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【爆撒英雄サトルのガイア建国記】  作者: 池上雅
第2章 銀河宇宙篇
238/325

*** 238 『使徒育成・派遣機関』設立 *** 

 


 俺は神界最高神政務庁のゼウサーナさまの執務室で新しい任務の提示を受けていた。


「この『使徒育成・派遣機関』という新しい試みを試す前に、最高神さまは最高神政務庁に対して、そなたに教練を受けていた神界土木部の若手や神界防衛軍の特殊工兵部隊への調査をお命じになられた。

 そして、彼らの能力、熱意共に驚異的なものであったということが明らかになったのだ。

 最高神さまも実にご満足為されていたぞ。


 そうして、新設の使徒教育機関のトップとしてそなたが相応しいがどうかの最終評価も査察団の役割だったのだ。

 まあ、合格評価どころか、最高顧問団の総意による強力な推薦まで付いたがの」


「あ、あの……

 使徒を使って試練世界を改善して合格しても、初級天使の評価は低いんじゃあなかったんですか?

 それに、前から疑問に思ってたんですが、例え使徒を使ったとしても、それって知的生命体への過剰関与になってしまうんじゃないでしょうか」


「うむ。

 そなたの懸念と同じものを抱く神も大勢いることは事実だ。

 だがの。

 これだけは心得ていて欲しいのだが、試練世界が不合格になって、その世界の知的生命体を消去せざるを得なくなるのは、神界にとっても大痛恨事なのだよ。

 如何に過剰に好戦的な種を排除して、現在存在する8800万の世界を守るためといってもの。


 故に、多少の関与や手助けをしてでも、全ての試練世界を合格に導いてやりたいと考える神々も多いのだ。


 だが、今まではその方法が無かったのだよ。

 神界の財源手段も限られておったしの。


 だがそなたは、たったの3年であのガイアを合格確実な状態に導いた。

 ここ数百万年で最低最悪の暴虐世界として銀河中で有名だったあのガイアをだ。

 それも洗脳や遺伝子改変といった禁止行為をしたわけでもなく、誘拐や殺戮も行わず、なんと死傷者ゼロのままでの合格だ。

 しかも神界の財源を頼ることも無く。


 これはわたしの個人的な考えだが、そなたがそなたに匹敵する優秀な使徒を育てる体制を整えられたならば、そうしてそなたの教え子たちによって、全ての試練世界が合格に導かれるようになったならば……

 そなたには2つ目の『神界金星勲章』、いや新たに『神界最高栄誉勲章』すらも創設する必要が出てくるかもしれまいて」


「は、はぁ……

 自信はまったくありませんが、微力ながら努力はさせて頂きます……」


「そうか。

 それでは神界の指揮命令系統としては、そなたは最高神政務庁直属となる。

 つまり報告義務を負う直接の上司はわたしだ」


「えっ、中間管理職もいないんですか?」


「なにしろまったく新しい試みのために上級神直轄事業となったのだ。

 もちろん失敗しても責は問わぬので、そなたが思う通りにやってみるがよい。

 そのためには神界も援助は惜しまぬぞ。

 また、これよりそなたはこの執務室にフリーパスとなる。

 なにか問題が生じた時にはすぐに相談に来い」


「は、はい……」


(これって相当な特別待遇だよな……)



「それからの、今回の査察団の訪問には、さらにもうひとつの目的があったのだ」


「はい……」


「神界には元々、『神は天地を創るのみ。天使は知的生命体を創造するのみ』という大原則があった。

 まあ、それ故に過剰関与が禁止されていたわけでもあるが。


 だが、そなたが救った惑星ウールの民の件、それからそなたという使徒がガイアを救った件。

 それらにも基づいて、今神界は大きな方針転換のときを迎えようとしておる。


 それは、『知的生命体創造時を除いての遺伝子操作や洗脳と言った過剰行為は禁止するものの、銀河の知的生命体の未来には神界が多少関与してやってもいいのではないか』と言った方針だ。

 まあ、どこまでが過剰関与でどこまでが許されるかと言った議論は、今為されておるところだが。


 ただ、ウールのように、自然災害によって絶滅に瀕した文明は、これを神界が救済するといった方針は作られることだろう。

 今までは財源難によって不可能だった救済も、これからならば可能になろうしの。

 もちろんこれも、あの『資源抽出』というそなたの大功績によるものだが……」



「あ、あの……

 実はガイアの情勢が落ち着いたんで、最近いろいろと考えていたことがあるんです。

 例えば、わたしは今後どんな仕事をしたいかなどと……」


「ほう、それは興味深い。是非聞かせてくれ」


「そうですね、まだ漠然と考えていただけなのですが、ウールのように自然災害によって絶滅や困窮の危機にある種族を助けてやる組織の創設とか……」


「はは、さすがは『銀河の英雄』だの。

 だが、まずは『使徒育成機関』の方に尽力して貰いたいのだがの」


「あの……

 実はその両者って、同じようなものなんじゃないかって思うんです」


「ふむ、何故そう思うのか?」


「試練世界の救済のために使徒に必要なもの、それから自然災害世界の救済のために必要なもの。

 それは担当者のE階梯の高さと魔力の高さ、それから管理システムのような超忠実な補佐官たちと資金力だけだと思うんです」


「………… なるほど …………」


「ですから、使徒育成のために創った機関と人材は、そのまま自然災害救済のための機関、そうですね『銀河救済機関』とでも言いましょうか。

 その機関にそのまま使えるんじゃないでしょうか。

 もしくは無事使命を果たした使徒たちの再就職の場として」


「なるほどよくわかった。

 そなたの考えを、私もバックアップしようではないか」



「それではいくつかご質問をお許し頂けますでしょうか」


「うむ、なんでも聞いてみろ」


「あの…… 『資源抽出』の魔法は秘匿事項なんですよね」


「うむ、あのような技術が一般的になれば、銀河経済が大混乱を起こして恐慌に至るであろうからの。

 もっとも、あれは神界に属する管理システムたちの助けが無ければ発動出来まいが」


「それでは、わたしが抽出した資源で銀河世界の技術や生産物を購入することについては如何でしょうか?」


「はは、ガイアの全ての岩石からことごとく資源を抜き出す気か?」


「い、いえ、実は最近ガイアのある太陽系の小惑星帯の岩石を大量に入手したものですから……

 そこから抽出した資源を使って、いくらかの銀河の産物を輸入したいと思っているんです」


「なんとまあ、それでは惑星規模の量の岩石から資源抽出が出来るわけか……」


「それを使えれば、『使徒研修・派遣機関』設立の財源にも、使徒たちが実際に自分たちの試練世界を救済するときの資金にも充当可能です。

 実はそうして手に入れた銀河宇宙の産物で、養成した使徒たちの任務を助けてやりたいと思いまして」


「はははは、神界からの要請に基づいて機関を設立するのに、その運営費や使徒たちの活動資金までそなたが稼ぐと言うのか」


「ま、まあ、たまたま稼ぐ手段があるものですから……」


「よかろう。わたしの権限で全面的に許可する。

 だが、まずは『使徒研修・派遣機関』の設立だ。

 その結果如何によって、『銀河救済機関』の設立を考えることとする」


「はい」





 ということで、俺は試練世界救済のために『使徒養成・派遣機関』を作ることになったんだ。



 それでまずは、他の試練世界の初級天使たちが召喚した使徒たち30人が、試験的に俺に教育を受けるためにガイアに派遣されて来たんだよ。


 その新人使徒たち30人の内、25人がヒト族だった。

 後は狼人族みたいな肉食獣系の知的生命体だ。

 まあ、肉食獣系やヒト族系の住民が住む試練世界ほど罪業カルマポイントは多かったからな。


 だけどさ、どうしてヒト族の新人使徒のうち、大半が地球出身なんだ?

 それも日本人ばっかしだし。

 そりゃまあ、俺がそうだったからそうなったのかもしれないけどさ。

 それでも偏り過ぎなんじゃあないか?



 それで俺は、早速そいつらにレポートを書かせたんだわ。

 内容は、

『使徒としてどういう心構えを持っているか』

『どのようにして担当世界の罪業カルマポイントを減らすつもりか』

『そのためにどのような努力をするつもりか』

 そうして、

『試練合格後は、どのように生きて行きたいか』

 っていう点についてだったんだ。


 まあ、みんな一生懸命書いてたよ……




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