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【爆撒英雄サトルのガイア建国記】  作者: 池上雅
第1章 ガイア建国篇
164/325

*** 164 西部大森林を囲む城壁の完成 ***

 



『神界防衛軍特殊工兵部隊』の連中は頑張ってくれていた。

 大城壁の北西の端から西方向に作らせていた城壁の土台は、もうそろそろ2500キロに達しようとしている。

 俺は、護衛兼世話係のフェミーナを伴って、建設現場に転移した。



「みんなお疲れさん。

 よくここまで土台を造れたもんだ」


 はは、みんな疲れ切った顔してるけど、嬉しそうだわ。


「とうとう大平原の全ての種族の移住が終わったんで、いよいよ俺は対ヒト族戦争を始めようと思う。

 それで、その準備としてこの城壁の土台を早急に完成させたいんだ。

 だからここから先は、すまないが俺にやらせてもらいたい。

 かまわないかい?」


「さ、最高顧問閣下…… お力になれずにすみません」


「いや充分力になってくれているぞ。

 こんなに立派な土台を造ってくれたんだからな。

 だからまあしばらく休息をとって体を休めながら見ていてくれ。

 そうそう、『休息』のときもけっこう魔力は上がるから、トレーニングの一環だと思って休んでいて欲しい」


 はは、みんななんかほっとした顔してるわ。



 俺は各種の魔道具の用意をアダムに頼み、俺自身はその場に建物を作って、中に大型スクリーンと椅子と飲食物を用意した。


「さあ、ここで寛いでいてくれ」



 それから俺は、『治癒キュア』を使える精霊たちを100人ほど呼び出した。

 はは、一気にカラフルに賑やかになったか。


「それじゃあお前たち、俺はこれからちょっと大きめの魔法を使うから、順番に俺に『治癒キュア』をかけて欲しいんだ」


「「「「「 はぁ~い♪ 」」」」」

「「「「「 サトルさまの大魔法、楽しみ~♪ 」」」」」


「それじゃあそろそろいくか。

『城壁建設予定地の境界線上にある全ての樹木を、システィの時間停止倉庫に転移させよ』」



 この辺りは大森林も無く、そんなに樹木の数は多くなかったんだけどさ。

 それでも残り7500キロに渡っての作業だからな。

 合計2万本ぐらいの木が、周囲の土ごと持ち上がっては消えて行ったよ。

 この木は旧砂漠地帯の緑化に使わせてもらおうか。



 大型スクリーンの魔道具には、アダムが撮影している映像が流されていた。


「す、すごい……」

「あ、あんなにたくさんの木がいっぺんに……」

「こ、これが『英雄』の実力か……」



 1時間ほどで建設予定地境界線上の木がすべて撤去された。

 何人かのヒト族には見られたかもしらんが、まあかまわんだろう。

 俺の周囲には精霊たちが群がって、『治癒キュア』をかけていてくれている。

 さらに俺は『マナポーション(上級)』を飲み干した。



「なあアダム、俺は今、長さ100メートルの土台を一度にどれぐらい造れるかな」


(おおよそ75万枚、総延長7500キロ程でございます)



「ま、マジか……」

「いっぺんに7500キロだと……」

「そんなことが出来るのか……」



「おお、それなら西南角の出城の辺りまで届くな。

 へへ、最近の訓練再開の効果も出ているか……

 それじゃあやるか。

『魔法マクロ【城壁土台建設75万】実行!』」



 その途端に俺は意識が薄れた。

 あ、フェミーナが俺を抱きとめてくれたか……

 おお、こいつまたおっぱい大きくなっとる……

 今のままの引き締まったおっぱいも可愛いのにな。

 今度、もうそんなに大きくしないでいいぞって言ってやろう……

 そんなことを思いながら俺は意識を手放したんだ。



 30分後に意識を取り戻した俺の周囲では、精霊たちがよってたかって『治癒キュア』をかけまくってくれていた。


「みんなありがとうな。

 お前たちがいてくれるから、こうして安心して気絶出来るわ」


「「「「「「 わぁ~い♪ 」」」」」」

「「「「「「 サトルさんに褒められちゃったぁ♪ 」」」」」」



 防衛軍の兵士たちは声も出ないようだ。

 まあ、自分達100人が1カ月近くかけて造った土台を、たった一人でいっぺんに3倍の距離分造っちゃってるからなあ。

 でもまあ、頑張ればここまで出来るようになるって、いい見本にもなったことだろう。


 さてと、回復したら、土台の上に小さな壁を造ろう。

 そうだな、幅は2メートル、高さは10メートルほどの壁にしようか。

 それぐらいだったら、ヒト族の連中でも乗り越えるための傾斜路ぐらいは造れるだろ。

 建国宣言を公表した後は、せいぜい侵略して来てもらわんとな……




 ちょうど大森林を囲む小城壁が完成したころ、ノーブ王国の軍勢が旧エルフの森にやってきた。


 ほう、兵士7万に人夫1万程か……

 ずいぶん沢山の馬車も持って来とるわ。

 そうか。エルフたちを捕えて連れ帰るための馬車か……


 おー、(ニセの)世界樹は有ったけど、その周りが直径50キロに渡って岩稜地帯になってるんで驚いてる驚いてる。

 もちろんその周囲を囲む城壁にもだ。


 はは、城壁入口の看板を壊して門を開けたな。

 俺が造ってやっていた傾斜路を下って続々と下に降りて行ってるか。

 ほう、門の周りに精鋭兵5000を残したか。

 まあ賢明な判断だ。

 この軍の指揮官は丸っきりの莫迦じゃあなかったか……



 ノーブ王国軍は、まず岩稜地帯の捜索を開始した。

 エルフ族の伏兵を気にしてるんだろうが、まあ周りはすぱーんと切り取られた地形だからなあ。

 すぐに捜索も終わるだろうよ。


 連中はその周囲の草原も捜索した後、世界樹周辺に広大なテント村を用意し始めたようだ。

 どうやらエルフ奴隷は諦めて、世界樹からの収穫に専念することにしたらしい。



 ノーブ兵たちは世界樹の根元に石や木を積み上げ始めた。

 最低でも25キロ歩かなければ木が生えてないし石も無いんで、たくさんの列を作って資材を運び始めている。

 ご苦労さんなこったな。

 まあ、高さ30メートルほどの足場が作れれば、一番下の枝に到達出来るから、その後は枝でも落として梯子でも造るつもりだろう。


 そうして奴らが作業を開始して5日後、俺は夜中に城壁内部にいるノーブ軍兵士と人夫たちを全員収容所に転移させたんだ。

 もちろん、やつらがせっかく作った足場も全て撤去して。



 翌朝、壁の外にいた指揮官や兵士たちは随分と慌てていたぞ。

 なにしろ一夜にして、兵と人夫合わせて7万5000人が忽然と消えたんだからな。


 あ、門の横の新しい看板を見つけたか……


『我がガイア国の施設への不法侵入者は、すべて捕獲致しました。

 捕虜解放と身代金の交渉は、直接ノーブ王としか行いません。

 ガイア国代表代行、サトル神』



 あー、指揮官、呆然として膝ついとるわ。

 まあそりゃそうか。

 エルフ奴隷は手に入らんわ、世界樹の葉も実も手に入らんわ、兵と人夫7万5000人を失うわだからなぁ。

 良くて奴隷落ち、悪けりゃ死刑だろ。


 お、もうひとりエラそーな奴が出て来たか。

 なんか指揮官と言い合いしてる。

 あー、指揮官がまたがっくりうなだれちゃったかぁ。

 これきっと、王がつけた『軍監』だな。


 あ、看板外して馬車に積んだか。

 きっと証拠の品として王に見せるんだろう。

 ノーブ王国の兵たちは、その場に500人程を残して、全員帰り支度を始めたようだ。

 まあいいか、ちゃんと王に報告出来るようにこのまま帰してやろう。


 さてと、それじゃあ俺も街道工事でも始めるか……




 ガイア国のある中央大平原の東には、南北に最高高度5000メートル級の南北山脈が聳えている。

 ここに街道を造っても、ヒト族たちが乗り越えてくるのは大変だろう。

 だが南北山脈南部、海に近い辺りはだいぶ高度が下がって標高2000メートルほどの高原地帯になっていた。

 ここを東に500キロほど行くと、ノーブ王国に至る。

 ノーブ王国軍は、ここに簡単な街道を作って侵攻して来たわけだ。

 せっかくなんで、この街道を俺が整備してやろうじゃないか。


 俺はまず街道沿いの樹木をアダムの倉庫に転移させて行く。

 これでまた旧砂漠地帯の緑化が進むだろう。

 途中からは手の空いた精霊たちも大勢呼んで、みんなでわいわい楽しく樹木を移転して行ったんだよ。

 お、精霊たちみんな、子供たちも連れて来てるのか……

 こうやって、お父さんとお母さんのお仕事を見せてやってるんだなぁ。


 お昼にはシスティが豪華なお弁当を持って来てくれるんで、精霊たちも喜んでたぞ。

 システィに褒められるともっと嬉しそうな顔をしてたけど。


 万が一ノーブ王国の連中と出くわしてもいいように、念のため『神界防衛軍』の1個小隊に護衛を頼んでおいたんでまあ大丈夫だろう。

 あいつらみんな自力で転移も出来るし。


 俺は木が移転された街道を魔法で整地し、ところどころに野営用の広場も造ってやったんだよ。

 小高い丘や山がある場所は、敢えて切り通しを作って道を平らなままにした。

 途中で壁を作ってヒト族軍を捕まえることもあるかもしれないからだ。




 精霊たちが作業に慣れて来ると、俺は大平原西部に移動した。

 こちらは出城から大森林を越えて2600キロほど西に行くと、最初のヒト族の国に行きつくんだ。


 この国は、サンダス王国と言って、人口3万ほどの小さな国だ。

 まあ、中心部にある街の周囲に30程の村があるに過ぎない小国だが。

 大陸西部のヒト族から見れば、東の最果ての国ということだろう。



 もう大森林を囲む小城壁も完成したことだし、俺は大城壁の西南角にあった出城を、西に2500キロ移動させて小城壁の西南角に移動させることにした。


 ん?

 そんなもん簡単だぞ。

 あの世界樹の森なんか直径50キロもあったのを、宙に浮かせて移動させたんだからさ。

 この城は敷地の直径が10キロしか無いんだから、あれよりはよっぽど簡単だわ。

 まあ『転移』させることも出来るけど、『浮遊の魔道具』も『移動の魔道具』も『慣性吸収の魔道具』もあるから、1日かけてゆっくり移動させればいいだろう。



 出城の移動が終わると、俺はサンダス王国の最東端の村からほど近い森から出城までの街道工事を始めた。

 たかが100キロほどの街道だし、ヒト族とも出くわす可能性が高いために俺一人で作業をする。

 俺も慣れて来てるんでこれも1日で終わったけど。



 こうして1週間ほどで東西の街道整備が終わると、俺は全ての街道をマナ建材で舗装して行ったんだ。

 道の幅は12メートル。

 30キロおきにある野営用広場には川の水も引いてやった。

 川が無いところでは中に転移の魔道具を仕込んだ岩を置いて、泉みたいにしてやっている。

 ところどころには『ヒト○イホイ』も造っておいたよ。

 まあ2000人用ぐらいの小さいやつだけど。




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