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【爆撒英雄サトルのガイア建国記】  作者: 池上雅
第1章 ガイア建国篇
126/325

*** 126 10億人都市群の建設開始! ***

 


 アダムが惑星『ニューウール』に転移して30分後、現地では10億人都市群の建設が始まったらしい。

 なんでも現場には神界土木部の屈強な神々が100人もスタンバってたそうだ。

 どうやらその建設の様子は、また神界報道部が臨時特番として中継放送してたみたいだな。


 だがしかし、1時間後、アダムから連絡が入ったんだ。


「サトルさま。都市建設のマクロを走らせ始めたのですが……

 ご覧の通りのありさまでございまして……」


 その画面には累々と転がる100人の屈強な男たちの姿があった。

 はは、まるで築地のマグロのせり場みたいだわ。

 その横には蒼白な顔をした上級神ヴラビエールさまの姿も見える。


「やはりみなさまマナ操作力の枯渇により意識を失われてしまいました。

 現在神界医療部隊がこちらに向かっているところでございます」


「そうか…… それで都市はいくつ出来たんだ?」


「それが…… ひとつ目の途中でみなさん倒れられてしまったのです」


「まだひとつも出来ていないのか……」



「さ、サトルよ、こ、これはいったいどうしたことなのだ!」


「あ、ヴラビエールさま、どうやらみなさん体内マナ保有力は充分だったものの、マナ操作力が足りなかったようでございますね……」


「ま、マナ操作力…… あ、あの屈強な若者たちが……」


「みなさんパワーは有り余っていらっしゃるものの、それを使って細かい作業を為さるのには慣れていらっしゃらなかったんでしょう」


「ど、どうしたらいいと言うのだ……

 こ、これでは到底準備が間に合わないではないか……」


「あ、ヴラビエールさま、わたくしたった今素晴らしい解決方法を考えつきましてございますー。 (棒)」


「な、なに! そ、それはどのような方法なのだ!」


「そちらにいるアダムはまだ『中級の世界管理システム』でございましてー、物品の製造や建築を行う権限が与えられていないのですよー。

 まったく残念なことにー。 (棒)」


「そ、そうか!」


「ですからー、もしもヴラビエールさまのお力でー。

 アダムを『上級世界管理システム』にしていただいてー。

 物品製造と建築の許可を与えて頂ければー。

 まあ、もしもお許し頂ければの話なんですがー。

 代わりにアダムが都市を建設出来ちゃったりするかもしれないんですー。 (棒)」


「わ、わかった。たった今よりわたしの権限で、アダムを『上級世界管理システム』とし、物品製造と建築の許可を与えよう!

 あ、アダム、進化にどれぐらいかかるのか」


「おおよそ10分も頂戴出来ましたら……」


「す、すぐに進化を始めてくれ!」


「畏まりました。心より御礼申し上げます」


「よかったなーアダムー。

 これでお前もいよいよ『上級世界管理システム』かー。 (棒)」


「おいサトル」


「な、なんでございましょうかヴラビエールさま……」


「キサマにはヒト族を遥かに凌駕する、いや神にも比肩する闘争力と知力と深謀遠慮と、そして神をも超える魔力がある。

 だが…… 『演技力』だけはそこいらへんの子供以下だの」


「は、ははは…… 

 い、いったいなんのことでごごごごございましょうやらー。 (汗)」


「それではアダム、『上級世界管理システム』に進化したお前の力、とくと見せてもらおうぞ」


「お任せくださいませ……」



 そうしてアダムからの通信は切れたんだけどさ、振り返ったらまたローゼさまとエルダさまが倒れてるんだわ。


「お、恐ろしいです…… 

 ま、まさかあのヴラビエールさまほどのお方すら手玉に取るとは……」


「こ、今度は3万年は寿命が縮んだ……」


「えー、お2人とも何仰ってるのかボクわっかんないー。 (棒)」




 それから2時間後。

 またヴラビエールさまから連絡が入ったんだ。


「サトルよ。

 アダムが100万都市をもう4ヶ所も造りおった。

 しかも既に建設予定地を囲む、500キロ四方、周囲2000キロにも及ぶ城壁も完成させておる」


「おお、それはようございました」


「だがしかし新たな問題が生じた。

 惑星ウールの火山噴火がさらに勢いを増し始めたのだ。

 既に数千キロ離れた大陸上にまで火山弾や火山礫が届くようになっている。

 一部は脱出速度を越えて宇宙空間にまで届くほどなのだ。

 このまま放置すれば、今日中にも死者が出てしまうだろう」


「そうですか……」


「そこで『最高非常事態宣言』が発動され、わたしの権限であらゆる神界の力を使用出来るようになったところだ。

 わたしは、わたしに与えられた権限により、危険地帯の住民を惑星ウールの軌道上に作ったわたしの『神域』に転移させ始めた。

 だが、その神域では非常食糧と水を配り、トイレを設置するのが精いっぱいなのだ。

 もちろん、すでにアダムの造った都市への住民転移も始まっている。

 神界の神々だけでなく、初級天使や天使見習いまでも総動員して、皆で住民の誘導に当たっておるところなのだ」


「………………」


「そこでサトルにもこの場に来て都市建設を行って貰いたいのだ。

 事は一刻を争うのだよ。

 その見返りとして、わたしは『神界防衛軍』に出動を要請し、これも認められた。

 現在1個師団500神と9500天使の防衛兵力が、ガイアに向けて出発を始めたところだ。

 これは神界の持つ紛争抑止用防衛兵力の30%にも当たるのだ。


 どうか、どうかガイアの住民防衛は彼らに任せて、こちらに来て都市を建設してはもらえないだろうかっ。

 たっ、頼む!」



「サトルさま! 神界防衛派遣軍の司令官殿が、サトルさまに面会を求めてこちらにお見えになっています!」


「ヴラビエールさま。

 このまま少々だけ失礼してよろしいでしょうか……」


「あ、ああ……」


「すぐに司令官殿をお通ししろ」



 その場に3人の男たちが現れ、全員が見事な敬礼をした。

 み、みんな強そうだわ。特に中央のデカいヤツ……


「神界防衛派遣軍第一師団師団長のバルサルーム少将であります!

 神界最高神政務庁からの命により、サトル殿の指揮下に入り、こちらのガイア世界の住民を守るために参上いたしました!」


(俺の指揮下だと……

 それにしてもコイツ。もんのすげぇツラ構えと迫力だ。

 たぶん、俺と戦っても互角かそれ以上だぞ。

 もちろん俺が加護のネックレスと勲章を身につけていてもだ)



「貴殿のご助力を感謝致します。

 ガイアの住民防衛をお任せしてもよろしいか」


「もちろんであります!」


(はは、こいつぁ俺がひとりで頑張るよりも何万倍も頼もしいわ。

 神界も本気中の本気なんだな。

 あ、画面の向こうではヴラビエールさまが安堵のため息をついてるわ)



「イブ!」


「はいっ!」


「至急西部大森林を含む、3重の防衛ラインを設定せよ!

 第1防衛ラインは、ヒト族以外の種族住民居住地域から500キロ地点とする。

 第2防衛ラインは300キロだ。そうして最終防衛ラインは100キロとする。

 ガイア中央大平原付近の地図に防衛ラインと住民居住地域をプロットし、バルサルーム師団長殿に渡せ。

 このガイアに於ける対ヒト族情報は、すべて神界防衛派遣軍へ譲渡せよ!」


「はいっ!」


「バルサルーム師団長殿。

 イブが設定した防衛ラインに沿って、警戒をお願い出来ますでしょうか」


「ご命令、確かに受領いたしました!

 我々は第1防衛ライン上空に展開し、3交代制で24時間警戒を続けます。

 第1防衛ラインが突破された場合、第2防衛ラインに予備兵力を投入し、そこでも万が一のことがあれば、全兵力1万を投入して対抗したいと考えますが、それでご了承いただけますでしょうか!」


「もちろんです。ご迷惑をおかけして申し訳ありません」


「迷惑などではありません!

 我々は最高司令官の命により任務行動中であります!」


「その際に、侵入しようとしたヒト族は、出来れば殺さずにショックランスで気絶させるか麻痺させて捕虜にしていただけませんでしょうか。

 まあ、殺しさえしなければいくら痛めつけてもかまいませんが」


「お任せくださいませ!

 そのご命令は神界防衛部隊の本分に即したものであります」


「それではよろしくお願い致します。

 ノーム!」


「はいだす!」


「至急捕虜収容所を100カ所造って欲しい。

 場所は6時街建設予定地の100キロ南でいいだろう。

 高さ50メートル、縦横300メートルほどの壁で囲った簡素なもので良かろうな。

 水場やトイレの設置と食料の供給体制も頼む」


了解ラジャーだす!」


「エルダさま」


「おう!」


「弁当やカップラーメンなどの食料と飲料を、あるだけかき集めて惑星ニューウールに送ってやって頂けませんでしょうか。

 あと毛布なんかも。

 多分、ウールの住民たちはそういったものを持ち出す余裕も無かったでしょうから」


「心得た!」


「ベルミア」


「はいっ!」


「非番の神界防衛軍の兵士さんたちを、キミの料理でもてなしてあげてくれないかな。

 もちろんキミの体に絶対に無理をさせない程度で」


「はいっ! 最近悪魔族の子たちも優秀になって来ましたので、彼らも充分戦力になりますから大丈夫ですっ!」


「ありがとう。それからベギラルム」


「ははっ!」


「お前を俺の代理に任命する。

 この天使域に常駐して、師団長殿と相談の上、ガイア住民たち全体の指揮を取れ。

 第2防衛ラインを突破された場合、直ちに俺に報告のこと。

 悪魔の子たちの通常任務はすべて停止し、移住してきた住民の世話以外は非常時に備えて待機させるものとする」


「ははぁっ! お任せくださいませっ!」


「システィ、フェンリルたちに事情を伝えて、『9時街』と『10時街』に待機して、軽度の防衛体制を取ってくれるようお願いして来てくれるかな」


「はい!」


「それから師団長殿」


「はっ!」


「なにか問題やご提言がございましたら、このベギラルムやシスティ、もしくは私に直接ご連絡いただけませんでしょうか」


「畏まりました!」




(ふふ、それにしてもこのおとこ、見事な差配だな。

 まるで将軍のようだわい。

 それも現場叩き上げの歴戦の兵士上がりの将軍だろう。

 さすがは『英雄』の二つ名を冠するだけのことはあるわ……

 はは、この指揮ぶりなら『指揮下』に入ることにもなんの異存もないの。


 それにしても、これで実年齢17歳とは……

 まだわたしの1万分の1しか生きていないというのか……

 しかも個人戦闘力は多分わたしと同等かそれ以上だろうな。

 白兵戦神界最強と言われるこのわたしと……

 ヒト族の天才とは、どこまで突き抜けた天才なのだろうかの。


 いや違うか。このおとこは天才などではないのだろう。

 1年半ほど前にこの地に降り立ったときは、赤子同然の能力しか無かったと聞く。

 そこから常識を超越した努力によってここまでに至ったのだ……

 ふふ、努力することにかけての天才か……)





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