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【爆撒英雄サトルのガイア建国記】  作者: 池上雅
第1章 ガイア建国篇
111/325

*** 111 何故他人を殺してはいけないのか? ***


 超弩級残虐表現注意!


 


 俺は傭兵団のクズ共に向き直った。



「さあ、次は誰だ? お前か?」


「き、キサマ何者だ……」


「あ? 俺か? 俺はお前たちの罪を裁く者だが?」


「お、おい、お前たち、全員で飛びかかってこいつを殺るぞ!」


「「「「「 お、おう……」」」」」


「無理だよ。お前たちでは俺の相手になるには14万8000年早いよ」



 俺はその場の全員に『ショックランスLv2』を浴びせた。

 もちろんその場で全員が気絶する。


 そうして全員を魔力で拘束して壁際に立たせたあと、水をぶっかけて目を覚まさせたんだ。


「さて、じゃあ次はお前にしよう。

 ほお、お前は630人も殺しているのか。

 しかもそのうち615人が純然たる殺人だな」


「お、おおお、俺はそんなに大勢殺しちゃいねえっ! 

 な、なんかの間違いだっ!」


「なになに? 

 お前が殺したのはヒト族125人に、後はゴブリン族と兎人族ワーラビット犬人族ワードッグか」


「ほ、ほらな! お、俺が殺したのは125人だけだろうが……」


「なあ、なんでゴブリン族や兎人族ワーラビット犬人族ワードッグは殺してもいいんだ?」


「だ、だってあいつらヒトじゃないだろ? 

 あ、あんただってヒトじゃないか……」


「俺は、なんでお前がヒト族以外なら殺してもいいと思っているのか聞いてるんだぞ?」


「あっ、はい! だってゴブリンは緑色だし、ヒトじゃないし……」


「そうか、お前は自分とは違う種族なら殺してもいいと思ってるんだ」


「はっ、はい……」


「それじゃあ教えてやるよ。

 俺は確かにお前たちと似た姿形をしているが、違うヒト族なんだよ。

 生まれも育ちもこの世界じゃないしな。

 だから俺がどんなにお前たちを痛めつけても殺しても構わないんだよな?」


「ひっ、ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ~っ!

 ゆ、許してくださいっ! こっ、殺さないでっ!」


「あはははは! 

 お前たちは今までそうやって命乞いして来たヤツらも殺していたんだろうに! 

 しかも女も子供もだ!

 だが、ようやくお前たちにも裁きのときがやって来たんだよ」


「そ、そんな…… 

 な、なんで殺したからって裁かれなきゃなんないんだ……」


「ん? わからんのか?」


「はっ、はい。わ、わかりません……」


「そうか、お前のE階梯は…… ああ、0.2か。

 それじゃあ他人のことはわからないのか」


「わ、わかりません! なぜ殺してはいけないのでしょうか!」


「それじゃあこれから一緒に勉強しようか」


 俺はそいつの頭を蹴り飛ばした。

 千切れた首が鮮血を撒き散らしながら転がって行く。

 まだ拘束されたままの胴体からも壮絶に血が噴き出し、周囲のやつらにも降り注いでいた。


「「「「「「「「 ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ~ 」」」」」」」」



 俺は自分のステータス画面を開いた。

(うん、やはり罪業カルマポイント1が記録されてるか…… だが……)


 10秒後にそいつが復活すると、俺の罪業カルマポイントはゼロに戻った。

 やはりそういう仕様だったか……



「いいか、お前たちは簡単に死ぬことすら俺に許してもらえないんだよ。

 さあ、お前はあと614回死ぬのと骨折するのと手足が千切れるのではどれがいいんだ? 

 まあ、いちいち聞くのも面倒だから、てきとーに全部やるか……」


 そのとき、最初に痛めつけたナイフ男も周囲にも光が集まって来たんだ。

 失っていた体のパーツも全て復活している。

 そうか、あまりの痛みにショック死してたのか……


「アイツを見てみろ。

 お前たちには痛みのあまり死ぬことすら許してやらん。

 痛みに泣き叫んで死の恐怖を味わい尽くせ。

 それがお前たちの贖罪だ……」


「た、助けてくださいっ! な、なんでもしますから!

 そ、そうだ! 俺たちの拠点にはカネも女も食料もありますっ!

 そ、それも全部差し上げますからどうか助けて!」


「お前たちはそう言って泣き叫ぶやつも殺して、そうして全てを奪って行ったんだろ?

 俺が同じことをしてなにか問題でもあるのか?

 もちろん後でお前たちのモノはすべて俺のモノにするが」


「そ、そそそ、そんな……」


「そうだ。ひとつだけチャンスをやろう。

『なぜ他の種族も含む他人を殺してはいけないのか』

 これがわかったヤツは申告しろ。

 俺が納得する答えを言ったヤツは許してやる」


「そ、そいつが貴族の持ちものかもしれないから?」


「お前莫迦だろ……」 


 俺はそいつの両脚をレーザーで切り落とした。


「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーっ!」


(E階梯は0.1か。そのレベルだとこんな答えになるんだな……)



「こ、殺すと、殺されたやつが痛いから?」


「じゃあそいつが痛く無ければ殺してもいいのか?」


「……………」


「不合格だ」


 魔力でそいつの首を捩じ切る。

 鮮血がリズミカルにぴゅーぴゅー吹き出し始めた。


(E階梯は0.3か……)



「そ、そいつが死ぬと困るヤツがいるから……」


「それじゃあ1人暮らしのヤツなら殺してもいいのか?」


「そ、それは……」


「不合格だ」


 俺は『物理衝撃波(小)』でそいつの体を爆撒させた。


(E階梯は0.5だったか……)



「お前たちは俺に痛めつけられたり殺されたくないと言う。

 それならば何故今まで他人を痛めつけて殺して来たんだ?」


「………………………………………」


「それがわかるまでお前たちには痛い思いもしてもらうし、死んでももらおう。

 それじゃあ始めようか」




 その日、日が暮れるまで、壁の中からは魂がすり潰されるほどの悲鳴が聞こえ続けていたんだ。

 だが……

 殺人数が最も少ない1名だけは、処罰を免れて逃亡を許されていた。

 だがしかし、その1名は俺の『ロックオン』と、アダムの『超小型連絡の魔道具』を身につけたまま、泣きながら必死の思いで逃げて行ったんだ。




(サトルさま。ご無事でなによりでございます……)


「アダム、映像記録は取っていないだろうな」


(はい。ご命令のままに……

 ところでサトルさま、僭越な発言をお許し頂けませんでしょうか……)


「なんだ? 俺とお前は『戦友』だぞ。僭越も何も無かろうが」


(ありがとうございます。

 あの、実はわたくし心配しておりましたのです)


「何を?」


(サトルさまは、ダム予定地や城壁予定地の植物すら工事前に移植されておられました。そのようなお優しい方が、果たして実際にヒト族との戦争を迎えられたときに、正常な神経のままでいられるのだろうかと……)


「はは、なんだそんなことを心配していたのか……

 だが実は俺も自分を心配していたんだよ。

 あんな外道どもに残虐な刑罰を与えることに全くもって躊躇は無かったが、それを楽しむ心理が俺に芽生えるかどうかをな。


 だが俺も自分に安心したわ。

 あれはイヤなもんだな。たぶんもうしないだろう……

 その代わり、あの極悪人達のいい再教育方法を考えついたぞ。

 これからはそれを使うことにしようか」


(はは、安心いたしました。

 その『再教育方法』も楽しみにしております。

 ところでもうひとつお尋ねしてもよろしゅうございますでしょうか)


「もちろんいいぞ、なんでも聞いてくれ」


(あの…… 

 わたくしとイブはサトルさまの前世の世界で言うAIでございます。

 つまり、システィフィーナさまのため、この世界ガイアの管理システムとして神界に造られた単なる道具であります……)


「俺はそんなふうに思っちゃいないがな。

 お前とイブは、道具だろうがなんだろうが俺の大切な『仲間』なんだぞ」


(あ、ありがとうございます…… 心より御礼申し上げます……

 ですが我々には密かな望みがあるのでございます)


「なんだい? 俺に出来ることか?」


(あの…… 

 我々はいつか知的生命体の『心』を持ちたいと思っているのです……)


「お前とイブのいちゃこらを見てると、もう充分人の心は持っていると思えるけどなあ」


(はは、まあ練習させて頂いているようなものでございますよ。

 わたくしどもがアバターを欲した理由も、あのような『カタチ』があれば『心』もついてくるのではないかと考えたからなのです。

 それでわたくしどもが考える人の心の理想形が『サトルさまの御心』なのです。

 まあ、神さまや天使さまを別にして)


「はは、俺はそう大した人物じゃあないぞ」


(ですが我々の理想であるのです。

 それでわたくしも先ほどのサトルさまの問いかけを考えてみたのです)


「なんだ、『なぜ他人を殺してはいけないのか?』という問いかけか?」


(はい。わたくしの答えは『他人を殺すと、その周りに悲しむひとがいるから』でございました。

 ですが、それでは『誰も悲しむようなひとがいない人物だったら殺してもいい』ということになってしまいます。

 仮に解釈を拡大して『殺される人物を含む、他人を殺すと悲しむひとがいるから』と致しましても、どうも不十分な気がしてならないのであります」


「そうだな、一応合格点はやってもいいが、それだけでは十分ではないだろう。

 E階梯の低い連中には『どうして人が死ぬと悲しむ奴がいるのか?』ということが理解出来ないだろうからな」


(はい…… それで是非『正解』をご教授願えないものかと……)


「はは、『正解』と言ってもそう大したもんじゃないけどな。

 俺の答えは、『資源の最適配分のための世界との契約』なんだ」


(『資源の最適配分』…… でございますか……)


「そうだ。地球の原始宗教では必ず最初に『汝殺すなかれ』とか『殺生を禁ず』とか出て来るんだよ。

 これはなんでかって言うとな。

 誰だって自分で喰い物を獲ったり作ったりするよりも、他人が既に獲ったり作ったりしたものを奪う方が楽なわけだ。

 そうしてそれを奪い返されないためには、奪った相手を殺しておく方が安全だよな」


(はい……)


「まあ、植物以外は全部そうやって他者が作ったものを食べて生きているわけだけどさ。

 でも、食べられる方も奪われる方も抵抗するから、そこに『闘争』が発生するんだ。

 それに誰かが誰かを殺して食べ物を奪ったとしても、今度はそれを誰かに奪われないために『警戒』しなきゃなんないんだよ。

 でも普通の生き物は寝ないと死ぬから、寝るときなんかの為に頑丈な巣を作ったり大きな城壁を作ったりするだろ。

 だけどこれは大いなるムダなんだ」


(『ムダ』でございますか……)


「『闘争』を行ったり、そんな大きな城壁を作る労力や資源を使って『警戒』することよりも、畑を作って作物を育てた方がよっぽど効率的だからな。

 地球では原始時代の終わりごろ、これに気づいたやつがいたんだ。

 まあ突然変異かなんかでE階梯も高かったんだろうが。


 だから、『神という偉大な存在がいて、その神が殺してはいけないと言っている。もしそれに従わずに他者を殺したりすれば、お前は神に地獄に落とされるぞ』って言い出したんだよ。

 みんながその教えに従えば、闘争や警戒に使う労力で膨大な食べ物を育てられて、より多くの人口が、それも十分な食料とともに確保出来るということに気がついたんだろう」


(なるほど、故に『世界との契約』なのですね)


「そうだ。

 それから原始宗教にはもうひとつ興味深い特徴がある。

 それは、『牛だの豚だのの4足歩行動物を食べてはいけない』という教義が多いことなんだ。

 これはなんでかっていうと、豚一頭を肥育するのに必要な飼料は、ヒト10人から場合によっては20人もの食料になるそうなんだ。

 つまりさ、『権力者や裕福な者が旨い動物の肉を食べるのを禁止すれば、その何倍ものヒトが飢えずに済むだろう』っていう資源の最適配分から来た発想だと思われるんだよ」


(なるほど、すべては人口増加の為の資源最適配分が目的だったということなのですね)


「そうだ。それが我々の『種族保存本能』なんだろう」


(故に殺人も殺生も禁じたのですね……)


「だから『なぜ他人を殺してはいけないのか?』という問いかけにひと言で答えるなら、『種族保存に反するから』ということになるんだろう。

 俺に言わせれば、何故神界が『光合成の出来る知的生命体』を創らなかったのか不思議でしょうがないよ。

 ひょっとしたら、光合成が出来ることと知性の獲得には両立不能な障害が有るのかも知らんが。



 だが、神界は『試練』を通じて悪魔族を生み出した。

 あいつらはわずかな動植物を食す以外はマナだけで生きていけるんだ。

 フェンリル族やベヒーモス族なんかも、マナさえあれば取りあえず生きていけるんだから、生命の理想形に近いだろうな。

 他にも、この宇宙には本能的に殺しを忌避する生命体に育つことが出来た種族も大勢いることだろう。


 それ故にだ。

 俺に言わせれば、真の理想の生命体は、お前とイブなんだよ。

 だから俺を理想だなんて思う必要は全く無いんだぞ」


(サトルさまがそのように思ってくださっていたとは……

 それでは私どもも、今の生き方のまま、有機生命体の『心』も持てるように精進させて頂くことに致します)


「はは、俺もいつかはいかなる生命も殺さずに生きられる、お前たちみたいなカラダが欲しいもんだぜ。

 そうそう、ところであの『クルエルティー傭兵団』とかいう外道ども、特別収容所に転移させておいてくれるか。

 それで、食料は5日ごとに差し入れてやってくれ」


(畏まりました)




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