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【爆撒英雄サトルのガイア建国記】  作者: 池上雅
第2章 銀河宇宙篇
255/325

*** 255 『現在世界で最も期待されている研究5選』選出 *** 

 



 その後も文科省の妨害というかイヤガラセは続いた。

 もちろん『日本の最先端研究100選』には選ばれず、翌年度の瑞宝学園グループに対する私学助成金の認定も遅れているらしい。


 しかも国内の研究機関に対して、真行寺技研の製品に関してはその有用性が認められないために、もし購入した場合にはその分の助成を減らすと通告したようだ。

 実際に購入を見送ったり、キャンセルする研究施設が増え始めているとのことだった。


(これで文科省全体のタカリ体質がはっきりしたな……)




 俺はアダムに命じて、厚労省と文科省全体にナノマシンを集中配備させた。

 これで、いつでも文科省の役人全員をまっぱにして街の中に転移させることが出来る。

 もちろん何回でもだ。



 だが、俺は総理事長先生の言葉で作戦命令を停止したんだ。


「悟君。心配せんでも大丈夫だ。

 厚労省や文科省のような小悪党どもも、もう長くはあるまい」





 幸いにも真行寺技研には、海外からの注文が怒涛のように押し寄せた。

 おかげで共同研究費として、大学側にかなりの額の金額を渡すことが出来たし、国内の受注減もそれほど痛くはなかったんだ。


 それにどうやら総理事長は、私財も大学に寄付し、翌年の私学助成金を失っても瑞宝大学はなんとかやっていけそうらしかった……


(まあ、イザとなったら俺が日本の国家予算分ぐらいは寄付してやるけど。

 なんだったらGDPぐらいでもいいぞ……)




 でも……

 俺もちょっとムカついてたからさ、ベライムスさんに頼んで金融シンジケートのひとたちにお願いをしてみたんだよ。


「資金は私が提供するから、日本の瑞宝学園大学に画期的な脳科学研究に対する研究資金として寄付をお願い出来ないだろうか」って……


 そしたら全員が、「資金など無用でございます。あのレア資源の御礼に寄付させて頂きます」って言ってくれたそうなんだ。


 それで即座にアダムに言って、またレアメタルやレアアースを都合10億トンばかり贈ったんだ。


 そしたらロックフェラー財団だのロスチャイルド財団だの、世界的に有名な財団50件から、合計でなんと5兆円に達する寄付金が瑞宝学園大学に振り込まれて来たんだわ。

 それもベライムスさんの指示で、3月下旬の数日間で一斉にドルやユーロから円転されて……


 それで、ドル円やユーロ円の取引だったのに、邦銀を一切経由せずに外国銀行しか使わなかったことと、日本時間の深夜で市場が薄かったこともあって、円が大急騰しちゃったんだ。


 つまり日本では期末近くに突然の円爆騰に見舞われたんだな。

 一気に10円近く円高になってたぞ。

 市場は相当に驚いて、株式市場も3000円近く暴落して大混乱になってたわ。



 どうやら俺の意を汲んだベライムスさんの指示だったらしいんだが……

 それにどうやらあのレア資源の代金は、俺が言ったように10分の1の価格でも総額10兆円近かったらしいな。

 だからシンジケートさんたちも『半返し』のつもりで5兆円も寄付してくれたんだろう。



 当然日本中大騒ぎになったんだけど、俺たちは敢えてその原因を海外でリークしてもらったんだ。

 それで瑞宝大学と真行寺技研は共同記者会見を開くことになったんだよ。


 そしてその場ではまず、厚生労働省がメンツを潰されて怒っていて、暴言まで吐いた証拠映像が公開された。

 それからあの文科省の役人と理事長先生のやり取りの録画映像もだ。


 そして、そのせいで厚労省から新型脳波計や脳間意思疎通装置の医療機器認定が下りずに国内医療機関への販売が出来ずに困っていることと、文科省から来年度の私学助成金の認定が下りなくなって困っていることも公表したんだわ。


 それで、それを聞きつけた海外の有力財団が、画期的な研究と商品開発継続の為に声を掛け合って寄付をしてくれたとも。




 この報道を見た首相は激怒したそうだ。


 まあ、翌日の新聞に『厚生労働省、殺人教唆!』とか書かれちゃったし。

 ああ、『文部科学省、血税による補助金の見返りに天下りとうひひ接待を強要!』とかいうのもあったか……

 ついでにその年の流行語大賞候補に『うひひ接待』がノミネートされてたわ。


 それで厚労省や文科省の幹部連中の中には、ショックのあまり寝込んじゃったヤツもいたそうだ。




 厚労省側は当初抗弁したらしい。

「あれは一担当者の見解です!」とか言って。

 まあ、その担当者はすぐに地の果てまで飛ばされたそうだけど。


 でも、そのうち厚労省の抗弁は、

「何分にも新規の機器の為に現在医療機器認定のための調査中です。調査にはあと数年かかる見込みです」とか言う言い逃れに変わって来たんだよ。


 でも首相官邸から、

「日本と米国と英国の脳学会が既に革新的な成果だと認めている機器を、いったい誰が調査して判定するというのだ!」

「まさかお前たちが調査して不合格判定を下すつもりではあるまいな!」

 って言われたらしくって、翌日には認定を出して来たわ。


 それに、「事件とは無関係です」と言いながらも、次官以下局長やら審議官やらが軒並み勇退したそうなんで、まあ許してやろうか。




 文科省側は必死で抗弁を続けたそうだ。

「あれは担当者個人の要求です!」

「あの時点の瑞宝大学の研究成果は不十分で、その有用性に疑いがあったためです!」ってな。


 だが首相は徹底調査を指示したんだ。

 大学側にも内閣官房調査官の派遣を丁寧に依頼して来たし。

 でもまあ、あの実験のときのヤル気の無い調査官の映った映像と、理事長室でのやりとりを鮮明に記録した映像を渡すだけで十分だわな。


 特に首相の逆鱗に触れてたのが、調査官の「キサマたちが2度と研究出来ないようにしてやるっ!」っていう捨てゼリフだったそうだ。


 首相はひとしきり激怒した後、「日本の科学研究が進まないのは、本来それを推進すべき文部科学省が妨害していたからだったのか……」って言って頭を抱えてたんだとさ。



 内閣官房調査官は、真行寺技研へのヒアリングを始めとして、次第に他の大学や研究施設にも調査の手を広げた。


 その結果、

「100選認定と助成金の代わりに天下り受け入れを強要された」

「100選助成金の見返りに、天下り受け入れと、文科省に逆らった真行寺技研の製品を買わないよう強要された」

 とかいう証言が、山のように集まったんだ。


 おかげで文科省全体としての天下りの手口が明らかになってしまったわけだ。



 それでも文科省は抵抗したらしい。

 だが、例の調査官が贈賄要求と恐喝の容疑で逮捕拘留された途端に無抵抗になったそうだ。

 調査官に天下りを強要するよう指示した上司たちにも捜査の手が伸びたからな。

 逮捕者も何人も出てたぞ。

 次官やら局長やらの上級幹部たちも、退任やら左遷やらでごっそりといなくなったって報道されていたよ。




 こうして厚労省事件と文科省事件は幕を閉じたんだ。


 どうやら天下りした文科省OBに、政治献金を強要していたらしい文部科学大臣もクビになった。


 いい歳こいたおばちゃん大臣だったが、これに激怒してヒステリー症の発作を起こし、今は入院治療中だそうだ。


 なんでも、

「これで選挙でバラ撒いたカネが回収出来るはずだったのにぃっ!」とか、

「お前たちが天下りで得たカネは、アタシのカネだ!」とか、

「アタシのカネを返せっ!」

 とかってずっと喚き散らしているそうな。


 もう政治家としての復帰は絶望的だそうで、それでまたヒステリー症が悪化しているそうだわ。



 もちろん翌年度の瑞宝学園に対する私学助成金はすぐに認可が下りた。

 だが、真行寺脳科学研究室と真行寺技研は、追加で提示された莫大な特別助成金をすべて断ったんだ。


 慌てた文科省と首相官邸からの問い合わせに対しては、正式に文書での回答が行われている。


「助成金を受け入れると、それを口実にいつ何時、政府・文科省からの干渉・妨害を受けるやもしれず、辞退することがこの人類に貢献する研究の為だと判断した」


「日本の科学研究が進まないのは、政治家と役人のタカリ体質のせいであると愚考する」


 さすがは父さんと総理事長だぜ。カッコいー!





 さらにだ。

 数日後にアメリカの脳科学学会が、世界に於ける年度最優秀研究として俺たちの研究が選ばれたと発表した。


 さすがは大国だよ。

 海外の研究者も平等に選考の対象にするんだな。

 もちろん天下りの要請も無いし。



 次いで、イギリス王立科学アカデミー、EU科学アカデミー、アメリカ科学アカデミーが共同で選考した『世界の最先端研究100選』に俺たちの研究が選ばれた。

 どうやら○-キング博士とその友人たちの強力な推薦が大きかったらしいぞ。


 因みに、日本の文部科学省もこの選考に参加したいと言ったらしいんだがな。

「1000万ドル出資するから日本の研究を10種選んでくれ」とか言って。


 でも、

「この事業は、純粋な科学者による事業であり、国家の要請や援助による事業ではない」


「遺憾ながら、貴国はこの選考を自国技術の宣伝としか考えておられないと見られる」


「我々科学者は、真に人類に貢献する偉大な研究は、そうした国家の政治的思惑とは程遠いところにあると考える」


 って公式に表明されて赤っ恥をかかされて、スゴスゴと引っ込んでたそうだ。



 ついでに、その『世界の最先端研究100選』の中で、俺たちの研究が、『現在世界で最も期待されている研究5選』にも選ばれたんだ。

 どうやらみんな、コンピュータを介在した脳間直接通信が持つ可能性に気がつき始めたらしい。

 実際に銀河宇宙では当たり前に行われているけど、対脳直接教育なんかへの応用とかだな。



 

 これにも官邸が激怒したらしい。

 文科省幹部を呼びつけて、「何故世界のベスト5に選ばれるような研究が、日本の100選にも入っていないのかっ!」って首相が吼えたらしいんだ。



 どうも日本の100選は、そのうちのほとんどが、企業系の研究所で行われていたものだったらしいな。

 その方が、企業側も宣伝費のつもりで天下りを受け入れやすかったんだろう。

 だからしょっぱい研究しか無かったんだよ。


「同じコストで作れるDRAMの書き込み速度を3%も上げられましたぁっ!」

 みたいなショボいやつとか。


 大学の研究室なんかで行われている研究の中には、もちろん画期的な研究もあったんだけどさ。

 そんなの100選に選んでも天下りの受け入れ先にはしにくいだろ。

 もうその大学には何人も元役人が天下ってたそうだから。

 だから当然文科省の選定対象から外れてたんだとさ。


 ったくしょーもない連中だよなぁ……





 でも…… ふっふっふ。甘いな。

 やっぱ学者は頭が固いわ。

 俺が持ち込んだのはVRの基礎技術なんだよ。

 この基礎技術によって、本当の意味でのバーチャル・リアリティが可能になってるんだぞ。


 脳の快楽中枢を刺激して、VRで実際にイけるマシンが作れるんだもんな。

 脳内で作った理想の女の子、アニメ美女でもアイドルでも獣耳でもエルフでも、頭の中でエッチして実際に感じて射精出来るマシンの開発が可能になってるんだぜ。


 もっとも、これ普及させるとリアルのセックスが減って、ますます人口が増えなくなるかもしれないんでちょっと躊躇もしてるんだけど。

 でもきっと、性犯罪者とかヒステリー患者の治療には有効なんじゃないかな。

 過剰性衝動のはけ口としての暴力や犯罪も減るかもしらん。



 もちろんVRゲームの開発も進むだろうなあ。

 痛みも風も温度も肌触りも、もふもふも感じられる超リアルなやつ。

 おおそうか、VR世界で旨いもん喰って味覚も感じられるのか。

 でも満腹感は与えたらマズいかも。

 ゲーマーが餓死したりしたらヤだもんな。


 あとはおむつしてマシンに座ってるだけか。

 また廃人がいっぱい出来そうだなぁ。

 しかも臭そうな廃人が……




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