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【爆撒英雄サトルのガイア建国記】  作者: 池上雅
第1章 ガイア建国篇
180/325

*** 180 サロモン商会会頭、サロモン・ビリンゲス ***

 



 幸いにもサロモン商会会頭、サロモン・ビリンゲスは商会にいた。


 そうして豪勢な応接室で、黙ってイシス王子の話を聞いていたんだ。


 さすがは大陸最大の商会の会頭だよ。

 すんげぇツラ構えに迫力だ。


 総合Lvはそれほどでもないが、E階梯はやっぱり5.0もあるわ。

 罪業カルマポイントは正当防衛を除いてゼロ。

 幸福ハピネスポイントは100万超えか……

 すげぇな。たぶんガイアのヒト族ダントツ最高だろう。

 こんなにおっかねぇ顔してるのに。


 あ、さらに称号まで持ってるのか。

 おお、『称号:孤児たちの希望』だとさ!




 さすがはイシス王子で、その説明の内容は簡潔にして要を得ていた。

 王から与えられていた捕虜捜索の任務のこと、

 その任務のためにガイア国に出向いて俺と会ったこと、

 黒目黒髪の俺が彼らの祖先と同じ異世界から来ていたこと、

 スキルのこと、

 捕虜たちの待遇やガイア国の様子、

 そうして、俺の要請で会頭にも会ってガイア国を見学して貰いたいということなどを、短時間で見事に伝えていた。



 サロモン会頭が俺を振り返った。


「今をときめく話題のガイア国代表代行、サトルさまにお会い出来るとは……

 このサロモン・ビリンゲス、誠に欣快に耐えませぬわい。

 また、御親切にもガイア国の見学までさせて頂けるとのこと。

 これほどの機会を与えて頂けたこと、深く御礼申し上げます」


「そんなに気にしないでくれ。

 俺は、たぶん同じ民族を祖に持つ者同士、あんたと話をしてみたくて王子に仲介を頼んでみたんだよ」


「それはそれは……

 ですが……

 ひとつだけ大きな懸念があるのです」


「なんだいその懸念っていうのは?」


「私も今ではすっかり白くなってしまいましたが、もともとは黒々とした髪を持っておりました。

 そうして我が一族の黒目黒髪の者は、『すきる』と呼ばれる特殊な能力を持っているのです。

 私の場合は、目に力を込めてみた時、その対象の物や人物の価値や能力が見えるというすきるなのです」


「俺もそのスキル持ってるよ。

『鑑定』っていうスキルだ」


「それは話が早い。

 ですが……

 その能力を持ってしても、あなた様の価値や能力が見えないのです。

 通常であれば人物の場合、『すてーたすがめん』というものが見えるはずなのですが……」


「すまんな。

 俺は『鑑定』以外にも『隠蔽』っていうスキルを持っていてな。

 どうもそれを外すと、周囲のみんなが気絶しちゃうことがあるんで、いつも『隠蔽』を身に纏っているんだよ」



 あ、フェミーナが俺をジト目で見てる……

 大丈夫だよ、こんなとこで『隠蔽』を解除したりしないから。


「でも困ったな。

 お近づきの印に俺のステータス画面を見て貰っても構わないんだが……

 なあアダム、なんかいい方法無いか?」


「それでは、『ステータス画面のみ隠蔽解除』とお唱え下さい」


「そうか、それじゃあ、『ステータス画面のみ隠蔽解除』」



 サロモン会頭が俺を見つめた。

 だけど、次の瞬間、そのままソファに倒れ込んじゃったんだわ。


 イシス王子が慌てて会頭を介抱しようとした。

 それで俺、『治癒キュア(神級)』を唱えてやったんだ。


 会頭はすぐに淡い光に包まれて意識を取り戻したんだけどさ。

 すぐにその場に跪いて、豪勢な絨毯に頭を擦りつけたんだわ。

 みんなもびっくりしたけど、俺もびっくりしたぜぇ。


 イシス王子もビスト将軍も呆然としていたよ。

 俺が必死で頼むと、会頭もようやく頭を上げてくれて、震える声で言ったんだ。


「ま、まさか『神』という称号をこの目で見ることがあろうとは……」


「あー、つい最近まで俺もヒト族だったんだが……

 でもある功績を認められて、最近神界から神に昇格させて貰ってたんだわ」


「先日も伺ってはおりましたが、ほ、本当に神であらせられたのですか?」


「将軍、証拠になるかどうかはわからんが、『神威の翼』っていうもんもあるから見てみるかい?」


「も、もしもよろしければ……」



 それで俺、服の背中の隙間から翼を生やしたんだわ。

 んー、これたまに伸ばすとけっこう気持ちいいよなぁ。

 あはは、ちょっと力入れ過ぎちゃったら金色の粒子がぶわぁ~って出て来て、部屋中金色で埋まっとるわ。

 けっこう溜まってたのか?

 朝元気になってるオオカミさんを、パンツから出してやったときの解放感とおんなじなのか?



 それで神威を放出するのヤメてみたら、ようやく周りの金色が薄れて来たんだけどさ。

 気がついたら会頭も王子も将軍も全員這い蹲って震えてたよ。

 どうやらみんな、神威がどういうものか感覚的にわかるみたいだ。


 こっち側は、澄ました顔のアダムとジト目のフェミーナか。

 フェミーナの目は、「またやり過ぎ!」って言ってたけど……



「よ、よもや本当に神であらせられたとは……

 言葉を信じずに誠にご無礼仕り、お詫びの言葉もございませぬ……」


「いいからいいから。

 つい最近まで俺もヒト族だったんだから気にしないでくれよ殿下」


「そ、それにサトル神さまは『いーかいてい』という数値が7.5もおありになるのですか……

 この数値は、わたくしの見るところ、慈悲の心の度合いを示すもの。

 私は5.0と表示されていて、わたくしより数値の高い者は見たことが無かったのですが、最近我が孫が5.5の数値を示すようになって喜んでおりましたのです。

 それが7.5とは…… 

 さすがは神としか申し上げようがございませぬ」


「おっ、ほんとだ。俺のE階梯が7.5になってる。

 つい最近まで6.5だったんだけど、最近頑張ってたからかな?」


「そ、それに……

 こ、この、『そうごうれべる』という数値……

 これはどうやらその人物の総合的な強さを表すものだと認識しておったのですが……

 このビスト将軍で41、我が孫も39まで成長してまいりましたが、あ、あなた様の数値は……」


「おっ、将軍、41なのか。

 それってこのガイアのヒト族最強だぞ。

 これからもよろしくな。

 王子もあと少しでヒト族最強だな」


「まだまだでございます。

 ところでそちらの護衛の女性、たしかフェミーナさまでしたか。

 フェミーナさまも相当な強者とお見受けいたしましたが、『れべる』はおいくつなのでしょうか?」


「はい、最近1902になりました」


 将軍がよろめいた。

 王子は上を向いて嘆息している。


「我らもまだまだだったということなのだな」


「はい……」


「お前たち、確かにれべる1902は凄まじいが……

 こちらのサトル神さまはだな……」


「サトル神さまのれべるですか…… も、もしや万の位に……」


「いいや、『億』の位だ……」


 また将軍が倒れた。

 あ、今度は王子も倒れてる……


「て、手合わせなどお願いせずに、ほ、本当にヨカッタ……」



「そしてサトル神さま……

 こ、この『はぴねすぽいんと』という数値は、わたくしは『他人を幸せにした度合い』と認識しておりましたが……

 なぜサトル神さまのこの数値部分には、18個もの数字が並んでいるのでございましょうか……」


「あ、はは……

 それ実はこの世界の人たちの幸福じゃあなくって、ほかのたくさんの世界のたくさんのひとたちのそれなんだ。

 ま、まあそれについては今度説明するわ」


「しかもサトル神さまのこの『すきる』の数は……」


「はは、けっこう頑張って増やしたんだぜ。

 でも自力で獲得したのは150種類ほどだけなんだよ。

 それ以外は神界からの褒美で、『20万種類のスキルの内、200種類を選べる』っていうの貰ったんだ。

 なんか種類がたくさんあり過ぎて、選ぶのもタイヘンなんだぜ」


 あ、またフェミーナが俺をジト目で見とる……

 ああっ! 今度はアダムもだ!


「たった1つの『すきる』でもこれほど役に立つのに……

 その『すきる』が20万種類でございますか……」





 っていうことで、サロモン会頭もガイア国を見学に来てくれることになったんだ。


「仕事の方は大丈夫なのかい?」って聞いたらさ、

「神意に勝る仕事などあるわけがございません」

 って言われちゃったわ。




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