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【爆撒英雄サトルのガイア建国記】  作者: 池上雅
第2章 銀河宇宙篇
249/325

*** 249 AIたちがやって来た *** 

 



 俺は9月の『高校卒業認定試験(旧大検)』に合格した。

 どうやらやっぱり全科目満点だったようだ。

 まあ当然か……

 俺が誇ることじゃなくって、神のスキルやアダムのおかげだからな。



 それでまあ、1月のセンター試験の勉強も始めると同時に、脳生理学の勉強も始めたんだ。

 最初は現代地球の脳科学の本を頭に叩き込んで、その後は最新の論文集を読んで。

 それで最後には、銀河宇宙のヒト族の脳生理学についても勉強してみたんだ。


 それで思ったんだけど、やっぱ銀河宇宙ってすごいな。

 数億年の歴史を持つ文明世界ってのは伊達じゃあないわ。


 それに脳の機能っていうのもすごいよ。

 自然の状態で時間をかけて進化させると、ここまでのものに至れるんだなぁ。

 神界がなるべく手出しをせずに、自由に進化させようとしていた理由がよくわかったよ……






 ガイアの俺の神界倉庫でやっていた『資源抽出』が終わったようだ。

 元は火星ほどの大きさの惑星だったらしい小惑星帯から抽出することが出来た資源はこんな↓感じだ。



 重量単位:ゼタトン(10の21乗トン=1000兆トンの100万倍)

 酸素(235)、ケイ素(138)、アルミニウム(42)、鉄(32)、カルシウム(26)、マグネシウム(15)、ナトリウム(12)


 重量単位:エクサトン(10の18乗トン=1000兆トンの1000倍)

 カリウム(7668)、チタン(3374)、炭素(920)、水素(767)、マンガン(562)、リン(511)、フッ素(276)、硫黄(215)、ストロンチウム(184)、バリウム(174)、タングステン(97)、バナジウム(97)、塩素(87)、クロム(72)、ジルコニウム(66)、ニッケル(46)、亜鉛(40)、銅(35)、セリウム(31)、ルビジウム(20)、ランタン(17)、ネオジム(17)、コバルト(15)、イットリウム(10)、窒素(10)、ガリウム(10)、スカンジウム(9)


 重量単位:ペタトン(10の15乗トン=1000兆トン)

 リチウム(8690)、ニオブ(7532)、鉛(5112)、ホウ素(3927)、ジスプロシウム(2835)、サマリウム(2832)、プラセオジム(2735)、ガドリニウム(2142)、ハフニウム(1592)、臭素(1525)、エルビウム(1421)、イッテルビウム(1322)、スズ(1125)、砒素(1074)、ベリリウム(885)、ユウロピウム(880)、タンタル(869)、セシウム(785)、ゲルマニウム(716)、ホルミウム(613)、モリブデン(562)、テルビウム(481)、タリウム(271)、ヨウ素(250)、ツリウム(230)、アンチモン(102)、インジウム(82)、カドミウム(77)、銀(41)、水銀(34)、セレン(26)、ビスマス(13)


 重量単位:テラトン(10の12乗トン=1兆トン)

 ルテニウム(3221)、白金(1585)、レニウム(1329)、オスミウム(920)、テルル(514)、金(511)、ロジウム(358)、イリジウム(204)



 なかなかすごいだろ。

 総重量5.1×10の23乗トン(=5100兆トンの1億倍)に及ぶ資源の山だわ。


 ん?

 5.1×10の23乗トンって言われてもよくわかんないって?

 だからまあ、火星とおんなじぐらいの質量だってば。

 だって、あれだけあった岩石が資源抽出終えたらほとんど無くなっちゃったんだもんな。

 放射性元素や放射性同位体は存在が希少だから、重量なんか大したこと無いし。



 それでこのうちの半分はガイアの将来の為に備蓄しておくとして、もう半分は惑星イルシャムの倉庫に運び込もうとしたんだわ。


 そしたらさ、イルシャムの資源倉庫って惑星を巡る軌道上に人工の巨大衛星として存在してるそうなんだけど、こんだけの質量の資源を持ってくと惑星の軌道に影響が出て暦が変わっちゃうって泣いてるんだ。

 だから、1光日ぐらい離れた惑星軌道に新しく倉庫惑星作るまで待っててくれって泣き付かれちゃったんだよ。


 だから『けっこうたくさんの資源ですよ』って予め言ってたのに……


 でも連中も、まさか惑星規模の質量の資源だとは思って無かったそうで腰抜かしてたわ。

 まあ、そりゃそうか。


 あんまり可哀想だったんで、倉庫惑星の建造用の資金や資源も出してやることにしたよ。


 そしたらさ、惑星大統領さんから、

『こ、これで銀河宇宙の資源備蓄量が1%増えます……

 し、しかも全てが純度100%の純粋元素……』

 ってやっぱり泣きながら感謝されちゃったんだ。



 どうやらおかげで、『銀河クレジット&資源銀行(GCRB)』の資源の総預り資産が金額ベースで倍になっちゃったそうなんだわ。

 純粋元素だと、普通の純度99%ぐらいの資源に比べておおよそ100倍の価格だそうだから、まあそうなるわな。


 それにしても……

 やっぱ何億年もの歴史がある社会だと、資源不足が激しいんだなぁ。

 これも将来なんとかしてやれんもんかね?


 超長距離の転移や大型恒星船の開発は、将来に渡って恒星間戦争を抑止するために神界から禁止されてるんだろ。

 だったら、恒星間戦争を完全に抑止したまま資源採掘を推進させてやる方法って、なんか無いもんかねぇ?




 そしたらさ、しばらくしてゼウサーナさまから恒星間通信が来ちゃったんだわ。


 あー、ゼウサーナさま、また額に少し青筋立ててるわ……


「サトルよ。

 そなた…… 

 危うく惑星イルシャムの公転軌道を狂わすところだったそうだの……」


「も、ももも、申しわけございませんっ!

 ついイルシャムにも神域倉庫みたいなものがあると思い込んでいました!」


「仕方あるまい。

 イルシャム近傍の3.2次元空間に、そなたの神域倉庫を創ることを許可する」


「えっ……」


「ついでにその神域倉庫とイルシャムの倉庫衛星を、そなたの開発した『転移の魔道具』で繋いでやれ。

 1光日も離れたところに惑星規模の倉庫を作らせるのは、いくらなんでも気の毒だ。

 特別に許可する」


「ははぁっ!」


「ああ、それからイルシャム政府に言って、他の銀河宙域100カ所ほどの『銀河クレジット&資源銀行(GCRB)』の支店にも資源を分散させよ。

 さすれば銀河の資源不足も少しは緩和されるだろう。

 神界転移部門にも資源移動に協力するよう言っておこう」


「ははぁぁぁぁっ!

 お、仰せの通りにっ!」


「それにしても、よもやあれほどまでの資源を用意するとは……

 文字通りそなたは銀河一の大富豪か。

 それも惑星政府を含めてもだ」


「げげっ! そ、そうなんですか?」


「これでそなたの活動資金にも不足は無くなったの」


「あ、あの……

 小惑星帯とか、生命非居住惑星とかを頂ければ、神界の為にいつでもこのぐらいの資源はご用意させて頂きますけど……」


「神界の暦まで狂わせようというのか?

 神界のある異次元域とて、物理法則は働いているのだぞ」


「はっ! そ、そうでした!

 す、すすす、すみません!」


「はは、それにしてもそなたの開発した魔法は凄まじいの。

 銀河の歴史を変えようとしておるようだ」


「も、もう少し自重いたしますっ!」


「それでは使徒養成機関の方、楽しみにしておるぞ」


「は、はいっ!」



 いやー、アセったわ。

 これからは、もっと考えてから行動するか……






 神界からAIたち1000人がやって来た。

 内訳は、既に数十万年の任務を終えて、ほとんど活動停止状態のまま資源の再利用のための分解を待っていた者が200人。

 残りの800人が、創造されてから見習いAIとして数百年の研修期間を終えた後、惑星管理AIとしての任官を待つために休眠状態になっていた連中だ。

 いずれも男性型と女性型の比率は半々になっている。


 彼らのAIとしての本体は俺の神域倉庫に入って貰った。

 まだアバターは届いていないので、彼らとの会話はすべて音声か脳内への直接通話になる。



「AI諸君。ようこそここガイアへ。諸君を歓迎する」


 あー、みんな面喰ってるよ。

 特に任務を終えてリサイクル待ちだったAIさんたちはびっくりしてるわ。

 彼らの電子的な独り言は本来俺には聞こえないはずなんだけど、なんか電子的にザワついてるのが分かるな。



「俺は今年初級神になったばかりの新米神で、名をサトルと言う。

 新たに神界より賜った任務の為に、諸君を呼ばせて貰った」


 まあずっと休眠していた連中だからさ。

 俺のことも知らなくて、やっぱり随分戸惑っているみたいだ。


「諸君らの任務について簡単に説明しよう。

 最終的には、惑星管理AIに任官予定の諸君には、その前に『試練世界の使徒』としての任務に就いて貰いたい。

 既に惑星管理AIとしての任務を終えたベテラン諸君については、新たに使徒となる新任の若いAI諸君のために教官になって欲しい」



(あの…… サトル神さま。

 ご質問をお許し頂けませんでしょうか……)


「いいぞ、なんでも聞いてくれ」


(わ、我々AIが『使徒』になるんでしょうか……

 そ、それはヒューマノイドの役割なのではありませんか?)


「俺は神界最高神政務庁から、『使徒養成所』を作って、そこで鍛えた使徒を試練世界に派遣するよう命じられた。

 その際に、使徒となりうる条件を満たすには、諸君らAIが最適であると進言してこれを認められたのだ。

 よって諸君らの任務中には、銀河最新鋭のアバターが与えられ、各種の訓練を行っている期間中は、ヒューマノイドの街で暮らして充分に彼らに慣れて貰おうと思っている」


 はは、また電子空間が盛大にザワついてるわ……



「だがまあ諸君らを使徒に養成するのは、時間をかけてゆっくり行うつもりだ。

 俺の挨拶の後は、俺の友人であり担当AIでもあるアダムが諸君らに状況の説明をする。

 まあ、俺なんかが喋るのを聞くより、AI同士で話した方が遥かに時間の節約になるだろうからな。


 参考までに言っておくと、このアダムはパートナーのイブとともに、神界最高神政務庁とマザーさまから『次期神界管理システム』に指名されている」


((((( !!!!!!!!! )))))


 はは、なんか電子空間をびっくりマークが飛び交ってるぞ。



「アダムの状況説明が終わったら、古参のAI諸君には惑星イルシャムに転移して貰う。

 そこで、ハードウエアの徹底的なオーバーホールをして来てくれ。

 場合によったら、最新のハードウエアに換装するかもしれない」


(あ、あの…… サトル神さま……

 簡単なオーバーホールでも10万クレジット(≒1000万円)近いコストがかかります。

 それが完全オーバーホールともなれば、500万クレジット(≒5億円)、新しいハードウエアに至っては2000万クレジット(≒20億円)も致します。

 老い先短い我らにはもったいないのではないでしょうか……)


「気にするな。

 諸君ら古参AI200人のオーバーホールのために、既に500億クレジット(≒5兆円)の予算を計上してある」


((((( !!!!!!!!!!!!!! )))))



「さらに全員分の銀河最新鋭アバター1000人分も発注済みだ。

 これは1人分で必要資源+200万クレジットだが、費用は気にしなくていい」


((((( ………………… )))))


「それらの準備が終わったら、諸君らにはしばらくヒューマノイドの街で暮らして貰う予定でいる。


 最後に言っておく。

 俺は諸君が使徒として大成功することを確信しているが、諸君が任務を成功させた後には、神界倉庫で休眠中の古参AI50万人と、任務待機中の新人AI10万人を、すべてここガイアに呼び寄せるつもりだ。

 つまり、諸君らの仲間の暮らしは、全てこれからの諸君の活躍にかかっていると言える。


 それでは俺からの話は以上だ。

 後はアダムのガイダンスを聞いて、質問があればアダムに頼む」




 後でアダムに聞いたんだけどさ。

 AIの連中、俺の話を聞いて、びっくりし過ぎて疲れちゃってたそうだわ。

 はは、さすがは銀河技術のAIだよな。

 精神的に疲れることまで出来るんだ。





 古参AIたちのオーバーホールや新品のハードウエアへの換装は無事終わった。

 また、全員分の最新鋭アバターも届いたんで、全員に装着させて俺の神域で動作確認もさせた。

 銀河宇宙で5万年も働いていた古参AIでも、アバターは初めてのやつもいたよ。

 まあ、アバターは高価なものなんで、金持ちの天使族や神族しか買ってやれなかったらしいからな。


 そうして彼らにメシを食わせたり酒を飲ませたりの練習もさせたんだ。

 五感を備えたアバターは、技術的な問題よりもコスト的な理由で銀河史上初のシロモノだからなあ。

 AI連中も最初は随分と戸惑っていたようだわ。



 そうして、ひと月ほど経ってみんながアバターに慣れると、俺は1000人を22のグループに分けて、大族長たち22人に来て貰ったんだ。


「それじゃあ大族長さんたち。

 新しい仲間を紹介しよう。AI族の諸君だ。

 大族長さんたちには彼らを預かって貰い、この街での生活に馴染ませてやって欲しいんだよ。

 頼んだぜ」


「「「「「「 畏まりましたサトル神さま 」」」」」」



 まあ最新鋭アバターは見た目ヒト族と区別がつかないからな。

 つまり俺や神界防衛軍の連中と同じ種族に見えるんだわ。

 だから大族長さんたちも最初っから馴染んでるようだ。


 もっともAI族の連中はカチカチに緊張してるみたいだけど……

 まあ大族長さんたちに任せておけば、何の問題も無いだろうな……





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