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【爆撒英雄サトルのガイア建国記】  作者: 池上雅
第1章 ガイア建国篇
201/325

*** 201 金も頂き! ***

 


 こうして俺たちは、2日間の作業で大聖国の岩塩鉱山の岩塩の約98%、4000億トンを手に入れたんだ。

 これはまあ軍資金っていうよりは、奴らの資金力を削ぐのが目的だけどな。

 さて、次は金鉱山か。



 俺たちはまた北部山岳地帯の高原に降り立った。


「なあアダム、高品位金鉱石って、岩塩と違ってそんなに固まっては存在して無いんだろ」


(はい、この地点より地下4000メートル地点では、半径5キロほどの球形状の範囲に金合有率平均1%ほどの高品位鉱石分布が存在しておりますが、その周辺はほとんど普通の岩石です。

 また、合有率0.5%以下の鉱石も、いくつかに枝分かれして存在しております)


「そうか、それじゃあまずは合有率1%の鉱石を周りの岩石ごと頂くとしよう。

『現地点を中心に直径300メートル、深さ4000メートルに渡って岩石を砂状に粉砕して穴を掘り、砂は神域倉庫に転移させよ。

 その後は最深部に於いて、半径5キロの球状に岩石を掘削して同じく砂状にして転移させよ。

 掘削後の全ての岩石面は圧縮の上強化せよ』」



 はは、なんか真っ暗な穴のなかでざーざー音がしてるよ。

 なるほど、岩石が砂化される音と地下水が湧き出してる音か。


 こうして30分ほどで、約520立方キロの金鉱石が掘削されて転移させられたんだ。


 俺はアダムと共にまた各種魔道具を纏って穴の底部に降り立った。

 うーん、ここもスゲェ空間だわ。

 半径5キロの球形状の空間か……

 これだけ広いと、俺の上に浮かべた光の魔道具じゃ、周囲の壁まで光が届かないんだな。

 なんか不思議な感覚だよ。

 俺の体は明るく照らされてるのに、上下左右360度真っ暗に見えるなんて。



「なあアダム、これで純度1%以上の高品位鉱石はあらかた頂いたんだろ」


(はい)


「それじゃあ純度0.5%以上の鉱石はどの辺りにある?」


(それではただいまサトルさまの網膜に矢印と数字を表示させて頂きます。

 矢印の方向に数字の距離だけ、壁面から直径300メートルほどの穴を掘って頂けますか)


「おー、便利だなこれ」



 それから俺とアダムは2時間で30本ほどの穴を掘って、この金鉱山の純度0.5%以上の金鉱石もあらかた頂戴したんだ。

 地球でも純度0.5%未満の金鉱石だと精錬しても採算割れになるそうだし、精錬技術の低いガイアだと、もはや残された鉱石から金を得ることは出来ないだろう。


 大聖国が鉱山奴隷に掘らせている坑道の方向にも穴を掘ったよ。

 奴らの坑道の切端まであと10メートルほど残してな。

 坑道を掘り進んでこの空間に辿りついたら、連中もさぞかしびっくりすることだろうな、ははは。


 これで俺たちはまた3日ほどかけて、大聖国の金鉱山3カ所から大量の金鉱石を採掘したわけだ。



「なあアダム、これで約2000立方キロほどの金鉱石を採掘したことになるけどさ。

 これって平均で金の合有率ってどのぐらいあるんだ?」


(1%以上の高品位部分もございますが、多くはただの岩石部分でございますので、平均では合有率0.1%ほどになりましょうか)


「っていうことは……

 この岩石全部から金を『抽出』したら、約60億トンか。

 それって1グラム4000円として……」


(約2400京円になります)


「それってなんだか多過ぎないか?

 地球全体の金産出量って年間3000トンぐらいしか無いんだろ?

 ガイアの金鉱山って特別金の埋蔵量が多いのか?」


(いえ、地球と変わらないと思われます。

 仮にサトルさまが地球上の主要金鉱山で同じことをした場合、同量の金が採掘出来るでしょう)


「ということは……」


(僭越ながらわたくしの探査技術、それからサトルさまの掘削魔法、及び『抽出』という精錬魔法があってこその数字でございます。

 もし地球の産金業者にこのガイアの金鉱山開発を任せたとして、1000年かけてもその1%も採掘出来ないでしょう。


 また、特に金は精錬の難しい金属として知られています。

 なにしろ化合物にするのが非常に困難でございますから。

 実際に地球では、1キロの鉱石から純度99%以上の金を精錬した場合に、鉱石からの抽出率を90%以上にするためには、得られる金の価値の10倍のコストがかかるそうです。

 しかも、金合有率0.5%未満の鉱石では、最新技術で精錬したとしても、得られる金の価値をコストが上回ってしまいます。


 ですから地球の産金業者でも、この鉱山の金鉱石を金に精錬可能なのは、埋蔵量全体の0.1%に満たないでしょう。

 それも1万年かけて掘り出した岩石を、全て精錬出来たとしての話です。

 例え地球の産金業者をこの地に連れて来たとしても、年当たりの産金量はせいぜい100トンほどでございましょうな)


「なるほど。

 如何に掘削と抽出の魔法が便利かっていうことか」


(はい)


「それにしても、60億トン、2400京円……

 うーん、日給800京円か。

 この3日間8時間ぐらいずつ働いたから、時給にすると約100京円か。

 わはは、すげぇな!」


(たぶん銀河の歴史を通じても、史上最高の時給労働でございましたでしょう)


「わはははははは。『魔法』ってカネになるなぁ」


(神界が秘匿したがる技術なのもよくわかります)


「そうだよな、こんなもんが誰でも使えるようになったら、銀河中で貴金属価格が超絶大暴落してエラいことになっちまうだろうからな」


(はい)


「それでもレアメタルとかレアアースとか、たくさん採掘してやったら銀河経済もけっこう豊かになるんじゃないか?

 ガイアの試練が無事通過出来たら、少し銀河のために働いてやるか……」


(またゼウサーナさまが青筋を立てなければいいのですが……

 ところでサトルさま。

 砂金の採れる河川についてはどうされますか?)


「そっちは簡単だろ。

 川の上空で『金抽出』を発動させればいいだけだろうから、タイミングを見て全部頂くわ」






 俺はそれから3日ほどかけて、大聖国の金鉱山から頂戴した鉱石から金を抽出して大金貨を作ったんだ。


「なあアダム、ちょっとサロモンとイシスを呼んでくれるかな」


(畏まりました)



「お呼びでございましょうかサトル神さま」


「サロモン、イシス、忙しいところすまんな」


「と、とんでもございませぬ。

 して、どのようなご用命でございましょうか……」


「いや、用命っていうほどのもんじゃあないんだが、ここ2週間ほどで大聖国の塩鉱山と金鉱山から岩塩鉱と金鉱石を頂いて来たんだよ。

 それで先日、サロモンが大聖国に大金貨10万枚近くも払ったの口惜しがってたからさ、頂いた岩塩と金鉱石で作った金貨を見せてやろうと思ってな」


「そ、それはそれは……」


「それじゃあまず塩倉庫に移動しようか」




「こっ、これは……」


「はは、けっこうたくさんあるだろ。

 これ全部大聖国の岩塩鉱山から持って来た岩塩なんだけどさ。

 全部で4000億トンほどあるんだ。

 だから、もし今のこの世界の価値で換算するとすれば、大金貨40億枚(≒4000兆円)ほどになるか」


「「…………」」


「まあそんなに買ってくれる奴もいないだろうけどな、あはは。

 それじゃあ次は金貨倉庫に移動しよう」



「ほら、ここにある大金貨も、全部大聖国の金山から持って来た鉱石で作ったものなんだ。

 全部で大金貨コンテナ48億個、240兆枚(≒2400京円)になったぞ」



「「……………………」」


「ということでだ。

 サロモンが大聖国に払ったカネは、数十億倍にして取り返したからな。

 これですっきりしたんじゃないか?」


「あ、あの……

 こ、これらの岩塩と金は、すべて大聖国の鉱山から採って来たということなのでしょうか……」


「そうだ」


「や、奴らの塩と金をすべて……」


「いやまあ岩塩鉱山の塩と金鉱山の金の99%ぐらいだけど」


「そ、それはそれは……

 今頃大聖国も大慌てでございましょうな……」


「いや、奴らの掘ってる坑道付近はそのままにしてあるから、まだぜんぜん気づいてないと思うな」


「き、気づかれないうちにこれだけの塩と金を!」


「奴らに対する経済攻撃が本格化したら、奴らも気づけるように残りの塩も金も頂くけどさ。

 そういう攻撃って、一気に畳みかける方が効果が大きいんだぜ」


「は、はは…… 

 軍による戦争ではなく、経済による戦争がこれほど恐ろしいものだったとは……」



「それじゃあ大陸東部と同じように、西部でもまずはテストケースとしての国を選んでみたいんだけどさ。

 人口20万人ぐらいの中規模の国で、港があってサロモン商会の大きめの支店がある国でどこか良い候補ってあるか?

 出来れば大聖国本国からは少なくとも3000キロは離れている国がいいな」


「そ、それではガイア国の西南の出城から1000キロほど西に行ったところに、ズワスデン王国という国がございます。

 ここは王都が港に面しておりまして、既にサロモン商会の中規模の支店もございます」


「さすがだな。

 そこには大聖国の教会もあるのか?」


「はい、大陸西部の全ての国には大聖国教会がございますので。

 ズワスデン王国には、大聖国教会の中級司祭がいる中程度の教会がございます」


「それじゃあまずそこからテストケースを始めてみるか……」





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