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【爆撒英雄サトルのガイア建国記】  作者: 池上雅
第1章 ガイア建国篇
156/325

*** 156 『*』 ***

 


 或る朝俺は、深い深い熟睡から徐々に覚醒を始めた。


 最近の俺は魔力鍛錬を再開したんだ。

 つまり週に何回かは寝る前に大魔法をぶっ放して、気絶してそのまま寝るんだ。

 昨晩は、塩を1万トンばかり作ったよ。

 5日前には、ダムをつくったときに出た岩石を資源抽出用に1000億トン分砂にしたし。



 俺が大魔法を放って気絶すると、フェミーナに率いられたその日当番の悪魔っ子たちが、手慣れた様子で俺を担架に乗せてくれる。

 悪魔っ子たちも相当に鍛えられているから、けっこう力もあるんだぜ。


 担架と言っても羽毛を詰めたクッションを敷いた特別製だ。

 そうして悪魔っ子たちは、担架を担いだまま、俺を中央街の邸まで転移させてくれて、そのまま運んで巨大なベッドに寝かせてくれる。

 そうして夢も見ないで熟睡し、8時間も寝れば心身ともにすっきりとした目覚めを迎えられるんだ。

 特に魔力は充実してるかな。



 どうやらまだ早朝のようだ。

 瞼を通して爽やかな朝の光が感じられる。

 スズメもどきたちの声も盛大に聞える。

 ちょっと『ソロモンの指環スキル』で、彼らが何を言っているのか聞いてみようか……


(ちゅんちゅんちゅん! あかるくなってきたよーっ!)

(くらくてこわかったけど、おひさまでてきてうれしいよーっ!)

(みんないる? みんなぶじ?)

(ちゅんちゅん…… みんなへんじするのよーっ!)


(((((ちゅんちゅんちゅんちゅんちゅんちゅんちゅん……)))))


(よかったーっ! みんないる! みんな元気!)

(おなかすいたよー)

(ねえねえ、またかみさまごはんくれるかなあ)


(きっとくださるでしょうけど……

 でもみんな、かみさまにばっかりたよってたらダメですよ。

 ちゃんとじぶんでもたべものさがさなきゃ)


(((((はぁ~いっ!)))))



 ふふ、きょうもスズメもどきたちは元気いっぱいだな。

 俺は微笑みながら目を開けた。




 …… * ……




 なんだこの「*(アスタリスクマーク)」は?


 目線を下げる。




 …… ω ……




 なんだこの「ω(オメガ)」は?



 …… * ……

 …… ω ……



 よく見れば「*」も「ω」も少し上下している。

「*」は上下運動に伴って少しだけその大きさを変えている。

 大きくなったり小さくなったり規則正しく動いている……

 それにしても何故この「*」から微かな異臭が漂って来るのだろうか……


 徐々に意識が覚醒しつつある俺は目を上に転じた。

 そこにあったものは……


 ??? 白い毛玉?


 とりあえずその白い毛玉を触ろうとして気がついた。

 手が動かない。

 いや多少は動くが何かで抑えつけられている。



 右を見た。


 …… * ……

 …… | ……


 左を見た。


 …… * ……

 …… | ……


 右上を見た。


「*」の上につやつやの細長い物体が、機嫌よさそうに微かに左右に揺れている。


 左上を見た。


「*」の上にふさふさモフモフが見える。

 やはり規則正しくふるふる動いている。



 俺は急速に覚醒した。

 同時に怒りの感情がふつふつと湧き上がる。


(この白くて丸いしっぽは兎人族ワーラビットか…… 

 間違いなくミーオ(2歳♂)だろう。

 右の猫人族ワーキャットはキャシー(3歳♀)か、左の狐人族ワーフォックスはナーシャ(3歳♀)か……

 こいつらまた夜中に俺のベッドに忍び込んで来たのか……


 それにしても……

 どうしてこいつらパンツ穿いて無いんだ?

 しかもどうして俺の顔にケツ向けて、脚をおっぴろげて寝てるんだ?)



 俺の額に青筋が浮かんだ。

 さらに怒りの感情が沸騰する。

 もう激オコである。


 俺は右手をそっとキャシーの下から抜いた。

 キャシーが寝惚けながら何かを探すようにもそもそ動いている。

 俺はゆっくりと手をミーオの丸いしっぽに伸ばし、一気に握った。


「ぴっ!」


 俺の上方目の前の「*」と「ω」がきゅっと縮んだ。

 同時に口の中に風の玉を作り出し、「*」めがけて叩きつける。


「ぴぃ―っ!」


 ミーオの腹が風の玉を呑みこんで膨らんだ。

 同時に縮んだ「ω」の下に「℧」が見えた。


(……こいつ…… 俺の胸にちんちん押しつけて寝てやがったのか……)


 俺はさらに大量の風の玉を作り出して、ミーオの「*」めがけて吹き込んだ。


「ぴぃ――――――っ!」


 しっぽを離すとミーオがベッドの外に飛んで行く。

 寝室の壁に当たって床に落ちた。


 さらに左右の「*」目がけて風玉を吹き込む。


「に゛やぁ――――――っ!」

「きゅ―――――――ん!」



 猫族のキャシーと狐族のナーシャが悲鳴を上げながら飛んで行った。

 膨らんだ腹でバウンドしながら床の上を転がっている。


 ミーオたちが涙目で抗議して来た。


「ひどいよひどいよサトルさまぁ! 

 せっかく気持ち良く寝てたのにぃ!」


「そうにゃそうにゃ! 

 なんで朝からこんなふうに飛ばされなきゃなんないのにゃ!」


「きゅーん、お腹膨らんで可愛くない……」



 俺は指先から風玉を出してミーオの腹に当てた。

 風玉が子兎のハラを押して、中の気体を外に押し出す。


『ぷっ』


「「「あっ!」」」


「この屁コキ兎め! また俺のベッドに入り込みやがって!

 しかも俺の顔にケツ向けて寝やがって!

 俺の爽やかな朝の目覚めを奪った罪は重い……」


 俺は連続して風玉を放つ。


『ぷぷぷぷ……』


「ミーオ、臭いにゃっ!」

「けけーん! 屁コキ兎ですってぇ♪」


「だ、だってだって! サトルさまと一緒に寝たかったんだもん!」


「ならばなぜパンツを脱いで俺にケツを向けたのだっ!」


 さらに風玉を連続で放って腹に当てる。言い訳無用だ。


『ぷぷぷぷぷぷ…… ぷりっ』


「「「ああっ!」」」



 子兎の「*」から黒い玉が出て来てコロコロと転がった……


「にゃにゃにゃにゃーっ! ミ、ミーオ、『実』まで出したぁ~っ!」


「けけけけけけーん! な、なんという恥ずかしい……」


 最近だいぶ人化が進んだミーオの顔が真っ赤になった。

 女の子たちに爆笑されたのが堪えたのか。



「お前らも同罪だぁーっ!」


 キャシーとナーシャの腹にも風玉を打ち込む。


『ぷぷぷぷぷぴう』

『ぶひゅぶひゅぶひゅぶひゅ』


 屁コキ猫と屁コキ狐の顔が赤く炸裂した。


「ぎにゃにゃにゃにゃにゃぁ―――――!」


「も、もう、お嫁に行けない…… サトルさま責任取って!」



 もちろん俺と3人の間には魔力の壁を作ってこちらには匂いが届かないようにしている。

 壁の向こう側は酷い匂いが入り混じっていることだろう。


「お前らそこになおれっ! きっちり説教してやるっ!」



 俺はベッドの上に起き上がろうとして気がついた。


(なんだこの迷彩模様のロープは?)


 それは俺のトランクスの隙間から延びる太さ8センチほどのロープであった。


(…… まさか ……)


 そのロープのようなモノを掴む。


 はぷっ。


「はうっ!」


 トランクスのウエスト部分を持ちあげて中を覗く。

 蛇人族ワースネークの娘、ネーヤ(1歳半)が俺の股間でとぐろを巻いてすやすや寝ていた。

 ついでに何故かその口に俺のオオカミさんを咥えている。


 こいつはまだ1歳半で、ヘビの体からあまりヒト化していない。

 顔の部分が少しヒトっぽくなり始めて、小さな手が生えて来たところだ。


 俺はまだ寝惚けているネーヤの口を慎重にこじ開け、とぐろも解いて不届き者を床に放り投げた。


「にょにょーん!」


 その他にも、大きなベッドの上にはさま々な種族の幼児たちが寝転がっている。


 犬人族ワードッグのケン(2歳♂)、狼人族ワーウルフのシャラ(3歳♀)、リザードマンのミーラ(2歳♀)、猿人族ワーエイプのエペ(3歳半♂)……


 その他にも全部で22もの種族の幼児たちがいた。


 みんな各種族の族長たちから預かった大切な子供たちだ。


 だが……


「寝るときは床のマットの上でみんなで寝ろと言ったはずだ!」


 全員を床に正座させて説教を始める。

 まだ俺の額には青筋が立ったままである。



「特にキャシーとナーシャ!」


 2人がびくんと震える。


「何故お前らはパンツを脱いで俺に尻を向けて寝ていたのだ!」


「だ、だってだって、とうちゃんとかあちゃんがパンツ脱いで寝たら弟が生まれたんにゃ!

 あちし、サトルさまの子を生みたいから、パンツ脱げば生めるかもだにゃ……

 そ、それにばあちゃんは昔はみんな裸で暮らしてたって言うにゃ……」


 細くてつやつやのしっぽがぶんぶん揺れている。



 俺は頭を抱えて狐人族ワーフォックスのナーシャを見た。


「もちろんサトルさまに発情していただいて子種を頂戴するためですわ。

 わたくしまだ幼くて子は生めないかもしれませんが、将来の練習として……」


 大きく膨らんだこれもつやつやのしっぽが誇らしげに揺れている。


 俺は頭をふりふり蛇人族ワースネークのネーヤを見やった。

 幼女が嬉しげに答える。


「あにょね。

 ネーヤ、いつもおとーちゃまのちっぽに巻きついて寝てたにょ。

 そうするととーってもあんしんできるにょ♪

 それにおとーちゃま、ときどきネーヤのちっぽを口に入れてくれりゅの。

 だからネーヤもたまにおとーしゃまのちっぽを咥えてあげるとおとーちゃま喜ぶんだにょ。


 でもサトルちゃまぁ。

 なんでサトルちゃまのちっぽって、おしりの方じゃなくって前の方についてるの?」


 俺は倒れた。

 頭が床に当たってごんと音をたてる。


 ようやく少々立ち直った俺は兎人族ワーラビットのミーオ(♂)を睨みつける。


「それでお前はどういう言い訳をするつもりだ?」


「ボ、ボクはなんとなくキャシーねえちゃんとナーシャねえちゃんが羨ましかったから……」



 ふと目を転じると、猿人族ワーエイプのエペが床の上の黒い玉を見つめていた。

 目だけで左右をチェックし、誰も見ていないと思ったのか俊速の動きで黒玉に手を伸ばし、口に入れた。

 菓子が落ちているとでも思ったのだろう。


「「「あっ!」」」


 猿人族ワーエイプはその種族特性上、視覚は発達していても嗅覚はさほどではない。

 エペは慌てて黒玉を飲み込み、微妙な顔をしつつも素知らぬフリをしている。


 ミーオとナーシャは手で口を押さえている。

 キャシーの口が×になった。


 おいおい、猫人族ワーキャットがその口になるとすぐ運営から連絡来ちまうぞ……




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