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【爆撒英雄サトルのガイア建国記】  作者: 池上雅
第2章 銀河宇宙篇
282/325

*** 282 VRゲーム機、銀河全種族に販売開始 *** 

 


 家族・親戚一同のガイア訪問は無事終わった。

 まあみんな感慨深げだったよ。


 それで俺は気持ちを切り替えて、またアダムに聞いてみたんだ。


「なあ、今俺たちの『銀河救済機関』の稼働率ってどれぐらいなんだ?」


(およそ8%でございます)


「たったそれだけか……

 神界への救済要請ってそんなに少ないんか?」


(いえ、既に機関発足から1万2143の世界が救済されました)


「けっこうな数字だな。

 でもそれだったらなんでそんなに稼働率が低いんだ?」


(まずは手前味噌で恐縮ですが、AI部隊が優秀であるからでございましょう。

 今まで最悪の要救済世界でも3週間で全て解決致しておりますので。

 通常は3日から1週間以内に救済活動は終了致しております)


「それにしても稼働率低くないか?」


(それは『銀河救済機関』の規模が大きくなったせいでございましょうね)


「そ、そういえばすべてお前たちに任せてたけどさ。

 今『救済機関』の規模ってどれぐらいになったんだ?」


(先日ちょうど3000個軍団を越えたところでございます)


「そ、それって……」


(はい、師団数にして9000個師団、構成員は総計で指揮官のAI27万人と高性能ドローン1億5000万体になります)


「ち、ちょっと遣り過ぎじゃないか?」


(あっはっはっは、あの『遣り過ぎサトル神さま』に遣り過ぎを心配されるとは!

 こうした機関は、準備し過ぎるぐらいが丁度いいと仰られたのはサトルさまでございますよ。

 それに、我々のような『救済機関』はヒマであるぐらいが望ましい姿と思われます。

 訓練する時間も充分に取れますし)


「そ、そそそ、そういうもんか……

 あ、ところでさ、前から聞こうと思ってたんだけど、この銀河には神界の関与を受けずに独自に発生した知的生命体っていないのか?

 つまり、天使や神のいない世界っていうことだけど」


(数は少ないですがもちろんございます。

 現在、おおよそ60万の世界で自然発生した知的生命体が暮らしておりますね)


「そうか、やっぱりあったのか……

 それでその世界って発展してるのか?」


(実際のところあまり発展しておりません。

 そうですね、最高でも技術レベルは10.0、文化レベルは12.5です。

 平均では地球の中世から近世レベルでございましょうか。

 また、過去1億年の間に800万の知的生命体種族が自然発生致しましたが、現在では60万しか残っておりません。

 やはり発生時に神界による方向付けが無いと、進化上の困難が多いように見受けられます)


「それさ、そいつらもなんとか助けてやれないものかな……」


(神界にお伺いを立ててみますか?)


「その前にそういう世界のことをもう少し調べておいてくれるか?」


(畏まりました)




 そうこうしているうちに、俺はまたゼウサーナさまに呼び出されたんだ。


 あー、また大会議室か。

 もう最高顧問さんたちはみんなガイアにいるはずなのに、今度は誰がいるんだ?


 そう思いながら会議室に入室した俺は、けっこう驚いたんだよ。

 おいおい、なんかすっげぇたくさんの種族がいるじゃないか。

 あー、いないのはヒト族ぐらいなもんか。


 あ、あれ昆虫型ヒューマノイドだ。

 あ、あれは草食獣型であれは肉食獣型だな。

 ん? あの隅に居る岩みたいなのはなんだ?


(なあアダム、あの岩みたいなやつって何だ?

 なんかフロートパレットに乗ってるようだけど)


(あれは珪素生命体ですね。

 体のほとんどが珪素で出来ておりまして、あまり動けない代わりに思考能力が非常に優れた種族です。

 いわば生きているコンピューターですね)


(はー、いろんな種族がいるもんだなぁ……)




「サトルよ。よく来てくれた。

 今日そなたに来て貰ったのは、そなたが自分で『道楽』と言っていたあの『げーむ』とやらに関してのことだ」


「は、はい……」


(や、ヤベぇ、なんか問題でもあったのかな……)


「そなたはまずあの『げーむ』を地球で開発し、それを銀河第830中級神管区の一部に持ち込んだそうだの」


「はい……」


「そしてその地域の反応を観察した後は管区全域にも持ち込み、とうとう銀河全域で販売し始めたのだな」


「は、はい。といってもヒト族専用のゲームなのですが」


「そなたはその『げーむ』が銀河のヒト族にどのような影響を与えたのか理解しておるのか?

 いや、そなたのことだから理解しているどころか狙っていたのだろうの……」


「ま、マズかったですか?」


「現在の第830管区第28象限及び第35象限でのあの『げーむ』のヒト族普及率は20%もあるとのことだ。

 そして銀河全域でも3%を超えて4%に迫っているという。


 その結果、2つの象限でのヒト族の平均E階梯が0.3ポイントも上昇した。

 また、罪業カルマポイントはあまり減らなかったものの、幸福ハピネスポイントは前年同期比で8%も上昇したそうだ。


 さらにあのゲームの普及率とE階梯や幸福ハピネスポイントの増加幅には明確な相関性が認められたそうだ。

 もはや単なる相関関係ではなく、因果関係と言っていいほどにな。


 そなたは最初からこれを狙ってあの『げーむ』とやらを開発したのか?」


「は、はい。正直狙っていました」


 会議室にどよめきが起きた。



「何を狙っていたのだ?」


「強過ぎる性欲を発散させてやれば、少しはヒト族の暴虐性も治まるのではないかと考えたからです。

 ですが社会不適応者の社会復帰により婚姻率や出生率が上昇することまでは予想していませんでした。

 地球での実験でその両者の効果が得られたときには、わたしも驚いています」


「ふむ、それで全銀河販売にも踏み切ったのか。

 念のため神界調査部にあの『げーむ』を分析させたところ、あれはまさしく娯楽のための『げーむ』だそうだ。

 洗脳どころか思考誘導の機能すら皆無だったという」


(げげっ、そんなこと調べられてたのかよ!)


「いささか風変わりな『げーむ』であったということではあるがの。

 まあヒト族出身のそなただからこそ、ヒト族用にあのようなものが作れたのであろうの」


「は、はい」


「おかげで830管区第28象限と第35象限でのヒト族妊娠数は、前年同期比10%増を記録しおった。

 これは過去1000万年で最高の伸び率とのことだ」


 また会議室にどよめきが起きた。

 さっきよりも大分大きい。


「ということで、このまま行けばだ。

 全銀河系のヒト族に対し、5年以内にあの『げーむ』の普及率は30%に達し、その後はスタンピード現象によってさらに5年以内に普及率は70%に達する。

 そうしてその結果、6年後には銀河のヒト族の人口は3%は増加するだろうという見通しも出された。


 ということは、そなたは10年後には90兆の乳幼児の出生に責任があるということになる」


「げげっ!」


「ところで、そなたの『銀河救済機関』による救済用の食料備蓄はどれほどの量になったのか?」


「は、はい、10兆人の1年分ほどになっております」


 さらに大きなどよめきが起きる。


「ということは、これから『げーむ』が普及して新生児が大幅増加して、

 それで食糧危機が起きそうになっても救済は可能だということなのだな」


「はい、直接の食料備蓄も年率20%ほどで増加しておりますし、農業支援用ドローンも1億5000万体ほど用意いたしましたので、なんとか可能だと思います」


「ふはははは。

 そなたはまず個人の力でガイアという世界を1つ救った。

 加えて、惑星ウールの住民10億もだ。


 そして神になり『使徒育成・派遣機関』を任せたところ、あっという間に500の試練合格困難世界すべてを救い、合格確実状態に導いた。


 さらには『使徒育成・派遣機関』を拡大させて『銀河救済機関』を作らせれば、発足より僅か2カ月で1万2000を超える神界認定世界を救済しおった。


 その上『道楽』で銀河のヒト族の幸福ハピネスポイントと新生児出生数を大幅に増やしつつあるというのか。


 そなたはいったいどこに行こうとしているのだ?」


「は、はぁ。も、申しわけございません。

 なんか自分が出来そうなことをしているうちに、こうなってしまいました……」


「わははは、なにも謝る必要は無い。

 そなたの功績には、多少呆れることはあっても、誰も文句のつけようが無いのだ。


 ということでだな。

 今日は銀河宇宙50の種族を代表する神々が、そなたに頼みがあるそうだ。

 是非聞いてやってくれ」


「は、はい。畏まりました……」




 50の種族の真ん中に座っていた狼人族ワーウルフが口を開いた。


「サトル神殿、初めまして。

 わたくしは、神界種族会議長を務めさせて頂いている狼人族出身の中級神ウルフォンと申します。

 今後ともよろしくお願い致します」


「こちらこそよろしくお願い致します、議長閣下」


(うーん、さすがは中級神さまだわ。

 フェンリーやフェミーナみたいな脳筋っぽいところが全く無いわぁ)



「まずはここにおります種族会を代表致しまして、サトル神殿に深甚なる感謝の意をお伝えさせて頂きたいと思います。

 本当にありがとうございました」


 その場の全員がなにやら口にしながら一斉にポーズを取った。

 頭を深く下げる者もいれば、胸に手を当てて俺を見つめている者もいる。

 そうか、これが彼らの感謝の表現なんだな……


「み、みなさまどうか頭をお上げください。

 それにしても、なにかわたくしがみなさまにご感謝頂くようなことを致しておりましたのでしょうか?」



 ウルフォン議長が微笑んだ。

 まあフェンリーとかフェミーナで慣れてるけど、狼人族が微笑むと牙が見えてちょっとコワイんだけど……


「サトル神殿が『救済』をしてくださった1万2000の世界の内、我々種族が暮らす世界は1万を超えております。

 それだけでも十分に深甚なる感謝の対象となりますが、それだけではなかったのです」


「?」


「サトル神殿は、救済に必要な物資のうち、特に食料につきましては、『農産物の生産余剰に困っていて、かつあまり裕福ではない世界から購入せよ』との御指示を出されたとか。

 その『生産余剰に困っていて、かつあまり裕福ではない世界』の80%、30万もの星々が我々種族の世界だったのでございます。


 しかも、聞くところによれば、今後とも大量備蓄のために継続的に余剰食糧をお買い上げ頂けるとのこと。

 さらにそのために必要な農業支援ドローンまでご貸与下さるとのことなのですから。


 おかげさまで私ども種族の星々にも久々に活気が戻って来ております。

 僅かながら人口増加の兆候が見られるほどなのでございますぞ」


「そうでしたか……

 でもまあわたくしの任務に必要なことでございましたので、却ってご協力頂いて感謝しております。

 お礼を申し上げるのはわたくしの方でございますよ。

 こちらこそありがとうございました」



 それで俺も深く頭を下げたんだけどさ。


 なんか、「おお!」とか「ほう!」とか「うーむ」とかの感嘆詞が飛び交ってたぞ。




 ウルフォン議長が盛大に微笑んだ。

 だからその顔コワイってば!

 3匹の子豚を追い詰めたオオカミさんの微笑みみたいだってば!



「こちらこそ今後ともよろしく御願い申し上げます。

 また、本日は種族会を代表してサトル神殿にさらにお願いがございます。

 単刀直入に申し上げて、あの『げーむ』を我々の種族にも売って頂きたいのでございます」


「えっ……

 で、ですがあのゲームはヒト族用に作ったものでございまして、他種族の方々の脳の構造やご趣味は一切考えておりませんでしたし……」


「そこなのですが、どうか我々種族の科学者にゲームを改変することをお許し願えませんでしょうか。

 VR機器というハードウエアに関しましては、我々もそれなりのものを持っております。

 ですからそれに合わせてゲームの中身の多少の改造を許可して頂きたいのです。

 もちろん責任はすべて我々種族が負いますので」


「あ、はい。

 それでしたらいくらでも改造して下さい」


「それでゲームの知的財産権の対価につきましては、ゲームソフトの代金500クレジットに加えて如何ほどにさせて頂ければよろしいでしょうか?」


「その対価はゲームソフトの対価に全て含めさせて頂くことに致しましょう。

 それで、ゲームソフトの代金なのですが、1ユニット300クレジットにさせて頂きたいと思います」


「よ、よろしいのですか?」


「ええ、ヒト族からみなさまへの友好のためのほんのご挨拶でございます。

 ですが、その代わりと申してはなんなのですが、みなさまの改造の内容やユーザーのフィードバック情報に関しましては、わたくし共にも教えて頂けませんでしょうか。

 今後のバージョンアップの参考にさせて頂きたいと思いまして」


「も、もちろんでございます。

 それにしても300クレジットとは……

 本当にありがとうございます……

 我々の種族の中には、機械文明をあまり持たずに裕福でない星も多いものですから」


「それでしたら『VRゲームルーム』というビジネスモデルは如何でしょうか。

 これは1時間1クレジットとかでゲームを利用出来る施設のことでございまして、ヒト族の一部の星では人気の施設でございます。

 このビジネスモデルの使用料も無料で結構でございますよ」


「そ、それはそれは……

 重ねてありがとうございます……」




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