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【爆撒英雄サトルのガイア建国記】  作者: 池上雅
第1章 ガイア建国篇
133/325

*** 133 『神界防衛軍ガイア駐屯中隊』がやって来た ***

 


(サトルさま。

 例のビクトワール王国第8王子につきまして、ある程度の調査が終わりましたのでご報告させていただいてもよろしゅうございますでしょうか)


「おお、どうだった?」


(はい、やはりあの王子は、かつてのシスティフィーナさまの使徒の末裔である可能性が濃厚です。

 大陸東部では『黒目か黒髪の子は特別な能力を持つことがある』という言い伝えがあるようでございまして、どうやらあの『第6感』もそうした能力が変化していったものと思われます)


「そうか……」


(また、あの王子の実母も、目は蒼かったものの髪は黒色でございました。

 彼女自身はほとんど特殊能力を持っていないようでしたが、その髪の色と壮絶なる美貌をもって、王の後宮に妾姫として迎え入れられた模様でございます。

 興味深いことに、実母の父、王子の祖父は、大陸東部有数の大商会を経営する会頭でございまして、この祖父もまた黒目黒髪でございました。

 もっとも現在では頭髪はすべて白くなっておりますが……)


「大商会の娘が後宮に入って生んだ子だったのか……」



(この商会自体も大変興味深いものでございました。

 主に海運業を地盤にした商会なのですが、なんと自前の『孤児院』を所有しているのです)


「ほう……」


(その孤児院では、この世界では極めて珍しいことに子供たちに非常に高い配慮をしておりまして、充分な食事はもちろん、読み書きなどの教育や体育に類した行為まで施しております。

 その孤児院の子たちは15歳になると卒院するのですが、その卒院者の大半は商会に就職しておるようでございますね)


「なんらかの強制が働いているのか?」


(いえ、むしろ農業や鍛冶屋、料理店などへの就職も奨励されておりました。

 ですが、余所で修行を積んだ後に、商会の各部門に再就職するケースがほとんどでありました。

 どうも特殊技能者の育成を図っているようでございます。


 それから第8皇子についてでございますが、あの国では通常王族も領地を得て、その税収から私兵とも言える軍を用意するのですが、あの第8王子は継承権争いから逃れるために領地を返上し、代わりに得た王室費より軍を維持しております。

 特筆すべきはその軍1万のうち、実に9割がこの孤児院出身者であることでございますね)


「9割か…… 

 それがあれほどまでの部下の忠誠心を得ている理由か……」



(かの商会には会頭の下に5人の大番頭がおります。

 それぞれ、『仁』、『海』、『陸』、『商』、そして『武』の大番頭と呼ばれているのですが、そのうちの『武』の大番頭は、会頭の娘の後宮入りに伴って、近衛として同行いたしました。

 そうして第8王子の誕生から以降は、その側近兼教育係としての役割を果たしております。

 あの捜索軍で筆頭将軍を務めてもいる男でございますが、彼のおかげで後ろ盾も無い第8王子が今まで暗殺もされずに生き延びて来たと言われております)


「その商会会頭と王子のE階梯は測定出来たか?」


(はい。

 驚くべきことに、会頭のE階梯は5.0、第8王子は5.5ものE階梯を保有しておりました……)


「すげえな…… この世界では最高レベルかもしらんな……

 よし! ますます興味が湧いた!

 これからも引き続き調査を進めてくれ」


(畏まりました……)





 ベギラルムとベルミアの子は無事生まれた。

 まあ最高神さまの加護の指輪もあったしな。

 臨月になるとベルミアはベギラルムと一緒に実家に帰っていたんだけど、女の子が生まれてしばらくすると赤ん坊を連れて帰って来たんだ。

 ついでに両方の両親や族長まで連れて来てたけど……

 システィがにこにこしながら全員分の部屋も作ってやったんで、長老もじいちゃんばあちゃんも感激のあまりしばらく泣きやまなかったわ。

 ベギラルムもベルミアも親孝行出来てよかったね。


 もうベギラルムはでれでれだよ。誰だこいつ、っていう顔してたわ。

 名前は長老がつけてくれたそうで、『ベルシュラ』ちゃんになったそうだ。

 なんでも一族の女性に伝わる由緒正しい名前だということだった。


 そうしてシスティの天使域で、ベルミアがベルシュラちゃんに初めておっぱいとかあげたときはもう大騒ぎだったわ。

 予想通り、ローゼさまもエルダさまもシスティも、天使力を駆使して自分の体を改造して母乳出せるようにしてたし。

 なんかみんなで交代でベルシュラちゃんにおっぱいあげてるんだぜ。

 おかげで天使域のリビングでは、女性はみんなトップレス状態よ。

 つい俺が見ちゃうもんだから、対抗してフェミーナまでトップレスになってたし。



 それにしてもローゼさまのおっぱいデカいよな。

 ベルシュラちゃんの頭より遥かにデカいんだもの。

 最初ベルシュラちゃんが怯んでたぞ。

「こんなにたくさん飲めるわけないじゃん!」みたいな顔して……



 ところでみなさん。

 俺が寝ている隙に、口に乳首含ませておっぱい出すのはヤメて頂けませんでしょうか……

 3回に1回は気管に入っちゃって咽てタイヘンなんですけど……

 赤ん坊に戻った夢とか見ちゃうし……




 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




『神界防衛軍ガイア駐屯中隊』がやって来た。

 その指揮官である中隊長の中級天使を見て、俺とベギラルムはフリーズしたんだ。


「あ、悪魔族……」

「ベ、べリンダールさま……」


「初めまして。

 神界防衛軍ガイア派遣中隊指揮官、べリンダール中尉であります。

 かの高名なサトル殿にお会い出来て、これに勝る光栄はございません。

 今後ともよろしくお願い致します」


「中尉殿。こちらこそよろしくお願い致します」



 挨拶が終わるとべリンダール中尉がベギラルムに向き直った。


「これはこれは、かの有名な『おとこ大悪魔』ベギラルム殿にもお会い出来るとは。

 ベギラルム殿、後でサインを頂けませんでしょうかな。

 いやわしの孫たちが貴殿の大ファンでしてな」


「あ、あの…… 

 わ、わたくしこそべリンダールさまのサインを頂戴出来ませんでしょうか……」



 どうやらこのべリンダールさんて、自ら志願して神界防衛軍の幼年学校に入り、そこで実績を上げて出世して、ついに中級天使にまで至った立志伝中の人物なんだそうだ。

 どうやら悪魔界では出世頭のひとりとして子供たちの憧れの的らしい。

 ベギラルムも子供のころから『英雄兵士べリンダール伝』を読んでたそうだ。


 その後は3人で写真を撮ったり、その写真にサインをしたりしたんだ。

 もうベギラルムは大喜びだったわ。なんかベルミアも感激してたしな。



 俺とシスティは、べリンダール中隊に、新しく出来た『10時街』の中心街に近い場所で600人分の住宅を用意した。

 任務中は中隊本部の軍域に詰めているか、現場で警戒に当たっていなければならないらしいが、せめて非番のときには食事や街を楽しんでもらいたかったからだ。

 これには兵士のみんなから随分と感謝されたよ。


 そうやって指揮下の兵士の士気が上がると、当然ながら指揮官も大いに喜んだ。

 それでなくともベギラルムが中尉殿と話をしたがるんで、週に一度はべリンダール中尉を天使域に招いて歓談しながら夕食を取るようになったんだ。

 中尉殿はベルミアスープに感激してたよ。



「ところで中尉殿、神界防衛軍の本分は紛争地域の武力衝突抑止だと伺ったんですが、具体的にはどうやって行動されるんでしょうか?」


「そうですな、我々は『待機、監視、抑止』と言っておるのですが……

 まずは『待機』ですが、これはまあ常識の範囲内です。

 通常4つの小隊が8時間交代で即応体制を取ります。

 当直の1つの小隊のうち、さらに1分隊は紛争地域上空で哨戒任務に当たり、残りの2分隊は軍域の待機ルームで即応待機しておりますな」


「そうすると8時間勤務された後は24時間の休息時間があるわけですね」


「ええ、勤務明けの小隊は完全休養となりますが、その後は16時間の準待機になります。これは武装をつけないまま増援部隊としていつ投入されてもいいように、軍域での休養が義務付けられております。

 それから『監視』ですが、これは通常紛争地域での目視による監視になります。

 一応夜間の目視も出来るよう、皆天使力で『暗視』のスキルも身につけておりますが」


「紛争地域が広い場合にはどうされるんですか?」


「そうですな、滅多に無いことですが、その場合には神界から増援部隊がやって来ます。

 それでも足りない場合には、司令部から『監視システム』が貸与されて監視に当たることになっております」


「ほう、『監視システム』ですか。それはどのような……」


「まずは紛争地域に散布する大量のナノマシンがあります。

 そうしてそのナノマシンからの映像、音声情報を中継する指揮官ナノマシン、その指揮官ナノマシンからの情報に基づいて紛争の兆候を判断するAIシステムから構成されています。

 そうしてAIが紛争や暴動の兆候ありと判断すると、抑止のために我々実戦部隊が投入されることになるのです」


「ほほう、ナノマシンとAIの組み合わせで地域を監視されるのですか……」


「ええ、そうして『抑止』ですが、これは通常2つの方法が取られます。

 ひとつは我々が持つ神威の衝撃波で紛争当事者を気絶させることであり、もうひとつは天使力で拘束することです。

 いずれも非殺傷手段によって紛争を抑止することを求められたが故の方法ですな。

 それ以上の実力行使は、民間人に大きな被害が予想される場合のみ許可されますが、まあほとんど行使されたことはありません」


「中尉殿の中隊は、その『紛争監視システム』をお持ちなのでしょうか?」


「いえ、なにしろ膨大な量のナノマシンを使用しますので、これは非常に高額なものになります。

 中隊の予算などではとても手が出ません。

 神界防衛軍全体でも10万平方キロ分の監視システムしか持っていないのですよ。

 ですから我々兵士が自分の目で監視するのが主になるのです」


「おいくらぐらいするもんなんですか?」


「そうですな、ざっと100平方キロ当たり100万クレジットほどになりましょうか。

 ですから神界が保有する監視システム10万平方キロ分全体で、10億クレジットもの費用がかかっているのです。

 1000年ほどかけて溜め込んでいったそうでありますな」


「中尉殿はそのシステムをお使いになったことはありますか?」


「ええ、数年に1度、非常に狭い範囲での訓練を行っています。

 なにしろナノマシンですから、多少は損耗しますので訓練費用もばかになりませんからね」


「損耗率はいかほどで?」


「確か年間2%ほどだったかと」


「それは我々も購入することが出来るものなのでしょうか?」


「いえ、残念ながら保有も運用も神界防衛軍にのみ許可されているのですよ。

 まあプライバシー保護のためでもあります。

 なにしろ範囲内の知的生命体の活動が丸わかりですから」


「そうですか……

 なあシスティ、あの銀河宇宙から頂いた寄付金を少し使ってもいいかな」


「もちろんよ。サトルの好きに使って♪」


「それでは中尉殿、我々が中尉殿の中隊にその監視システムを寄付させて頂いて、このガイアで実戦運用訓練をして頂くことは可能でしょうか?」


「き、寄付でございますか…… 

 ふむ、前例が無いのでなんとも言えませぬが、明日最高司令部に問い合わせてみましょう」





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