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【爆撒英雄サトルのガイア建国記】  作者: 池上雅
第1章 ガイア建国篇
143/325

*** 143 内政充実 *** 

 


 数日後、最高幹部による戦略会議の場にて。


「さて、それでは建国もしたし、いろいろと回り始めたことでもあるし、俺はいよいよ本格的に対ヒト族戦略にも取り掛かりたいと思う。

 まずは3カ月後に、このガイアの全ての国の中枢宛てに、『ガイア国建国宣言』を送りつけようと思っているんだが、そのときに備えて準備を整えたいと思っているんだ」


「サトルよ。

 そうなれば、略奪目的で各国の軍が押し寄せて来るであろうの」


「はいエルダさま。

 そうなってくれれば全員捕獲出来て、少なくとも周辺国の軍は相当に弱体化出来そうですね」


「はは、楽しみだのう。ようやくあ奴らを懲らしめてやれるのか」


「そのためにも準備には念を入れようと思います。

 そこでエルダさまにもお願いがあるのですが……」


「うむ。なんなりと言ってみろ」


「ありがとうございます。

 まずはアダム、お前も『最上級世界管理システム』になったことだし、マルチタスク能力も飛躍的に上がったと思うんだが……」


(はい、おかげさまをもちまして、同時に数兆の処理が可能になっております)


「す、すげぇな……

 それでさ、お前とイブにお願いがあるんだけど、お前たちのアバターを増やしてくれないかな。

 いわば今のアバターの弟や妹分を創るカンジで」


(もちろんお安い御用でございますが、どのような任務をお考えでいらっしゃいますでしょうか?)


「『建国宣言』をすれば、ヒト族の軍勢が押し寄せて来るとは思うんだが、そいつらと交渉したりする窓口を作りたいと思ってるんだよ。

 それから中には国交を結んだりする国もあるかもしれないから、大使館を置くこともあるかもしれないし。

 そうした対ヒト族の交渉要員として、頑丈なボディを持つアバターが多数欲しかったんだ。

 いくらなんでも、悪魔っ子たちにそんな危険な仕事をさせるわけにはいかないだろうからな」


(なるほど。ときには強面で交渉したり軽くあしらったりするには、確かにわたくしのアバターならば最適でございましょうな。

 危険が迫っても1ピコ秒で転移して避難可能でございますし)


「それからさ、洞窟ドワーフ族の旧支配階級や、捕獲したヒト族の中にも、或る程度E階梯の高い奴らがいるだろ。例えば1.5以上とか。

 そういう奴らに対するカウンセリングもお願いしたいんだ。

 あれって俺もやってみたんだけど、心がひどく疲れるんだよ。

 今は悪魔っ子たちにもやってもらってる仕事だけど、あの子たちも相当に疲れてる様子だから。

 やっぱりE階梯の高い者が低い者と話をすると、なんかこう心の安寧がゴリゴリ削られるんだよ。

 だからお前のアバターにお願いしたいんだ」


(それもわたくしのアバターであれば何の問題もございませんでしょうね)


「ということでエルダさま。

 頑丈で高性能なアバターを、500体ほど購入して頂けませんでしょうか」


「なるほどのう。

 確かにアダムであれば、ヒト族の扱いも上手そうだな。

 ところでお前があの『10億都市建設』を引き受けたときに、『買いたいものがある』と言って1億クレジットを提示したのは、このアバターを買いたかったからだったのかの?」


「はは、よく覚えていらっしゃいますね。

 ええ、あのときは一番安い100万クレジットのアバターを100体買いたかったんですけど、なんかすごい資金が出来ちゃったもんで、最高級のアバターを500体お願いしたいと思いまして」


「それにヴラビエールさまを手玉に取ってまでアダムの階級を上げようとしておったのは、この仕事を念頭に置いてのことだったのだな……」


「は、はは……

 ま、まあ、手玉に取ろうとまでは思っていませんでしたけど、まあそういうことです」


「ほんにまあ、先の先までよく考えておるのう。

 ますます惚れ直したぞ♪」


「き、恐縮です……

 それからベギラルム」


「ははっ!」


「お前には当面の間、内務大臣をお願いしたい」


「『内務』でございますか……」


「そうだ、まずは今悪魔っ子たちに任せているガイア国内用のテレビ番組作りなんだが、これを大幅に拡充したいんだ。

『街』の暮らしの紹介や、各種族の暮らしぶりの紹介に加えて、農作業の紹介、作物の実り具合の紹介番組も作らせてくれ。

 それからニュース番組も娯楽番組も大幅に拡充して欲しい。

 最終的に目指すところは、少なくとも3つのチャンネルによる1日16時間放送体制だ」


「ほほう、それはまた遣り甲斐のある仕事でございますなあ」



(ひとつご指摘させて頂いて宜しゅうございますでしょうか、サトルさま)


「もちろんいいぞ、なんだ?」


(サトルさまの誕生日パーティーの際に公開されたあの映画を、各収容所でも上映いたしましたが……

 そのうち、ヒト族軍と旧洞窟ドワーフ支配層の中でも、E階梯の比較的高い集団の生活態度が明らかに変わって来たのです。

 皆真面目に働くようになりましたし、諍いも減って来ました。

 このまま行けば、E階梯もかなりの向上が見込まれます)


「あー、それってアレだよな。

 テレビとかで見たり聞いたりしたものは、無条件で権威があって正しいって思っちゃうあの心理だな」


(はい。たぶんそうなのでしょう)


「だから俺が直接面と向かって言っても反発しかしなかったのが、テレビで俺を見ると偉大な人物に思えて来るわけだ……」


(はは、どうやらそのようです)


「ところでE階梯の低い重罪犯たちはどうだったんだ?」


(そうですね、2通りの反応に分かれますでしょうか。

 ヒト族の重罪犯はあまり変わりません。

 濁った眼でぼんやりと画面を眺めているだけです。


 ですが、ヒト族の中でも旧貴族層や、洞窟ドワーフの旧長老一族などはかなり過敏な反応を示します。

 暴れ始めたり、激昂しながら画面に物を投げつけたりするヒステリー行動が顕著です)


「はは、そうか。

 それじゃあベギラルム。今度そういう旧支配層のガッカリ映像も録画して、『E階梯の違いによる生活態度の違い』みたいな番組も作ってみてくれよ」


「それは興味深そうな番組ですなあ」



「それからエルダさま。もうひとつお願いがあるのですが」


「なんでも言うてみい」


「俺が対ヒト族戦に専念している間も、このガイア国の国民のE階梯を上げて行きたいんですけど、そのためにいくつか試してみたいことがあるんですよ。

 その一環として、ここガイアにも修学旅行用の宿泊施設とか、新婚旅行用のリゾートホテルとかを作ってやりたいんです。

 それで、悪魔族の子たちの休暇も兼ねて、地球の旅館とかリゾートに研修旅行に連れて行ってやって頂けませんでしょうか」


「はは、それもまた面白そうな試みだのう。

 よしわかった。

 日本にはわたしの経営する温泉旅館があるから、そこならなんの問題も無かろう。

 リゾートホテルに関しては、悪魔族の子たちを『変身』でヒト型にして、どこか海外のリゾートにでも連れて行こうかの。

 わたしの使い魔を何人か担当にして、彼らを地球で歓待してやろうではないか」


「ありがとうございます。よろしくお願い致します。

 あ、予算はいくらかかってもかまいません。

 今度岩を砕いて砂にして、そこからの金抽出も始めようと思っていますんで」


「ははは、豪儀なことよの」


「それからもうひとつお願いが……」





 翌日から俺は、内政充実のためのいくつかの施策を始めた。


 まずは8時街予定地に、学園都市を造る。

 通常は『住宅ユニット』を配置する場所に、3階建ての『校舎』を建て、あちこちに『食堂』を配置する形にした。

『校舎』は、基本は天上高5メートルの4階建てだが、巨獣・巨人族用に天上高20メートルの2階建ても造った。

 これでドラゴン族も天井に頭をぶつけることはないだろう。

 この『校舎』は、全部で5000棟ほど造ったが、それでも相当に広い広場を確保出来ている。

 その広場の一部にはプールと風呂を50カ所ほど配置したが、サッカー場10ヶ所と体育館も30カ所作っておいた。



 食堂も50カ所ほど配置したが、基本は中央街の大厨房で用意した料理を倉庫から『転移』させて配るだけだから、それほどのスタッフは必要としないだろうな。

 もはやこうしたことに慣れて来た悪魔っ子たちが、ゴブリン族やその他の種族を組織して食堂従業員の『シフト制』を作ってたよ。




 西はゴブリン族、東はドワーフ族を中心にした『移住勧誘部隊』も動き始めた。

 なんと1万人ずつ、計2000グループを用意してのローラー作戦だ。

 アダムが生体探知した場所に、まずゴブリンやドワーフが移動して塩の交易をする。

 そうしてその群れや一族の幹部クラスと接触すると、待機していたその種族と同族のチームやフェンリルたちや精霊たちを呼び寄せるんだ。


 そうして『スクリーンの魔道具』を見せて『街』を紹介し、併せて族長たちを『街』への見学ツアーにご招待するわけだ。

 族長不在の間はフェンリルたちが村を守るって言うと、みんな相当に安心するらしいぞ。


 そうした見学者たちを案内する『街案内係』も、相当に慣れて来てるんで見学ツアーも順調だ。

 うん。これはもう俺が手を出す余地は無さそうだな。


 俺は『9時街』と同じ仕様で、『11時街』と『7時街』、それから『12時街』や『6時街』も造った。

 あれだけ熱心に移住の勧誘してたら、あっという間に住民が増えそうだからなあ。



 学園都市の準備も順調だ。

 なんせカリキュラムを練って教材を作ってるのはアダムとイブだからな。

 アダムのアバター400体とイブのアバター100体も届いたんで、当面は奴らに教師役をやってもらおうか。



 俺はまた土の大精霊ノームを呼び出した。


「お呼びだすか使徒さま」


「ノーム、ニセ世界樹作りや中央神殿作りは順調かな?」


「はいだす。ニセ世界樹作りは半分ほど出来ただすな。

 それから中央神殿も、棟梁たつ29人がそれぞれのチームを率いて一生懸命造っているだすよ」


「それじゃあそのうちの5チームを回してくれるかな。

 新しい仕事があるんだ」


「どんな仕事だすか?」


「完成した大城壁の西南の隅と、東南の隅に城を造ろうと思うんだ。

 その城造りに2チームずつ配置してもらいたい。

 そうだな、敷地は直径10キロほどの円形の土地にして、そのなかに豪華絢爛な城を造って欲しいんだよ。

 まずそこを対ヒト族の窓口にしようと思ってるから、このガイア国が金持ちに見えるようなやつを頼みたいんだ。

 後の1チームは、南側城壁の中央に大きな門を造って欲しい。

 まあ、俺たちの国の『正門』になるから、それなりに豪華に造ってくれ」


「はは、それはまた面白そうな仕事だすなあ。

 それでヒト族軍をおびき寄せて捕まえるんだすな」


「そうだ、友好的に交渉して来る国はいいが、侵略を意図して来た連中は片っ端から収容所に放り込んでやる」


「あははは。新型ヒト○イホイだすか。

 それじゃあせいぜい豪華に作らんとだすな」


「そうしてくれ。

 金や銀はそれぞれ5トンぐらいずつだったら使っていいからな。

 それ以外にも必要な地球産の資材があったら、まとめて悪魔っ子たちに注文してくれればいいから。

 資金は無制限だ」


「畏まりましただす! お任せくださいサトルさま!」




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