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【爆撒英雄サトルのガイア建国記】  作者: 池上雅
第2章 銀河宇宙篇
275/325

*** 275 シュリフィスラーナ議長閣下の神域 *** 

 


 ゼウサーナさまは俺の目をまじまじと見つめた。



「わかった。

 だがまずはそなたが独自の輸送部隊を持て。

 そうしてまずはそこで『救済』のために輸送部隊を運用し、双方の任務が軌道に乗ったところで『神界輸送部門』として分離独立させ、そなたが両部門の長に就け」


「ええっ!」


「そなたが構想を作り、そなたが創設する部門だ。

 当然のことであろう」


「は、はい……」


「それから、それら装備にかかる予算は残念ながら神界には無い。

 その代わりに生命体非居住の岩石惑星をそなたに授けることにする」


「ええええっ!」


「まあ資源抽出はそなたが行うことになろうが。

 そうだの、惑星20個もあれば足りるか?」


「ええええええ~~~っ!」


「ならば100個でどうだ。

 いずれもガイアから1光日以上離れた惑星軌道上に転移させておこう」


「げえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ~~~~っ!」


「そうそう、そなたはAIたちへの褒美として、人口惑星を建造する許可が欲しいと言っていたの」


「は、はい……」


「それではひとつ、試練世界用の生命体居住可能惑星もガイアの太陽系に贈ってやろう」


「げげげげげげげげげげげげげげ…………」


「美しい自然環境と穏健な草食動物のいる世界とするか。

 生態系のために肉食動物も多少は必要だが、小さい個体にしよう。

 その方が手間がかからんだろう」


「あ、あああ、ありがとうございますぅ……」


「はは、『世界創造』こそは神界の得意とするところだからの。

 それでは『銀河救済機関』設立の準備を頼むぞ」


「は、ははは、はいっ!」




 ふう、マイッタよな……

 話がどんどん大きくなって来てるよな……

 それにしても惑星100コかよ……


 まあ、『銀河救済機関』と『輸送部門』については、もう少しじっくりと考えてみるか……





 サトルがガイアに帰還した後。

 ゼウサーナ上級神の執務室には、シュリフィスラーナ神界最高顧問会議議長閣下の姿があった。



「のう、ゼウサーナや」


「はい、閣下」


「あのサトルに任せておけば、3万年後以降の『破滅エクシティウムトニーテュラ』来襲に於いても、滅亡する世界を出さずに済むかもしれんの……」


「あ奴のことですから、1万8525の恒星系の知的生命体52兆人を全て救ってくれるかもしれません」


「うむ、銀河があれほどの災厄に見舞われても、犠牲者を出さずに済むかもしれんのか……」


「サトルでしたらやりかねません。

 あ奴の発想と行動力は、常に我々の想像の上を行きますので」


「うむ、そのためにもじゃ。

 あやつの助けになるよう、神界のあらゆる力を貸してやろうではないか」


「はっ」


「頼んだぞ……」


「畏まりました、閣下……」







 翌週、俺と4人のヨメたちは、神界の議長閣下の神殿に行ってみることにしたんだ。

 特にローゼさまやエルダさまが行ってみたがったからな。

 まあ、俺もたまには休暇を取ってもいいだろうし。




 神界転移部門が議長閣下の神域直通の転移ゲートを作ってくれたんで、早速俺たちはそれを潜って移動した。


 そしたらさ、驚いたことに議長閣下の神殿って、完全に惑星表面並みの環境の中にあったんだよ。

 それにこの神域、優に日本とおんなじぐらいの広さだぞ。

 山も川も森も草原もあって、湖や海まであるんだもんな。

 さすがは神界最高顧問会議議長閣下の神域だわ。


 その神域の中央にあった神殿もガイア国の東西の出城より大きいんだ。

 これにもびっくりしたよ。

 もちろん家具やら寝具やらも全部揃っていて、神殿を管理するミニAIのアバターも10人ぐらい揃ってるんだ。

 なんか掃除やらなんやらは神殿自体に閣下の加護がかかってるんで必要無いそうで、だから料理担当を含めて10人もいれば充分なんだと。


 でもさ、ここまで豪勢な神殿だと、とてもじゃないけど別荘として寛げないよなぁ……

 まるで迎賓館に来たみたいなんだもの。

 可哀想にフェミーナなんかビビリまくってたもん。



 そしたらそれを聞いてたミニAIの家令さんが教えてくれたんだ。

 この神殿から歩いて10分ほどのところに小高い丘があって、そこには温泉付きの離れがあるそうなんだよ。

 それで俺たちはその離れを見に行くことにしたんだ。




 俺たちは神殿の庭園を出て歩き始めた。

 まもなく小高い丘を登り始める。



(あ、これあのウサギもどきがいた世界にそっくりだ……

 周囲にたなびく薄い桜色の霧が無かったらほとんどおなじだわ。

 そうか、アダムはこうした神界の神域をモデルにしてあの世界を作ってたんか。

 とすると……)



 そのとき懐かしいあの「ぴい」という声が聞こえたんだよ。

 ああ、やっぱりウサギもどきだ……

 色も少し違うし大きさもこっちの方がやや大きいけど、やっぱりウサギもどきだ……


 俺は案内役のミニAIのアバターを見やった。

 そのアバターが大きな袋からパンを取り出す。

 わかってるじゃねぇか。

 きっと議長閣下も、こうしてウサギもどきたちにエサをやってたんだろうな。




 俺はしゃがんでウサギもどきにパンを差し出した。


「ほら、パンだ。食べるか?」


 ウサギもどきが恐る恐る近寄って来る。

 パンの匂いを嗅ぐと、俺を見て首をかしげ、また「ぴい」と鳴いた。


「いいぞ、喰ってくれ」


 ウサギもどきが両手でパンを受け取って一口かじる。


「ぴいぴい!」


「そうか旨いか。まだたくさんあるから家族を呼んでもいいぞ」


 ウサギもどきは後ろを振り返り、「ぴいいいい」と大きく鳴いた。

 すると出てくるわ出てくるわ。

 パンを持った父ちゃんウサギもどきよりも少し小さいヨメらしきのに続いて、中ぐらいのが3匹、小さいのが3匹、それよりももっとちっこいのが3匹出て来たんだ。


 俺は奥さんたちにパンを渡した。

 みんながしゃがんでパンを差し出すと、中ぐらいの3匹がそのパンを受け取る。



 びっくりしたよ。

 中ぐらいのウサギもどきは、そのパンを食べずに一番ちっこいウサギもどきに差し出して持ったまま、「ぴい」って言ったんだ。


 ちっこいのは兄ちゃん姉ちゃんたちにぴいぴい礼を言うと、夢中でパンを食べ始めたんだ。

 あはは、がまん出来なくなったのか、兄ちゃん姉ちゃんたちもパンの反対側を少しかじってら。


 小さいのもちっこい手で苦労しながらパンを抱えて、はぐはぐはぐはぐと夢中で食べてるよ。


 俺は父ちゃんウサギもどきと母ちゃんウサギもどきにもパンを渡して聞いてみたんだ。


「なあ、お前たちの背中を撫でてもいいか?」


 そしたら2匹は「ぴいぴい!」って鳴いて、俺に背中を向けてくれたんだ。


 おお、父ちゃんウサギもどきの背中の毛には星みたいな白い斑点があるのか。

 母ちゃんウサギもどきには三日月みたいな斑点か。


「よし! お前の名前はほっしーだ。ヨメの方はつっきーだ」


「「ぴいぴい!」」


「あはは、喜んでくれたか」



 俺はほっしーとつっきーの背中を撫で続けた。

 ああ、やっぱり柔らかくってあったかいや。


 それを見ていた子供たちも、はぐはぐしながら向きを変えて、俺の奥さんたちにも背中を向けてくれたんだ。


 ローゼさまなんかは、そのあまりの可愛らしさに涙目になっているわ。

 あ、エルダさままで涙をぼろぼろ零してら。

 な、なんかエルダさまって、俺のヨメになってくれてから随分優しい雰囲気になったよな……

 これがエッチすることで目覚める母性本能なのかな……

 はは、システィもフェミーナもぽろぽろ涙零しながら微笑んでるわ。


 それにしても、可愛いウサギを見て喜んでるオオカミって違和感ありまくりだわ―。

 ま、まあ可愛いからいいけど。



 そうして俺たちはしばらくの間、声も無くウサギもどき一家と同じ時間を過ごしていたんだ……




 お腹がいっぱいになった一番ちっこいウサギもどきたちが、ぴょんぴょん跳ねて奥さんたちの膝の上に飛び乗り、服をよじ登ってみんなの頬をぺろぺろ舐め始めた。

 はは、お礼をしてくれてるのかな。

 もしくはこいつら全員オスだな。


 ところでお前が舐めてるの、それ巨大狼だからな。

 もう少し警戒感持ってもいいんじゃないか?



 どうやらメスっぽい小さいヤツらは俺に飛びついて来たよ。

 大きな兄ちゃんや姉ちゃんは、ようやくひとりで食べられるようになったようなんで、もう1個ずつパンをやった。

 そしたら頭を下げて「ぴい」とか言いやがんの。

 こいつら頭いいよなあ。


 ほっしーとつっきーは、寄りそって1個のパンを齧りながら、そんな子供たちの様子を幸せそうに見ていたんだ……



 しばらくして、俺は残りのパンが入った袋をほっしーに渡した。


「これは俺たちを最高に幸せな気分にさせてくれた礼だ。

 家に戻ってゆっくり食べてくれ」



 ほっしーは、後ろ足で立ち上がって器用にその袋を肩に担いだ。

 大きな子供たちが後ろからそれを支えている。


 そうしてウサギもどきの一家が草叢に消える直前。

 一家は並んで立ち上がり、手を揃えて俺たちに頭を下げてくれたんだよ。


 もう奥さんたちの目は涙ぼろぼろだったな……




 丘の上にあった離れは素晴らしかった。

 見た目も内装もログハウスっぽいんだけど、広くて清潔で銀河最新鋭の便利グッズもたくさん置いてあったわ。


 もちろん露天風呂も素晴らしかったぞ。

 あのVR世界そっくりの景色の中で、これもあの温泉宿の露天風呂とほんどおなじ風呂にみんなで入るのは最高だったな。

 眼下にはあの素晴らしい神殿も見えるし……


 それから毎週金曜には、この離れでみんなで愛し合うことにしたんだ。



 ウサギもどきたちも俺たちが来たのがわかるようだな。

 たっぷり持ってくるパンや野菜の匂いでわかるのかもしれない。

 いつも離れの玄関で一家並んでお出迎えしてくれるんだよ。



 やつらと充分に遊んだ後は、ベッドルームでご乱交だ。

 なんだかうちの奥さんたちもそろそろ妊娠したがっているみたいだな。

 やっぱりウサギもどきたちを見てると子供が欲しくなるのかもしれない。


 そういう風に、俺の子を生みたいと思ってくれてる女性たちとのエッチも素晴らしいんだぜ。

 なんというか、性欲だけじゃなくって、母性本能にも溢れた状態だからな。

 優しさも思い遣りもMAXだし。




 俺が奥さんたちを存分に満足させ、奥さんたちも俺を存分に満足させてくれた後、俺はふと窓を見た。

 何かが動いたような気がしたからだ。


 窓の外の出っ張りにいた大中小9匹のウサギもどきたちは、俺と目が合って硬直した。

 あ、毛が逆立ってカラダがぼわんって膨らんでる……


 やつらはそのままびょんびょん跳ねて草叢の中に逃げて行ってしまったよ。

 あはははは。


 夕方また連中にパンをやったんだが、子供たちがみんなもじもじしてるのを、ほっしーとつっきーが不思議そうに見てたっけ……




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