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【爆撒英雄サトルのガイア建国記】  作者: 池上雅
第1章 ガイア建国篇
12/325

*** 12 風と光の『大精霊の標的』 ***

 


 翌日から俺のトレーニングはより過激になった。


 今までのトレーニングに加えて、大精霊たちにそれぞれの『玉』を出してもらって、それを俺目がけてぶつけてもらうんだ。

 まあ、いわば『玉』じゃあなくって『バレット』だな。

 攻撃力はともかく、防御がLv2のままじゃあどうしようもないからなあ。


 最初、俺は水の大精霊ウンディーネから『水弾(小)』を2発喰らったところでHPが0になって危篤状態になった。

 まあ、防御力Lvがたったの2ではこんなもんだ。

 頭の中でぴこ~んぴこ~んと警告音が鳴っている。

 数秒後には気絶するだろう。


 その状態でもう一度攻撃を受けると、本当なら死んでしまうそうだ。

 まあ、もちろん俺は今システィの『加護』をもらっているからな。

 これは、HPが0のときに攻撃を喰らって死亡しても、10秒後には体が復活してHPも全回復してもらえるものだ。効果はこのシスティの天使域内限定だけど。


 まあ、いわば『死に戻り』かな。ペナルティ無しの。

 ペナルティどころか防御力や総合力もUPするオマケ付きだ。

 さすがは『創造天使』の加護だよなあ。


 システィが俺にキュアをかけてくれて、俺はすぐに復活した。

 あ、服に穴が開いてるよ。

 水弾とはいえけっこう威力があるんだな。

 ウンディーネが泣きそうな顔をして見てたんで、俺は彼女の頭を撫でてやった。

「辛い思いをさせてごめんな」



 体力は魔力と違ってHPが0になった瞬間に育つんで、気絶しても『治癒キュア』はかけ放題だ。

 俺は復活する度に、『水弾』『火弾』『風弾』『土弾』『光弾』を喰らってHPがゼロになり、危篤状態に陥ってはシスティにキュアをもらってまた復活した。

 これ、けっこう痛いもんだなあ。

 だが、使命の途中で死ぬわけにはいかん。

 訓練で泣いて、実戦で笑うとするか……

 何よりも俺が死んだりしたらシスティが泣いちゃうじゃないか。

 俺はもう誰も悲しみで泣かさないと心に誓ったんだ。


 もう俺は服もボロボロだ。

治癒キュア』で体は治ってるはずなのに、なんだかフラフラもしてる。

 あ、システィが涙を流してる。

 ごめんなシスティ。

 でもこれはもっと悲しい涙を流さないで済むために必要なことなんだよ……


 おお、ウンディーネも泣いてくれているのか……

 サラマンダーもノームも目に涙が滲んでる。

 みんな心配してくれてるんだな……



「なあ♪ これなんかスカッとするな♪」

「ええ! こんなに楽しい訓練だったらいくらでもしてあげられるわね!」


 訂正……

 約2名、なんだかとっても楽しそうでした……




 ------------------------------


 


 名前:サトル

 種族:ヒト族

 年齢:16歳

 総合Lv:18(+2)

 幸福ハピネスポイント:108

 罪業カルマポイント:0


 加護

 初級天使システィフィーナの加護


 称号:

 創造天使システィフィーナの使徒(初級)

 創造天使システィフィーナの心の支え

 悪魔の忠誠心(半分)を持つ男

 水の大精霊の尊敬(New!)

 火の大精霊の尊敬(New!)

 土の大精霊の尊敬(New!)

 風の大精霊の標的(New!)

 光の大精霊の標的(New!)


 権限:ガイア世界の管理権限


 各種Lv

 E階梯 地球基準6.5

 IQ 地球基準160


 体力系

 総合体力(HP) Lv11(+2)

 内訳

 防御 Lv15(+13)

 攻撃 Lv2

 俊敏 Lv12(+1)

 器用 Lv15(+2)


 魔法系

 総合魔力(MP) Lv17(+2)

 内訳

 マナ保有力 Lv23(+4)

 マナ操作力 Lv2

 マナ放出力 Lv2


 天使力スキル(管理権限)

 『管理システム(アダム)アクセス』

 『管理空間内移動』『管理空間内物質保管』『管理空間内物質認識』

 『管理空間内鑑定』


 神授スキル 

『マナ使用権限(初級)』『能力上昇上限撤廃』『能力上昇促進』

『不老長寿100年』


 行使可能魔法マクロ

『水球(小)』 

『火球(小)』 

『風球(小)』 

『土球(小)』 

『光球(小)』 

治癒キュア(小)』


 精神系

 任務遂行意欲 Lv9022(+167)

 不屈の闘志 Lv1(New!)


 資産

 約1億2,000万円(+1,000万円)


 ----------------------------------------



 なんだよ! この風と光の『大精霊の標的』ってばよ!






 或る日、俺はシスティに聞いてみたんだ。


「なあ、トレーニングで順調にレベルは上がってるようなんだけどさ。

 これ、例えば総合レベルが10から11に上がるのってどういう意味なんだ?」


「それはね、おおまかに言ってサトルの能力が25%増しになったっていうことなの」


「それって……

 レベル18の俺と互角に戦うには、レベル17の俺が1.25人要るっていうことなのか?」


「そうね。だいたいその通りだわ」


「とすると、レベルが3上がったらだいたい倍の力か……

 じ、じゃあレベル19の俺と互角に戦うには、レベル1の俺だったら2の6乗で約64人必要だっていうことなのか?」


「ええ。だいたいそうよ。

 もっとも64人が一斉にサトルを攻撃するスペースは無いでしょうからね。

 周りを囲めるのはせいぜい10人ぐらいだからレベル19のサトルの圧勝でしょうけど」


「すげえな俺…… けっこう進歩したな……」


「でもこれからがたいへんよ。

 だって能力を25%もUPさせないとレベルが上がらないんだもの」


「そうだよな……」



 それからの俺は、大精霊たちに頼んでさらに激しい攻撃をしてもらった。

 具体的には、「バレット(小)」を、「バレット(中)」にしてもらったんだ。


 ついでにシスティに頼んで丈夫な訓練着も用意してもらったよ。

 だって「バレット(中)」とか3発も喰らうと、服や下着までがボロボロになって千切れ飛ぶんだもの。

 大精霊たちが手で目を覆ってるんだもの。

 指の間からガン見してたのが約2名いたけど……



 さらに俺はシスティに相談してみたんだ。

「なあ、『攻撃力』って、このまま放置していていいもんかな?

 まあ、実際に攻撃なんかする気は無いけど……

 でも、『しない』っていうことと、『出来ない』っていうことは違うことなんじゃないかと思うんだよ。

 バランス良く成長するためには、『攻撃力』も鍛えた方がいいのかな?」


「そうね。確かに護身のためや誰かを助けるために攻撃しなければならないこともあるでしょうし……

 でも実際に誰かを攻撃しないと『攻撃力』は上がらないわよ」


「う~ん…… どうしたもんかなあ……」


 俺は考え込んでいるうちに、フト2人の大精霊と目が合った。

 途端に2人ともぴゅーっと飛んで逃げて行くではないか。

 なにかやましいことでもあるんか?


 そのとき、俺のトレーニングの補助をしてくれている中悪魔が言ったんだ。

「サトルさま。それではわたくしを攻撃されたらいかがでしょうか」


「えっ。で、でも、そんな……」


「私の総合Lvは102。防御力はLv80でございます。

 失礼ながら今のサトルさまの攻撃では、何の痛痒も感じませんでしょう」


(レベル102……

 今の俺が1億4000万人いても勝てないっていうことか…… スゲえな……)


「さ、さすがは中悪魔だな……

 で、でも、いいのか?」


「我々エルダリーナさまの使い魔の間では、サトルさまは英雄です。

 なにしろわたしなど給料が3倍になったのですから。

 これでもう、あのハンバーガーも好きなだけ食べることが出来ます♪

 そのサトルさまのレベルアップに貢献出来ましたら、これに勝る喜びはございません」


(い、今までの給料って、そんなに安かったのか……)


「あ、ありがとうな……

 ところで今さらだけど、キミの名前はなんというんだ?」


「中悪魔ベギラルムと申します」


「つ、強そうな名前だな。

 これからもよろしくな、ベギラルム」


「こちらこそよろしくお願い致します、サトルさま」



 その日から俺のトレーニングに『攻撃』訓練が加わった。

 最初は素手での正拳突きからだ。

 突きのフォームとかは全てベギラルムが指導してくれたよ。

 足の位置も重心も腕の振りもカンペキに教えてもらった。

 そうしてベギラルムの腹を正拳で思いっきり突く練習だ。


 さすがは中悪魔だ。

 俺の本気の突きでもものともしないんだ。

 俺の拳の方がすぐにぼろぼろになる。

 でも『治癒キュア』をかけると拳が育たないんで、痛みは出来るだけ我慢するんだ。

 20発も突くと皮が破れて血が飛び散りはじめるんだけど、それでもやめない。

 なんと言っても俺自身、そしてシスティのためだからな。


 でも効果はすごいんだ。

 どうやら相手が格上であればあるほど、攻撃力の育ち方は大きいらしい。

 俺の攻撃力はみるみる上がっていったんだよ。


 100発の突きが終わると、それからは魔法による攻撃だ。

 最初は各種のバレット(小)による攻撃だったが、そのうちバレット(中)によるものになっていった。

 そのうちに、バレット(大)になったりランスになったりするんだろう。


 この魔法攻撃訓練は、単に魔法をぶっ放すそれとは違っていた。

 対象を攻撃すると、魔法能力のレベルアップが早くなるようなんだ。

 特にやはり格上の相手だと上昇補正が大きいようだな。

 まったくベギラルムさまさまだぜ。





 そんな訓練の日々が続くうち、またお姉さまから連絡があったんだ。


「おお、サトルよ!

『エステサロン・エルダーシスター』のヘッドスパ部門の総売り上げが10億円を超えたぞ!

 お前の口座のカネも3億円を突破しておる!

 食い物以外は全く使っておらんようだが、好きに使ってよいのだぞ!」


「あ、あの…… そ、それでは……

 ご配下の悪魔の方たちに、お礼のプレゼントとか買ってあげてもいいでしょうか?」


「ん? お礼のプレゼントだと?」


「は、はい。 

 ベギラルムには、トレーニングとかでものすごくお世話になっているので……

 それに、元はと言えばエステティシャンさんたちが頑張って働いてくれたおかげですし」


「はははは。お前のカネだ。好きに使ってよいぞ」


「あ、ありがとうございます……」


「ときにサトルよ。

 他に何かいいビジネスのアイデアは無いかの?」


「あ、あの…… ヘッドスパにはオカネモチのおじさんの客が多いんですよね」


「おお、髪の毛の為なら100万円なぞものともしない連中ばかりだの」


「そうした方々だったら…… あの…… その……

『男性が元気になる栄養ドリンク』とかあったら売れるんじゃないかと……

 薬事法とかの問題で一般販売は難しいでしょうけど、エステサロンのドリンクサービスということにすれば……」


「なに? わははははは! 

 よし! ヘッドスパ室の片隅にさりげなく置いて売ってみよう!

 そうだの。1日有効のドリンクを5万円で売ってみるとするか!」


「…………」





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