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【爆撒英雄サトルのガイア建国記】  作者: 池上雅
第1章 ガイア建国篇
153/325

*** 153 畑の作物の気持ちとポテータの収穫 ***

 


 季節は秋を迎えた。

 収穫の秋だ。


 俺はまた、念のために植物の精霊たちに畑のポテータたちの気持ちを聞いてもらったんだ。



「あの。サトルさま、やっぱりこの子たちもおなじでした」


「この子たちも、個体維持本能はほとんど無くって、あるのは種族保存本能だけです」


「ですから、収穫されたポテータのうちの何割かが翌年の種イモとなるならば、収穫されて食べられても構わないそうです」


「それにこの子たちは、自分たちの増え方をよく知っています。

 もしも毎年同じペースで増えていったら、あっというまに大陸中がポテータで覆われて、却って栄養不足で全滅に近い被害を被ることもあると」


「どうやら遥かな昔に、それで一度ポテータ族は滅びかけたことがあったようです」



「それじゃあポテータたちに伝えてくれ。

 今年の収穫のうちの3割は来年の種イモにするから安心してくれって」


 植物の精霊たちがそれをポテータに伝えると、畑の中をさざ波のように喜びの感情が伝わってくるのがわかった。



「それから実はこういう芋って、生産性が高い代りに病気に弱いんだ。

 だからみんなも畑を見回って、具合の悪い子がいたらすぐに教えてくれるかな。

 俺とアダムの能力で病原菌を排除して、病気を治してあげられるかもしれないから」


「「「「「 はい 」」」」」



 それにしてもちょっと困ったよな……

 80平方キロもの畑でポテータが大豊作なのはいいんだけどさ。

 これ収穫するのたいへんだぞ。

 植物の精霊によれば、収穫期間はあと1週間が最適で、それ過ぎるとポテータに芽が出始めて萎んで来ちゃうっていうし……

 地球産コンバインをフル稼働しても果たして全部収穫出来るだろうか……


 試しにゴブリン族にポテータ掘らせてみたけど、人海戦術で収穫するにしても、これ優に10万人は投入しないとだわ。

 精霊たちに頼んで魔法で土を掘り起こすことも出来るけど……

 でもこれだけ広いと奴らもたいへんだよ。

 しまったなあ……

 俺としたことが、収穫のこと考えてなかったわ……


 仕方ないから、今回は俺がやるか。



「なあアダム。

 おおよそでいいんだが、この畑のポテータって、何CC以上のものを収穫したら、重量比でポテータ全体の70%になるかな?」


(およそ500CC以上でございますね)


「サンキュ」



 俺は、マナ建材で、とりあえず10メートル×10メートル×2.5メートルほどの『ポテータ(大)用コンテナ』を15個と、それよりは小ぶりの『種イモ用コンテナ』を15個作った。

 まあさほどに強度は必要無いんで、どちらも厚さは3センチほどだ。


 このコンテナをプランター(100メートル×10000メートル)の上空に並べる。


「魔法マクロ、【ポテータ(大)抽出】定義。

『当該プランターの土中より、体積500CC以上のポテータを抽出して、上空のポテータ(大)用コンテナに均等に収納せよ』

 以上、魔法マクロ定義終了。


 魔法マクロ、【ポテータ(小)抽出】定義。

『当該プランターの土中より、体積500CC未満のポテータを抽出して、上空の種イモ用コンテナに均等に収納せよ』

 以上、魔法マクロ定義終了」



 途端に畑の土の中からポテータがずぼずぼと引き抜かれて、コンテナに収まって行った。

 1分ほどですべてのコンテナにポテータが詰まっている。



 うーん、けっこうな収穫量だな。


 ひとつのプランターから、食用ポテータがコンテナで15個、重さにして約2000トン、種イモ用ポテータが約1000トン収穫出来たか……

 80個のプランターにポテータが植えてあるから、総収穫量は食用が約16万トン、種イモ用が8万トンだな。


 あ、そういえばオーキーが食べ物の収穫は幸福の1つって言ってたっけか……



 俺は畑の周囲に簡単なギャラリースタンドと、大鍋を置ける竈をいくつか用意した。

 もちろん竈の中にあるのは薪ではなく『熱の魔道具』だけど。

 そうしてハイパージュラルミン製の大鍋もいくつか作っておいたんだ。




 その日の夜のガイアTVニュース。


「みなさまにお知らせいたします。

 あす朝8時より、『9時街』南のポテータ農場におきまして、サトル神さまによるポテータ収穫のパフォーマンスが行われます。

 お手すきの方は是非見学にいらしてくださいね♪」



 翌朝。

 うーん、予想外にギャラリーが集まってるぞ。

 これ、10万人はいるんじゃないか?

 相変わらずテレビの効果ってすごいよな。


「収穫の喜びを皆で分かち合おうというのか……

 相変わらず細かいところまでよく気がつくのう……」


「あエルダさま、今日のショーはそんなにハデじゃないですよ」


「かまわんかまわん。

 それよりも採れたてのポテータを茹でて食べさせて貰えるのだろう。

 野菜は採れたてがいちばん旨いと言うからの」


 まあ、昨日試食したポテータは抜群に旨かったからな。



 ギャラリースタンドの後方では、既にポテータを茹でる準備が始まっていた。

 あー割烹着つけた各種族のお母さんたちがたくさん集まってるよ。


 俺は『マイクの魔道具』を手に取った。


「それじゃあみんな、今日は俺たちの畑からポテータを収穫するからよく見ていてくれ。

 収穫が終わったらすぐに茹でるから、みんなでお腹いっぱい食べような」


「「「「「「「 わあ――――っ! 」」」」」」

「「「「「「「 パチパチパチパチ…… 」」」」」」」


「それじゃあ始めるぞぉ。

『魔法マクロ、【ポテータ収穫】実行!』



 すぐに手前のプランター上空に30個のコンテナが現れた。

 そうして畑の中から無数のポテータが引き抜かれて、コンテナに収まって行ったんだ。


「「「「「「「 うわああああああああーっ! 」」」」」」」


 みんなの目の前のスペースに、ポテータの詰まったコンテナが30個集まって来た。

 すぐに隣のプランターでも同様の作業が始まる。


 こうして1時間ほどで、2400個のコンテナに詰まった約24万トンのポテータが収穫されたんだ。



 はは、もう茹でポテータの鍋の前に並んでる連中がいるわ。

 そうだ、少し皿やナイフやフォークを増やしておくか。


 茹でたての大きなポテータには、ナイフで十字に切り込みが入れられている。

 そこに塩がたっぷりと振られ、バターの添えられた皿に乗せられて配られていた。

 もちろんお代わり自由だ。


 ポテータ好きのベヒーモスもドラゴンも、今日はみんなベヒモニュートとドラゴニュートに変身してるから、10個も食べたらお腹いっぱいかな。

 あいつら元の姿だと、平気で1000個ぐらい喰うからなあ……


 うんうん、みんな美味しそうに食べてるよ。


 あ、猫人族ワーキャットの子供たちのために、風の精霊が風吹かせてポテータを冷ましてやってるわ。

 子供たちの耳にも風が当たってるんで、みんな耳ぺったんこにしとるぞ……


 浜ゆで蟹ならぬ、畑ゆでポテータか。

 これ、なかなかいい企画だったなあ……




 ポテータの収穫や果樹園の果物の収穫も終わって、秋も深まって来た。

 高原のダム湖畔では初氷も観測されている。


 俺は『10時街』の南側に、『温室プランター』を作り始めた。

 深さを10メートルにした巨大プランターの上に、マナ建材で高さ20メートルほどの構造物を作り、その南面と上面を格子状にくり抜いたものだ。

 その格子には超強化ガラスも嵌め込んでいる。

 中の気温が上がり過ぎたときのために、内部には複数の『空調の魔道具』も設置した。


 これからここで栽培するのは、植物の精霊たちやアダムが見つけて来た、パパイヤ、マンゴー、パイナップル、バナナに似ている木だ。

 あとはベリー各種とサトウキビも栽培する。


 これらの作物を植えたプランターは、日照を確保するために、やや間隔を開けて100個配置してある。

 へへ、これも広さ1万ヘクタールの大熱帯植物農園が出来たぜ。

 どの種族もみんな果物が好きだから、栽培に成功したらみんな喜ぶだろうな。

 どれもみんな食べたこと無いだろうから。


 まあ、植物とお話出来る精霊たちもいるから、失敗することは無いだろうけど。



 ポテータ農園には今度は小麦の種を播いてある。

 ポテータたちは、新たに『7時街』の南側に作ったプランター農場に植えるつもりだ。

 へへ、農場全て合わせると、3万ヘクタールか。

 けっこうな広さになって来たなあ……




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