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【爆撒英雄サトルのガイア建国記】  作者: 池上雅
第1章 ガイア建国篇
121/325

*** 121 『10時街』建設ショーとヒト族軍撃退パフォーマンス ***

 


 観客の大群衆の頭上では、大画面がモデルルームの中を映し出している。


 可愛らしい少年と少女がにこやかに家の中を紹介して行く。


「それでは、サトルさまが作った住宅の中をご紹介させていただきます。

 皆さんがこれから一生の間、ひょっとしたら何代にも渡って住めるように、サトルさまが一生懸命考えて作った住宅です。

 実際にご自分でも住んで改良もした家ですので、よーく見てくださいね♪


 まずはここが玄関です。

 入ったらすぐクリーンの魔道具が置いてある部屋になっているので、ここで全身を綺麗にしてから部屋に入っていただくんですよ。

 ここはトイレです。

 ここにもクリーンの魔道具が置いてありますので、使用が終わったらこのボタンに触れてください。

 すぐに綺麗になるんでとっても便利です。

 同時に水も流れてトイレも綺麗になりますよ。

 換気の魔道具もここを通っていますから匂いも籠りませんし。

 みなさんも是非試しに使ってみてくださいね♪


 さて、ここが家族団欒の場、リビングルームです。

 ソファがあって、クッションも置いてあります。

 そのうちにテレビやパソコンも置きたいですねえ。


 そしてここが奥さま方ご注目のキッチンです。

 全ての調理は『熱の魔道具』で行いますから火を使わないんで安心なんですよ。

 そしてこれが『温水の魔道具』に繋がった蛇口です。

 いつでも温かいお湯が出るから冬は特に嬉しいですよねー。


 そしてこちらがベッドルームです。

 大きなベッドに地球産マットレスとベッドマットとシーツが敷いてありますね。

 もちろん枕と枕カバーもあります。

 毛布は中央棟で配っていますから、寒いのが苦手な種族の方はたくさん貰って来て下さい。

 シーツや枕カバーやお洋服の洗濯は、玄関を出てすぐのところに『クリーンの魔道具』が置いてありますからそこでどうぞ。

 乾かす手間が要らないんでとっても便利ですよ。


 それから、水浴びの好きな種族の方には、外に水浴び場があります。

 ここはわざと黒い石を使っていますんで、太陽の光で水が暖められるんです。


 それからですねー、実は北門と南門の近くには、大浴場と温水プールがあるんです。

 お風呂って入ったことあります?

 ものすごーく素晴らしいものなんで、是非入ってくださいね♪

 それからプールには、楽しい楽しいウォータースライダーまであるんですよ。

 もうわたし、お尻が赤くなるまで滑っちゃいました♪


 それじゃあ次は、この街の中心になる中央棟の中をご紹介しまーす♪」




 画面が切り替わって、今度は男の子が案内を始めた。


「こちらがレストランです。

 朝7時から夜8時まで開いていて、誰でも好きなだけ好きなお料理が食べられます。

 僕たち悪魔族が作っているお料理なんですけど、最近ゴブリン族の方々も手伝って下さるようになりました。

 

今は30種類ぐらいのお料理ですけど、そのうちにメニューは100種類ぐらいまで増やすつもりです。

 看板料理は『ベルミアスープ』って言って、神さまの世界でも有名なスープなんですよ。

 あちらのスペースは、家で作るお料理の材料などを配る場所です。

 家族みんなで家で食べるお料理も美味しいですからね♪

 お勧めは、寒い時期の鍋料理なんかですね。

 材料がセットになったものもありますから、簡単に美味しい鍋料理が出来ます。

 もちろんレシピもついてます。


 それじゃあ2階に行ってみましょうか。

 こちらはTVルームとシアタールームです。

 このTVルームではガイア国内放送を流しているんですけど、今は初めて移住して来られた方々のために、施設の使い方なんかの番組が主ですね。

 それ以外の部屋ではいつも映画を上映しています。


 さあ3階です。

 ここはショッピングセンターになっているんですよ。

 いつも大勢の方々で混雑しているんですけど、空いているのは朝早くと夜遅くですから、じっくりと品物を選びたい方はその時間帯にどうぞ。

 ここに置いてあるのは、皆さんの服、文房具、鍋やフライパンなどお料理の道具なんかの日用品です。


 そうそう、申し遅れましたけど、この建物内の物は全てタダです。

 お料理も映画も服も台所用品もすべてタダなんです。

 でも、あんまり持って帰るとすぐ家が一杯になっちゃいますからね。

 今後ずっとタダのままですから、必要なときに取りに来た方が家が広く使えていいかもしれません。

 使徒サトルさまって、太っ腹ですよねー♪


 それじゃあいよいよ塔に昇ってみましょうか。

 実はこの塔に昇るのには、エレベーターとは別に階段もあるんです。

 それも「初心者用」と「中級者用」と「上級者用」が……


 今日は「中級者用」で昇ってみましょうか。

 ほら、この階段、見晴らしいいでしょう。

 下は普通の階段ですけど、腰から上の部分が全部ガラス張りになっているんですよ。

 だから、ちょっと怖いんですけど、とーっても景色がよく見えるんです。

 ガラスは固体マナも混ぜた超々強化ガラスですから、石をぶつけたぐらいでは絶対に割れることは無いですからご安心くださいね♪


 あ、そろそろですね。

 この階段が『中級者用』って言われる理由が見えて来ました。

 そうなんです、ここから高度にして20メートルに渡って、この階段は総ガラス製になるんです。

 下見ると怖いですよー。

 初めてここを昇った方の98%はここから引き返すって言われてます。

 残りの2%は、目をつぶって昇ったか飛べるひとのどちらかですね。

 あはは。


 さて、ここを越えるといよいよ展望台です。

 この辺りはまだマナ濃度が薄れて間もないんで、植物もほとんど生えていない岩稜地帯なんですけど……

 ほら、下を見ると、私たちの素晴らしい街が見えますでしょ。

 マナ建材の白と、土の黒と、街路樹の緑と、プランターの花の色のコントラストの美しい、ボクたち自慢の街なんです。


 あ、そろそろ城壁の建設が始まるみたいですね。

 カメラをギャラリースタンドに戻しましょう」



「おーい、みんなー。

 そろそろ城壁が造られ始めるからよく見ていてくれなー。

 そーら始まった♪」


「「「「「「「「 わああああああああああーっ! 」」」」」」」」


 幅40メートル、高さ70メートル、長さ50メートルの巨大な壁が形作られて宙に浮いた。その壁が次々に飛んで行っては街の周囲に着地して融着されている。

 そのうちに約1000個の石壁によって、街が囲まれていった。


「最後に城門の建設だよー♪」


 目の前の大城壁がみるみるうちに形を変えて行く。

 そこに銀色の粒が無数に飛んで行ったかと思うと、2枚の巨大な扉が形成されて嵌め込まれる。

 その幅40メートル、厚さ3メートル、高さ25メートルもの金属製の扉の表面には、システィフィーナ天使の姿が浮き上がって来た。

 目を上げれば反対側の南の端にも同様に門が出来て行っている。


「さあ、これで大体の街の形が出来たかな。

 ユニット住宅の配置にはあと5時間ぐらいかかるけど、それが終われば俺たちの街が完成するんだ。

 どうだい、面白かったろー♪」


「「「「「「「「 わあああああああああああーーーーっ! 」」」」」」」」

「「「「「「「「 パチパチパチパチパチパチパチパチ 」」」」」」」」



「でもさ、いくらこんなに大きな城壁を造ってても、ヒト族の大群が押し寄せて来たらどうしようって思う人もいるよね。

 でももしもそんなことが起こっても、この都市はぜ~んぜん大丈夫だって、これから見せてあげよう。

 それじゃあみんな、ゆっくり立ち上がってスタンドを昇り、反対の北側の観客席に移動してくれるかな。

 いいかい、慌てないでね。ゆっくりとだよ。


 さあ、これから北側の大地にたくさんの人形を出現させるけど、みんなびっくりしないでくれな。

 これは全部ヒト族に似せた人形だからね」



 俺は魔法マクロ、【ヒト族人形出現30万】を実行した。

 数分で北の大地を埋め尽くす膨大な数の人形が出現する。

 その様子が観客席の上空の3Dスクリーンにもアップで鮮明に映し出されていった。


 ヒト族人形は、どれも真っ黒に塗られ、鎧を纏い、大きな剣や槍を持っている。

 人形と分かっていても、見渡す限り地平線まで真っ黒に塗り潰される様子が恐ろしいんだろう。

 観客席では小さな悲鳴が聞こえている。


 俺はその間に、観客席と都市建設現場を2重の耐熱耐衝撃絶対アブソリュートフィールドで覆った。


「さあ、30万ものヒト族が攻めて来たとしようか。

 それじゃあそれを迎え撃つ、我らが悪魔族の戦士をご紹介しよう!」



 スタンドの北側上空に直径10メートルほどの5つの円盤が出現した。

 それぞれの円盤には、銃架と座席が据え付けられていて、座席には悪魔族の子たちが座っている。

 全員白地に金の装飾のある見事な軍服を身につけていた。

 もちろん彼らも絶対アブソリュートフィールドで守られているぞ。


 そうして銃架に乗っていたものは……

 ベギラルムとノームくんが、日本製アニメから描き起こした設計図に基づいて製造された、超近代的かつ信じられないほど禍々しい銃、いやもはや砲と呼ぶべきものだ。

 その砲身は長さが12メートルもあった。

 元デザインはどうやら宇宙駆逐艦の主砲らしいが、全体が冷却装置らしきもので覆われていて、実に太く見える。


 実際には砲の先端に『レーザー起動の魔道具』だけがついたものなんだがな。

 もちろんレーザーのエネルギーは俺から供給されるし、レーザー光そのものも俺が作る。

 あの砲の先端には、単にその中継装置がついているに過ぎないんだ。



 そうしてみんながスクリーンや実際の風景に見とれているうちに、俺は口元のチューブから『マナ・ポーション(超級)』を、いっぺんに飲みすぎないようにちびちびと啜り始めた。


「大出力レーザー砲要員、配置につけ!」


「「「「「 イエッサー! 」」」」」


 悪魔っ子たちを乗せた円盤が動き、レーザー砲をヒト族人形に向けた。


「大出力レーザー砲、発射5秒前!

 4、3、2、1、ファイヤーっ!!!」


 途端に各砲の先端から眩い光が迸った。

 5台の砲がそれぞれ射角120度ほどの範囲を、5秒ほどの時間をかけて出力1ペタワットのレーザーで掃射して行く。

 レーザー砲がやや低い位置に下がって砲撃と掃射を繰り返した。

 そうしないと、星の曲率に隠れて撃ち漏らしが出るからな。

 その間も俺は、自分のステータス画面を見ながら必死でマナポーションを啜っていたんだ。



 30秒ほどで、ほぼ日本の年間発電総量に匹敵するエネルギーが放射されたことになった。

 光が収まり、少しずつ土埃が収まって来た北の大地には、無残にも爆裂した30万のヒト族人形が転がっている。


 レーザー砲のあまりのエネルギーに、人形の素材である石材が瞬時に気化して岩石蒸気爆発を起こしたものだ。

 よくしたり顔で、『レーザーが当たったときは、対象が爆発物で無い限り、切断されるだけで爆発はしないんだよ』とか言うやつがいるけどさ。

 鉄だろうが岩石だろうが、圧倒的なエネルギーを浴びると、その部分が瞬時に気化して体積が1000倍以上になることで、爆発的な破壊が引き起こされるのだよ。

 まあ、見た目は爆発と変わらんのだ。



「さあ、生き残りがいるかもしれないから、仕上げの攻撃だぞー」


 俺はまた『マナ・ポーション』を啜り、魔法マクロ【小メテオ100万】を唱えた。

 すぐに北の大地の上空が真っ黒に染まる。

 そうして……

 直径50センチほどの小岩塊が、計100万個、50キロ×50キロの範囲に降り注いだんだ。

 その全てがわずか数秒の間に大地に着弾した。

 微かに大地が揺れている。


 岩塊の位置エネルギーが運動エネルギーに代わり、その運動エネルギーが破壊と熱のエネルギーに変わった結果、北の大地は表面が赤く溶け始めていた。

 もはやヒト族人形は陰も残骸も無く、陽炎が揺らめいているだけだ。



「みんな…… わかってくれたかな……

 俺は出来ればヒト族も殺したくない。

 だけど……

 もしもヒト族が、俺の大切な大切な仲間であるみんなを殺そうとして攻めて来たら……

 こうして全滅させてやることを誓おう。

 だから安心して俺たちの街で暮らしてくれ……」



 残念ながら、大歓声は無かったんだけどさ。

 みんな涙をぽろぽろ零しながら頷いてくれていたよ。

 へへ、どうやらわかってくれたみたいだなあ……




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