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【爆撒英雄サトルのガイア建国記】  作者: 池上雅
第2章 銀河宇宙篇
281/325

*** 281 乙女の叫び ***

 


 スタンドから『街』を眺めた後、街の中に向かおうとしたんだけどさ。

 その場に俺の直衛部隊の300人のオーガ族と5人のワ―フェンリルの女の子たちが現れたんだよ。

 どうやら俺たち一行の護衛というか先導役らしい。


 そしたらさ、ワ―フェンリルの女の子たちが「失礼致します」って言ってフェンリルに変身したんだわ。


 あー、またみんな固まったか……

 まあ5メートル級の巨大狼見たら無理ないか……


 そしたらさ、オーガ達がその娘たちの背中に大きな鞍をつけたんだ。

 そうして台も持って来て「どうぞお乗りくださいませ」って言うんだぜ。



 そうそう、俺の子を妊娠して以来、フェミーナはフェンリル族の女神さま扱いになったそうで、階級的には族長やフェンリーなんかよりずっと上になったらしい。

 そうか、この娘たちはフェミーナの護衛というか世話役なんだな……



 俺が大丈夫だよって言うと、みんなは恐る恐るフェンリルに乗った。

 ああ、母さんと一緒にフェンリルに乗った美樹はもう大興奮よ。

 うっきゃーうっきゃー言いながらしっぽぶんぶんだったし。


 そうして正装軍服を身にまとったオーガ兵たちの先導で街の北門をくぐったんだけどさ。

 やっぱりいたよ大群衆。

 街の北側大通りの周囲には、他の街から来た連中も含めて、100万人近い観客が詰めかけてたんだわ。


 その間を俺たちが歩き始めると、ここでも大歓声に迎えられた。

 あー、観衆の最前列にはまたひれ伏してる一団がいるわ。

 中には俺に見せるように子供を掲げて、親たちがほとんど五体倒地してる連中もいるぞ。



 父さんがもの問いたげに俺を見た。


「あの子は俺が大怪我を治してやった子だよ。

 確か2歳の猫人族ワーキャットの女の子で、1歳の時の大怪我の後遺症でろくに歩けなかったんだ。

 まあ今では元気に駆け回ってるけどな。


 こうやって俺が街を歩いてると、怪我やら病気やらを治してやった連中がああして祈り始めるんだわ。

 そんなことしなくてもいいんだぞって、いくら言っても止めないし」


「そ、そうか……」



 俺が近寄ってその子の頭を撫でてやると、その子は喉をごろごろ鳴らしながら目を細めたんだ。

 それを見た観衆の興奮は最高潮に達してたよ。

 音の圧力って凄いのな。

 なんか体中の産毛がびりびりしてるよ。



 俺たち一行は周囲に手を振りながらゆっくりと歩いて中央棟に着いた。

 ここではレストランや店の見学をした後、展望台に昇って街を見下ろしたんだよ。

 あ、あの大観衆が街の屋台を取り囲んでるわ。

 屋台のおじさんたち、今日は空前の大繁盛だな……



 その後は全員で大型エアカ―に搭乗して、空からのガイア国見学だ。

 まああらゆるガードをかけたエアカ―だから、いくら高度を上げても高山病の危険は無いんだ。

 全員に加護もかけてあるし。


 そうして、現在20ある40万人都市と200ある2万人用農村、それから全長2万5000キロに及ぶ大城壁を見物したんだ。

 この大城壁がどこまでも連なる様子はいつ見ても壮観だよ。

 なにしろ総延長は地球半周以上の長さがあるんだから。



 日が傾きかける頃には高山リゾートに到着した。

 少し氷河見物をした後は、リゾートホテルのVIPルームで早めの夕食だ。

 アダム一家とベギラルム一家を含めて総勢17人のメンバーに対してウエイトレスが50人もいたんで、みんな少しびびってたかな……


 メインディッシュはもちろんドラゴンのしっぽステーキだ。

 やっぱり直径80センチのステーキにはみんな驚いてくれてたよ。


 ウエイトレスの中にはドラゴニュートの娘もいたんだけど、このステーキが自分たちの族長のしっぽだって聞いてたじろいでたわ。

 無意識に脚の間に自分のしっぽ挟んでたけど。

 キミのしっぽ輪切りにして食べたりしないから大丈夫だよ……

 はは。



 夕食後に風呂に入った後は、女性陣は洗熊人族ワーラクーンの特別エステコースだ。

 ここでも俺の奥さんたちと母さんと真希叔母さんと沙希の7人に対して30人ものエステティシャンが付いてくれるそうだわ。



 俺と父さんと勇悟叔父さんは、ブランデーグラス片手に応接室でまったりしていた。


 美樹はアワンちゃんとベルシュラちゃんと楽しそうに遊んでるよ。

 ベルシュラちゃんが小さな翼をぱたぱたさせて飛んでいるのを見て、美樹がまた真顔で頼みに来たんで翼も生やしてやったんだけどさ。

 もちろん『無重力の魔道具』もつけてやって。


 今はベルシュラちゃんに教わりながら、一生懸命飛ぶ練習してるわ。

 うん、実にシュールな光景だな……



 そんな光景を呆然と見ていた勇悟叔父さんが呟いたんだ。


「さ、悟くん。こ、このホテルも悟くんのものなのかい?」


「叔父上殿、このホテルだけではございませぬ。

 このホテルの前にあるダムもサトルさまがお造りになられました」


「や、やっぱりあのダムも自然のものじゃなかったんだ……」


「はい、周囲60キロ、深さ2キロに及ぶ水源ダムとしてサトルさまがお造りになられたものでございます。

 それだけではございません、あの大城壁も都市群も膨大な食料も生活資材もすべてサトルさまのものでございますよ」


「おいベギラルム。

 俺のものじゃあなくって国のもの、みんなのものだっていつも言ってるだろうが」


「それでもすべてはサトルさまがご用意為されたもの。

 それをこの国に賜わられたものでございます」



「それにしても……

 魔法の力というものは凄まじいものなのだな……」


「まあね。

 使い途によってはみんなを幸福にも出来るし破滅させることも出来る。

 だからこそ神と天使とその使徒にしか許されていない力なんだけどね」


「そうか……」





 その日の夜。

 沙希は俺の奥さんたちの女子会に参加させられたらしい。


「沙希殿や。

 聞くところによると、あなたも我らの旦那さまの妻になりたいと思われておられるとか」


「そのお気持、よくわかりますわ♪

 あれほどの英雄の子を孕みたいと思うのは、女として当然ですもの♪」


「それに沙希さんは、私たちよりも遥か以前からサトルんを知ってたんですものね♪」


「あのお方さまの御子ならば、わたしも何人でも生みたいです……」



「わたしたちとしてもだ。

 4人とも妊娠した今、これからのガイアでの旦那さまの夜伽は悪魔族の娘たちに任せようと思っておるのだが」


「あ、あの15歳位に見える子たちですか!」


「うむ、あの娘たちはもう全員が22歳になっているのだ。

 種族柄幼く見えるがの。

 今ガイアにいる悪魔族の娘たちは、まだ妊娠を許される歳ではないのだが、それでも『子作りの練習』は可能だ。

 そうして150人全員が旦那さまとの『子作りの練習』を希望しておる」


「ひっ、150人っ!!!」


「だがの、愛しい旦那さまは、近頃はわたしがヒト族を創造した地球でも仕事をしてくださっておられる」


「え、エルダリーナさんが地球のヒト族を創造されたんですかっ!」


「ん? そうだ。それがわたしの地球での仕事だったのでな」


「………………」


「ところが地球には、いまだ旦那さまの夜伽を任せられる女子おなごがおらぬのだ。

 だから沙希殿が旦那さまの5番目の妻となってくれるのは、我らにとってもたいへんにありがたいことでもある」


「大好きなサトルさまを夜独占出来るなんて、羨ましいです♪」


「………………………………」


「だがの、2つだけ懸念もあるのだ……」


「け、懸念ですか……」


「そうだ。

 1つ目は沙希殿の若さだ。

 確か日本では16歳と言えば法的に結婚が許される最低年齢であったな。

 しかもまだ十分に成長しきっていない体では、出産時に危険もあろう。

 まあわたしも旦那さまも『加護』をかけられるので心配は要らないが」


「か、加護ですか……」


「ん? 旦那さまから聞いてないのか?

 今沙希殿も含めてご家族やご親戚の皆さまは、ここガイアと地球では絶対に死なない体になっておるぞ。

 正確に言えば死んでもすぐに生き返るのだが」


「そ、そそそ、そうだったんですね……」


「それでの。

 もうひとつの懸念というのは、我らが愛しい旦那さまの性欲の強さなのだ」


「せ、せせせ、性欲ですかっ!

 つ、つつつ、強いんですかっ!」


「そうだ、性欲だ。そして非常に強いのだ。

 なにしろ旦那さまの神名は『性欲リビドー英雄神』であるからの。

 旦那さまが本気になった時は、たとえ我ら4人がかりでも全員が気を失のうてしまうからのう……」


「ひいっ!」


「それでの、今日はこれから沙希殿に、旦那さまとわれらのまぐあいの様子の録画を見て貰いたいのだ」


「ひいいっ!」


「そうすれば、あのご主人さまのエッチなペットになることの覚悟が出来るかと思いまして♡」


「ひいいいっ!」


「でもすぐ慣れるわ♪

 そのうち気絶しないと物足りなく思えてくるし♡」


「ひいいいいーーーっ!」


「簡単なことです。

 カラダも心も命も、すべてあのお方さまに捧げればいいだけのことですから♡」


「ひいいいいいいーーーーーーーっ!!!」




 その日、女子会の行われていたVIPルームからは、乙女の叫び声がずっと聞え続けていたという…………




 翌日、真っ赤な目をした沙希がぷるぷるしながら俺に言ったんだ。


「あ、あの…… お、お兄ちゃん……

 わ、わたしを押し倒すのは、も、もう少し待っててくれない?

 あ、あと少しだけして心の準備が出来てから……」


 俺がいつお前を押し倒そうとしたっていうんだよっ!!!!!




 翌日はついでに家族・親戚一同を神界の旧議長閣下の神殿に連れていってやったんだ。

 まあ美樹にウサギもどきを見せてやりたかったからな。


 そしたらまあ予想通りよ。

 ウサギもどきの子供たちと一緒に駈け回ってたわ。

 1個のパンを1人と3匹で囲んでもしゃもしゃ食べてたりもしたし。


 でも、そのうちまた俺のところに来て真顔で言うんだ。

「わたちもあんなお耳がほちい……」って……


 それでまあしかたないからウサ耳つけてやったんだけどさ。

 こいつ……

 狼のしっぽ生やして、背中には悪魔族の翼があって、頭にはウサ耳かよ……


 美樹よ。

 お前はどこに行こうとしているのだね?

 何になるつもりなのかね?


 もうミキメラって呼んじゃうぞ……




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