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【爆撒英雄サトルのガイア建国記】  作者: 池上雅
第2章 銀河宇宙篇
273/325

*** 273 ヘタレ神…… *** 

 



 3カ月後。


 また惑星スキモーノの大統領さんが尋ねて来た。

 ひとしきり平らになってお礼を言ったあと、大統領は語り始めたんだ。


「あの、サトル神さまは先日、3カ月ほど様子をご覧になられたいと仰っておられましたが……

 あのような変化が起きることを、予想されていらっしゃったのでしょうか……」


「どんな変化が起きたんですか?」


「は、はい。

 まずは惑星規模での犯罪発生率の極端な低下です。

 わたくしどもの主要産業の性質上、どうしても或る程度の治安悪化は避けられなかったのですが、それが激減してしまったのです。

 特に暴力系の犯罪が以前の50分の1以下になりました。

 加えて主に女性のヒステリー患者もほぼゼロになっております。


 おかげで社会不適合者たちが続々と社会復帰していますし、そのせいもあってか婚姻数の増加も見られ始めました。

 このまま行けば、長らく低迷していた我が惑星の新生児出生数も増加するかもしれません」


「そうでしたか」 


(それ地球とまったくおんなじじゃねえか。

 やっぱりヒト族はどこに行ってもヒト族だったんだな……)



「それでは近隣10個程度の惑星への試験的輸出を解禁しましょうか。

 そうしてまたしばらく様子を見ましょう」


「は、はい、畏まりました。

 あ、ありがとうございます……」



「あ、そういえばあのセクサロイドの娘たちはどうしていますか?」


「はい……

 あ、あの…… あれもサトル神さまの凄まじいまでのご慧眼の賜物だったのでございますね……」


(?)


「中身をフルAIに換装して頂き、また最新鋭アバターも頂戴した彼女たちはしばらくVR世界を楽しんでいたのですが……

 そのうち、皆で相談し合って新しい商売を始めたのでございます」


「商売?」


「はい。

『VRでもリアルでも、あなたのパートナーを気絶するまで可愛がってあげるためのテクニック講座♡』というレッスンを初めまして。


 なにしろあの娘たちは数百年に渡ってヒト族のお相手をして参りましたので、性の極意を知り尽くしております。

 その知識と経験を生かして、レッスン講座を始めましたところ、これが超絶大当たりを致しました」


(げげげ……)


「今ではそのレッスン映像やVR講座の輸出も始まりまして、いずれも100億個の大台を突破するスーパーメガヒット商品になっております」


(うーげげげげげ……)


「もう今では我が惑星の稼ぎ頭でございますね。

 彼女たちもサトル神さまには心の底から感謝しておりまして、そのうちに全員でここガイアを訪れて、サトル神さまに『1000P』をプレゼントさせて頂きたいと申しておりましたぞ」


(し、死ぬ…… 死んでしまう!)


「そ、そそそ、それは……

 か、感謝の気持ちだけで充分だとお伝えくださいっ!」





 数日後、俺はアダム配下のAIたち10人を集めて仕事の指示をした。


「今、例の惑星スキモーノが、俺のVRゲームを銀河系の10個の惑星に輸出し始めたんだ。

 お前たちは、その10個の惑星に行って、その状況を観察して報告してくれ。

 観察用のナノマシンはいくら使ってもいいからな。


 特に重視すべき情報は、ゲームの売れ行きと、その惑星の治安の変化、精神系の病気の患者数の変化、それから最も重要なのは結婚数の変化と出生数の変化だ。

 よろしく頼んだぞ」


 AIたちは張り切って各惑星に散っていったよ。

 なんでも俺直々の指令を拝領するのは、連中の社会ではたいへんな名誉になるそうな。




 10個の惑星系への輸出も大成功し、俺のゲームは合計60億ユニットも売れた。

 だが、ある惑星でだけはほとんど売れていなかったんだ。

 俺はその惑星の担当AIを呼び出して、その理由を尋ねてみた。


 そしたら、どうやらその惑星ではかなり酷い天候不順が続いていて、食糧不足でゲームどころじゃないらしい。

 すべての余裕金をつぎ込んで割高な輸入食料を買わなければ、危機的状況に陥るとのことだった。



「なあアダム。惑星系の食料輸入ってたいへんなのか?」


(はいサトルさま。非常に大変でございます)


「なんでだ?」


(食料そのものは農業を主産業とする惑星から安価に大量に買うことが出来ます。

 ただ、実際に食料を運ぶとなると、恒星間航行が可能な恒星船をチャーターしなければなりません。

 恒星船は非常に貴重ですので、チャーター料金も高額ですし、予約も詰まっております)


「ふーん、そうか。

 ところで、飢饉になってる惑星の食料って、どれぐらい買えば当面なんとかなりそうなんだ?」


(は、はい。100億クレジット分もあれば今年は凌げるでしょう)


「それじゃあさ、今から神界に行ってゼウサーナさまに許可を貰って来るから、許可が得られたら食糧援助の準備を始めよう」


(少々お待ち下さいませ。

 ただいまゼウサーナさまの秘書官AIに連絡を取ってみます。

 ………………

 あ、許可が得られました。

 食料輸送についても、神界転移部門に自由に依頼して構わないそうです)


「そうか。

 そうしたらさ、どっかあんまり裕福でない農業惑星20個ぐらいから、食糧を500億クレジット分買っておいてくれ。

 代金は通常価格の2割増しにしろ。


 そうして、飢饉に陥ってる惑星に緊急食糧援助をしてやるんだ。

 単なる食料だけではなく、酒も嗜好品も菓子類もすべてだ。

 俺の名前での援助なんだから、しょぼい喰い物は渡すなよ。

 もちろん代価は不要だ。つまりタダだ」


(さ、さすがはサトルさまでございます。では早速に……)


「あ、これからはお前は直接動かんでいい。

 俺の指令を実行するための組織を作れ。

 今回の場合なら、『緊急食糧援助部』だな。

 そうして古参AIをトップに据えて、全部そいつに任せろ。

 お前は、そんな仕事をしているヒマがあったら妊娠中のイブのそばにいてやれ」


(うううううっ、さ、サトルさまぁ……)





 飢饉に陥っていた惑星への食糧援助は間もなく実行された。

 さすが『使徒研修・派遣機関』のAIたちは熱心だぜ。

 まあ、救済中の試練世界が1つ増えた程度だからな。

 奴らにとってはどうということはないんだろう。



 その惑星では、俺への感謝のあまり、食料輸入用にキープしていたカネで俺の神殿を建立し始めた。

 だが俺はAIを通じて触れを出したんだ。


「神殿も祈りも確かにありがたい。

 だが本当に俺が喜ぶのは、惑星中が幸せな暮らしに満ち溢れ、結果として適度な人口増加が起きることだ」ってな。



 そのせいかどうかわからんが、その惑星政府は余ったカネの一部で、『VRゲームルーム』を作り始めたんだ。

 これは、俺のVRゲームを1時間いくらで体験できるもので、まあ『VRマシン治療室』と似たようなもんだな。


 おかげでこの惑星でも地球産VRゲームは大評判となり、あっという間に5億ユニットほど売れたんだよ。



 そうして……

 やはりどの惑星でも同じような効果が現れ始めたんだ。

 つまり、犯罪・ヒステリー症の大幅減少、社会不適合者の大量社会復帰、治安の劇的な良化。

 それにともなう惑星経済の活性化。

 そしてそれらの最終的帰結としての婚姻数増加と出生数の増加だ。


 はは。やっぱり銀河中どこに行ってもヒト族はヒト族だったなんだな。

 俺もガッポリ儲かってるし、誰も損していないウインウインの最高の関係だわ。



 それで俺は、エルダさまの第28象限だけでなく、ガイアを含めたシスティの統括する第35象限にもVRゲーム機の輸出を解禁したんだ。

 惑星スキモーノのネルギッシュ大統領はずいぶんと張り切ってたぜぇ。






 俺は20歳になった。

 まあ日本の基準ではようやく成人したことになる。


 ガイアでも日本でも家族がパーティー開いてくれることになったけど、やっぱり家族に囲まれて祝って貰うっていうのはいいもんだな。


 でも…… ガイアでさんざん飲み食いしてみんなと語り合った後に風呂に入ろうとしたら、システィたちが分厚いマット持ってまっぱで入って来たんだわ。

 あれ? なんかみんなウエストにリボン巻いてる……


「さとるん……

 わたしたちからの心づくしとして、今日はわたしたち4人をプレゼントさせて欲しいの……

 どうか自由に堪能してね♡……」


(お、俺いつも自由に堪能させて貰ってるけど……)


 それでまたエルダさまの地球知識なんだろうけど、俺はマットに寝かされてみんなに洗われちゃったんだ。

 もちろんほとんど手は使わずに……


 あー、銀河のヒト族の男どもが惑星スキモーノに行きたがるのがわかった気がする……




 翌日は地球でも家族パーティーだ。

 もちろん勇悟叔父さん一家も参加してくれている。


 はは、なんかみんな大量に飲んで食べてるわ……

 父さんや叔父さんなんか、母さんと真希叔母さんに盛大に飲まされて撃沈しとるぞ。

 俺もそれなりに飲んだけど、それでも『状態異常耐性』の加護があるからなあ。

 絶対に泥酔なんかしないんだよ。


 そうして実に楽しいひとときを過ごした後、俺は風呂に入ることにしたんだ。

 2歳児ははしゃぎ過ぎて疲れ果てて寝ちゃってたから1人でな。



 そしたらさ、なんか風呂にマットが敷いてあるんだわ。

 先週までこんなもん無かったのに……

 な、なんかヤバい予感がする……



 そのとき16歳になっていた沙希が乱入して来たんだ。

 もちろんまっぱで、だけど今日はウエストにリボンを巻いて……


 ま、まさか、お、お前もかっ!


「お、お兄ちゃん……

 20歳のお誕生日のお祝いに、わたしをプレゼントさせて下さい……

 わ、私を押し倒すのと私に押し倒されるのとどっちがいい?」


 どっちも要りませんっ!



「お前なぁ…… 父さんも母さんも叔父さんも叔母さんもいるんだぞ!

 なんてことするんだ!」


「大丈夫よ。お父さまと健悟伯父さまは轟沈してるから……」


「真希叔母さんと母さんがいるだろうに!」


「あのね、小百合叔母さまは『頑張れっ!』って……

 それからお母さまは『上手く押し倒せたら、後でちゃんと飲むのよ♪』って事後避妊薬くださったの……」



 ふ、2人ともなんてことするんだよ!


 それでもまあ16歳児を宥めて説得して……

 なんとか傷つけないように諦めさせたけどな。

 湯船の中でずっと抱きついて来ていたのはまあ仕方ないか……

 それにしても、ほんっと育ったよなこいつ……

 どこがとは言わないけど……


 それで風呂から上がって寝ようとしたら、母さんに耳元で『ヘタレ神……』って言われちまったぜ!


 後で知ったんだけど、母さんも結婚前の若い頃、父さんのマンションの風呂に乱入して押し倒してたんだと!

 それであなたが生まれることになったんだからいいじゃないの、だとさ!





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