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【爆撒英雄サトルのガイア建国記】  作者: 池上雅
第2章 銀河宇宙篇
246/325

*** 246 地球への里帰り ***

 


 数日後、デレ×10ぐらいだったエルダさまもようやくデレ×2ぐらいに落ち着いたんで、VRゲーム開発と地球でのテストをお願いしてみたんだ。


 そしたら、ついに俺が故郷に錦を飾るのかって喜んじゃってさ。

 悪魔族さんたちに命じて、日本食パーティーを開くことになったんだよ。


 パーティー料理は凄かったな。

 山海の珍味が山盛りだし、煮物やてんぷらも料亭並みの味だそうで、びっくりするほど旨かったし。

 寿司まで握れる悪魔族さんがいたんで驚いたけど。

 どうやら俺のために3年も前から日本の寿司屋で修行してくれてたんだと。

 それで頭を下げてお礼を言ったらさ、

「最近では部下たちにも寿司を握ってやっておりましてな。

 生魚を見てびびる初級悪魔たちの姿を皆で微笑ましく見ております」だって。



 それで俺、刺身盛り合わせの中に大好物のウニを見つけてぱくぱく食べてたんだ。

 みんな形を怖がって食べて無かったし。

 そしたら、その中級悪魔さんが、『ウニの軍艦巻き』でも握りますか?

 って言ってくれたんだ。


 だけど……

 俺ってほとんど好き嫌い無いんだけど、『海苔』だけは大の苦手でさ。

 申し訳ないけど、軍艦巻きは断ったんだ。


 それで小声で、

『心の欲するところに従いて海苔(のり)を食べず』って言ったら、エルダさまに聞かれちゃったんだ。


「あなたさま、70歳のお爺さんみたいなことは言わないでくださいな」

 って言われちまったぜ!





 小惑星帯の岩石の砂化が終わったんで、俺はまたじゃらじゃらとたくさんのアクセを身につけて、『資源抽出』を始めた。

 アダムによれば、およそ20日間ほどで魔法マクロが終了するそうだ。

 まったく便利になったもんだよな。


 抽出する資源の量がそれなりに多かったもんで、念のために『神界転移部門』にお伺いを立ててみたんだけどさ。

 あっさりと言われちまったわ。

『惑星丸ごとは無理でも、1万回ほどに分ければ惑星規模の質量でも転移させられますから大丈夫ですよ。

 でも先方の惑星の軌道が変わっちゃうかもしれませんけど、はは』

 だってさ……



 でも、念のために、惑星イルシャムに言って倉庫衛星か倉庫惑星を用意させておいた方がいいって教えてくれたんだ。

 それで惑星イルシャムの大統領府にそう伝えたら、「最近の資源不足で倉庫にはかなりの空きがあるんで大丈夫です」って言ってたよ。

 銀河の資源不足って、けっこうたいへんだったんだなぁ……





 地球のベライムスさんから連絡が入った。


 どうやら父さんと母さんへの説明が終わって、2人とも心の準備が出来たそうなので、5日後に地球に来て欲しいとのことだった。

 その日は日本は土曜日で、大学の研究室もお休みらしい。


 俺の映画を見せられたときには、母さんがわんわん大泣きしてたそうだ。

 父さんも泣いてたんで、2歳になったばかりの妹の美樹もつられて大泣きしてたそうだわ。




 地球訪問当日。

 さすがの俺も緊張してたよ。

 父さんや母さんに会ったら、ああ言おうこう言おうっていろいろ考えてたし。


 でも……

 俺が実家に現れた途端に、母さんが号泣しながら抱きついて来たんだわ。

 もちろん父さんも。

 それで妹の美樹もまたつられて大泣きしちゃって、俺も含めて家族4人で2時間ぐらい泣いてたよ。

 ああ、美樹は途中で疲れて寝ちゃってたけど。


 その日は、俺は「ただいま」とだけ言って、父さんも母さんも泣きながら笑顔で「おかえり」って言ってくれただけだった。

 美樹も後で「おきゃーり」って言ってくれたけど。

 そうして久しぶりに母さんの手料理を食べて、家族みんなでのんびりしたんだ。

 ガイアや神界のことについてはほとんど話が出なかったな。



 でも翌日。


「それで悟、神になったというのは本当なのか?」


「うん父さん、証拠になるかどうかわからないけど、神威の翼っていうのを貰ったんだ。

 見てみるかい?」


「是非見せて欲しいな」

「見せて頂戴……」



 それで俺、翼を全開にしてみたんだ。

 もちろん部屋中に金色の粒子が溢れてたけど。


 そしたらさ、美樹が翼に飛びついて来たんだよ。

「はにぇだぁ~♡」とか叫びながら。


 それからは大変だったわ。

 羽にすりすりするわ、ぶら下がってきゃっきゃ言うわ……

 それで俺が翼消すと泣いちゃうんだ。

 だから、仕方が無いんで羽一本抜いて美樹にあげたら、ずっと握って離さないんだよ。

 もう寝るときも風呂に入るときも……


『みき、おにちゃのおよめしゃんになるー♡』とかも言ってたよ。


 そしたら父さんがおろおろしながら、『お、おとうちゃまのおよめしゃんになるんじゃ……』って言ったんだけどさ。

 美樹はにっこり笑って、『ううん、おにちゃのおよめしゃん♡』って答えたんだ。


 俺…… 

 父さんがorzになってぷるぷるしてるの初めて見たわ……


 はは、システィ達の誰かが娘を生んでくれたら俺もこうなるのかな……




 数日経ってみんなが落ち着くと、俺は父さんと母さんに神界や銀河宇宙のことや今の俺の神としての任務について教えたんだ。

 家族のみんなには『加護』を与えてあるんで、たとえ死んでもすぐに生き返ることもだ。

 それから、俺が地球を含む銀河系第830中級神管区第28象限と第35象限の、計約2000の恒星系の統括管理神の筆頭補佐官になることも。


 そうした任務が有るんで、当面は週に5日ほどはガイアで働き、週末には地球に戻って来ることもな。


 それで、ガイアに帰る前に、新型高性能脳波検出器のプロトタイプと仕様書と設計図を渡したんだ。


 さすがにひと目見て父さんも母さんも真剣な目になってたわ。



「もしよかったら、これ読んでおいて欲しいんだ。

 それで、出来れば勇悟叔父さんの会社で製造して、或る程度普及させて貰いたいとも思っている。

 もちろん発明者は父さんと母さんということで」


「取敢えず詳しく読ませて貰うが……

 ざっと見たところ、これはどう見ても現代の地球の科学技術から100年、いや200年は先を行っている技術だな……」


「はは、さすがだね父さん。

 それは銀河最先端の惑星が作ってくれた、地球の科学技術の200年先を行く製品なんだ。

 それ以上の技術格差のある製品を後進惑星に持ち込むのは、神界が許可してくれないんだよ」


「わかった。取敢えず読ませて貰うとしよう……」



 俺がガイアに帰ろうとしたら、またひともめあったよ。

 美樹が大泣きしてたいへんだったんだ。

 でも、また羽一本抜いて渡したらすぐ泣きやんだけど……


 これ、まさかそのうち俺の翼の羽、無くなっちゃったりしないよな……

 肉屋で売ってる鶏の手羽先みたいになっちゃったらハズいな……

 神威もへったくれも無いどころか、サイアクのギャグだわー。




 ガイアに帰ると、またベライムスさんが尋ねて来た。


「サトル神さま。

 誠に申し訳ないのですが、お願いがございます」


「もちろんいいですよ、なんでも言ってください」


「実は……

 地球の金融シンジケートの者たちが、是非ともサトルさまにお目通り願いたいと……

 通常であればもちろん断るのですが、彼らの力があれば今後はサトル神さまの地球での試みにも役に立つかと考えまして……」


「そのひとたちって、ガイアに資材や食糧を売ってくれたひとたちですよね」


「はい」


「それでは是非お会いさせて頂いて、お礼を言わなければ……」





 翌週の金曜日、俺はベライムスさんに連れられて、アメリカNY州北部の森林地帯にある巨大な別荘に転移した。

 まるで謁見の間のような部屋には、20人ほどの重厚な男たちが跪いている。


(このひとたち……

 確か、「ロックフェラー」、「デュポン」、「ケネディ」、「カーネギー」、「フォード」、「ロスチャイルド」「モルガン」なんていう俺でも知ってるファミリーネームの持ち主なんだよなぁ。

 それも全員当主らしいし。


 前世の俺だったら萎縮しちゃってロクに話も出来なかったろうけど、まあ迫力とすればゼウサーナさまとかの方が遥かに格上だからな。

 なんか俺も不思議に落ち着いてるわ……)



 俺は一応神界の礼服である白地に金の縫い取りのあるトーガを着て、翼も全開にして宙に浮いていた。

 もちろん周囲には金色の粒子が広がっている。


(美樹にあげた羽の部分……

 櫛の歯が抜けたみたいになってなくってヨカッタ……

 あ、ベライムスさんが俺を紹介してくれるのか)



「皆の者、よく集まってくれた」


 男たちが一斉に頭を低く垂れる。


「エルダリーナさまは、先ごろ天使族から神にご昇格になられた」



「おおおおおお……」

「つ、ついに神にお成りあそばしたか……」

「そ、それは実にめでたきこと……」


「そして、この地球を含む銀河系第830中級神管区第28象限、約1000の星々を統括されることとなられた」


「「「「「おおおおおおおお……」」」」」



 お、なんか涙流してるひとまでいるわ……

 エルダさま、けっこう慕われてたんだな……


「そして、こちらにおわすのが、そのエルダさまの筆頭補佐官としての任に当たられるサトル神さまである」


「「「「「う、うはははははははぁーーーっ!」」」」」


「皆も承知の通り、エルダリーナさまは元は天使族であらせられた。

 そうして、数万年ほど前にこの地球に降り立ち、原人に知性を与えてヒト族をお創りになられたお方様であらせられる」


「「「「「ははぁーーーっ!」」」」」


「だが、神界の天使さま方がすべてそうした創造主であるわけではない。

 神界に認められた功績を為した者は、一般の種族の中から天使族、神族とご昇格なされるお方さまもおわす。

 そして、このサトル神さまこそは、銀河中にその名を轟かす大功績を打ち立て、それを寿いだ神界の命により、銀河系初のヒト族ご出身の神になられたお方さまである」


「「「「「おおおおおおおおおおお……」」」」」


「それではサトル神さまより言葉を賜る。

 皆、心して聞くように」


「「「「「うはははははははぁーーーっ!」」」」」



(うーん…… なんかマジ過ぎてキツいな……

 それに、みんな結構な高齢者なのに、跪いてたりしてヒザが痛くなっちゃうぞ……

 でもまあ少しはこのノリに付き合うか……)



「サトル神である」


「「「「「はははははははぁーーーっ!」」」」」


「今日はよく集まってくれた。

 皆と歓談したいのだが、ここでは少々堅苦しい。

 皆が座って話が出来る部屋は無いか?」


「お、畏れながら……

 それではサロンの方に御動座頂けますでしょうか……」



 それで俺たちは別室に移ったんだけどさ。

 ここもすげぇ部屋だわ。

 豪華な装飾が周囲を飾っていて、広大な部屋にソファが30人分ぐらい置いてあるんだ。

 これならみんなで話が出来そうだよな。

 まさに歓談用の部屋と言うかサロンだな。



「さて、実は私は皆の者には大変に世話になっておった。

 あの膨大な量の資材や食糧を買わせて貰っていたのは私である」


 一同の代表らしき最年長に見える男が声を出した。


「おおおおお……

 さ、サトル神さまがお買い上げ下さっていらっしゃいましたのでございましたか……」


「おかげで重大な使命を果たすことが出来た。

 まずは礼を言おう。ありがとう」


「そ、そのようなこと……

 すべてはエルダリーナさまの思し召しでございました。

 あ、あの、エルダリーナさまはお元気でいらっしゃいますでしょうか……」


(『先日女になって、今デレてます』とか言ったらどうなるんだろ?)


「うむ、実にご健勝であらせられる。

 それにしても、皆にはさぞかし苦労をかけたことだろうの」


「そ、そのようなこと……

 おかげさまをもちまして、あの購入だけで地球全体のGDPが0.5ポイントも増加したと言われておりまする……」


「それはよかった。

 ところでな、わたしはこれより当面の間、地球である任務に就くことになっている。

 そのために、また皆の手を借りなければならないことも出て来るかもしれぬが、そのときはよろしく頼む」


「も、もちろんでございます。

 エルダリーナさまは他ならぬ我らの創造主、そのお方さまが銀河1000もの星々を束ねられる大出世を為されたのは、我々にとっても大欣快でございます。

 その筆頭補佐官であらせられるサトル神さまであらば、我らにひとことお命じになられるだけで、我ら一同全身全霊を込めて働かせていただきましょうぞ」


「うむ、そのときはよろしく。

 ところで、その依頼の際の代価はまた金塊で構わぬか?」


「そ、そんな、代価などと……」


「いや、代価を伴わぬ依頼など、収奪や搾取と同義である。

 神界の神のはしくれとして、そのようなことは出来ぬのだ。

 報酬は金塊でよいのか?

 それとも他に希望はあるか?

 叶えられるものであれば、今までの礼の意も込めてそなたたちの希望に沿いたいと思っている」



 男たちが顔を見合わせた。

 しばらくすると、やはり年長の男たちが口を開いた。


「お、畏れながら……

 サトル神さまは、ボーキサイト不足の折りに、純粋アルミニウムを1億トンもご提供下さいました」


「金も含めて、あのような純粋資源は我らには到底作ることは叶いませぬ。

 あれこそはまさに神の御業……」


「それで…… ご無礼を承知で申し上げますが、サトル神さまは金やアルミ以外の資源もお持ちなのでございましょうか……」


「ほぼすべての純粋元素を所有している」


「うははははぁっ!

 じ、実は、最近の地球では、レアアースやレアメタルの不足が深刻になっております。

 そうして、それら資源を産出する少数の国々が、売り惜しみで価格を高騰させて参りました。

 さらに近頃では、それら資源の代金を最新鋭の武器で払うことを要求して来ているのでございます。

 もちろん我々はその要求を断りましたが……

 ですが、どうしても希少資源の欲しい国々が、武器との交換を行い始めてしまったのであります。

 こ、このままでは、部族間闘争や局地戦が大幅に増加してしまうものかと……」


「あい分かった。

 後ほど必要な資源とその必要量を、こちらのベライムスに届けてくれ。

 そうだな、取敢えず、予め今後10年分の必要資源を渡しておくこととしよう。

 代金は現在の市場価格の10分の1で計算して構わぬぞ」


「「「「「おおおおおおおおおお……」」」」」


「そ、そのような廉価で本当によろしいのでございましょうか……」


「うむ、この地球の治安を維持し、武力闘争を減らしむるのはわたしの任務そのものである。

 皆の者よくぞ言ってくれた。

 このような助言には今後も期待しておるぞ」


「「「「「うっ、うはあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」」」」」



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