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【爆撒英雄サトルのガイア建国記】  作者: 池上雅
第1章 ガイア建国篇
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*** 16 システム・バグの発見 『殉職→2階級特進』仕様 ***

 


 その後も俺は激しいトレーニングを続け、とうとう総合Lvが42になった。

 この世界のヒト族Lvの平均は12、現在の最大は41だそうだから、俺はこの世界のヒト族最強になれたようだ。


 だがまだベギラルムをよろけさせることすら出来ないし、地上界にはドラゴンだのフェンリルだのと強いのがいっぱいいるそうだ。

 だからまだまだだ。

 もっともっと強くならねば。



 そうしてさらに激しいトレーニングを続けていた或る日。

 俺は偶然新たな発見をしてしまったんだよ。


 その日、俺はいつものように防御力UPのために、大精霊たちのランス(大)を浴びてたんだ。

 でも、なかなかHPがゼロにならなかったんで、つい言っちゃったんだな。


「ルクサーテム。光のランス(大)を2~3発連続で撃ち込んでくれないか」


 それでも俺が無事だったんで、光の大精霊ルクサーテムは、ムキになっちゃったんだ。


「えええええ~い! これならどうだぁっ!」


 そうして俺は一度に10発の光のランス(大)を喰らったんだが……

 そのうちの9発目を喰らった瞬間に俺のHPがゼロになっちゃったんだ。

 だからほぼ同時に10発目を喰らったところで俺は死んじゃったんだよ。


 もちろん俺には『システィフィーナの加護』が掛かってるから、10秒後にはすぐにケガも治ってHPも全回復したんだけどさ。


 しばらくして気絶から覚めたら、システィが泣きながら俺に上級の『治癒キュア』をかけまくってるし、光の大精霊ルクサーテムは大泣きしてて大変だったんだ。

 他のみんなも顔面蒼白だったし。



 後で聞いたんだけど、一瞬、俺の手足はバラバラに飛び散って、内臓もでろんでろんにハミ出ていたそうだわ。

 まあ、HPがゼロになって防御力も無くなってるところに、あんな大きなランス喰らったらそうなるのは当然だわ。

 そりゃみんな驚くわな。


 でもさ。

 システィの加護の力で復活した後ステータスを見てみたら、俺のHPも防御Lvもハネ上がってたんだ。

 どうやら死ぬまで攻撃喰らうとそうなるみたいだった。

 なんでだろうな。システムバグかな?

 まあ「加護」の無いヤツには絶対にマネ出来ない裏ワザみたいなもんなんだろうけど。

 いくらHP上がっても死んでたら意味無いよな。はは。

 なんか、『殉職→2階級特進』みたいな仕様だよなあ。



 だから俺は、それからは死ぬまで攻撃を喰らう特訓を始めたんだ。

 もちろんシスティは、泣きながらヤタラに加護を重ね掛けしてくれてたよ。

 万が一にも使い過ぎて加護の効果が消滅していたら怖いから、って。

 なんか100重ぐらいに掛けられたせいで、俺の体が光り出して眩しかったけど……





 俺の訓練は鬼気迫るものになった。

 なにしろ20分に1回ぐらいの割合で、手足がぶっ千切れて内臓が飛び散って死んでるんだもんなあ。

 さすがに火の大精霊サラマンダーの火のランス(大)だと燃え尽きちゃって灰しか残らないだろうからさ。

 復活出来るか自信が無かったんで火のランスは自粛したけど……


 まあ、みんなにはちょっと気の毒だったかな。

 みんな大泣きしながら俺を攻撃してくれたんだ。

 光の大精霊ルクサーテムは、「ふん! おかげで人体の中身がよくわかって参考になったわよ!」とか言ってたけど……

 一番泣いてたのはシスティだけど、2番目に泣いてたのはルクサーテムだったし。

 やっぱ治癒魔法の遣い手としては、癒すべき人体を破壊するのが辛かったんだろう。



 3日目ぐらいになると、明らかにみんなの目の周りに隈が出来始めていた。

 すぐに復活するとはいえ、俺を攻撃して殺してしまうのが精神的にかなりツラいらしい。

 仕方無いんで、俺はベギラルムだけに頼んで闇魔法(物理衝撃波)で攻撃してもらうことにしたんだ。


 さすがは総合Lv102の中悪魔でさ。

 手加減していても攻撃が触れた瞬間に俺のHPがゼロになるんだよ。

 同時に残った衝撃波の攻撃の効果で、俺の体は中心から炸裂して爆撒するそうだ。

 どうもランスなんかと違って、体の内部から爆ぜるように撒らばっていくようだな。

 でもまあ、周囲にボトボトと散らばった血肉は、10秒後にはすぐに暖かい光に包まれて元通りの俺に復活するんだけど。

 まったく、創造天使の加護の力ってすげぇよなあ。


 ああ、もちろんベギラルムも男泣きに号泣しながら俺を攻撃してくれるんだ。

 まあ、悪魔ならメンタル強そうだから大丈夫だよな?

 1カ月経ってもまだ泣きながら俺を攻撃してたから、ちょっと心配だったんだけどさ。


 でも実はここだけの話なんだけど……

 中途半端なランス(大)とかじゃあなくって、ベギラルムの闇魔法だと痛くないんだよ。

 だってすぐに爆撒して脳みそも飛び散るから痛みを感じているヒマが無いんだもの。

 だから、この訓練も傍から見れば『地獄の特訓』だけど、俺にとってはそれほど辛いものじゃあ無かったんだ。

 そうじゃなかったら1日に20回も『死んで』られんわ。

 100メートル全力疾走×100本の方がよっぽどキツいぞ。



 それからもうひとつ気づいたんだけど、どうやら攻撃力の強化と同様に、『死亡時の防御力アップ』も相手が格上であればあるほど効果が大きいようだ。

 それもぎりぎり死ぬような攻撃じゃあなくって、爆撒即死するぐらいの攻撃を受けたときの効果の方が大きいようだし。

 まあ、その方が俺も痛みを感じないから楽でいいんだけど。


 こうして俺たちはさまざまな方法を試しては、俺のレベルを上げる手段を模索していったんだ。



 だけど…… 

 俺の特訓に付き合っていた大精霊たちの顔がどんどんやつれて来たんだよ。

 だから俺は言ったんだ。


「なあ、ベギラルムとの特訓が始まったら、お前たちは魔法の勉強に戻っていいぞ。

 こんなもの見てても辛いだけだろ」


 大精霊たちはこれを断ったんだ。

 俺が死ぬほど(文字通り!)辛い訓練をしているのに、目を逸らしたくないそうだった。

 ごめんなみんな。俺の為に辛い思いをさせちゃってて。



 だから或る日の「精霊ケーキ会」のときに俺は言ってみたんだ。


「なあ、ケーキとは別に何か欲しいものはないか?」って……


 そうしたらみんな遠慮するんだよなあ。

 俺が壮絶な死の特訓をしている中で、自分たちだけ楽しむわけにはいかないって思ったようだな。

 本当にいい子たちだ。


「いや。俺もそれなりに辛いんでさ。癒しが欲しかったんだよ。

 こうやって精霊のみんなが美味しそうにケーキ食べてるのを見ると、とっても癒されるんだ。

 だからお前たちの欲しいものを買ってやって、喜ぶ姿を見てもっと癒されたいんだよ」



 それでも大精霊たちは渋っていたんだが、俺の気持ちに気づいたシスティにやさしく促されて、ようやく希望を口にしてくれたんだ。


「…… わたし …… 服を着てみたい……」

「アタシももっとカッチョイイ服が欲しいかな」

「ふ、ふん! 新作のドレスがあったら着てあげてもいいわよっ!」


 はは、女の子たちはみんな服か。

 でもこの子たちのサイズに合う服って売ってるかな?

 着せ替え人形の服とか…… でもそれだとあんまり種類が無いだろうなあ。

 悩んでいたらシスティが言ったんだ。

「あの。普通の服でも、いったん私の世界に持ってきたら、わたしが自由に大きさを変えられるわよ。だから地球の普通の服でも大丈夫だわ」


 さっすが創造天使だよなあ。

 俺は女の子たちにどんな服がいいのかネットで探してごらんって言ったんだ。

 そうして、ある程度要望がまとまったら、【株式会社エルダーシスター】から小悪魔くんを呼んで注文することにしたんだよ。



 男の子たちの希望はテレビとゲームだった。

 どうやらネットで『なろう』を読んだり地球のことを調べていて興味を持ったらしい。

 はは、地球もガイアも変わらんな。


 俺は小悪魔くんに、女の子用の各種の服を5,000着注文した。

 まあ約3,000万円だ。それぐらいなら何の問題も無い。

 お姉さまの会社には服飾部門もあったんで、仕入価格で売ってくれたよ。

 服の原価って安っすいのな。


 中にはパーティー用のコスプレとか、ダンス発表会用の衣装とか、お姫さまが着るようなドレスとかもたくさん含まれていたようだ。

 男の子たち向けの服も500着注文しておいた。

 女の子たちが着てるのを見て、少しは着たくなるだろうからなあ。


 それから俺は、最高級のホームシアターセットを5セット注文して、システィに頼んでシアタールームも5つ作ってもらった。

 ここで週に1度、アニメだの戦隊ものだのを上映することにしたんだ。

 それから携帯用ゲーム機も250台注文した。

 火の精霊たちが直接ゲーム機触ると溶けちゃうんで、手袋も150個注文してシスティに断熱の魔法をかけてもらったよ。


 もちろん悪魔たちにもプレゼントをしたぞ。

 ベギラルムは激しく遠慮してたけど、なだめたり脅したりしてようやく悪魔さんたちの希望を聞き出したんだ。

 そしたら連中、一度でいいからあのネズミの国に遊びに行きたかったらしいんだわ。

 もちろん変身の魔法でヒト型になってだけど。


 だからエルダさまの了解を頂いて、エステサロンの休業日に全員の周辺豪華ホテル宿泊付きの1泊2日ネズミの国ツアーを予約したんだ。

 そしたらやっぱり、みんな号泣して喜んでくれたそうだった。



「なあ、ベギラルム……」


「なんでございましょうかサトルさま」


「念のために言っておくがな。

 ネズミの国ツアーで宿泊するホテルなんだが……」


「はい……」


「夜、ホテルの宴会場で『悪魔の大饗宴サバト』やるの禁止な」


「えええっ!!! さ、サバト禁止でございますかぁっ!」


(やっぱりこいつらヤル気だったか…… 気がついてヨカッタ……)


「そ、それでは全員参加の『無差別まぐあいパーティー』は……」


「それもダメっ!!!」


「ううううううっ……」


(悪魔さんたちの性習俗って……)



「『無差別まぐあいパーティー』にはサトルさまもご招待申しあげようと考えておりましたが…… ざ、残念です……」


(おい! な、なんだよそれっ!

 あの超絶美人のお姉さん悪魔達とのごにょごにょパーティーとか!

 い、いやダメだ! そんなパーティーに行ってもしシスティに嫌われたら……

 そ、それに『初めて』はシスティと……)





 翌朝のパンツを綺麗にするには、『クリーン』3回分も必要ですた……

 俺の夢にシスティ以外の女の人が出て来てたんで、ちょっとだけぷんすかしてるシスティを宥めるのもタイヘンだったし……

 システィって、俺の夢を一緒に見ることが出来たんだな……


 ああっ! っていうことは!

 あの、「あぉぉぉぉぉぉぉ~ん!」の夢も見られちゃってたのかっ!!!





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