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【爆撒英雄サトルのガイア建国記】  作者: 池上雅
第1章 ガイア建国篇
161/325

*** 161 種族たちの人口増と移住最終段階方針 ***

 


 すべての街や村が完成した数日後。

 また『族長会議』が開催されたんで、俺はその写真をみんなに見せてやったんだ。


「これで、大平原の種族のための街や村が800万人分、ヒト族の収容所が500万人分出来たことになる。

 これぐらいあれば当面は大丈夫だろう。

 まあ、手狭になってもすぐにまた天使サマたちが増やしてくれるからな」


「あ、相変わらず凄まじいお力でございますな、サトル神さま……」


「あ、あの…… この『しゃしん』は種族の皆にも見せてやってよろしゅうございますでしょうか?」


「ん? もちろんいいぞ」


「我々は、村の人数が増えて来ると、無意識に子を生む数を減らしてしまうようなのですよ。

 まあそれがサトルさまの仰る『しゅぞくほぞんほんのう』なのでしょうが。

 ですから、この『しゃしん』を見せてやれば、皆もっと子を生もうとするかもしれません」


「おお! それいいなあ……

 それじゃあたくさんプリントして、あちこちに張り出すか。

 たくさん街を造るとそんな効果もあったんだなあ」


「はい、自分だけが子孫を残すのではなく、どうやら皆、種族全体のことも意識するようでございますね」


「だったらさ、種族の数が少ないドラゴン族やベヒーモス族はどうなんだ?」


「我々氷ドラゴン族では、20頭ほどの女性が有精卵を生みました。

 あの2時街に造って頂いた岩山の巣は実に快適で、またいくらでも食糧があるために、安心して卵の面倒をみております」


「我ら焔ドラゴン族もほぼ同じです。

 22頭の女性が卵を生んでおります。

 住処と食料に安心すると、女性は多くの卵を生むのですなあ」


「我らベヒーモス族も、50頭ほどのメスが妊娠致しました。

 あと8カ月ほどで可愛い子供たちが生まれることでしょう」


「素晴らしい……

 やはり快適な住処と豊富な食べ物は人口を大幅に増やすのか……」


「それに加えて安心感も大きゅうございますな。

 なにしろこの国をお守り下さっているのは、あの超絶大強者さまでございますから」


「はは、そういうもんか」


「はい。ドラゴン17頭を瞬時に倒す光景と、その大強者様が神威の翼を広げられて微笑まれているお顔と……

 そうして膨大な量の食物をご用意くださっている現実を見れば、皆安心して子孫を増やそうとするのでございましょう」


「そうだったか……

 あ、そういえばさ。

 大平原のまだ移住していない種族や部族はどうなってるかな?」


「現在平原西部におきましては、未移住の部族は全部で約400部族、総数20万人ほどになります」


「大平原東部に於きましては、未移住部族約350、総数18万ほどであります」


「そうか、それでそいつらの移住可能性はどうかな?」


「やはりほぼ全部族が族長を世襲制で決めておりますため、族長一族が強硬に移住に反対しておりますが……

 現在アダムさまのお力をお借りして、E階梯の高い後継者を見出して、例のクーデター作戦を仕掛けております。

 いや精霊さまたちとフェンリル殿たちを動員したあの作戦は、実に効果的ですな」


「大平原東部も同様で、現在クーデター作戦を続行中でございますが……

 ただ、いくつか問題のある部族が見受けられるのですよ」


「どんな問題なんだい?」


「ひとつ目のケースは、後継者候補が全くいないケースでございます。

 族長一族の支配体制があまりにも強固で、部族の一般構成者も彼らに従うことを当然と思っているようです。

 当然ながら族長は、移住の勧誘に全く聞く耳を持ちません。

 こうした部族が20部族、計8500名ほどおります」


「西部も似たようなものであります」


「そうか……

 そいつら周りの数多くの種族が移住しても、自分たちは動く気にはならないのか?」


「そういう部族ほど閉鎖的ですからの。

 他の部族や種族のことは気にもかけておりません」


「それじゃあさ。ここにいる族長たちに聞きたいんだが、そういう部族をどうしたらいいと思う?」



「そんなもの、お主の好きにすればよかろう。

 何といってもお前はこの世界の神なのだ。

 強制的に連れて来ようが、収容所に入れようが、放置してヒト族に殺されようが、お主がどうしようがここにいる皆は誰も文句は言わんぞ」


「そ、そうは言ってもさ、フェンリー。

 みんなの意見も聞いてみたかったんだよ」



「あのサトル神さまがお造りになられた『村』に、全員強制的に転移させてしまえばいいのではないですか?」


「ええ、わたしもそう思います」


「加えてその族長一族は、あの犯罪者収容所に送り込むべきですな。

 自らの一族の支配権のために部族全体をヒト族の危険に晒すなど、族長の風上にも置けませんわい」


「そもそも族長を世襲で決めるなど、完全に歪んでいますぞ。

 族長とは、最も群れに貢献出来る者が選ばれるべきです!」


「いっそそのまま放置して、ヒト族共の餌食にさせてもいいのではないですか?」


「そうですな、たとえ部族が滅んでも、それは彼らが選んだ道でしょう」


「その前に、族長一族を全員収容所に隔離した上で、もう一度皆を説得してみたらいかがでしょうか。

 それでもダメなら強制的に全員隔離させようが、放置しようがどちらでもかまわないのではないでしょうか」



「み、みんなけっこう強硬な意見だったんだな……

 で、でもさ。俺、出来れば強制はしたくなかったんだよ。

 俺の前世の世界では、『自由』っていうものがけっこう重視されていて、公共の利益に反しない限り、どこに住んでもいいし、何を信じても構わなかったんだよ」


「相変わらずサトルさまはお優しい。

 まあ、このガイア国の施策を見ていても、それはよく分かりますがの。

 ですがサトルさま。

 事は『試練』の合否がかかっております。

 つまり500年後の我らの子孫の命がかかっておるのですよ。

 それこそサトルさまの仰る『公共の利益』でございましょう。

 ですから500年後に万が一のことが無きよう、ここは強制措置をお取りになられても致し方無いのではないでしょうか」



 あー、全員怖い顔して頷いてるわ……

 まあそりゃそうか。

 一部の部族のせいで、自分たちの子孫が危険に晒されるんだもんな。


「よしわかった。

 それじゃあしばらく『クーデター作戦』を続けてくれ。

 そうしてそれも失敗してどうしても移住に応じない部族がいたら、アダムに言って、そいつらの居住地域を地図上で特定しておいてくれ。

 後は俺がなんとかしよう」


「はは、サトル神さまの作戦が楽しみですなぁ。

 後で是非映像記録を見せてくだされ」


「是非みんなにも見てもらおうか。

 そうそう、ところでみんなに聞きたいんだけど、マナを主食にしてた種族以外では、どれぐらいの広さの森や畑があったら生きていけるもんなんだ?」


「そうですな。

 畑でしたら一人当たり50メートル四方ほど、森でしたら200メートル四方ほどでしょうか。

 栗の木が多ければ100メートル四方でも生きて行けましょう」


「栗の木が多いと暮らしやすいのか……」


「ええ、畑のポテータと小麦、それから栗の実が我らの3大食料でありましたからの。

 後は野菜が少々あれば生きて行けました」


(栗の実が生活を支えてたって、日本の縄文時代に似てるなぁ……)



 それからの1か月ほど、俺はアダムに頼んで大森林で栗の木を探して貰った。

 それで、植物の精霊をリーダーにして、比較的手の空いている風の精霊や火の精霊を集めて、『栗の木隊』っていうグループを作ったんだ。


 このグループの仕事は、まずは大森林の栗の木を片っ端からアダムの倉庫に転移させていくことだ。

 まあ、転移だけだったらもうアダムだけでも出来るけどさ。

 出来れば木に話しかけてやって、『移住』を勧誘してやりたかったんだ。


 どうやら、俺の魔力水の希釈液をかけてやって、『移住したら、週に1回、このお水が貰えるよ♪』って言うと、全ての木が移住に同意してくれるそうだ。

 そうして集めた栗の木は、旧砂漠跡地に移してあった城壁の土台用地を移動させていた大地に植えていった。

 全ての木の間隔を20メートル以上開けたけど、もうあの緑地も広さが1000平方キロになってるからなあ。


 そうそう、こういう木たちにも悩みはあったんだ。

 それはせっかくたくさんの実をつけても、その実がなかなか成長出来ないことだったんだよ。

 なにしろせっかく芽を吹いて若木になっても、親木の自分が葉を茂らせているせいで、若木に日が当たらないからな。

 でも自分が老木になって朽ちたときには、若木が一斉に大きくなり始めるから、それを楽しみに毎年せっせと実をつけてたそうだ。


 まあ彼らにも分かってるんだよ。

 自分が落とすあの膨大な量の実が全て木に育ったら、あっという間にこの大平原もいっぱいになって、ヘタしたら全滅しちゃうかもしれないって。


 だから約束してやったんだ。

 1本の木につき、必ず6個の実はその木の周りに植えて、子供たちを増やしてやるって。

 それから、薄くなったマナの大気の代わりに、薄めたマナポーションも俺の『神威の水』も撒いてやるってな。


 栗の木たちはずいぶんと喜んでたそうだ。

 それで、移植前から実っていた実を、随分と大きくしてくれたんだわ。

「お礼にこの実をお召し上がりください」って言って……


 精霊たちに頑張ってもらって、これから何年かかけて50万本ほどの木を移住させてもらおうか。

 ときどき視察に来て、精霊たちを褒めてやるのを忘れないようにしないとな。



 この『栗の木公園』の周囲には、他にも美味しい実をつける木を移植したゾーンも作った。

 きっと、秋になったら大勢の子どもたちが遠足に来て、たくさんの実を拾っていってくれることだろう。


 それで新栗を使ってお菓子を作ってみたんだよ。

 もう砂糖も収穫出来るようになってたし。


 とりあえず作ったのは、マロングラッセと栗きんとんだったんだけどさ。

 これもう子供たちが目をまん丸にして驚いてたよ。

 ま、まあ、大人たちの目もまん丸だったけど……


 今年の栗の収穫量は、拾ってきた分だけだったんで5000トンほどだったんだけど。

 なんかみんながそれ全部、栗のお菓子にして欲しいって言うんで、砂糖工場の隣にお菓子工場も作ったんだ。

 まあ、いくら作っても、システィの倉庫に入れておけば何年でも保存出来るからなぁ。




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