。


 その結果、救済依頼が格段に増加し、現在では総計約50万8000世界に及んでおります。

 また、その任務達成率につきましては、当初危機度の高かったランクA以上の世界に於いては、進捗度100%となりましたのでご安心くださいませ。


 現在ではより緊急度の低いランクB以下の世界を中心に依頼に応じ、活動いたしておりますが、これも平均達成日数5日ほどで救済が進んでおります」


 あー、ジジババ共の額に青筋が立ち始めたわー……



「我々の『銀河救済機関』の詳細な活動報告につきましては、お手元のコンソールにお送りしておきましたので、後ほどご確認くださいませ。


 さらにこの後、『銀河救済機関』より分離独立する『神界運輸・通信部門』についてご説明させて頂きたいと思いますが、その前に『銀河救済機関』の活動につきまして、なにかご質問はございますでしょうか?」




「おい若造…… キサマなにか勘違いしてはおらんか……」



 おおー、いきなりケンカ腰!

 話が早くっていいねえ!



「多少出世が早かったからといって、少々頭に乗り過ぎておるようだの……」


「勲章ごときで調子に乗りおって……」



 ああそうか、こいつら俺の出世が早過ぎて、もう自分と同格の中級神になったのが気に喰わないのか……

 しかもヒト族出身だし。



「だいたいだな、なぜ個別の惑星を救済する前に我ら管区統括神に挨拶が無かったのじゃ!」


「それもわれら統括神に断りも無く、直接個別の惑星に乗り込んで行くとは!」


「礼儀を知らないにもほどがあります!」



 はは、やっぱ最前列のジジババほどヒートアップしてるか……



「お聞かせ頂きたいのですが、『挨拶』というのはどういうことを意味しているのでしょうか?

 直接ご訪問させて頂いて、頭を下げてお頼みするべきだったということでしょうか?」



「当たり前だ!」


「神界は、なんでこんな礼儀も知らない下等種族を神になぞしたのだ!」



 おいおい、それって種族差別発言で大問題だろうに……



「第8管区統括中級神、ゴルファスザーナ殿。

 今のご発言は種族差別発言に当たります。

 直ちにサトル中級神殿に謝罪して発言を撤回して下さい」


 お…… 議長代行が物言いをつけたか……



「わ、わしは事実を述べただけだっ!」


「直ちに謝罪が行われない場合には、議会侮辱罪に問われて拘束の上、階級降格の可能性がありますが?」


「ぐ、ぐぅぅぅっ! し、謝罪する……

 こっ、これでよかろうっ!」



「議長閣下。

 わたくしは何分にも新米なものでして、神界の流儀を知らないものですのでお尋ねさせてください。

 野蛮人であるヒト族の世界では、今のゴルファスザーナ殿のご発言は、謝罪の予告をしただけで謝罪したとは看做されません。

 神界ではあれが謝罪と認識されるのでしょうか?」


 議長が微笑んだ。


「あれは神界の流儀でも謝罪ではありません。

 単なる謝罪の予告でして、謝罪そのものはまだ行われておりません」


 俺と議長閣下がゴルファスザーナを見つめた。

 あはは、コイツの額に浮き出た血管、今にもブチ切れそうだわ!


「ぐうううううっ!

 さ、先ほどの発言は、も、申しわけ無かった……

 謝罪の上取り消させて欲しい……」


「はい、その謝罪受け入れます。

 以後は気をつけるようにね」



 わはははは、最前列の50人の血管も今にも切れそうだわー。





「それでは先ほどのご質問にお答えしましょう。

 880の管区を全て回って挨拶するにはどんなに急いでも半年はかかったでしょう。

 その間、救済が遅れて飢餓死する民が出てもよかったのですか?」



「詭弁を弄すな!」


「そんなもの挨拶が終わった順に救済でもなんでも始めればよかったでしょうに!」



「それは管区ナンバーの順番に挨拶に回り、その挨拶が終わった世界から順次救済を始めるべきだったということですか?」


「当たり前だ!」


「キサマは神界の序列をなんと心得るっ!」



「ふう、それが同じことだとはお気づきにならないんでしょうか……

 あなた方100番以下のナンバーの管区に挨拶に回っている間にも、もっと大きなナンバーの世界では民が飢えていることになるのですよ。

 それともあなた方は、民の命よりも自分のプライドの方が大事だとでもいうのですか?」



「なっ、ななな、なんだとぉっ!」



「そうした事態を避けるためにも、敢えて救済の通達は神界最高神政務庁から出して頂き、すぐに救済活動を始めたのですが……

 やはり御理解頂いてはいなかったようですね……」



「な、なんという傲慢な若造だっ!」


「だいたいだな、お前ごときが莫大な予算を賜ってそのような活動をすること自体が間違っているのだ!」


「いったいこの1年でいくらの予算を費やしたというのだ!」


「約2500兆クレジットほどですけどなにか?」


「「「「「「「「 !!!!!!!!!! 」」」」」」」」



「な、ななな、なんという大金を……」


「それほどまでに莫大な予算があれば、任務が順調に進むのは当たり前ですっ!」


「何故そのカネを我ら管区管理神に配り、救済活動を管区に任せなかったのだ!」


「監査を! 会計監査を要求しますっ!」



「監査の必要はありませんよ?」



「な、なぜですかっ!

 そ、それだけの莫大な予算であれば、必ずどこかに使途不明金がっ!」



「はは、莫大な予算を賜れば必ず使途不明金が発生するですか……

 あまり御自分の常識を他人に当てはめない方がいいですよ♪」


「な、ななな、なんということをっ!」


「何故会計監査の必要が無いか。

 それは、その予算はすべてわたしの個人財産から出したものだからです」


「「「「「「「「 !!!!!!!!!! 」」」」」」」」



「はは、元がわたしのカネですからね。

 いくらわたしが使い込んでも問題無いんじゃないですか?」



「そ、そんな…… いくらなんでも……」

「あ、有り得ん……」

「あ、あの噂は本当じゃったのか……」



「この『銀河救済機関』の任務を任されるに当たっては、『その全ての予算は自費で負担すること』という条件があったんですよ。

 ですから仕方ありませんよね♪」


「「「「「「「 ………………………… 」」」」」」」



「それから先ほど第3管区のザイサスフォーナ中級神殿が『何故その予算を管区に配って救済を任せなかった』と仰っておられましたが、わたくしの下には、資金に加えて食料の現物とさらには500万人を超える人員がおりました。

 その私がなぜ救済任務を他人に任せなければならないのですか?」



「お、思い上がるな若造っ!

 我らにも忠実で優秀な配下はいくらでおるっ!」


「はて、閣下の配下は各惑星担当の初級天使を除けば、管区本部の28人の初級神しかいらっしゃいませんよね。

 あなたの管理する10万の世界のうち、救済要請が来たのは当初589の惑星からでした。

 それら世界の1兆2000億人の1年分の食料を用意するのにどれぐらいの時間がかかりますか?」


「うっ……」




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