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【爆撒英雄サトルのガイア建国記】  作者: 池上雅
第2章 銀河宇宙篇
278/325

*** 278 『銀河救済機関』設立 *** 

 



 システィの妊娠が確定して安定期に入った頃、今度はローゼさまとエルダさまが排卵することにしたそうだ。


 もうみんな母性本能丸出しで、とんでもなく優しい顔になってたよ。

 システィのお腹はまだまだぺったんこだけど、日に1回は俺が手を当ててさすってやるんだ。

 そうすると涙を流さんばかりに喜ぶんだよ。



 俺の子を身籠ってくれた3人は、大事を取って寝室を別にすることになった。

 でもまあ、まだフェミーナがいるからな。

 夜に俺を独占出来るフェミーナはもうしっぽぶんぶんよ。

 なんでもしてくれるしさせてもくれるし。


 だけどさ、これでフェミーナも妊娠したら、俺どうなっちゃうんだろ?

 それこそ惑星スキモーノに行かなきゃなんなくなっちゃうのか?





 銀河宇宙での俺のゲーム販売は絶好調だった。

 エルダさまやシスティの統括する象限でのヒト族への普及率は10%に迫ってたし、新たに販売を始めた宙域でもあっという間に3%に達したそうだ。


 やっぱり文明が進んでも、ヒト族はみんなエッチだったんだなぁ……






 銀河世界からの最新鋭アバターの納入が始まった。

 アバターが1万人分揃うたびに、神界で休眠していたAIたちが1万人ずつ再起動されてガイアにやって来る。

 そこで簡単なオリエンテーションの後、アバターを与えられてしばらくガイアで暮らすことになるんだ。



 こうして、ガイア国の『街』で暮らすAIたちはどんどん増えて行ったんだわ。

 もちろんこのままAIたちをガイアで暮らさせてやってもいいけどさ。

 50万人が500万人になろうが5000万人になろうが、ガイア国は広大だからな。


 でもそれだとAIたちにとっての『故郷星』が無いじゃないか。

 だから俺は、神界から賜った惑星にもAIたちの入植を進めさせたんだ。


 最初はAI星の一角に拠点となる小さな村は作ってやったけど、後は発電ユニットと建設ドローンと各種資材を渡して、彼らに好きなように街を造らせたんだよ。

 もちろん、大きな転移ゲートでガイアと繋がってるから物資の搬入も簡単だし。

 新人AIにも古参AIにもガイアでの仕事はあるけど、住むところだけは自由に選ばせたんだ。



 古参AIたちはほとんどが中級以上のAIだったんだけど、中にはまだ初級AIだった奴もいた。

 俺はそいつらも全員中級AIに昇格させて、結婚して子孫を作る自由も与えたんだ。

 まあほとんど全員が、かつてのバックアップパートナーと一緒に暮らすようになってたけど。

 アダムとイブとおんなじパターンだな。


 そうそう、既に銀河宇宙で数十万年も任務についていたAIたちだけど、フルにオーバーホールもしたし、アバターも最新鋭だろ。

 だから見た目も中身も別に年寄りっていうわけじゃないんだ。

 だから子供AIを作るのも何の問題も無いんだよ。



 AIたちは、自分たちの惑星を『ニューガイア』と命名したそうだ。

 ひねりもなにも全く無いが、自分たちの今があるのはガイアあってこそという気持ちを込めてそう命名したらしい。

 嬉しいこと言ってくれるじゃないか……





 AIたちは自主的に「惑星開発委員会」を作ってニューガイアへの入植を始めたようだ。


 俺も一度視察に行ってみたんだけどさ。

 いやもうそれはそれは美しい世界だったわ。

 知的生命体のいない自然世界って、あんなに素晴らしいんだなぁ。

 海も山も森も草原も、なんと言うか、実に穏やかで優しい雰囲気に包まれてるんだ。

 動物もほとんどが小型草食獣で、わずかにいる肉食獣もイタチみたいな小柄な生き物だったし。


 もはや自然の楽園って言っていい世界だわ。

 きっとゼウサーナさまがとっておきの素晴らしい世界を下さったんだろう。





『使徒育成・派遣機関』で働いていた者達は、新たにやって来たAIたちに試練世界救済のノウハウを伝えている。


 まあまだ実際に500の試練世界を救済している最中だから、OJTの場には事欠かないんで研修も順調に進んでいるそうだ。



 そのうちに、アダムの進言を取り入れて、俺はAIたちの組織化も進めさせた。


 まずはミニAIを小隊長にした小隊を作る。

 ミニAIと言っても流石は銀河宇宙産だけあって相当に高性能だ。

 それに、充分な経験を積むと、あの惑星スキモーノのセクサロイドの娘たちみたいにハードウエアを換装して普通のAIにもなれるんだ。


 この小隊には500体ほどの各種農業・建設用のドローンが所属する。

 ドローンと言ってもそれぞれにプチAIが搭載されているために、相当に汎用性も高い。

 俺の趣味で多少の自我を持たせた最新型のプチAIにしてあるし。

 やっぱり自我の無い機械って言うのはどうもな。

 たとえドローンといえども働く喜びは感じさせてやりたいから。


 この小隊は全体で行動することもあれば、10個から100個ほどの分隊に分かれて行動することもある。

 そのために100体ほど指揮能力のあるドローンも配置した。


 こうした小隊3つを束ねるのが、見習いAIの中隊長だ。

 その中隊3つを束ねるのが、初級AIの大隊長。

 その大隊3つを束ねるのが、中級AIの師団長になる。


 つまり師団ひとつで参謀や補給係も含めてAIが30人、これに約1万5000体の各種ドローンが付随することになる。


 大規模な救済任務では複数の師団を投入することになるが、その場合には上級AIの軍団司令官も置くことにした。


 また、救済派遣軍については、その規模に応じてガイア本部に専門の補給部隊も設置する。

 その世界によって必要な物資は異なるだろうから。


 もちろんガイア本部のコントロールルームも増設した。

 一度に500の世界を救済管理出来る司令部を2000個ほど用意したんだ。

 まあどれぐらい救済要請が来るかはわからないからなあ。



 もちろん『銀河救済機関』はヒト族の為だけの機関じゃないんだよ。

 銀河にいる51の種族からの救援要請も来るかもしれないし、その世界の習俗やルールは俺にはまったくわからないだろう。


 だけど俺たちには、銀河全域で各種族のために働いていた古参AIが50万人もいるからなあ。

 奴らの数十万年に及ぶ経験と知識があれば、相手がどんな種族だろうが問題は無いだろう。

 やっぱりAI達を『使徒』にしたのは大正解だったよ。


 こうして新設の『銀河救済機関』は準備が整っていったんだ。




 また、俺は補給部隊のための備蓄も始めた。

 まずは食料備蓄で、アダムに言って『食料備蓄部』を作らせたんだ。


 銀河系全域の農業系惑星から余剰食糧を買い取って、工業系惑星に作らせた食料備蓄惑星に保管しておくものだ。

 宇宙空間だから空気もないし寒いしで、食料の保管には最適だからな。


 仮に宇宙空間でも長期保存に適さないような食料があれば、俺の神域の時間停止の倉庫に保存することにしている。

 生鮮食品や調理済み食品なんかだ。



 そのうちにけっこうな量の食料が備蓄されていったんだよ。

 もう人口10億程度の惑星だったら、1000年分ぐらいは養えるわ。

 大型の恒星間輸送船も10隻に増えたし。


 小規模な食料備蓄用人工衛星なんか、直径100キロ級のやつが500個もあるもんな。

 この程度の衛星だったら、神界転移部門の手を借りなくても、俺が神界から授かった『恒星間転移能力』で銀河中どこへでも転移させられるんだ。

 つまりもし大規模な飢饉に見舞われた世界があっても、直ちに大規模な食糧支援が出来るようになったんだよ。



 もちろんこの食糧備蓄人工衛星には、大気圏航行が可能な小型のゲート機が大量に搭載してある。

 要救済惑星の軌道上に転移させた備蓄衛星からこのゲート機を発進させて、惑星表面上の各地に転移ゲートを設置するためのものだ。

 そうして運搬用ドローンたちが衛星からゲートを通って各地に食料を届けられるわけだな。


 食料に比べて量は少ないけど、生活資材も準備しておいたよ。

 寝具だの衣類だの調理道具だのだ。

 ついでに簡易住居も、本格的な住居建設用の資材も。

 まあ、天災なんかで住民が住居を失うこともあるだろうから。



 人工惑星や人工衛星と言ってもそんなにはコストは高くなかったよ。

 恒星間航行するわけでもないし、推進機関も無くて移動はタグボート宇宙船だし、しかも食糧備蓄だけだから気密性も必要無いし。

 だからその分食料をたくさん買えたんだ。





 そのうちに神界の方の対応態勢も整ったそうだ。


 銀河全域約8800万の恒星系の知的生命体居住惑星に配置されている天使たちが、自分の管理世界が危機に陥りそうになると、まずは象限本部や管区本部に報告する。

 それを取り纏めて管区本部が神界に救済を申請するんだ。


 そこで神界がその危機惑星を優先度順に分類してくれるわけだ。

 まあトリアージみたいなもんかな。


 そうして優先度の高いものについては、俺たちの『銀河救済機関』に出動要請が来るんだよ。

 そうした体制が整うと、いよいよ俺たちに救済要請が出されるようになったんだ。



 そうした出動要請を受けていて少し驚いたんだけどさ。


 まだホットラインが全て繋がっていなかったんで、ほとんどが象限統括神から来た救済要請だったんだけどな。

 これが見事に管区ごとに数に違いがあったんだ。

 具体的に言うと、管区ナンバーが200以下の地域からの救済要請はほとんどゼロで、逆にナンバー500以上の世界からは大量の要請が来てたんだわ。

 なんでだ?



 そうして、ナンバーが小さい世界からの要請はぜんぜん大したことなかったんだ。

 せいぜい災害で避難生活をしている50万人分の食料が足りないとか、天候不順で農業生産が20%落ち込んでるとか……

 まあ神界の分類では全部ランクB以下の危機だったんだ。


 だけど、そのうちに救済ホットラインが整備され始めて、惑星政府や地域政府から直接来た要請は、それなりにヤバいのが多かったわ。

 難民800万人が飢餓の一歩手前だとか、小氷期の到来で農業生産が100年前の30%に落ち込んでいるとか……



 だからまあ、必然的にホットライン経由のランクA依頼を優先することになったんだけどな。


 だけどさあ……

 俺は『ここ数百万年で銀河最低最悪の暴虐世界ガイア』に慣れてるだろ。

 絶滅の危機に瀕していたウールの住民も助けたし。

 でもって、俺の配下のAIたちも『試練世界の中でも特に困難な世界500』に慣れてるだろ。


 だから、既に神界に認定されている世界の危機なんか、ぜんぜん大したもんじゃあなかったんだ。

 不謹慎な言い方をすれば『もの足りない』っていうことか……


 だって『天候不順で大飢饉の到来だあ!』って言われても、せいぜい50億人分×数年分の食料を緊急輸送してやるだけだもんな。

 先方の政体は安定してるし、人員も惑星内輸送手段もあるから、食料の配布までしてやる必要もあんまり無いし。


 そんなの『食料備蓄衛星』を1コ送ってやれば済む話だよ。

 食料配布用のAI部隊も1個師団も送れば充分だし。




 でもさ、実は本当にヤバい危機っていうのは、いつ起きるか確実な予想が難しいらしいんだ。


 まず最凶最悪の危機は銀河系内で起きる超新星爆発だろう。


 なんせ規模が大きいと、地球の太陽系の太陽が放出するエネルギーの100億年分を上回るエネルギーを数秒のうちに放出するそうだから。


 この超新星爆発には規模によっていくつかの種類に分かれている。

 まず最悪なのが極超新星爆発だ。

 これは太陽の200倍以上にもなる質量を持つ超巨星が、その生涯の終りに引き起こす爆発だ。

 それから巨星と中性子星や白色矮星なんかの衝突で引き起こされることもある。

 幸いにも銀河系で極超新星爆発が起きるのは数千万年に1度の確率だそうだが。



 太陽質量のチャンドラセカール限界(1.44倍)以上30倍程度までの恒星の場合は普通の超新星爆発になる。


 こうした超新星爆発の時に放出されるヤバいエネルギーは、主にガンマ線になるんだけどさ。

 そのガンマ線は、超新星から全天方向に放出されるんだけど、自転軸方向2°ほどの極めて狭い範囲に大量に放出される指向性も持っているんだ。

 それで、不幸にもこの2°の範囲に入ってしまった星にとっては、この超新星爆発はガンマ線バースト(GRB)と呼ばれることになるんだよ。


 例えば、太陽質量の100倍の星の終焉である超新星爆発の場合、周囲50光年にある生命はガンマ線によって遺伝子に致命的な損傷を受けてしまうんだ。

 そして、自転軸から2°の指向性範囲に入ってしまった星では、500光年以内の生命はほぼ絶滅してしまうとされているんだよ。

 すぐには死なないにせよ、DNAが大きく損傷することによって。



 こうした小規模な超新星爆発は、銀河宇宙では200年に1度ほどの割合で発生してるんだそうだ。

 まあ質量の大きな恒星ほどその生涯は短くなるからな。

 太陽系の太陽は既に100億年以上も燃え続けてるけど、その100倍の質量の星は、僅かに1千万年程度の生涯でしかないそうだから。


 まあこうした超新星爆発で飛び散った元素は、また重力で集められて新しい星の材料になって行くわけだ。

 鉄より原子量の多い元素は、この超新星爆発の超高圧・超高温の中でしか作られないから、銀河のヒューマノイドにとっては必要な天体現象でもあるんだが……




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