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【爆撒英雄サトルのガイア建国記】  作者: 池上雅
第2章 銀河宇宙篇
265/325

*** 265 VRゲーム機新発売 *** 

 


 俺はガイアに戻って俺の神域のコントロールルームを視察していた。


 ここでは試練世界派遣部隊のために常時AIたちが待機していて、問題への対応や物流のサポートをしている。


 はは、それにしてもすげぇ部屋になってるな。


 直径100メートルほどの円筒形の部屋の側面は、半分ほどの面積が500枚の巨大スクリーンで覆われていた。

 それらには、脅威度の高い順に試練世界の現地司令部が映っている。

 個々のスクリーンには、その日カウントされた幸福ハピネスポイントと罪業カルマポイントもリアルタイム表示されている。


 コントロールルームには200人ほどのAIのアバターたちがいたが、巨大な空間は実に静かだった。

 もちろん彼らの会話は電子的に行われているからだ。


 俺はアダムに言って、彼らの会話を聞えるようにして貰った。





「世界ナンバー38、試練世界ダリウスにてイエローアラートです!

 王国正規軍がサトル神派遣部隊の創設した国に対し、侵略のための集結を始めました!」


「神界防衛軍に増援部隊の派遣を要請せよ」


「ラジャー!

 神界防衛軍第1師団第2大隊所属の1個小隊が増援待機から出撃準備に移行しました!

 あと2分で増援出撃開始、出撃終了は3分後とのことです!」


「ガイア本部より監視用カメラ部隊の増援開始」


「ラジャー!」


「王国正規軍の規模の推定は?」


「8万人規模の可能性80%です」


「対応態勢の充足率は?」


「現時点で70%、神界防衛軍の増援後は130%です!」


「第2司令官了解。引き続き連絡を密にせよ」


「ラジャー!」




「世界ナンバー124、試練世界メイリーより食料増援要請です」


「理由は?」


「現在確認中…… 移民団3万が向かって来ているためとのことです。

 到着予想時刻は3時間後」


「了解、食料部隊に第1次補給として3万人×10日の食料増援を要請せよ」


「要請終了! 1時間以内で料理転移が完了予定とのことです」


「現地料理体制の状況は?」


「準備率90%、現地4万人の料理当番が料理増量を始めています。

 後は移民の中からボランティアを募るため、ガイア本部からの増援は不要とのことです」


「第3司令官了解」



「世界ナンバー278、試練世界スシャールより飲料水の転移要請です。

 緊急度20%。

 一部の水道システムの不調によるためで、1万リットルの増援で足りるそうです。

 水道システム復旧まで後6時間の予定」


「水資源部隊に飲料水の転移を要請せよ」


「要請完了。15分後に転移完了の予定」


「第12司令官了解」



「世界ナンバー421、試練世界マイヤー、相変わらず天候不順が続いているそうです。

 このままの状況が続けば、今年の農作物収穫予想は前年同期比63%減。

 1ヶ月後に3200万人×6カ月分の食料増援要請確率72%とのことです」


「食糧増援部隊、試練世界マイヤーへの食糧増援準備の進捗率を報告せよ」


「現時点で準備率63%、1週間後に120%の予定です!」


「第16司令官了解。引き続き準備を進めよ」


「食糧増援部隊了解!」



『ぴろりろり~ん。

 ハピネス&カルマ観測部よりご報告申し上げます。

 過去1時間の幸福ハピネスポイント増加幅は3万8530。

 前日同時刻比5.73%上昇。

 過去1時間の罪業カルマポイント増加幅は4万3238。

 前日同時刻比2.21%減少でした。

 以上、報告を終わります』



「世界ナンバー89、試練世界サルシャより……」





 俺はコントロールルームの状況を見ているうちに鳥肌が立って来た。


「なあアダム」


(はい)


「やっぱすげぇよお前ら。

 お前たちAIに任せてマジ大正解だったわ……」


(その言葉、AIたちに伝えてもよろしゅうございますでしょうか……)


「ああ、もちろんだ。

 全員を抱きしめてお礼を言いたいぐらいだって伝えておいてくれ」


(皆…… 喜びます……)


「もう俺が口を出す余地は全然無いな。

 後はいくらでもカネも資源も出すから、足りなくなりそうだったらそう言ってくれ」


(現時点での予想ですが、500の試練世界の全てで罪業カルマポイントの増加がゼロ近辺になるまでの期間は後3.18年。

 それまでにサトルさまが既に神域倉庫にご準備されている物資が消費される予測数量は、生活資材が28%、食料が21%でございます。

 多分、追加準備の必要は無いかと……)


「状況が変化して、消費予測が50%を超えたら報告してくれ。

 あと50%分、惑星イルシャムに追加注文することにする」


(畏まりました)



 はは、これどう考えても500の試練世界は全部合格になるだろうな……



 AIたちの活躍に大満足した俺は、システィの神域に移動した。


 そうしてシスティとローゼさまとエルダさまとフェミーナを大満足させて、俺も大満足させて貰ったんだ……


 ああ、やっぱ愛する女性たちとのエッチは最高だな……








 俺が大学2年生になる前の春休み、とうとうVRゲーム機が発売された。

 驚いたことに、当初発売予定分は予約開始と共に10時間で完売してたんだよ。


 まあ、『VRマシン治療室』で認知度は高かったからなあ。

 それにしても、これで総売上高6兆円かよ。

 とんでもないな。



 販売当初は多少の混乱もあった。


 特に悪質な転売目的で買ったヤツらとかな。

 こいつら大量に人を雇って買わせて、それを倍の値段で転売しようとしていたんだ。

 まあこれは全く話題にはならなかったけどさ。

 とりあえず、その組織ごと『連続イき20連発×1日24回×1カ月』の刑に処しといたから。


 俺の『治安維持用監視ナノマシン』が地球全域に散らばってるから、そういう連中を見つけるのは簡単なんだよ。

 なんせ、地球表面1平方メートル当たり平均1000個近い超極微ナノマシンたちが、休まず監視してるもんな。

 すでに地球人ひとりにつき100個ぐらいのナノマシンが張りついてるし。



 ん?

 ああ、他人の生活なんぞにまったく興味は無いから覗きなんかしてないぞ。

 VRゲームの妄想世界見てても思うけど、愛しても愛されてもいない女の子のハダカとか見て、何が楽しいんだ?

 そういう『透明人間』系の妄想って実に多いけど。


 ナノマシンを使ってやってることは、ただ単に犯罪行為を発見するとアダムブラザーが自動的に『連続イき100連発』の刑に処してるだけだ。

 アレ喰らうと、その場はもちろん、完全に消耗して3日ぐらい動けなくなるらしいなあ。

 想像するだに恐ろしい刑罰だし。




 VRゲーム機発売当初に多かったクレームは、『体に異変があります』のメッセージと共にすぐに強制ログアウトされてしまうっていうやつだったかな。

 ゲーム中に死なれないように、その手のチェック機能は充実させておいたんだ。


 クレーム管理室は、ゲームのオープニング時のお知らせと、エージェントを通じての広告を出した。

「『体に異変があります』のメッセージが出たら、すぐに近くの病院で精密検査を受けてください」って。



 おかげでもうありとあらゆる疾患が発見されたようだ。

 中にはすぐに死にそうなヤバいものもあって、緊急手術に至ったケースもあったらしい。

 特にハイエンド機はこの機能が充実してるからな。

 疾患部位の特定や、疾患名の推測まで出来たりするし。


 1億円もするようなハイエンド機を買った大金持ちたちのうち、相当な人数が命を救われたらしいぞ。

 連中、「たったの100万ドルで命が助かった!」って大喜びだったらしいわ。


 加えて『VRマシン治療室』のマシンにも、この機能をアップデートしておいたからなあ。

 なんだか全米、全欧州で病院の検査課が大混雑を始めたっていうニュースも出てたっけ。


 当初は、各国の医療・保険当局からクレームでも来るんじゃないかって心配もしたけどさ。

 実はこれまったく逆で、欧米保険当局から感謝状が来ちゃったんだわ。


 なんでも、異常は早期発見した方が、悪化してから入院するよりも遥かに治療コストがかからないからだそうだ。

 考えて見りゃ当然だったな。


 おかげで、アメリカと欧州では近くVRゲーム機に『医療機器認定』が出るそうだ。

 そうなりゃこのVRゲーム機を買うと、その費用の一部が所得から控除されるようになるそうで、マシンはもっと売れるようになるかもだということだった。


 VRゲーム機を買ったおかげで命が助かっちゃったかもしれないやつって、全世界で5000人もいたんだってさ。あはは。



 それからこれも俺は知らなかったんだけど、重度高血圧症を治療するための「減塩療養施設」っていうのが相当数あったんだ。

 糖尿病や肥満を治療するための「減量食療養施設」も。


 それらの施設で、試しにVRゲーム機を使って患者にVRでメシを喰わせてみたそうなんだよ。

 そうしたら、驚異的な治療効果が出ちゃったそうなんだ。

 減塩食に慣れようと必死で頑張っていた入院患者が、VR世界で山のように塩辛いもの食べて、それで満足出来るようになっちゃったかららしい。

 おかげでリアルの食事がたとえ完全無塩食でも、誰も文句を言わなくなったそうなんだ。


 さらに効果があったのは減量治療施設だ。

 なにしろ寝る以外の時間は、VRゲーム内で1日16時間ひたすら食べ続けてもいいからな。

 その間リアルでは、生きて行くのに必要最低限なカロリーや栄養素を点滴で摂取するだけなんだよ。


 おかげで1カ月で100キロ減量成功みたいな連中が続出して大騒ぎになってたわ。


 なにしろ強い意志とか本人の努力とか全く必要無いからなあ。

 単にVR世界で楽しくゲームに浸ってるだけだから、どんなに意志の弱いヤツでも簡単に減量出来るんだ。

 ついでにVRエッチも楽しめちゃうわけだし。


 それで治療施設を利用する患者さんがみんな治っちゃって、施設利用者が減ったら申し訳ないかなとも思ってたんだけどさ。

 実はこれもまったく逆で、治療希望者が山のようにやって来て、今は嬉しい悲鳴を上げてるそうだ。


 なんでも『どうせそんなところで治療しても、文句言われるだけで治りはしないんだろ』って思ってた連中が、評判を聞いて大挙して押し寄せて来ているかららしい。



 こうした施設からは、味覚嗅覚情報を充実させた最新型VR治療マシンの注文がさらに大量に入ってたわ。

 肥満大国アメリカからの注文なんか50万台に迫ってたし。

 つまり売上高10兆円だわ。驚いたよ。




 ん?

 日本はどうなってるのかって?


 もちろん『ポルノ禁止ルール』があるからゲーム機は売り出してないぞ。

 アメリカで買ったマシンを日本に持ち込もうとしたやつもけっこういたみたいだったけどさ。

 でもDLと違って実物だから、かなりの数のマシンが税関で没収されたそうだ。


 厚生労働省が、「厚労省で医療機器認定を検討してもよろしいんですよ。そうすれば日本国内でも販売出来るようになる可能性が……」

 とかにたにた笑いながら言って来たんだけどなあ。


 やっぱり天下りの受け入れをほのめかすもんだから、お引き取り願ったよ。

 相変わらず役人のタカリ体質はひどいもんだよな。

 販売した途端に俺たちが警察に引っ張られても厚労省は知らん顔だろうになあ……




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