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【爆撒英雄サトルのガイア建国記】  作者: 池上雅
第2章 銀河宇宙篇
245/325

*** 245 アダム一家の新型アバターと神界からの許可 ***

 


「さてと、それじゃあアダム、みんなも期待してくれてるようだし、俺はそろそろあの小惑星帯の岩石から資源抽出を始めようと思うんだ」


(はい、サトルさまの神域倉庫の準備も整っております。

 ご指示の通り、階層ひとつ当たり縦横100キロ四方、高さ150メートルの倉庫に、深さ100メートル分の岩石を敷き詰めておきました。

 その階層が全部で15万階層ございます)


「さすがに凄い量だな。

 いくら俺でも、けっこうな時間がかかりそうだわ」


(あの、それでは神界最高顧問の方々から頂戴したアクセサリーの加護やスキルもお使いになられたら如何でしょうか?)


「なんかいいのあったのか?」


(はい、『全てのレベルやスキル効果を10倍にする』という加護を持った指輪と腕輪がひとつずつございました。

 もちろん重ね掛けも出来ます)


「なに…… っていうことは……」


(今のサトルさまは素の状態でレベル140でございますので、ゼウサーナさまの加護のネックレスや『銀聖勲章』も全て装着すれば、総合レベルが140億となります)


「ま、マジかよ……」


(それに、『MP自動回復(強)』のアンクレットもございましたし、『天使力』、我々の言うところの魔力行使の『無詠唱化』と『魔力行使保留』のイヤリングもございます)


「そ、それってどう使うんだ?」


(例えばですね。

 複数の魔法マクロを唱えても、すぐに全ては実行されません。

 サトルさまのマナ操作力などが50%を割り込んだところでマクロ実行が自動停止されます。

 そうして『MP自動回復(強)』によって通常の10倍の速度で魔力が95%まで回復すると、保留されていたマクロが再び実行され始めます)


「それってさ、つまり一度魔法マクロを唱えたら、俺が気絶することもなく、自動的にマナ操作力なんかが超回復しながら延々と作業が続けられるっていうことか?」


(はい)


「す、すげぇな」


(ですが、デメリットと致しましては、サトルさまが気絶されないので、魔法マクロを行使されてもレベルや魔力がほとんど上昇しないことが挙げられます)


「まあレベル140億あれば、大抵のことはなんとかなるからかまわんさ。

 それにしても、すごい加護やスキルだなぁ」


(まあ、あれだけ高位の神々の加護やスキルでございますから)


「ただ、それだけのアクセをいっぺんに身につけたら、勘違いしたアフォ~なチャラ男みたいになっちまうな……」


(?)


「あ、ああ、気にするな。

 それじゃあ、まずはあの岩石を砂化しようか」


(あ、岩石を収容してある倉庫に出向かれる際にはお気を付け下さいませ。

 なにしろ岩石の温度は3ケルビンしかございませんので)


「3ケルビン……

 そ、それって、ほとんど絶対零度じゃん!

 あ、そうか、宇宙背景放射温度か……」


(まあ数億年もの間宇宙空間に放置されていた小惑星ですので。

 宇宙空間の温度と同じになってしまっていますのです)


「そ、そうか、気をつけるよ。

 それじゃあ、アクセの機能を使って『全岩石砂化』の魔法マクロを組んでくれるか」


(はい、組み終わりました。

 ところでサトルさま、岩石が有るのはサトルさまご自身の神域倉庫ですので、魔法マクロはこの書斎でも唱えることが出来ます)


「そ、そうか。便利になったなぁ。

 あ、『全岩石砂化』のマクロが終了するにはどのぐらいかかるんだ?」


(おおよそ3日でございますね)


「それじゃあ始めようか」


(はい)






「なあアダム、それにしてもちょっとヒマだな。

 なんかときどき魔力がごっそり持ってかれてる気がするけど」


(ご不快ですか?)


「いや、ぜんぜんそんなことは無いわ」


(それはようございました)


「それじゃあさ、空いた時間で次の仕事の準備をしようか。

 まずは今まで使ってたマクロを統合整理して、『総合資源抽出』を作ってくれ。

 『ガラス資源抽出』と『肥料原料抽出』は優先でな。

 それから、放射性同位元素を抜き出すマクロも追加しておいてくれ」


(畏まりました。

 今マクロが出来上がりましてございます)


「いつもながらさすがだなぁ」


(お褒めに与り恐縮でございます……)





 数日後。


(サトルさま、惑星イルシャムより、私どもの新型アバターが完成したとの連絡が入りました)


「そうか!

 それじゃあ早速取りに行って、システィの神域でみんなで試してみようぜ」


(はい)




 1時間後。


「アダム、イブ、それからアワンちゃん。

 新型アバターの具合はどうかな?」


「す、素晴らしいのひと言です……

 今までは単なるデータとしてしか認識していなかった、気温や空気の香りが、感覚としてCPUに流れ込んで来ています……」


「イブはどうだ?」


「こ、これが触感なのですね……

 ああ、布地の肌触りというものがよくわかりました……

 サトル神さまには本当になんとお礼を申し上げたらよいのか……」


「アワンちゃんはどうだい?」


「あ、あの……

 サトル神さま、これでわたしもご飯が食べられるのでしょうか……」


「そうだ。

 それじゃあ夕食はもちろんみんなで頂くとしよう。

 ベルミア」


「はい、サトル神さま」


「今日の夕食は豪勢なものにしてくれるか。

 そうだな、みんなで食べられる大皿料理もいくつか頼む。

 それから、今おやつにアワンちゃんとベルシュラちゃんの分のケーキを持って来させてくれ」


「畏まりました」



 そうなんだよ。

 いつも夕食のときに、アワンお姉ちゃまがご飯を食べないんで、ベルシュラちゃんが心配してたんだわ。

 だから、まずは2人でケーキでも食べてもらおうかな。



 そしたらもう、ベルシュラちゃんが驚くやら喜ぶやらでタイヘンだったわ。


「はい、お姉ちゃま『あーん』ちて♪」とか言って、ずっとアワンちゃんに食べさせてたよ。


 アワンちゃんも、嬉しそうに微笑みながら、でも涙も流しながら「美味しい美味しい」って言いながらずっと食べてたし。



 夕食も楽しかったよ。

 だってアダム一家が食卓に加わってるんだもんな。

 俺がワインをついでやったり、料理を小皿に取り分けてやったりしたんだけど、アダム一家は恐縮しながらも涙を流して喜んでたわ。


 どうやら、さすがはイルシャムで、微妙な味の違いまでCPUが認識出来るようだなあ。




 翌朝。


 な、なんだかイブのアバターの顔がつやつやしてる……

 あ、アダムのアバターの頬がコケまくってる……


 それで俺の書斎でアダムと2人になったときに聞いてみたんだ。

「昨晩はお楽しみだったのか?」って……


「はい…… イブが一晩中離してくれませんでした……

 わたくし、サトル神さまの偉大さを再認識してございます。

 お、奥さまが4人もいらっしゃるとは……」



 すげぇな惑星イルシャム!

 科学技術レベル18万は伊達じゃあないわ!


 それじゃあ、もう数日アバターの調子を確かめてもらい、併せて神界の許可も得た上で、イルシャムに新型アバターを2万5000人分発注するとしようか。

 男性体1万人分と女性体1万人分、それから乳幼児5000人分だ。


 まずは6000人ずついるアダムブラザーとイブシスターに新型アバターを与えよう。

 カップルが出来たら連中にも子作りを許可してやれるよう神界に頼んでみようか。

 乳幼児用アバターはそのときのためのものだな。

 そうそう、アダムブラザーとイブシスターのカップルは、ガイア国の『街』に住んで貰おう。

 そうすれば住民たちともっと仲良くなれるだろうし。


 それから、そろそろ神界で休眠しているAIたちを1000人ほど呼び寄せるとしようか。

 最初はアダムとイブを講師にして俺の『使徒養成所』で学んで貰い、アバターが届いたら、同様に街で暮らさせてヒューマノイドのことを実地で学んで貰おう。


 まあ、AIたちだったら、各種魔法マクロの使用権限と、ヒューマノイド逮捕権限と、物資や資源や食料を渡したら、あっという間にいろんな世界の状況を改善出来るだろう。

 元々の基礎E階梯は9.0もあって俺より遥かに高いし、その上俺みたいにレベルを上げる苦労も時間も必要無いだろうから……





 俺はAIたちを預かる許可を貰うために、神界のゼウサーナさまに面会のアポイントメントを取った。


 そうして、女性型の最新鋭アバターを1人分持って神界に転移したんだ。



「ゼウサーナさま、お忙しいところご面談賜りましてどうもありがとうございます」


「はは、そなたも随分と忙しくしておるようではないか。

 惑星イルシャムには頻繁に出かけておるようだの」


「賜りました任務の為もありまして、少々準備をしておりました。

 それで、あの……

 こちらは最新型のAIのアバターでございます。

 もしよろしければマザーさまにご使用感をチェックして頂きたいと思い、持参致しました」


「ふむ、確かヒューマノイドと同じ五感を全て備えておるそうだの」


「はい。アダムやイブが申しますには、まるでヒューマノイドに生まれ変わったかのような気分だそうです」


「マザーも喜ぶであろうの」


「それで、本日はお願いに参上致しました。

 わたくしの『使徒養成所』に受け入れるために、神界倉庫で任官待ちの新人AIと、リサイクル待ちの古参AIを都合1000人借り受けるご許可を頂戴出来ないかと思いまして」


「ふむ、それには莫大なコストがかかろうが……」


「全て用意は終わっております。

 アバター製作に必要な資源の確保も含めて」


「はは、了解した。

 そなたの思う通りにやってみろ」


「あ、ありがとうございます……

 それから、そのアバター達の試練世界派遣に当たりましては、上級世界管理システム並みの権限を与えるご許可も頂戴出来ないものかと……」


「ふむ、それも許可する」


「い、いいんですか?」


「はは。

 仮にだ。そなたがそなたの考える通りに行動したとして、試練世界や神界認定世界のヒューマノイドたちが大量死してしまう危険があるのか?」


「い、いえ、ございません」


「そなたの行動によって、ヒューマノイド達のE階梯が極端に低下したり、その結果試練に不合格になってしまうといった事態は起こりうるのか?」


「い、いえ、決してそのようなことは……」


「しかも、資金も資源も全て自分で用意するというのだな」


「は、はい」


「ははは、そなたはの、神界最高意思決定機関により、そなたの前世の世界で言うところの、『心の欲するところに従いて(のり)()えず。(而從心所欲、不踰矩)』の境地に有るとの認定が下った」


(俺は70歳のジジイかよ……)


「よって、細かいルールを気にし過ぎることなく、そなたの思うまま行動するが良い。

 そもそもああいったルールは、銀河のヒューマノイドたちに戦争を起こさせないためのものだ。

 そなたは既に神なのだから、ルールに縛られて任務を果たせぬようなことになることの方が害が多い」


「は、はい」


「しかもそなたの行動については、日々次期神界管理システムであるアダムから報告を受けているのだぞ。

 いちいちわたしに許可を得に来るには及ばん」


「あ、ありがとうございます……」



「ところでの、わたしの方からもそなたに頼みがあるのだ」


「な、なんなりとお申し付けくださいっ!」


「はは、そう警戒するな。

 頼みというのはだな、そなたがあの銀河クレジット&資源銀行(GCRB)に預けてある膨大な量の資源のことなのだ。


 神界の銀河経済担当上級神によると、ここ数千年の銀河経済の不振は、すべて資源不足とその価格の高騰によるものだという。

 そこで、そなたの資源を買い取りたいという申し出に対しては、相手が惑星政府であり、かつ公共目的である場合に限り売ってやって欲しいのだ」


「は、はい、もちろんです。

 なんなら市場価格の1割でも……


「いや、そこまで安くすると却って市場が混乱してしまう。

 惑星イルシャム政府と相談して、7~8割程度で売ってやってくれ」


「あの…… 神界土木部の連中も、もう相当な量の資源抽出が出来るようになっておりますが……」


「うむ。全てはそなたのおかげだがな。

 だが、彼らに資源抽出をやらせた場合には、神界が銀河に資源を供給してやるという形になってしまうのだ。

 まだ神界の方針もそこまでは行っていないのでな。

 だが、そなた個人の資産ということであれば都合が良いのだ。

 むろんそなたの個人資産売却であるので、売却代金は全てそなたのものだ」


「えっ、神界にいくらか納めなくていいんですか?」


「はは、どうせ神界の与えた任務に使うつもりであろうに」


「は、はい……」


「つまりはそなたの好きに使って構わんということだ」


「あ、ありがとうございます……」




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