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【爆撒英雄サトルのガイア建国記】  作者: 池上雅
第1章 ガイア建国篇
147/325

*** 147 変身能力を授けた *** 

 


 翌日俺は『2時街』を訪れて、フェンリル族とベヒーモス族とドラゴン族の全員に集まってもらったんだ。


「やあみんな、今日はみんなに提案があって来たんだ」


「さ、サトルさま。

 この度は『神』へのご昇格、誠におめでとうございました……」


「ベヒラン族長、ありがとう」


「あ、あの……

 もしもよろしければ、我々にもサトルさまの『神威の翼』を見せていただけないものでしょうか……」


「お、おお、そうか。それじゃあちょっと翼を出してみるか……」



 俺の背に金色の光の粒子を放つ翼が広がった。

 差し渡しが3メートルもある巨大な翼だ。


 ついでにちょっと浮かんでやったら、もうみんなタイヘンだったわ。

 フェンリルもドラゴンもベヒーモスも、全員寝っ転がってハラ上に向けてるし……

 ほとんど全員がおんおん泣いてるし……



「そ、それでな、神界で『金聖勲章』も貰ったんだけど、その副賞として『創造神力』と『創造神力ポイント』も貰ったんだよ。

 その力で何が出来るようになったかって言うとさ、あ、フェミーナ、ちょっと前に出て来てくれるか?」



 フェンリル姿のフェミーナが前に出て来た。


「フェミーナは、システィから『創造用神力』で『変身能力』を授かったんだ。

 それで、ヒト型に近い『ワ―フェンリル』になれるようになったんだよ。

 それじゃあフェミーナ、みんなに『変身能力』を見せてやってくれるか?」


「はい、サトルさん……」



 途端にフェミーナが眩い光に包まれた。

 そうして光が収まった後に立っていたのは……


 ほとんどヒト族と変わらない16歳位の少女だ。

 ただし、頭の上にはふさふさの毛に覆われた大きな耳があり、またおしりの上からは、これも大きなふさふさのしっぽが出ている。

 まあ、ほかにも手首や足首の辺りとかにも、綺麗な毛が生えそろっているけどな。

 それがまたアクセサリーみたいで可愛いんだけど。



 でもさ…… やっぱりまっぱなんだよなぁ……

 服までは『変身』で身に付けられないから。

 あー、可愛らしいおっぱいが丸見えだわ……

 ぷりっぷりのおしりも……

 もちろんフェミーナ本人は、全く恥ずかしいとは思っていないんだけど。



「「「「「「「「 おおおおおーっ! 」」」」」」」」


 はは、みんながどよめいてるわ。



 俺はワ―フェンリル姿のフェミーナに近寄ってその肩を抱いた。

 はは、フェミーナのしっぽが嬉しそうにわっさんわっさん動いてるわ。



「こうしてフェミーナは、自分の意思でワ―フェンリルになったりフェンリルに戻ったり出来るようになったんだ。

 それで今では、ワ―フェンリル姿でシスティの天使域で暮らしてもらっているんだけど。


 それで、もしよかったらみんなにもこの『変身能力』を授けてあげたいんだ。

 そうすれば、手も使えるようになって体も小さくなるから学校にも行きやすいし、なにより俺たちの街にも住めるようになるぞ。


 レベルや能力についてだが、からだが小さくなる分少し下がるみたいだけど、基本的には力もそんなに下がらないかな」



 ベヒラン族長がよろよろと前に出て来て、地に顎を付けた。


「さ、サトル神さま……

 あ、あなたさまは、我々にもこの能力を授けて下されると仰れますのですか……」


「お、おお、もしよかったらだが……」


「ぶもおおおおおおおおおおおおおおーっ!」


 あー、族長、また号泣しちゃったよ……

 バケツ級の涙がぼろぼろ落ちてるわ……




 こうして俺はまず、族長たちに『変身』の能力を授けて行ったんだ。


 ベヒモニュートになったベヒラン族長は……

 身長は2メートル50センチほど。

 鼻の上から額にかけてやや大きめの角が突き出している。

 首も太くて、なんか骨っぽいものもあるな。

 腹とかふとももとかは、急所をカバーするかのように甲殻っぽいもので覆われている。

 あ、背中にも堅そうな甲殻があるのか……


 でも全体の印象は、完全にヒトだなあ……

 それもすっげぇシブくて男前な壮年男性だ。

 こ、これきっとヒト族の女性にもモテるぞ……



 フェンリーくんは……

 うん、まあフェミーナとそんなに変わらんかな。

 手首や足首の毛がすこし濃くてさらにカッコいいけど。

 それにしてもコイツ、なんというイケメンだったんだ……

 優に男性モデルとして通用するわ。

 顔はもう、『これが野性味ですっ!』っていう顔だし、全身バリバリの筋肉に覆われてるし……



 ミノタウロスの族長も、そんなに変わらんかな。

 まあもともと顔としっぽ以外はヒト族だったし。

 でもさ、身長は2.5メートルぐらいになって、側頭部から出ている角がやや小さくなって、顔はもう完全にヒト族の顔なんだよ。

 あ、手の指や足の指が長くなってるか……

 これなら街でも暮らしやすそうだわ……

 それにやっぱり超のつく野性味イケメンになってるんだわ。

 筋肉も素晴らしいし。



 トロールの族長は…… うん、これもそんなには変わらんか。

 でももうほとんどヒト型だ。

 身長が縮んだのと、首が太いのと、皮膚がやや灰色っぽいのを除けばヒトと変わらんわ。

 お、やっぱり指が長くなってるか……



 そしてドラゴニュートになったドラゴン族の族長たちは……

 うん、まさに『ドラゴニュート』だね。

 身長はやっぱり2.5メートルほど。

 首の周りと、手足の一部が鱗に覆われているのか。

 もちろん頭には小さな角もあるし、小さな翼も太いしっぽも生えてるけど、全体の印象はヒトだな。

 あそうか、氷龍の鱗はやっぱり蒼くって、焔龍の鱗はエメラルド色か……



 それにしてもさ。

 さすがは族長たちで、みんなすっげぇ野性味溢れるイケメンヅラなんだよなぁ……

 これ、地球の特殊趣味の女の子とか連れて来たら、イッパツで落ちるな。



 それから族長たちは、各種族のところに戻ってみんなに取り囲まれてたよ。

 なんかぴょんぴょん跳ねたり、走ったりもして。

 それから質問攻めにも合ってたようだ。


 そうして、その場の全員が『変身』の能力を授けられることに同意してくれたんだ。

 まあ、なんといっても『神』からの授かりものだし、いつでも好きなときに元の姿に戻れるっていうことにも安心感があったようだ。




 それから俺は、特に2.5メートルを超える身長を持つ連中のところにも行ったんだ。

 オーガ族やオーク族の一部だな。

 それで、ここでもみんな体を少し小さくする『変身』能力を受け入れてくれたんだ。

 やれやれ、これで街や学校の設備も、せいぜい2.5メートルサイズまでに統一できるか……



 そうそう、逆に鶏人族ワーチキンみたいに体長が80センチほどしか無かった連中には、体を大きくする『変身』能力も授けてやったんで、平均身長は140センチほどになったんだ。

 しかも翼とは別に手も生えて来たんで、鶏人族ワーチキンも喜んでたよ……




 こうして無事『学校』がスタートしたんだ。


 俺は中学校や大人学校を視察してみた。

 うんうん。

 みんな真面目に勉強しとるわ。


 ありがたいことに、このガイアには共通言語があって、それも表意文字じゃなくって表音文字だったんだ。

 もし日本語みたいにたくさんの字があって、その字それぞれが意味を持ってたら覚えるのがたいへんだったろうからなあ。

 でも幸いにもアルファベットみたいな字が25文字あって、それを組み合わせて単語が作られていたんだよ。


 発音については大陸東部と大陸西部でそれぞれの方言的違いはあるんだけど、それでも会話が出来ないほどじゃあなかったんだ。



 お、『成年初級』のクラスでは、画面に映したアルファベットをみんなで読み上げてるわ。

 これを合計で3時間ばかり続けてある程度覚えたら、次はアルファベットカルタが用意してあるそうだ。

 そうしてカルタ競技会で楽しく字を覚えたら、今度は文字カルタが登場するらしい。

 まあ勉強に慣れていない大人に、文字を覚えてもらうのには最適な方法だろうな。


 そうしてある程度文字を覚えてもらったら、次は足し算と引き算の練習が始まるそうだ。

 出来ればみんな掛け算九々も覚えて貰いたいもんだなぁ……




 成人学校の授業風景に満足した俺は、最高神さまも大好きだという幼稚園の風景を見に行ったんだ。

 ああ、ちょうどお昼ご飯が終わってお昼寝の時間になるころだな。


 お、ここは『年少さん』の部屋か……

 あー、なんかみんな眠たそうだわ。

 あの猿人族ワーエイプの子なんか、スプーン持ったまま船漕いでるよ。

 あ、スープ皿に顔突っ込んだ!

 びっくりして目をぱちぱちさせてる……

 ドワーフの保育士さんが慌てて飛んでって顔拭いてるわ……


 あ、あの狐人族ワーフォックスの子も、お盆にあご乗せて寝ちゃってる……

 もうみんな限界みたいだな。


 お、保育士さんたちぞろぞろ登場……

 8種族もいるのか。

 あ、牛人族ワーキャトルのおばさんが、大きな籠にぽいぽい幼児たちを入れてるわ。

 そうか、そのまま『お昼寝部屋』に運ぶんだな。

 馬人族ワーホースのおばさんも、幼児5人入れた籠を持って続いたか。

 さすがは牛人族ワーキャトル馬人族ワーホースだ、力あるわあ。

 まあ、育児は力仕事って言うからな……


 あ、『お昼寝部屋』であの籠のまま寝てる……

 はは、各種族の幼児が籠に入ったまま入り乱れて寝てるわ。

 あー、あの洗熊人族ワーラクーンの子、隣に寝てる猫人族の子にしっぽカジカジされてる……

 あ、泣き出した……

 熊人族ワーベアーのおばさんが慌てて隅の穴の開いた箱に持って行ってる。

 そうか、やっぱり洗熊人族ワーラクーンは、穴の中の方が落ち着いて寝られるんだ……


 おお、部屋の隅にはフェンリルが何頭かいるじゃないか。

 保育士さん達がフェンリルのお中の辺りに、犬人族ワードッグ狼人族ワーウルフの子を並べて置いてる。

 はは、あの子フェンリルの乳首を咥えたぞ。

 まだ甘えんぼさんなんだなあ……

 フェンリルは…… ああ、至福の表情でその子を舐めてるわ。


 フェンリルの護衛兼保育士さんか……

 そういえば、母性本能を発露してるフェンリルの女性は最強だって、フェンリーが言ってたな。

「もし争えば我でも勝てるかどうかわからん」っていうぐらい強いそうだ。


 まあこの幼稚園にヘンな奴が侵入してくるとは思えんけど、それでも最強の護衛がいると心強いわ。



 俺はふとお昼寝部屋の隅を見やった。

 そこには毛布で包まれた籠が積んである。

 でも子供たちは、みんな隙間の空いた通気性のいい籠で寝かされている……


 俺の訝しげな表情を見たドワーフのおばさんが教えてくれた。


「今日は少し暖かいですからね。

 ですから普通の籠で寝かせているんですけど、少し涼しい日にはあの暖かい籠で寝かせるんですよ」


 なるほど……

 子供たちが誰かにくっついて寝たがるのは仕方ないにしても、なるべく快適に寝られるように配慮してあげてるのか……



 兎人族ワーラビットの子供たちは、種族がら固まって寝るのが好きなんだけどさ。

 特にお互い顔が近いとさらに安心するそうなんだ。

 そうして、手足を縮めて腹這いになって寝るんだけど、頭よりお尻の方が大きいだろ。

 だから自然と輪になって寝るんだわ。

 これ可愛くって笑えるわー。



 それから俺は『年長さん』のお昼寝部屋を見に行ったんだけどさ。

 いやこれもかなり面白かったよ。


 まずはお昼も食べて眠そうな顔をした子たちが、ふらふらと部屋に入って来るんだ。

 そうすると、保育士さん達が棚に置いてあった毛布を降ろすんだよ。

 そうして子供たちが、すんすん毛布の匂いを嗅いで、自分の毛布を引っ張り出して、お気に入りの場所で毛布抱いて横になるんだ。


 あ、猫族ワーキャットの子が空いた棚に飛び乗った……

 あはは、順番に棚に収まって寝始めたわ!

 うーん…… 見事な『猫棚』が出来とるわ……


 それで俺、大きな『キャットタワー』を作ってやったんだよ。

 太い柱の周囲に、階段状に棚がついてるやつ。

 そしたら翌日から大人気でさ。

 たくさんある棚の上で、ひとりずつ丸まって寝てるんだわ。


 それで、地球からたくさんのプラスチック製の『おうち』も輸入して置いてみたんだけど、これは、洗熊人族ワーラクーン熊人族ワーベアーの子たちに大人気だったよ。

 どの入り口からもシマシマのしっぽや短いしっぽが見えてるんだわ。



 それから幼稚園の園庭には、たくさんの『回し車』も作ってやったんだ。

 そしたら犬族ワードッグ狐族ワーフォックスの子達が大喜びで回してたぞ。

 周囲には、はぁはぁ息を切らした子達が大の字になって転がってたし。


 アスレチックコーナーも大人気だったわ。

 ジャングルジムにはいつも猿族ワーエイプの子たちが群がってたし。

 わはは、鉄棒も作ってやったんだけど、みんな鶏人族ワーチキンの子たちの止まり木になっちゃってるわ……



 いやこの幼稚園、面白いわぁ……

 さすが最高神さまのお気に入りなだけのことはあるわな。





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