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【爆撒英雄サトルのガイア建国記】  作者: 池上雅
第2章 銀河宇宙篇
268/325

*** 268 VRゲーム機日本国内販売解禁 *** 

 



 フォーブスの世界長者番付ニュースで賑わった後、地元の警察は、「脅迫・誘拐などに気をつけてください。なにか少しでも不審な点があればすぐにご連絡を」と親切に言ってくれた。


 でもまあ、沙希の登下校には親衛隊が50人もつきそってるし、それになにより俺たちや叔父さんたちにはアダムのガードがあるからな。


 それでも俺は、念のためアダムに指示してナノマシンを追加散布して、市内、学園、大学、それから会社の従業員たちのガードも手厚くしたんだ。


 ついでにアダムやそのブラザーたちが撃退機能を拡大したせいで、だいたい月に5件ぐらいはアヤシイ連中がイきっぱなしになって、病院に搬送されてるそうだ。



 因みに、ありがちなVRマシンのインチキ模倣品の販売は皆無だったぞ。

 まあVRゲーム機のケースを開けて中身をコピーしようとしても、ゲーム機内のプチAIが自分ごと自壊して、中身を白い粉に変えちゃうからさ。


 ただな……

 ふつーのコピーは不可能なんだけど、見た目だけそっくりなPCケースだけ作って廉価で売ろうとする詐欺行為をする奴は多かったんだよ。


 でも、世界中に散らばるナノマシンたちが、そういうインチキ商品の製造や販売を始めようとする奴らを発見してくれるんだ。

 そうすると、アダム配下のおしおき担当ブラザーが、『連続イき』の刑に処するんだわ。


 でもそれでも製造販売を続けようとすると、次の段階としてそいつらの排泄中枢を刺激して、全員常時大小垂れ流し状態にさせる『強制垂れ流し』の刑にしちまうからな。


 特にインチキ模倣品の大好きな『あの国』では、「謎の集団食中毒大量発生!」とか言って随分話題になってたっけ。


 それでもまだ続けようとする猛者もいたけど、これも『常時隠語喚き散らし』の刑を受けて沈黙した。

 いや喚き散らしてるから沈黙じゃあないんだけど、会話がまったく出来ないから事実上の沈黙だわ。




 でもさ、とうとう『あの国』が『洗脳』に手を出そうとしちゃったんだわ。

 それも国家ぐるみで。

 個人名義で買った大量のVRゲーム機の中身を暴いて、自国兵士なんかの洗脳用に改造しようとしたようだ。


 あの国の軍の上層部の会議や命令内容を報告して来たナノマシンによると、将軍たちが笑いながらいろいろ言ってたそうだな。



『この試みが上手く行けば、不倒不屈の兵士たちが大量に出来上がりますな』


『さよう、自爆攻撃を命じても嬉々として従う兵士ばかりの無敵の軍隊が出来ますわ』


『そのうち遠隔操作で敵軍の指揮官を洗脳出来るようになりませんかね?』


『そんなことをするよりも、敵国の指導者を洗脳する方が早いですぞ』


『G8やG20の場に持ち込みますか』


『そうなれば我が国は文字通り中華の国となりますな』


『ふふ、そうなれば我々は皆政治局員だ。

 国家主席も夢では無いぞ』


『それでは早くあの機械の分析改造を進めるように』


『まったくあのような技術をたかが娯楽のために供するとはの』


『まあ我々が正しい使い方を教えてやろうではありませんか』


『『『『『 わはははは 』』』』』





「なあアダム。

 こいつらへの『お仕置き』の準備は整ってるか?」


(はい)


「それじゃあさ、VRゲーム機のケース1つ開けるごとに、その場に居る者全員を『1日50回イき×1年』の刑に処しておいてくれ。

 それから担当の将軍には『1日100回イき×3年』の刑だ。

 死なないようにナノマシンのフォローも頼むぞ」


(畏まりました)




 それでまあ、『あの国』では、軍の技術者や将軍たちが続々と再起不能になって行ったんだ。

 でも、『あの国』ってヤタラに人が多いから、次々に人を投じて、VRゲーム機を洗脳装置に改造する試みはずっと続けられたんだよ。


 だから俺たちも、それに合わせて刑罰を拡大して行ったんだわ。

 例えば担当将軍だけじゃなくって、上司も含めた5人にするとか、中央の上級将軍も加えるとか……


 でもそれでも『あの国』の洗脳の試みは終わらなかったんだ。

 大本の国家主席と党の政治局の指令で、膨大な人員を投入しての試みが続けられていたんだよ……



 そしてついに或る日。


『あの国』では日本の国会に相当する全国規模の議会が開催されいた。

 この○人代とかいう全国会議の様子は、最近世界の主要メディアにも公開されるようになっているらしい。



 壇上に昇った国家主席が、3000人の人民代議員たちを前に演説を始めたようだ。


「我が人民を代表する代議員たちよ!

 諸君らの使命は我が共産党の命令を末端である人民にあまねく伝えることである!

 そのためには、まずは諸君らが党中央への忠誠を誓い、また党指導者層の命令に従うことはもちろん、指導者の行動を見習ってよく模倣しなけばならない!」



 そこで広大な会場にアダムの声が響き渡った。


「それではこれより、国の人民に対し強制的に洗脳を試みようとした党指導部は、反省の意を込めて謝罪の行動を行います。

 みなさまご注目の上模倣してくださいませ」



 そうしてアダムに遠隔操作で運動中枢を支配された国家主席は、その場で服を脱いでまっぱになり、同時に珍妙な『謝罪の踊り』を踊り始めたんだ。

 ペコペコ頭下げたりジャンピング土下座したり……



 いやまあ支配しているのは運動中枢だけなんで、『洗脳』してるワケじゃあないからな……

 本人は自分の意識の中では大狼狽してたし。

 まあここはひとつ、『神罰』っていうことで……



 すぐに後ろにいた政治局員50名もこれに強制的に加わらされた。


 そうして…… 会場を埋め尽くす3万人の人民代議員たちも、恐る恐る自主的にこれに加わって行ったんだ……





 また或る日、EU本部から俺に接触があった。


 EUとしては、VRマシン技術の特許の公開と域内企業への技術供与、さらには工場建設と現地従業員の雇用を求めたいそうだ。


 そうして、それら要求が満たされない場合は、独占禁止法違反として巨額の罰金を請求するかもしれないと仄めかしたんだ。

 まあこいつらも、まさか神界の神を相手にしているとは思わず、生意気な若造を脅せば、いくらでも要求に従うと思ってるんだろ。



「ああはい、EUお得意のビジネスモデルですね。

 アメリカなんかの巨大企業がEU域内のビジネスに成功した場合、技術移転や雇用拡大を要求して、たとえそれが了承されても最後には巨額の罰金で大儲けするっていう。

 まだそんなことしてるんですか?」


「なっ……」


「その罰金を使って国民受けするような特別支出を行って、それで政府の支持率を稼いでいるんですよね。

 でもそのビジネスモデル、もう古くありません?」


「な、なななな……」


「特許は非公開です。

 また、独仏のスパイさんたちは冷戦時代から優秀ですからね。

 最近ではみなさん産業スパイになられているそうで、うかうか工場を作ることも出来ません」


「そ、その場合には巨額の罰金の可能性が……」


「構いませんよ。

 1兆ユーロでも100兆ユーロでも請求して下さい。

 その代わり、EU域内でのVRマシンの効力は停止させて頂きます」


「な、なんだと……」


「だってEU内で罰金を取られるっていうことは、EUの法に触れてるっていうことなんですよね。

 法に触れてる商品は効力を停止して当然ですよね。

 取扱説明書にもその旨は明記してありますよ」


「そ、そんなことが出来るわけが……」


「出来ますよ」


「なっ!」


「VRゲーム機はその場の位置情報を認識していますからね。

 わたくしの指令でEU域内のゲーム機を全て停止させるのは簡単です。

 もちろん域外から持ち込んだゲーム機もEU域内に入った途端に停止します。

 罰金を取られるほど悪いことをしてるんだって言われたら、まあ仕方無いですよね。

 その場合の内閣支持率低下につきましては、そちらの責任ですのであしからず」


「なななななななななななな……」





 それ以降、真行寺技研や俺の周囲には、なんかアヤシイ外国人がいっぱい集まって来たんだよ。

 まあ誘拐までは行かなくても、ゲーム機の秘密が知りたいんだろうな。


 でもみんな、実際の行動に移ろうとして会社の建物に侵入しようとした途端に、アダムたちに『連続イき50連発』を喰らっちゃうからなぁ……


 朝になると、真行寺技研の広大な敷地内では、青い目のガイジンさんたちがイカ臭くなったりチーズ臭くなったりしたままゴロゴロしてるんだわ。

 何故かみんなスッキリした幸せそうな顔して……


 おかげで真行寺技研の駐車場には、毎朝地元消防署の救急車1個小隊が待機してくれてるんだ。

 みんなごくろうさん。




 そうこうしているうちに、トムソン・ロイター社が、恒例の「今年のノーベル賞受賞者予想」で、俺と父さんを『ノーベル生理学・医学賞』の最有力候補として発表しちゃったんだ。


 受賞理由予想は、

「脳とコンピューターの直接意思疎通という画期的な新技術の発明、並びにその技術を応用した数々の脳機能の解明研究と脳疾患の治療法の確立。

 さらには技術応用による世界の健康増進と暴力犯罪の減少という画期的な成果」

 だそうだ。



 推薦者には、欧米とイギリスの科学アカデミーが名を連ねているらしい。

 因みに病床の○-キング博士が推薦者代表だそうだ。


 その年の『ノーベル生理学・医学賞』候補には他に有力な研究も少なく、ロイター社によれば受賞は確実らしい。


 そうしてもしも受賞すれば、ノーベル平和賞を除いて受賞者の最低年齢記録を大幅に更新することになるそうだ。




 日本中が大騒ぎになったよ。


 特に世界中の有力報道機関が、


「ノーベル生理学・医学賞受賞が確実視されている研究の成果は、世界の健康を増進し、かつ犯罪すらも減少させている超画期的なものである。

 にもかかわらず、研究者たちの母国では、その研究成果である新商品の国内販売を禁止しているのだ。

 なぜなんだ? 不思議の国ニッポンよ」


 とか書いて日本を笑い物にするもんだからさ。

 首相がまた頭から湯気を出して激怒したそうな。




 おかげで内閣官房副長官とかいうおエライさんが来ちまったんだ。


 その副長官さんは、勇悟叔父さんと俺の前で深々と頭を下げた。

 そうして、VRゲーム機の日本国内での販売を丁寧にお願いして来たんだ。



 俺の答えはシンプルだった。


「例え今の内閣が了承したとしても、日本は法治国家ですから、法律が整備されない限り、国内販売を行えば我々はいつタイホされるかわかりません。

 よって、法整備が整えば国内販売を真剣に検討することになるでしょう」


 官房副長官さんは、嬉しそうな顔をして帰って行ったよ。



 まあ、内閣が変わって法律も変えようとしたら、国会の議場で首相に謎の急性腹下しになってもらうだけの話だな。

 それ大惨事になるだろうなあ……



 結果的に、日本国内でVRゲーム機が医療用機器認定された。

 同時にポルノ禁止ルールが一部改正されて、「医療用機器についてはこれを例外とする」っていう条項が加わったんだよ。

 はあ、これでようやく国内販売を解禁出来るか。


 そういえばイギリスやカナダでも同じような措置が取られたんで、これらの国でも販売を解禁することにしたんだ。





 どうやらみんなようやく気がついて来たみたいだな。


 性犯罪や暴力犯罪を防止するには、罰則や取り締まりを強化するだけじゃあダメなんだよ。

 誰にも迷惑のかからない場所で、思う存分性衝動を発散させてやればいいだけのことだったんだ。

 そうしてやれば過剰性衝動から来るヒステリーも無くせて一石何鳥にもなるんだ。


 日本で統計を取り始めてから最も凶悪犯罪の多かった年って、売春防止法施行の翌年だったろ。

 発散させてやらないで法律だけ強化するのはむしろ逆効果だったのさ。





『日本で統計を取り始めてから最も凶悪犯罪の多かった年は、売春防止法施行の翌年だった』


 コレ、事実なのであります……


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