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【爆撒英雄サトルのガイア建国記】  作者: 池上雅
第2章 銀河宇宙篇
285/325

*** 285 神界の武闘派上位神さまたち…… ***

 



(サトル神さまのこれまでの御業績は詳しく研究させて頂きました。

 サトル神さまはガイアに転生された当時、罪業カルマポイントを発生させることなくガイアを試練に合格させる、という課題を自らに課されています。


 仮にその時点で我々がシミュレートしたとして、その条件下ではガイアが試練に合格する確率は0%と推定されていたはずでございます。

 例え試練に合格出来たとしても、数十万から数百万の命の犠牲が必要になるだろうと。


 あなたさまは、我々の頭脳を持ってしても予測不能のご存在であらせられるのです。

 そうしてその行動は『善』の極致でございました。

 食物としての動物性タンパクを得る以外には、『悪』を一切為されずに、巨大なる『善』を為されておられましたので。


 まさに地球の一部地域で言われるところの、『而從心所欲、不踰矩(心の欲するところに従いて(のり)()えず)』の境地におられるかと存じ上げます)


「な、なあ、それゼウサーナさまにも言われたんだけどさ。

 俺、そういった境地とやらに届こうとして努力した覚えが無いんだよ。

 なんでそんなふうになっちゃったんだろうな?」


(不躾なもの言いをお許し頂けますでしょうか)


「あ、ああ、もちろん。なんでも言ってくれ」


(サトルさまが究極の『善』を為すご存在になられた理由、それは一度地球でお亡くなりになられたからだとご推察申し上げます)


「俺が死んだことがあるから……」


(はい。

 サトル神さまが、地球で長きに渡る闘病生活の末にお亡くなりになられたとき、サトル神さまは『命を繋げられなかったこと』に慙愧の念を抱いていらっしゃったことでございましょう。

 加えて愛するご両親に『命を繋げさせてあげられなかった』ことにも)


「そ、そうか……

 あれは『もう父さんと母さんに会えない』っていう悲しみだけじゃなかったんだ……

 自分が命を繋げられなくって、父さんと母さんの命も次代に繋げてやれなかったことが申し訳なくて悲しかったのか……」


(その後のガイアでのサトル神さまは、我々の考える『善』、すなわち命を繋いでいく行為に強烈に惹きつけられました。

 加えて『悪』、すなわち他人が命を繋いでいく努力を妨げる行為に対して、さらに強い忌避感を覚えられたとご推察申し上げます)


「なるほど……」


(そうしたサトル神さまは、空前にして絶後のご努力の末に、『努力の怪物』に至られました。

 そこに元々お持ちであらせられた『智慧の怪物』としての能力が加わった結果、あの大威業が為されたのあります。


 更に最近では神界によって『信用力の怪物』となり、それらを全て駆使されて、『資源力の怪物』にも至られました。


 そうして、それら全ては『善』を為すために得たお力なのでありましょう。


 そのサトル神さまが心のままに『善』を為そうとすることに、なんの問題がございましょうか。


 それゆえわたくしどもは、それを当然のことと考えておるのです)



「なるほど…… よくわかった…… ありがとう。

 それじゃあ早速動き始めるとしようか。

 アダム!」


(はいっ!)


「まずは珪素生命体諮問機関の方々とオンライン情報網を構築してくれ」


(はっ!)


「それから今、神界未関与世界60万に送り出せる観察員AIは何人いる?」


(すぐに出せるのは30万人ほどですが、1週間ほどの訓練で250万人を追加出来ます!)


「随分増えたなおい!」


(銀河宇宙から一般AIが続々と移住して来ておりますので)


「やっぱり移住させてよかったな。

 それじゃあ準備が出来次第、そいつらを60万世界に調査に派遣してくれ。

 同時に、珪素生命体の方々と相談しながら救済の優先順位を決める『神界未認定世界、知的生命脅威度ランキング表』を作ってくれ」


(畏まりました!)


「それじゃあ俺はまたゼウサーナさまのところに行って、救済の許可を頂けないか頼んでみることにするわ」


(はい!)






 翌日の神界最高神政務庁、ゼウサーナ上級神の執務室。


(おお、なにやらサトルが真剣な顔をしておるか……

 ふふ、今日はいったい何を言いに来たのであろうかの……)



「ゼウサーナさま、突然の来訪をお許し頂いて誠にありがとうございます」


「構わん。そなたはいつでも来訪自由と言ったのはわたしだ。

 それで今日は何を言いに来たのだ?」


「はい! 

 わたくしどもの『銀河救済機関』の活動対象を、神界未認定の自然発生知的生命居住惑星にも広げさせて頂きたいと思い、御許可を賜りに参りました!」


「そうか……

 そなたも、未だに神界には『過剰関与』をすべきではないと考える神々が多くいることは知っていよう」


「はい、存じ上げております」


「それからの、自然発生知的生命たちを神界が管理下に置いていないのは、けっして彼らを蔑にしているからではない。

 むしろ逆なのだ。

 彼らはこの銀河系の宝だ。

 なにしろ神界の助けを一切借りること無く、知性を獲得するに至ったのだからな。

 よって、今後も彼らに自由な進化の道を与えよという声も多いのだ。

 未だ彼ら自身も彼らの文明も脆弱であるのだが……」


「ですが…… ですが絶滅してしまっては何の意味もありません!

 また、気候変動や自然災害の度に大量死しているのは、あまりにも気の毒です。

 どうか救済の御許可を賜れませんでしょうか!

 もしよろしければ、反対される神々のもとにわたくしが直接出向いて、ご説明させて頂きたいとも思っております!」



 あ、なんかゼウサーナさまが微笑んだぞ……

 口元が緩んでるわ……



「ふむ、やはりそなたは今の自分の影響力を過小評価しておったか……」


「は?」


「まあそなたのことだ、この話を聞いて増長することもあるまい。

 そなたはガイアに移住した神界最高顧問の神々が、以前に加護を与えた若い天使や神が何人いるか知っておるか?」


「い、いえ……」


「現在の神界の上級神の80%、中級神の50%は、天使時代にあの方々から加護を賜わり、その薫陶を受けておるのだ」


「げげっ!」


(し、神界ってけっこう体育会系?)



「かくいうわたしもその一人だがの。

 それから、そなたはあのシュリフィスラーナ議長閣下の『神名』を知っておるか?」


「い、いえ……」


「『雷神』シュリフィスラーナといえば、若い神々はその御名を聞くだけで震え上がるのだぞ。

 しかもあのお方様の雷は、比喩ではなく物理的なものなのだ。

 あのお方様のお怒りに触れたせいで、黒コゲになった初級神や天使が何人いたことか……」


「げげっ!」


「それからあの中に、御年配の女性神さまがいらっしゃったであろう」


「は、はい……」


「あのお方様の『神名』は『魔神』だ」


「げげげげ……」


「それ以外にも、『闘神』、『拳神』、『武神』、『爆神』、『首狩り神』などもおられる」


「うげげげげげげげげ…… く、首狩り神っ!」


「初級天使時代に自分の管理下世界に於いて、神託を一切聞かずに戦争ばかりしている3カ国があったそうでの。

 とうとうブチ切れて地上界に降り、その3カ国の王の首を狩って王城前広場に晒したそうだ。

 まあそのせいで1000年ほど謹慎させられたそうだがの」


「どげげげげげげげげげげげ……」


(し、神界の上位神って、そ、そんなに武闘派だったのか……

 い、今ではもふもふ幼児に囲まれてにこにこしてるのに……)



「そうした方々に、そなたが涙のひとつも見せながら頭を下げてお頼みしてみろ。

 救済反対派の神たちがどのようなメに遭うか、考えただけで寒気がするわ。

 この神界が半分ほど灰燼に帰すかもしらん」


「ずげげげげげげげげげげげげげげ……」


「それからの、そなたはあのシュリフィスラーナ閣下から、神域と神殿を賜ったであろう」


「は、はい……」


「あれはの、そなたが閣下の全面的な庇護下にあることを、公式に神界に宣言したに等しいのだ。

 黒コゲになってまで、そのそなたの行動を妨げようとする神はおるまいな。

『魔神』に氷漬けにされた上に『首狩り神』に晒し首にされたいと思う神も……」


「うんげえええええええええーーーーっ!」



「ということでだ。

 そなたの思う通りに行動して構わん。

 わたしもこの歳になってまで黒コゲにはなりたくないのでな……」






(なあアダム……)


(はい……)


(やっぱり神界の神々を怒らせちゃいけないな……)


(はい……)






 数日後。


(サトルさま)


「おお、アダム。どうした」


(ご用命の『神界未認定世界、知的生命脅威度ランキング表』が完成いたしました)


「さすがに仕事が早いな」


(書斎でご覧になられますか?)



「いや、このリビングで構わん。

 プリントアウトを出してくれ。

 どれどれ……」

 


『銀河惑星別知的生命脅威度ランキング表』


 SSSクラス:1年以内に人口90%以上減の可能性。 

 適用惑星数:23 (内、要惑星改造星数3)

 惑星人口合計:約30億人。

 適用惑星文明度レベル分布:0.1~5.1 (平均3.2)

 予想救済コスト:合計800億クレジット。



 SSクラス:1年以内に人口60%以上減の可能性。 

 適用惑星数:2500

 惑星人口合計:約2兆1200億人。

 適用惑星文明度レベル分布:0.1~12.3 (平均8.3)

 予想救済コスト:合計3800億クレジット。



 Sクラス:1年以内に人口30%以上減の可能性。 

 適用惑星数:1万1120

 惑星人口合計:約13兆2000億人。

 適用惑星文明度レベル分布:0.1~32.4 (平均18.2)

 救済コスト:合計2兆クレジット。



 AAAクラス……




「そうか…… 

 やっぱり文明度の低い星では飢餓が悲惨になっているのか……」



 そしたらさ、俺の後ろから泣き声が聞こえて来たんだよ。

 奥さんたちがみんな脅威度ランキング表を覗き込んで泣いてるんだ。



 エルダさまが俺の前に来て、正座して三つ指ついて頭を下げた。


「あなたさま。

 どうかこれら気の毒な星の皆を救うてやって頂けませんでしょうか。

 これらの星には、我らのように愛する男子おのこの子を腹に宿した女子おなごもおるでしょう。

 そうして生んだ赤子を懸命に育てながら、食べ物が得られないことに涙を流しておる者もおるでしょう。


 どうか、どうかその者たちを御救いくださいませ……

 心よりお願い申し上げまする……」


 あー涙がぽとぽとカーペットに落ちてるよ……



 そしたらさ、他の3人もエルダさまの真似して座ったんだ。


「う、うぇぇぇぇぇ~ん……

 さ、サトルん、お願い…… た、助けてあげてくださぁい……」


「ご主人さま、どうか、どうか助けてあげて……

 ああ~~~~~~んあんあん」


「きゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ~ん」



「わかった。

 みんな安心してくれ。俺たちは全力を尽くして彼らを救おう。

 アダム!」


(イエッサー!)


「『銀河救済機関』9000個師団全軍出撃準備に入れっ!

 準備終了師団から随時出撃し、まずは対象惑星に救済のための物資補給網を構築! 

 その後ただちに食糧援助を開始せよっ!)


(サー・イエッサーっ!)


「カネも人員も備蓄食料も、今あるものは全てつぎ込め!

 そうしてこれら全ての惑星の危機に陥っている住民を全て救え!

 そのために必要な資材の調達、差配などを、すべてお前とお前たちAI族に委ねる!

 見事全員救ってみせよう!」


(イエス・イエス・イエッサーっ!!!)





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