表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【爆撒英雄サトルのガイア建国記】  作者: 池上雅
第2章 銀河宇宙篇
269/325

*** 269 神の関与による世界の幸福(ハピネス)増大の実験 ***

 



 俺は勇悟叔父さんと相談の上、日本国内販売と同時にVRマシンの最廉価版を売り出すことにした。

 まあ、最廉価版といっても1台100万円もするけどな。


 これは、最小限のVR世界とおすすめコースをつけたもので、アバターの改変も限定されている。

 また、VR機能も限定されていて、風を感じることは出来ないし、物を食べても味は分からない。

 でも触感はあるし、エッチも出来るしオーガズムも得られるんだ。


 軽自動車1台分のカネで性衝動は完全に満足させられるようになるんだよ。



 実はこの程度の機能だったら、もっと安く出来るんだけど。

 そうだな、1台10万円ぐらいまで。

 ただまあ、監視用ナノマシンのコストぐらいは地球人に負担して貰おうかと思ってるだけなんだけどさ。




 そうして、俺と父さんが実際に『ノーベル生理学・医学賞』を受賞すると、この廉価版VRマシンは全世界で売れに売れた。

 まあ、ノーベル賞級のマシンだっていう宣伝になったこともあるんだろうけど。



 俺は父さんや真悟叔父さんと相談した上で、とりあえずノーベル賞受賞記念として瑞宝学園グループに5000億円ほどの寄付をした。


 そうして総理事長先生に頼んでいわゆる賢人委員会を作ってもらい、さらに1兆円ほど出資して財団法人にしたんだ。

 もちろんこの財団法人の目的は寄付行為のみだけど。

 これで煩わしい寄付陳情から逃れられたぜ。





 VRゲーム機やVRマシン治療室が世界各地に広がったおかげで、VR人口は急拡大している。

 もう一度も使ったことの無いヤツの方が少なくなって来たそうだ。


 そうして世界中の溜まってたヤツらの性衝動を発散させてやった結果、アメリカのVRマシン治療室で初期に起こった現象が、欧米全体で広がり始めたんだ。



 まずは明らかに暴力犯罪が減少してきた。

 特に性犯罪は激減している。


 次にヒステリー症患者も激減し始めた。

 合わせて『社会不適合者』と呼ばれていたひとたちが、続々と社会復帰していったんだ。


 そして治安の良化は経済を活性化する。

 さらにVRゲーム機の元になるPCは世界各地で生産されているために、徐々にではあるが世界の景気も拡大し始めたんだ。


 さらに、世界中で結婚数と出生数が増加を始めた。



 そうなんだよ。

 すべての性衝動が満たされて、社会不適合者も社会復帰出来て、精神的にも金銭的にも安定した人たちが最後に向かうもの。

 つまり種族保存本能の実行が可能になったんだ。


 要はリアルの子供が欲しくなって結婚するヤツが増えたんだな。

 実は途中からこの効果に期待して、VR世界では妊娠と出産だけは仮想体験出来ないようにしてたし。


 それに平田さんたちみたいに、オタクや社会不適合者がVRマシンの効用で好青年や聖人みたいな風貌になって来てるもんだから、余計に結婚しやすくなったようだ。

 まあ、超美人や超イケメンとエッチしたかったらVR世界でいくらでも出来るからなあ。

「結婚相手に望む条件」の中で、「ルックス」の占める順位も急低下しているそうだ。



 特に喜んだのが日本政府だ。

 とうとう少子化に歯止めがかかりそうだってな。

 今までなにをやってもダメだったのが、たかがVRゲームの販売を認めただけで結婚や出産が増え始めたんだから驚いてもいたようだけど。


 このままいって、日本のオタク文化がVRゲームを通じて全世界でウケ始めたように、地球のオタク文化が銀河宇宙でウケ始めたらどうなっちゃうんだろうかねえ?





「なあアダム。

 VRゲームのおかげで地球の平均E階梯って上がってないか?」


(驚くべきことに、発売以来半年でプラス0.15ポイントほどの寄与があったと推測されます。

 また、沙希さまの歌の効果はプラス0.1ポイントでございますね。

 罪業カルマポイントも有意と思われるほど増加幅が低下しましたし、幸福ハピネスポイントは明らかに増加しました。

 やはり社会不適合者の社会復帰の効果が大きかったのでしょう)


「やっぱりそうか。

 それじゃあ続けて『神の関与による世界の幸福ハピネス増大』の実験も初めてみようか」


(はい)




 それで俺はコツコツと施策を実施して行ったんだよ。


 まずはテロでも撲滅するか。


 それにしてもテロって不思議だよ。

 ほとんどの場合、テロして誰かを殺したがる奴って『暑い国』の出身だよな。

 でもって被害を受ける国って、ほとんど『寒い国』だろ。

 ついでに一般的に言って、暑い国は貧乏で寒い国は金持ちだよな。

 テロってカネ持ち憎さのあまりブチ切れた貧乏人の自爆なんか?

 ああ、だから自爆テロとかなんだ。


 だけどさ。

 ああいう連中の指導者たちって、自爆を命じた部下に、『そなたたちが葬った不信心者たちは、皆神の国でそなたたちの下僕になるのだぞ。故になるべく多くの者を殺すがよい』って教え込んでるんだよ。

 それで現世ではもう出世する芽も金持ちになる芽も無い奴が、一発逆転狙いで自爆するそうなんだわ。


 神をナメとるわ……



 それで俺、監視ナノマシン経由でテロを命令した指導者たちを片っ端から見つけて、『1日300回イき×10年』の刑に処したんだ。

 それでもまだテロ指令を出そうとすると、『排泄物垂れ流しの刑』や『常時隠語喚き散らし』の刑が待ってるんだよ。


 どんな末端要員でも、イき続けながらお漏らしまでしてる奴の命令なんか聞きたくないよなぁ。



 ん?

 メールとかで命令したらどうするのかって?

 そんなもん、アダムが全世界のネットや電話回線を監視してるからさ。

 指揮命令系統を辿るのは簡単だし、ナノマシンも過剰配備してあるからすぐに位置情報も分かるからおんなじことだわ。


 もちろんテロ実行犯たちも、行動を起こそうとした途端に『1日300回イき×3年』の刑だ。

 銃器や爆発物を用意した奴もな。


 まあ最近では、アダムが地球の管理システムであるアース君とテラリアちゃんにノウハウを教えて彼らにやらせてるけど。



 それでテロが撲滅されたんで、次はアフリカなんかの地域紛争の撲滅だ。


 でもまあこれもテロと同じだよ。

 司令官と出撃しようとした戦闘部隊をイきっぱなしにさせて垂れ流しにさせるだけなんだから。

 他の戦闘部隊が装甲車に乗り込もうとしても、臭くって呼吸も出来んそうだ。


 なんかあっちこっちの紛争が自然消滅していってたわ。




 次は凶悪犯罪の撲滅だ。


 詐欺や窃盗を取り締まるのは警察の仕事だし、歓楽街の飲み屋や売春宿からみかじめ料を取って用心棒をしてるヤクザやギャングなんかは、まあ必要悪だ。

 だが、幼児誘拐や人身売買や麻薬組織や性犯罪は絶対に許せん。


 そういう凶悪犯罪者は、やはり犯罪を実行しようとした途端にテロリストとおなじ運命を辿るようにしたんだよ。



 その余波かどうか知らんが、おかげで痴漢が無くなっちまったんだ。

 電車の中で女子高生なんかの尻を触った途端にぶっ倒れて、イきっぱなしになるサラリーマンが続出したんだ。

 それでも懲りずに2度目の痴漢をすると、排泄物垂れ流しの刑が待ってるしな。


 それでも痴漢を繰り返すやつは、もうあんましいなかったようだ。

 まあ数人いたようだが、それからは起きてる間中隠語を喚き散らすようになったんで、社会的地位崩壊の上、精神病院に収容されてるそうだわ。




 そんなことをしているうちに、或る日美樹が俺のところに来て、涙目で言ったんだ。

「かいーの」って。


 見れば愛する妹の玉のお肌に蚊が刺した跡があるじゃないか。

 もちろんすぐに『治癒キュア』をかけてやったけどな。

 そしたら美樹が抱きついて来てほっぺにちゅーしてくれたよ。

 それを見ていた16歳児がこっそり腕をつねっていたのは確かに見たぞ。


「あ、あの…… お兄ちゃん、わたしもここが……」


 そうまでして俺にちゅーしたいのか?



 それでさ、俺またすべてのアクセを身につけて、全世界の蚊に『ロックオン』して、奴らを『有害生物追放用惑星』に転移させちゃったんだ。


 蚊って各種病気を媒介する以外は、ほとんど生態系の役に立ってないだろ。

 まあせいぜいボウフラが沼なんかの水質を浄化するぐらいだし。

 そんなもん、他の生命だってやってるだろうに。

 だから別に地球上にいなくていい生命体なんだよ。


 そのおかげか、蚊が各種病気を媒介することが無くなって、世界の疾病数や死亡率が少し下がり始めたらしい。

 いくつかの殺虫剤メーカーが倒産してたみたいだけど、それはまあ気にしないことにしたわ。



 ついでに、『人体に害を為す悪性ウイルス』も追放した。

 これでエボラだの西ナイル熱だの天然痘だのが根絶されたワケだ。

 もちろんインフルエンザもだ。

 他にも数多くのヤバい病気が地球上から無くなってたみたいだけど。


 一部医学界では大騒ぎになってたぞ。

 なにしろ研究用に培養してたウイルスなんかが、一夜にして一斉に消滅してたんだもんなあ。

「超絶一斉テロ工作か神の御業か!」って騒然としてたらしいわ。


 半分当たりだな。



 そうした俺の行動の結果、全世界で徐々に真っ当な生殖行為の増加と出生率の増加が見られ始めたそうだ。

 どうやら、痴漢が出来なくなって、性衝動をカノジョや女房に向けるサラリーマンが増えたのも少しは影響したらしい。


 特に紛争地域での性行為の増加が多かったようだ。

 紛争による緊張が無くなって周囲が安全になると、本能が防衛から生殖に向くとのことだ。

 個体維持本能が満たされると種族保存本能が主力になる、っていうヤツだわ。



 ついでにアフリカなんかのWFP事務所30カ所に匿名で食糧援助もしといたよ。

 事務所の隣の空き地に一夜にして100万人×1年分の食料を転移させるとかで。

 もちろん食料を略奪しに来た奴らはその場でぶっ倒れてイき続けるんだけど。



 こうして俺は地味な活動を続けていったんだ。


 でもおかげでさ。

『神は存在する!』とか、『神の見えざる手は実在する!』とか言うヤツが激増しちゃったんだ。

 それ以前にもテロや地域紛争の首謀者たちが軒並み失脚してテロと紛争が無くなってたり、蚊だの悪性ウイルスだのがいなくなってたりしてたしなあ。


 ついでに性犯罪や凶悪犯罪も、ナゾの『連続イき症候群』で激減したし。

 だからみんな神の実在を意識したらしいな。



 その後、世界中でカルト宗教団体の解散や消滅が激増したっていうニュースも流れてたわ。

 なんでも信者たちがみんな社会復帰していなくなっちまったんだと。

 それでまた世間は『真の神の御業』とか騒いでたけど、それってたぶん俺のせいだよな。

 まあどうでもいいかそんなこと。



 でもまあ、これらは害も無いからいいだろう。

 もしもそいつらがトチ狂って宗教テロに走ろうとしても同じメに会うだけだから。


 ん? そうだよ。

 連中の言う神ってまあ俺のことだ。

 事実神だし。



 まあ、ここ地球は神界からも許可を貰った『神による関与』のモデル惑星だから、俺が好きなように関与実験が出来るからな。


 俺が思う『神に許される関与』ってさ。

 まずは『生態系に寄与することなく、他の生命に深刻な害を与える生命やウイルスの排除』、次に『知的生命体自身による、罪業カルマポイント発生行為の非致死性排除』じゃないかって思うんだよ。


 まあその世界にいるロクでもない知的生命体が、まともなE階梯を持つまではそれぐらいの関与は許されるんじゃないか?

 例えば、試練合格以上神界認定以下の世界で、平均E階梯3未満の世界限定とかで。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ