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【爆撒英雄サトルのガイア建国記】  作者: 池上雅
第1章 ガイア建国篇
131/325

*** 131 『爆撒英雄サトルの軌跡。1人のヒト族が神になるまで』 ***

 


 翌日、俺たちは内輪で、ささやかな『昇格内定』のお祝い会を開いた。

 メンバーは、俺とシスティ、それからローゼさまとエルダさまと、ベギラルムとベルミア。

 それから大勢の精霊たちとアダムとイブだった。


 でも……

 その中に、見慣れない16歳位の美少女がひとりいたんだ。

 こ、この娘、すっごいわ。

 なんていうかこの、見たことも無いぐらい野性味に溢れてるんだよ。

 全体にスリムな姿なんだけど、凄まじく強靭そうな筋肉に全身が覆われていて、それでいて体は女性らしく柔らかそうなんだ。

 さらにその顔……

 もう若きアマゾネス軍団の首領みたいな迫力がスゴいわぁ。

 ちょっとだけ吊目がちな目つき、高くて細い鼻筋。長いまつ毛も凛々しいし。



 その少女は、真っ赤な顔をして座っていた。

 ややキツ目の目元を伏せて、ときどき俺を見ては恥ずかしそうに目を伏せちゃうんだけど、でもまたすぐに俺を上目遣いに見つめるんだよ。


 地球の『ツンデレファン』のみなさま。

 これが或る意味ツンデレの理想形であります!

 これほどまでに野性味あふれるツンツンな美少女が、涙目になって俺を見つめてくれてるのです。

 ツンデレ万歳!


 いやヤバいわ。俺の好みのど真ん中かもしれないぞ……

 髪は、長くも無ければ短くもない肩までぐらいの長さだ。

 髪の色は…… 俺の髪に近い黒だ。これ黒鉄色っていう色だな。

 瞳も黒だ。そうか、だから親近感も湧いてるんだ……



 ん? 

 なんで頭の上に犬耳があるんだ? それも大きいのが……

 あっ! よく見ればミニスカートのおしりの上から大きなしっぽも出とる!

 そのしっぽの先だけまっ白な毛になっとる!


「お、お前、まさか、フェ、フェミーナか……」


 途端にその娘が大泣きしながら抱きついて来たんだ。

 そうしてわんわん(文字通り!)泣きながら俺の顔中を舐めまわすんだよ。

 はは、ワーフェンリルになっても習性はあんまり変わらないんだな……


 そうして切れ切れに言うんだ。


「うえええ~ん、あ、あの、し、システィさまが、この姿にしてくださったの……

 ひ、ひっく、わ、わたしがヒト型になってサトルさんのお傍にいたいって泣いてたら……

 あ、あの…… こ、この姿、変じゃないですか?」


「変じゃないぞ。それどころか見たことも無い程の美人さんだ。

 美人過ぎてびっくりしたよ」


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ~ん!

 サトルさん好き! 大好き! もう死ぬほど好きなの!

 あ、あのあのあのあの……

 が、ガイアを救ったら、わたしにサトルさんの子種をくださいっ!

 わたし、サトルさんの子を生みたいの!

 そうして、私の命はサトルさんに捧げます。

 サトルさんの護衛として、一生お傍にいさせてくださいませ……」


「はは、命なんか捧げて貰うのはどうかな。

 俺は自分が死ぬより仲間が死ぬ方がよっぽど辛くて悲しいんだ。

 だから絶対に俺より先に死なないこと。

 そう約束してくれたらずっと傍にいてくれ」


「は、はいっ!」



「はは、サトルよ。

 それはちょっとフェミーナに酷かもしれんぞ。

 なにしろもうお前は『神』なのだ。その寿命は10万年を下るまい。

 もっともお前がここにいる連中に、有り余る神力をもって、『不老長寿の加護』を与えれば、ずっと一緒にいられるだろうがな」


「エルダさま…… 

 そうか、俺もう神だからずっと生きていられるのか……」


「そうだ。その通りだ。

 それではみんな、打ち合わせ通り、神となった祝いにサトルを喜ばせてやろうではないか!

 そーれっ!」



 ま、まいったなおい…… みんな服を脱いでまっぱになっちゃったよ。

 ローゼさまも、システィも、ベルミアやイブまでも……

 お、もうベルミアのお腹も大分大きくなって来てるなあ。


 あ、精霊たちまでまっぱになっとる!

 光の大精霊ルクサーテム風の大精霊シルフィーって、こんなにおっぱい大きかったんだ……

 あ、そうか。

 子供生んだから、もうお母さんのおっぱいになってるのか……


 ああっ! 俺の服まで『転移』されちまった!

 俺もまっぱだ!



 そこに悪魔っ子たちがみんなに飲み物や食べ物を運んで来てくれたんだけど……

 当然のことのようにみんな女の子で全員まっぱなんだわ。


 もう俺、大中小さまざまなおっぱいさんに囲まれて気絶しそうだよ。

 そうして当然、俺のオオカミさんも抑制が利かなくなっちゃったんだ……


「おお! みんなアレを見よ!

 サトルがすっかり元気になった印だ!」


 おかげでみんな俺のオオカミさんをガン見しながら万歳してたよ……

 ここにいる連中は全員性欲リビドーをよく知らないから、本当に俺が元気になったって、純粋に嬉しかったらしいが……

 もうこの羞恥プレイなんとかして欲しいんですけど……



「ねえサトル。

 ここにいる女性は、精霊さんたちやベルミアさんを除いて、全員がサトルの子を生みたいって思ってるのよ♪ もちろん悪魔族の娘たちも。

 ローゼさまやエルダさまも生みたいんですって。

 だから、『試練』を克服出来たら、みんなに子種を分けてあげてね♪

 うふふ。サトルったら、すごい数の子供たちの『お父さん』になるのね♪」


「「「「「「「「 わーっ! 」」」」」」」」

「「「「「「「「 きゃーっ♡ 」」」」」」」」

「「「「「「「「 また大きくなった―っ♡ 」」」」」」」」



 システィさん…… 

 あなたがそんなこと言うもんだから、俺はもう完全に見世物状態ですわ……



 あっ! こ、こらっ、フェミーナ!

 そ、そこは舐めてはならん! そ、そこだけはヤメてくれっ!!!

 お、オオカミさんがオオカミさんに、そ、そんなことをしてはいかん!

 ま、万が一暴発でもしたら、俺の『暗黒歴史』になってしまう!





 大騒ぎの『昇格内定お祝い会』の翌日。


 神界から全員にお手紙が送られて来た。

 そうしてそれを読んだエルダさまが、手紙を取り落としてぷるぷる震えているんだわ……

 あ、とうとう床に手をついてる!

 な、なんかすっごいがっくし来てるみたいだ……


(な、なあシスティ。エルダさまどうしちゃったんだ?)


(あのね、私たちは神になると同時に称号が与えられるの。

 わたしの場合は『子宝の神』だったんだけど……)


(お、俺、『子宝の神』に子種仕込むんか……

 システィ、いったい何人子供産むんだろ……)



(でもそれ、必ずしもそれを司るお仕事ばかりするわけじゃあないんだけどね。

 まあ、ニックネームか苗字みたいなものかしら)


(日本で言う『屋号』みたいなもんか……

 それにしても、エルダさまはなんであんなに落ち込んでるんだ?)



 そのときエルダさまから絞り出すような声が聞こえて来たんだ。


「ううううううううっ……

 わ、わたしはそれこそ小さい小さい頃からずっと、『美の女神』もしくは『愛の女神』になりたかったのだ。それこそがわたしの大切な大切な夢だったのだ……

 だからこそ今までも必死で努力して来たというのに……」

 あううううううううううっ……」


(それでエルダさま、なんの神になったんだ?)


(それがね、神界から『商売の神』に指定されちゃったみたいなのよ)


(!!!)


(そんな神にされちゃうとは夢にも思っていらっしゃらなかったらしいの)


(で、でも、それって、妥当っていうかそれ以上ピッタンコの指定は無いっていうか……)


(ダメよ今そんなことエルダお姉さまに言っちゃあ)



「あうううううっ…… 

 え、『えべっさん』とおんなじ神になってしもうた……」


(い、今エルダさまのところに笹持って行って、「商売繁盛で笹持って来いっ♪」って言ったらどうなるんだろうか……

 や、やっぱりやめておこう…… ガイアが消し飛ぶかもしらん……)



「そ、それでローゼさまは何の神さまになったんですか?」


「わたくしは初級神時代と同じですね。『豊穣の女神』です」


 俺思わずローゼさまの胸見ちゃったんだ。

 ま、まあこれもこれ以上無いぐらいのピッタンコだよな。

 あっ! いいから! ローゼさま、こんなところで嬉しそうにおっぱいぽろりしないでいいから! 早く仕舞ってくださいっ!



「それで、サトルはなんの神になったの?」


「あ、ああ、まだ見てなかったんだけど……

 な、なんじゃあこりゃあぁぁぁっ!

性欲リビドー英雄神』だとぉぉぉぉぉぉ~っ!」


「まあステキ♪

 サトル、いっぱい子供作りましょうね♡」



(『子宝の神』と『性欲リビドー英雄神』の子作り……

 や、ヤバい…… 俺の子供、3ケタ行くかも……)





 それからしばらくして俺は18歳になった。

 へへ、俺もう結婚出来る歳になったんだな。


 またみんながパーティー開いてくれたよ。

 新たに生まれた子も入れて2424人の精霊たち、300人の悪魔っ子たち、98人の地球の悪魔さんたち、それから『9時街』と『10時街』と『2時街』に移住して来た22の種族からそれぞれ招待客が100人ずつ。

 全部で4000人を越えるひとたちが、システィの天使域に作られたパーティー会場に集まってくれた。

 そうしてみんなにおめでとうを言われ、「ハッピーバースデー」を歌ってもらったんだ。

 俺はもう途中からずっと涙目だったよ。

 その様子はガイアの地上界にあるすべてのスクリーンの魔道具に同時中継されているそうだ。


 それから、ベルミアの弟子である悪魔っ子たちが一生懸命作ってくれた豪華なパーティー料理が運び込まれた。

 みんな目を丸くしながら盛大に食べている。

 特に最近生まれた精霊の子たちはケーキに群がってすごかったけど。

 全身クリームまみれになって、飛べなくなって床に落ちてもがいてるやつまでいたわ。

 あ、その子を助け起こしてるの、光の大精霊ルクサーテムだ!

 そうか、ケーキ好きは母ちゃん譲りか……






 みんなお腹いっぱいになって、各族長たちの酒盛りも賑やかになって来たころ、ローゼさまが立ち上がって声を上げたんだ。


「それでは皆さま、これから本日の使徒サトルのお誕生日パーティーのメインイベントとして、映画を上映させていただきます。

 これは、神界報道部が作りましたドキュメンタリー映画で、明日から神界はもとより、この銀河系8800万世界で公開される予定です。

 この場ではその先行上映となりますね。

 それではどうぞお楽しみください。


 タイトルは、『爆撒英雄サトルの軌跡。1人のヒト族が神になるまで』です」



 俺思わずフリーズしちゃったよ。

 だってそんな話ぜんぜん聞いてなかったんだもの。


 そうしてパーティー会場が徐々に暗くなると同時に、その場に巨大な3Dスクリーンが現れたんだ。

 そうして盛大な拍手の中、タイトルに続いて映画が始まったんだよ……




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