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【爆撒英雄サトルのガイア建国記】  作者: 池上雅
第1章 ガイア建国篇
199/325

*** 199 対大聖国戦略会議 *** 

 


 翌日俺は、イシスやサロモンに加えてベギラルムとオーク・キング、オーガ・キングにも集まって貰った。


「それでは今から今後の大聖国対策について、俺の考えを説明しようと思う。

 皆よく聞いて、不安がある点や事前に必要な準備を指摘して欲しい」


 うん、みんな真剣に頷いてくれてるよ。


「俺は、大聖国に対しては他の国とはそれなりに違うアプローチが必要だと考えている。

 主な柱は3つだ。

 まずは奴らの経済力を削ぎたい。

 何と言っても奴らが溜めこんでいる財力はかなりのものだからな。


 次は公称80万と言われる奴らの軍備を削って行くことだ。

 これはまあ、奴らの財力を削減すれば自然に減るかもしれんが、元々はならず者だった連中だ。

 大聖国の財力を削げば、奴らの国軍である神聖騎士団はそのまま盗賊団に戻って住民に迷惑をかける存在なるだろう。

 そこで、神界防衛軍との連携が必要になる」


「食糧や給与の支給が滞れば、軍がそのまま盗賊団になってしまうということですか……」


「そうだ。

 奴らの頭には治安とか軍規とかいう概念は無いからな。

 だが、幸いにも大聖国は本国に30万の中央軍を置き、その他50万は周辺属国群に置いている。

 それも数千から1万ほどの駐屯地を無数に作ってだ。

 まあ、『教会税』という名の収奪を行う組織なのでそうなっているのだろうが。

 おかげで各個撃破が容易になっているという利点もある」


「なるほど。

 それではサトルさまは、大陸東部と同様に大陸西部でもまず中心になる国を潰し、その後辺境国からあの封じ込め政策を仕掛けられるおつもりなのですな」


「そのつもりだが、大陸西部ではそれだけでは十分ではないだろう」


「と、仰いますと……」


「大陸西部にはあって、大陸東部には無いもの。

 それは『信仰心』なんだよ」


「『信仰心』でございますか……」


「そうだ。あれだけ粗暴な統治を行って来た大聖国が今まで生きながらえて来たのは、住民にシスティに対する信仰心が存在していたからだ。

 故に、その教えを説く大聖国中央大神殿の統治にあまり不満を持てなかったんだよ。

 実際にこの世界の知的生命体を創造したのはシスティなんだから、彼らの信仰心も間違ってはいないからな」


「なるほど」


「だが、大聖国はその教えを歪めた。

 聖職者たちは、勝手にシスティの言葉を捏造し、住民を喰い物にし、自らの支配権を維持しつつ、私財を溜めこむだけの存在に成り下がっている。

 だから仮に今、大聖国の上級聖職者たちを全員捕えたとしても、住民に信仰心があるうちは体制は変わらないだろう。

 中級聖職者や下級聖職者共が、嬉々として新たな支配層に取って代わるだけだ」


「支配層の代わりはいくらでもいるということですか……」


「よって俺は、大陸西部の住民の信仰心をそのままに、大聖国教会の権威を徹底的に崩壊させたいと思っている。

 教会はニセモノで、ガイア国のシスティこそがホンモノだと知らしめるようにな。

 これが3つ目の柱だ」


「それはそれは……

 具体的にはどのような方法で?」



 それで俺はみんなに俺の考えた戦略を説明したんだよ。

 説明するにつれてみんなの顔に笑みが広がっていたけどな……



「ふう、相変わらず凄まじいばかりの深謀遠慮でございますな……」


「これは実行が楽しみでございます……」



「それでこれからは、その戦略を実行するための準備の話になるんだが……

 まずはオーガ・キング、ちょっとオーガ族に頼みがあるんだ」


「光栄の至り」


「まずオーガ族の戦士を300人ばかり用意してくれないかな。

 彼らには俺の直轄軍として動いて貰いたいんだ。

 もちろん、万が一にも怪我の無いように、俺の加護や防衛用の魔道具も最大限に支給するつもりだが」


「まさにオーガ族最高の栄誉でございますな。

 それではわたくしが自ら引き連れて……」


「い、いやキングは大族長としての仕事が忙しいだろうに。

 だから若手の有望株をリーダーにして、300人集めておいてくれないか?」


「ううむ、それはちと残念ではございますが……

 それでは次の次の族長候補と目されております若手リーダーを中心に、選りすぐりの戦士300人をご用意させていただきましょうぞ」


「よろしくな。

 それから次にオーキー」


「ははっ」


「どうやら大聖国の連中は獣人や亜人が嫌いみたいなんだけど、その中でも特にオーク族を憎んでるみたいなんだ。

 どうも大昔に教皇がオーク族の少女を無理矢理手籠めにしようとして、それで返り打ちに遭って重傷を負わされたかららしいんだけどさ」


「はは、よく存じ上げておりますよ」


「そういえばその少女はそのまま逃亡したそうなんだけど……

 その後はどうなったんだろうかなあ。

 無事だったならいいんだが……」


「それでしたら、その娘は各地の同族や獣人亜人族に助けられ、また彼らを引き連れて無事中央大平原に移住して参りました。

 ご安心くださいませ」


「よくそんな昔のことを知ってるな」


「ははは、『オーキリーナの1万人大逃避行』といえば、我がオーク族に伝わる最も有名な英雄伝説ですからな。

 親や祖父母が子や孫に語って聞かせる定番のお話なのですよ。

 彼女は無事この地に辿りつき、そうして一族中興の祖となりました。

 何を隠そうわたくしめの遠い遠い祖先でもあります」


「そうだったのか……」


「まあそれ故に、我がオーク族が最も大聖国に嫌われているのは当然でございましょう」


「そ、それでだな。

 俺の戦略では、オーク族の姿を借りたいと思っているんだ。

 そちろんお前たちのそのままの姿だと優し過ぎるから、もっともっと醜悪な姿にデフォルメしようと思っているんだが……

 それでオーク族にはあんまり気を悪くしないで貰いたいんだよ」


「おお! それは光栄でございます!

 どうぞどうぞ徹底的に我らを悪者にしてくださいませ……」


「す、すまんな……」


「どうぞお気づかいなく。

 これでようやく虐げられた祖先の仇が討てます。

 種族の皆にもよく言っておきますので」


「ありがとな。それからサロモン」


「はっ!」


「大陸西部の街や村の支店用地買収は進んでいるか?」


「ははっ!

 各国の王都と主要な街の支店用地買収は終了いたしました。

 現在は村の営業所の用地取得が50%ほど、各街のスラムの炊き出し拠点確保が30%ほど進んでおります」


「もうそんなに進んだのか。さすがだな」


「はは、資金に何の不足も無いと、これほどまでに順調に進むものなのですな。

 土地の取得に大金貨5万枚(≒500億円)ほど、それから大聖国の第1種商業免許の取得と3年分の免許料として大金貨1万枚(≒100億円)、特別商業許可免許の取得に大金貨2万枚(≒200億円)ほど使わせていただきました。

 ただ……

 土地の取得費はまあいいとして、サトル神さまのお指図とはいえ、第1種商業免許に加えて特別商業許可免許まで必要だったのでございましょうか……」


「もちろんだ」


「はぁ、大聖国中央大神殿から特別商業許可免許を取得するために、聖職者どもやら中央大神殿やらに、合わせてさらに大金貨2万枚もの賄賂を要求されてしまいましたわ。

 それを言われるままに支払いましたのが、なにやら口惜しゅうて……」


「はは、まったく構わんぞ。これも戦争行為の一環だ。

 それにそんなものはすぐに取り返してやるからな。

 それじゃあ追加でサロモンに大金貨コンテナを100個ばかり渡しておこう」


「大金貨500万枚、ビクトワール大王国国家予算の30年分でございますか……」


「まだまだあるから気にするな。

 それでは大陸西部では、念のために既に建物がある地も俺が用意した建物と取り替えることとしよう。

 新しい建物にはガイア国直結の『転移の魔道具』と『絶対アブソリュートフィールドの魔道具』を設置してあるから安心してくれ。

 そうだな、建物の入れ替えは10分ほどで終わるから、アダムと相談して夜中に支店の人員を避難させて行って欲しい」


「はっ」


「それから、このガイア国内にサロモン商会の分社用の建物を用意するので、そこに商会の司令部を作ってくれ。

 人員は何人いても構わんぞ。

 最終的には商会の本社機能を全てここに移して貰いたいからな。

 そうだな、従業員の家族のことも考えて、サロモンに40万人都市をひとつ預けよう。

 住宅の数を少し減らして、商会用に5階建てのビルを200棟ほど作っておくとするか」


「あ、相変わらず凄まじいお力で……」


「魔法マクロの設計だけしておけば、あとは神界土木部の連中が張り切って造ってくれるからな。

 それじゃあみんな、他になにか意見はあるか。

 今は無くても、なにか思いついたらアダムに連絡を取ってすぐに知らせて欲しい。

 各自準備を頼んだぞ」


「「「「「 御意! 」」」」」




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