表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【爆撒英雄サトルのガイア建国記】  作者: 池上雅
第1章 ガイア建国篇
191/325

*** 191 第1王子殿下終了のお知らせ…… ***


 お下品注意♪


 


 そろそろ武闘会が始まるか……

 第1王子が開会宣言のために壇上に上がろうとしてるな。

 あー、白地にキンキラゴテゴテの装飾つけたハデな軍服着ちゃってまあ。

 きっとこれで次期国王の座は確実だってほくそ笑んでるんだろうな……


 はは、エラそーにみんなを見下ろしちゃってるじゃないか。

 よし! そろそろ始めよう!



【昨夜押収した下剤を、第1王子の小腸と大腸に1リットルずつ転移!】





 王者の笑みを浮かべて壇上に上がった第1王子は、居並ぶ属国群の王族を睥睨した。

 そうして大きく息を吸い込んで、属国の王族たちに自らの地位を明らかにするべく第一声を吼え始めたのである。


「連合国の諸君! 

 我が栄光あるビクトワール大王国主催の大武闘大会によくぞ参集した!」


 そこで言葉を切った第1王子は、もったいつけてまたもや周囲を見回す。

(これだけの王侯貴族の頂点に俺は立つのだ!)


 それはまさに王子の人生の絶頂だった。

 そう、絶頂である。

 絶頂を過ぎれば後は下るのみなのである。



 そのとき……


 闘技場に、遠雷の音にも似た音が響き渡った。


「ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ……」


 むろん密かに設置された超高感度マイクの魔道具が拾った音が、これも密かに設置されたスピーカーの魔道具から出たものだ。


 そして……

 その不吉な音とともに第1王子殿下の顔が歪んだ。


(こ、こんなときに……)




 違うよ王子。

 こんなときだからこそ、サトルに狙われたんだよ……


 それにしても……

 まさか絶頂の後の下り方がこのような文字通りの下り方とは……


 サトルよ、キミの恐るべき知力と深謀遠慮だが、もう少し他に使い道は無かったのかね……





 第1王子殿下は、背中を反らし、全身全霊をかけて肛門に力を込めた。


 だがしかし!

 たった1ccでも凶悪な効果を発揮するひまし油が、2リットルも直接腸にブチ込まれたのである!

 いかな強健な肛門の持ち主といえども、耐えられるハズは無かったのだ!



「ぴぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ~!」



 遠くの急行列車の汽笛のような音が闘技場に響き渡る。



「あ…… あ…… あ…… あ…… あ…… あ…… 

 あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~~っ!」



 世にも情けない声とともに、恐ろしい臭気が周囲に爆撒した。

 無論、サトルが風の魔法で各国からの来賓にお届けしているものである。

 まあ本人は絶対アブソリュートフィールドで守られているのだが。 

 しかも『換気の魔道具』まで身につけて、本人は別の空間から得た空気を呼吸しているではないか!



「う、うわっ! な、なんだこの臭いはっ!」


「く、臭いっ! 臭くて死にそうだぁっ!」


「な、なんなのだこれはっ!」


「み、見ろっ! 

 第1王子殿下のズボンの裾からナニカが噴き出しているぞっ!」


「液体だけでなく固体もだぁっ!」


「ああっ! 白い軍服のズボンの後ろがみるみる茶色にっ!」



(よしよし。

 そろそろ中身が全部出つつあるようだから補給してやらんとな)


 サトルは、神域倉庫に用意した水を、ゆっくりと第1王子の直腸に転移させ始めた。

 それもご丁寧に茶色く色をつけた上に、メルカプタンやメタンガスまで溶かしこんで臭くしてある水である。


(あんまりいっぺんに転移させると、腸が破裂して死んじまうからな。

 ゆっくりゆっくり……

 まあ1000リットルほどで許してやろうか……)



 鬼畜である……


 どこの誰が1000リットルものナニをケツから噴き出すというのだ!



「あう…… あう…… あう…… あう…… あうぅぅぅ~~~っ!」


 第1王子はもう半泣きである。

 いやもう全泣きに移行したようだ。

 相変わらず背を反らしてケツを後ろに突き出したポーズのまま、数千人の来賓の前でケツからナニかを噴き出しているのだ。


 ある意味究極のデトックスではあったが、これほどまでに場をわきまえず、またハタ迷惑なデトックスは想像も出来ない。



 そのとき突然王子が全裸になった。

 もちろんサトルの仕業である。

 同時にサトルが水の転移量を倍に増やす。

 もはや鬼畜どころか悪鬼羅刹の所業である。




 嗚呼…… もはや王子の下半身は噴水と化している。

 その場の貴顕たちも、これほどまでにおぞましい噴水を見たのは初めてだろう。

 世にも珍しいこげ茶色の噴水である……




 そのとき、ようやく第1王子が助けを求めてあうあう言いながら周囲を見渡した。


 当然の帰結として、かの噴水の投射先は広範囲に及び、辺りを阿鼻叫喚の地獄に叩き込む。


「「「「「 うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~っ! 」」」」」



 逃げ惑うことも出来ずに硬直する犠牲者たち……

 それをあざ笑うかのように転移の水圧を増やす極悪サトル!

 ついに地獄の噴水の射程距離は10メートルに及んだ!


 さらにサトルが悪魔の笑みを浮かべた。

 これ以上何をしようというのだ!


 あっ! サトルが魔力で犠牲者の体を2つ折りにした!

 つまり噴水の噴出角度が上向きになってしまったのだ!

 さらに悪臭を放つ茶色い水の転移量を増やすだけでなく、魔力によってその噴射圧までをも10倍に強化したのである!


「びゅびゅびゅびゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ~っ!」


 嗚呼、ついに地獄の噴水が10メートル近い高さまで噴き上がっているではないか!

 ということは……

 水がそのような高さまで噴き上げられると、当然頂点から先は霧状になってしまうのだ!


 あまりの事態に身動きも出来ずに硬直する犠牲者たちに、悪魔の霧が襲いかかった!

 呼吸も出来ない爆臭の襲来とともに、犠牲者の顔も手も服も、細かい茶色の水玉模様に覆われてゆく……



(う~ん、やっぱりもうひと押し行くか……)



「くああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~っ!」


 おお! 王子殿下の悲痛な叫び声とともに、さらに水圧が上がった!

 噴き出る液体も茶色から黒褐色に変わっているではないか……

 地獄の噴水は高度30メートルに達し、悪魔の霧雨は半径50メートルの範囲を汚染しつつある。

 も、もはやこれは人の所業ではない……

 ま、まさに魔界の使徒の業である!



(お、そうだ。

 この一連の刑罰も、後で【魔法マクロ】にしておくか……)



 た、頼む、頼むから、それだけはヤメてくれサトル!

 貴君は命を賭けて戦場に赴いた敵軍団に対し、魔法マクロ【地獄の噴水10万】とか唱えて迎撃するというのか!

 そ、そのような戦場を描写しなければならない作者の身にもなってくれ!!!




 と、そのとき……


「で、殿下ぁぁぁぁぁぁ~っ!」


 おお! 王子の侍従が救援に駆け付けたぞ!

 なんという忠義の者共よ!

 地獄の噴水を浴びながらも、二つ折りになられた殿下をそのまま抱えて控室に運ぼうとしているではないか!



 だが……

 これも当然のおけつ、い、いや帰結として、その行為は被害範囲を拡大する方向に働いてしまったのだ!

 しかもナゼか控室方向から強風が吹き始めた!



 すなわち!


 その侍従たちの忠義の行動は、あたかも強風下に噴水を持ちながら辺りを駈けてゆくかのごとき所業になってしまったのである!



 こうして被害範囲は数十倍に拡大された……

 貴賓席の全ての王族貴族の、雪をも欺く純白のシャツ、更にはそのご令室とご令嬢の純白のドレスが、見るも無残な茶色に染まって行ったのであった……


「「「「「 いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~っ! 」」」」」


 ご婦人たちの悲鳴が響き渡る中、阿鼻叫喚の元凶が去ってゆく。

 王子が控えの間に入る直前、サトルが転移させた大量の空気が噴水の合間を縫って、大きく「ぶぶぶぶぶぶう!」と音を出した……




 しばらくすると、ようやくサトルは闘技場を囲んだフィールドを解放したようだ。

 このままではメタンガス中毒で死人が出てしまうからであろう。


 周囲には、一生消えないトラウマを刻み込まれた哀れな犠牲者たちが倒れ込んでいた。

 おそらく、生涯2度と茶色い服は着ることが出来なくなったことと推測される……



「お、王子殿下ご治療のため、これより休息に入りますっ!」


 いち早く逃げ出したために難を逃れた宰相が、会場の隅で叫んだ。

 その横には蒼ざめた表情の第8王子もいる。

 どうやら『危機察知』によって難を逃れていたようである……





 その日の夜、陛下の詔勅が発表された。

 同盟各国の王族に想像を絶する無礼を働いた罪をもって、第1王子が廃嫡を申し出、陛下がこれを了承したというものである。

 もちろん実際には単に王子が幽閉されただけのことだったのだが……



 だが、驚くべきことに、翌日武闘大会が開催されるという発表も為されたのである。

 このままではビクトワール大王国の威信が地に墜ちたままとなるため、国威発揚の場にしようとする意図は明らかであった。




「いやー、なんかたいへんな日だったねぇ♪」


 ガイア国選手団からサトルに対し、「元凶が何を言うか!」というジト目の視線が突き刺さる。


「それじゃあみんな、明日こそは頑張ってね♪」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ