表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【爆撒英雄サトルのガイア建国記】  作者: 池上雅
第1章 ガイア建国篇
134/325

*** 134 「すいません、この料理、1億人前ください……」 ***

 


 翌朝、俺はエルダさまに頼んで、神界のゼウサーナ様の秘書官にゼウサーナ様との通信面会の申し込みをしてもらったんだよ。

 そしたら驚いたことに10分後にご本人から通信が入ったんだ。


「サトルよ。なにかわたしに用事があるとのことだそうだが」


「ぜ、ゼウサーナさまっ!

 さ、さっそくのご連絡誠に有難く存じ上げ申し上げますですぅ!」


「はは、まあよろしい。それで用件はなんなのだ」


「は、はい。

 先日神界防衛軍の駐屯中隊の方々が来てくださったのですが、指揮官の方にご提案をさせて頂いたのです。

 あの高価な『紛争監視システム』の購入費用を寄付させて頂くので、それを使ってここガイアで実戦訓練をしていただけないものかと。

 そうしましたら、指揮官の中尉殿が本日最高司令部にお伺いを立てて下さることになったのですが、もしもよろしければゼウサーナさまより神界防衛軍にお口添えを頂けないものかと思いまして……」



 そしたらさ、ゼウサーナさまが俺の顔をじーっと見つめてるんだよ。


「あ、あの…… な、なにか問題がございましたでしょうか……」


「うむ。そなたが今度は何を企んでおるのかと思うての。

 わたしもヴラビエールとおなじく手玉に取られるのではないかと危惧しておったのだ」


「め、めめめ、滅相もございませんっ! そ、そんな企みなどと!」


「ふむ。まあよろしい。

 念のため聞いておこうか。防衛軍にいくら寄付をするつもりなのだ?」


「あ、あの…… 

 お恥ずかしいのですが、ほんの8兆クレジットほど……」


 画面の中でゼウサーナさまが目を剥いた。

 また俺の顔をどガン見している……



「あ、あの…… そのうち5兆クレジットで監視システムを買って頂いて、3兆クレジットはお礼の寄付のつもりなんですけど……」


「そなた…… よもやそのカネで防衛軍を手中に収めて、どこぞの恒星系を侵略に行く気では無かろうな?」


「ま、ままままままま、まさか!」


「それにしても防衛軍予算100年分の寄付とは……

 まったく呆れた男だ」


「も、ももももももも、申し訳ございません!」


「まあよかろう。防衛軍に話は通しておく」


「あ、ありがとうございます。

 それからついでにもうひとつお願いが……」


「まだあるのか! 今度はなんだ!」


「あ、あの、これから本格的にガイアでの対ヒト族戦に取り組もうと思うのですが、その際に一時的に捕虜を養うために膨大な量の食料が必要になるのです。

 ですがこれ以上地球から食料を買うと、地球の農産物価格が値上がりしてしまう兆候が見られ始めてしまっているんですよ。

 それで銀河宇宙の余剰作物を購入したいと思うので、神界の農業部門担当の方をご紹介願えないものかと……」


「いくら買いたいのだ!」


「えーっと、相場がよくわからないのですが、もしも地球と同じ物価感覚でしたら、これは6兆クレジットほど……」


「…………」


「いえあのその…… 実際に使うのは半分ほどでしょうが、残りの半分は食糧不足でお困りの星に寄付させて頂きますので、ご自由にお使いください」


「……………………」


 やっ、ヤバい! ゼ、ゼウサーナさまの額に青筋が!


「たっ、足りませんかっ! 

 それでは食料寄付は5兆クレジットでいかがスか?」


「………………………………」


 げげげげげ…… 青筋が太くなったっ!


「あ、いやあのそのこの…… 

 ご、ご紹介頂く、ほ、ほんのお礼でございますですぅ」


「…… わかった ……」



 な、なんかゼウサーナさまの額の青筋がさらにっとくなってたけど、な、なんとか許して貰えたみたいだ。ヨカッタヨカッタ。

 それにしても…… 

 俺なんかゼウサーナさまを怒らせるようなこと言ったかな?



 ま、まあ8兆クレジットって言っても、所詮はそこいらの店で買い物とか出来るわけじゃないカネだしさ。

 そりゃあ日本円で800兆円ですよって言われれば驚きはするけど。

 でも『ガイアの試練克服のために』って寄付してもらったカネだからなあ。

 まさか贅沢品とか買う訳にはいかないだろ?

 要は住民防衛か食料以外に使い途の無いカネだからねえ。


 そしたらさ、1時間後に神界防衛軍総司令官の中級神さまとその幕僚たち、その10分後には神界食料庁長官の中級神さまとその配下たちがすっ飛んで来たんだわ。

 なんでだ?


 まあとりあえずその場でアダムに指示して、防衛軍と食料庁にそれぞれ8兆クレジットの振り込みをさせたんだけどさ。

 中級神さまたち2人とも涙目になってたぞ。

 なんでだ?



 まあ俺、このときはよく知らなかったんだよ。

 神界って、人材も能力も経験も知識も凄まじいものを持ってるんだけど、唯一絶対的に足りないのが『資金』だったんだ。

 よく考えたら管理してる世界から税金を取ってるわけでもないし、資金源なんかほとんど無いからな。

 だから管理下にある8800万世界の神殿へのお賽銭とか寄付金が唯一の資金源だそうな。

 それもまあ銀河系の歴史135億年に渡って溜めこんで来たから、それなりの額になってはいるらしいんだけどさ。


 あの惑星ウールの救済のときは、最高神さまの決断でその資金を相当に取り崩して使うつもりだったそうなんだ。

 でも俺が建設代金を1000分の1にまけてあげたもんだから、かなり助かったらしい。

 それでもしばらくは緊縮財政が続く見込みで、どの部署にも緊縮予算を立て直すよう通達が出てたそうだ。


 だから神界防衛軍は装備の更新が出来ず、食料庁は緊急援助用の食料の買い付け量の削減を迫られていたんだと。

 そこへ持って来て、それぞれが通常予算100年分から300年分の寄付を受けたんで相当に嬉しかったらしいな。

 食料庁長官なんか、緊急食糧援助局の局長と手を取り合ってっておんおん泣いてたぞ。



 その様子を見ていた俺とシスティは、相談の上、追加で神界に30兆クレジットの寄付をすることにしたんだ。

 ま、まあシスティ名義のガイア口座にはまだ80兆クレジット以上の資金があったからさ。そのぐらいなら寄付してもいいかなって思って、「これ、お困りの方たちのために使ってください」って言って寄付したんだ。


 そうしたらまた神界が大騒ぎになっちゃったらしいんだよ。

 なんかそれ、神界全体の年間予算の10年分とかに相当するそうなんだ。

 それで知らないうちに『銀河システィ&サトル基金』とかいうのが設立されちゃったんだわ。

 しかもそれが大々的に報道されちゃったもんだから、銀河全域から浄財が滝のように流れ込んで来て、あっという間に基金の総額が100兆クレジットを越えちまったんだとさ。

 ま、まあよかったんじゃないか?



 ついでに余剰農産物を抱えて困ってた星は、余剰分を神界に買い上げてもらって大喜びだ。

 農機具やら肥料やらの会社も、潰れかけてたのが一転して最高益更新とかになって大喜び。

 さらにその食料の援助を受けた世界はもっと大喜びだ。

 おかげで両方の世界から莫大な寄付が集まったそうだな。


 さらにその様子も大々的に報道されちゃったもんだから、『銀河システィ&サトル基金』は雪だるま式に膨れ上がっているそうなんだよ。

 お、俺知らないからね……

 あるときフト見たら、俺の幸福ハピネスポイントが19ケタに迫りつつあったのには驚いたけどさ。

 まあみんな喜んでるみたいだからいいんじゃない?

 俺は『世界監視システム』を手に入れられたし、それを駆使して治安維持をしてくれるプロの兵士もたくさんいるし。

 そうそう、『監視システム』用のナノマシンを作っている工業系の惑星たちも大喜びだったそうだわ。


 それから食料もたくさん手に入ったし。

 俺たちが使う予定の食料3兆クレジット分のうちのほとんどは、加工食品を買うことにしたんだ。

 ベルミアに味見してもらってOKが出たやつだけだけど。

 食材があっても、それを料理するのは重労働だからな。


 おかげで食品加工系の惑星も大喜びだ。

 まあ加工食品がいくらあってもシスティの倉庫なら絶対に腐らないし。

 ついでにベルミアの推薦する各惑星の有名料理なんか、料理ごと買ったしな。

「すいません、この料理1億人前ください」とか言って……

 まあ現地では1次産業従事者も料理人たちも大喜びだ。

 もちろん銀河中の旨いものが喰える俺たちも大喜びさ。


 実は、ガイアはまだ神界認定世界ではないから、これらの星々とは直接取引は出来ないんだけど、神界が走り回って特例を作ってくれたんだ。

 つまりエルダさまの『株式会社エルダーシスター』の神界支店経由の取引になったんだけど、エルダさまもそれに合わせて悪魔族の従業員を200人ばかり増やしてたわ。

 なにせ雇い主はあの有名なエルダリーナさまだし、交代で地球やガイアにも行けるっていうことで、とんでもない数の応募があったらしいなぁ……





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ