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【爆撒英雄サトルのガイア建国記】  作者: 池上雅
第1章 ガイア建国篇
110/325

*** 110 外道! ヒト族傭兵団への強制贖罪 ***


 弩級残虐表現注意!


 


 それからしばらく経った或る日。


(サトルさま。

 西部大森林中央部に50名ほどのヒト族の集団が深く侵入して来ております)


 俺の顔が引き締まった。


「その周囲100キロ以内に獣人種族やゴブリン族の集落はあるか」


(周囲300キロ以内の集落は全て『9時街』への移住を終了しております。

 100キロ以内には数人の果物採取隊がいるだけです)


「採取隊に連絡後、全員を『9時街』に帰還させよ。

 それから以後、ヒト族集団から300キロ以内は転移禁止区画とする」


(はい、ただ、ヒト族集団がこのまま進行すると、あと4日ほどで旧ゴブリン族最西端の村に到着する見込みですが)


「そのヒト族集団が野営する場所に、カメラと音の魔道具を配置してくれ」


(はい、畏まりました)




 その日の夜、俺はヒト族たちの会話を聞いていたんだ。


「なあ隊長、ゴブリンの集落まであとどれぐらいかな」


「あと4日ほどだろう。だいぶ踏み跡がはっきりして来ているからな」


「きひひ、久しぶりのゴブリン討伐だぜ。腕が鳴るわ」


「この森の中のマナがこんなに薄れてるとはな。もっと早く来ればよかったぜ」


「王国軍もまだ本格的な探索を開始していないそうだから、こっから先はゴブリン共もうようよいるはずだ」


「それじゃあ殺し放題っすね! 

 早くヤツらを殺しまくってもっと強くなりてぇもんだ」


「お前はただ殺すだけじゃあなくって、いたぶってばかりだからだろうが。

 だから殺しが足りなくってなかなか強くならねえんだよ」


「そ、そんなこと言われても、やっぱ泣き叫んで命乞いしてるヤツを殺す方が面白いじゃないですかい。

 ああ、早く殺りてぇ……」


「女は何人か残しておけよ。砦への土産もいるんだからな」


「へいへい、ガキはどうしやす?」


「それは全部殺せ。

 奴隷として売り飛ばすにしても、俺たちだけじゃあ連れて帰るのが面倒だ」


「ちょっともったいない気もしやすが…… 

 やつら1匹で銀貨5枚にもなりやすぜ」


「なぁに、この辺りのゴブリン共は5万匹はいるそうだ。

 俺たちが調査した後は本隊を呼んで奴隷小屋を作る。

 それから奴隷狩りをして王都に売りに行こう。

 今奴隷を集めても死なせちまうだけだぞ」


「きひひひひ、オスは皆殺しで俺たちの力を上げるエサになって、メスとガキは大金に変わるんですかい。

 まったくゴブリン狩りは堪えらんねえ」


「そういうこったな。それもこれも大森林のマナが薄れたおかげだ。

 それじゃあ明日も早いからもう寝るぞ」


「へいへい」





「アダム、この外道どもの人数は」


(52人でございます……)


「平均E階梯と正当防衛以外の殺人の合計は」


(平均E階梯は0.4、殺人合計は9023、最も少ない者でも210でございます)


「そうか……」


(あの…… フェンリル隊に追い払うよう依頼を出しましょうか……)


「いや、こいつらは俺が迎撃する。他の誰にも手出しはさせるな」


(は、はい……)




 ヒト族どもがゴブリン村に到達する日、俺は朝からその旧ゴブリン族最西端の村に飛んだ。


 まだ時間はありそうだな。少し集落の中を見てみるか。

 ほう、急いで移住した割には集落の中の道も家も綺麗なままじゃないか。

 律義な連中だ。



 俺はある家に入ってみた。

 そうか…… 

 木で骨組みを組んでそれに大きな葉を差しかけて作ってあるのか。

 何年かに一度、森の恵みを求めて村を移動させると言っていたが、きっとこの家も解体して運んでいたんだろうな……



 家の隅には土で作った竈もあった。

 あ、これは寝床かな。柔らかそうな草がいっぱい敷きつめてあるわ。

 なんか質素ながらも家族の楽しそうな暮らしが浮かんでくるような場所だな……


 そのとき、家の中央を支える柱が俺の目に止まったんだ。


(この柱にある水平な傷……

 一番低いものは床から40センチほど、その上にも10センチ刻みぐらいでたくさんの傷があるじゃないか……)


 知らずに俺の目から涙が溢れた。


(これ、間違いなく子供の身長を測ったものだろう……

 こうして家族みんなで子供の成長を喜んでいたんだ……)


 俺の脳裏に前世地球の家が蘇った。

 その家の柱にもこうした傷はあったんだ。

 だけど……

 最初の低い5本ぐらいの後は、傷はほとんど増えなかったんだよ。

 たまに家に帰れても、横になっているように言われてたから……

 それがどうだいこの家の柱の傷の数は……

 あ、別の柱にも新しい傷があるじゃないか……

 きっと弟たちや妹たちのものだろう……

 この柱の傷の数だけこの家族の幸せも刻まれて行ってたんだな……


 また別の家の中には、草で編んだ小さな人形が転がっていた。

 これ…… 子供のおもちゃか……

 母親か祖母が小さな子に作ってやったものだろう……


 俺の目から溢れる水が止まらなくなった。


(あ、あの…… サトルさま…… 大丈夫でいらっしゃいますか?

 あと1時間ほどでヒト族の集団がこの村にやってきますが……)


「ああ、アダム。大丈夫だ。

 この人形、ゴブリンキングに渡してやってくれるか。

 最西端の村の家の中にあったって言って。きっと落し物だろう」


(は、はい……)


「それから今日これ以降の俺の姿は録画を禁ずる。誰にも見せるな」


(はっ、はい……)



 俺は心を鎮めるために水を取り出して一口飲んだ。

 そうして村の中央広場に座ってヒト族共を待っていたんだ……



「おいおい、なんでえなんでえ! 

 ゴブリン共が1匹もいねえじゃねぇか!」


「ちきしょう! みんな逃げやがったか!」


「お、なんかガキがひとりだけいやがる……」



 よし、全員がこの広場に入って来たようだ……

 明るいところで良く見れば、こいつら兵士には見えんな。

 傭兵団か盗賊団か…… もしくはその両方か……



「おい外道ども、お前らこんなところに何しに来た」


「なんだとこのガキぃ!」


「まさかお前ぇがゴブリン共を全部殺っちゃまったんじゃねぇだろうな!」


「ゴブリン族は全員俺が保護している。

 ところで俺はお前らに何しに来たと聞いているんだが……」


「なんだとぉ! てめぇゴブリンどもをどこに隠した! 

 言わねえとお前ぇも切り刻むぞ!」


「そうやってゴブリン族を切り刻むために来たのか……」


「な、なんだとこの野郎! そんなに死にてぇのか!

 ぶっ殺して俺様の力を上げるエサにするぞ!」


「すぐに殺すなよ! ゴブリンどもの居場所を吐かせてからだ!」


「なあ外道ども。

 お前たちはゴブリンを殺して自分の力を上げるために来たんだよな」


「な、なんだと!」


「それじゃあ逆に、殺されて俺のレベルアップのエサにされても文句は無いよな」


「な、ななな、なんだと!」


「もっともお前らみたいなザコでは、俺のレベルは微動だにしないだろうが……」



 俺は一瞬で村の広場全体を囲む高さ20メートルの壁を構築した。

 すぐに壁の内側が淡く光る。


「な、なんだこの壁は!」


「なんでこんなものがいきなり……」


「言っただろう、俺がお前たちを殺して俺の力を上げるために、お前たちが逃げられないようにしたんだ」



 俺はその場の全員に『命の加護』をかけた。

 この場は俺が造った壁に囲まれていてシスティの準天使域になっている。

 これでなにがあってもこの連中は生き返ることだろう。

 『怪我全回復』はついているが、HP回復は無いタイプの『命のみの加護』だが。


「こいつ…… アタマ湧いてるんじゃねぇか?」


「まさか俺たち全員を相手に出来るとでも思っているのか?

 俺たちゃあの『クルエルティー傭兵団』だぞ!」


「なあ、いいこと教えてやるよ。

 対人戦闘で最も重要なことって知ってるか?」


「なんだとゴルアっ! 俺たち戦闘のプロに向かって何言いやがる!」


「あのな、対人戦闘で最も重要なこと、それは相手が自分より強いか弱いか判断することなんだよ。

 そうして次に重要なのは、絶対的な力の差があるときには、すぐに逃げることなんだ。

 もっともお前らにはもう遅いがな……」


「きひひひひ、今その生意気な口を切り刻んでやんよ♪」



 両手にナイフを持った男が近づいて来た。

 ああ、こいつか。

 4日前の晩に命乞いをする相手を殺すのが楽しいって言ってたど外道か……


 俺は半秒の差を置いて左右から襲いかかって来たナイフを素手で受け止めた。

 まあ絶対アブソリュートバリアを展開する必要もないだろう。

 素手で充分だ。

 そうして、そのナイフの刃を両方とも指の力だけでへし折ったんだ。

 ついでにその刃を手の中ですり潰す。


「こっ、この野郎ーっ!」


 バカだよこいつ。ナイフでも傷つけられず、その刃をすり潰せる相手に素手で殴りかかって来るとは。


 俺はそいつの両手首を捕まえて、力を込めてみた。

 俺の握力は素の状態でも800キロあるからな。

 しかも今は加護のネックレスと勲章もつけているから、それが1万倍になっている。

 つまり握力8000トン。

 地球最大の油圧プレス機の3分の1の力があるわけだ。


 もちろんそんな力に人体が耐えられるわけはない。

 力の10分の1も発揮しないうちに、そいつの両手首は潰されて千切れ落ちたんだ。


「ぐぎゃあああああああああああああああああーっ!」


 ナイフ男は転げ回って絶叫している。

 両手を落とされていて押さえられないから、凄い勢いで血が噴き出してるわ。

 これじゃあすぐ死んじゃうよな。

 俺は1000万ワットのレーザーでそいつの肘の先を落とした。

 すぐに傷口も焼灼されて血が止まる。


「ぐぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎ……」



「なあ、お前って483人殺してるよな。

 しかもそのうち正当防衛や戦場での殺しは33人しかないだろ。

 つまり純然たる殺人が450件もあったんだよ。

 それでさ、それを償うために、450回死ぬのと450カ所骨折するのとどっちがいい?」


「う、うるせえーっ!」


 俺はそいつの足首を踏み潰した。


「うぎゃあああああああああああああああああ~っ!」


「それじゃあ骨折450カ所にするぞ……

 あ、あと449カ所か…… それ」


 もう片方の足首も踏み潰す。


「ぐぅぅぅぅぎゃああああああああああああああああああああ~っ!」


「そんなに大げさな声出すなよ。あと448カ所もあるんだぜ」


「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃ~っ! 痛い痛い痛い痛いっ!」


 俺は魔力でヤツの片足の指を全部へし折った。

「ボキン」「ボキン」という音がその場に響き渡る。


「ぐげぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ~っ!」


「ちょっと煩いなお前……」


 つま先で蹴って両あごの骨を砕く。


「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


「はは、これで少しは静かになったか。あと441カ所だ。

 今までにお前が殺して来た連中の恨みを全身で感じることを忘れるなよ」


「ご、ごろざないで……」


「あれ? 

 命乞いしているヤツを殺すのが楽しいってお前言ってたよな?

 なのにお前も命乞いすんのか?」


 もう片方の足の指も全て折る。


「ぐむぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ~っ!」


「まあ俺は楽しくも何ともないけどさ。

 あと436本も骨折させなきゃなんないからけっこう面倒なんだぜ」



 次に両脛の骨を折ったところでそいつは気絶した。

 でも腕の骨を端から潰して粉砕していくと、すぐに激痛で目が覚めたようだ。

 まあ手には神経がたくさん通ってるから、骨折の痛みはより大きいそうだからな。


 それから俺はろっ骨を1本1本折って行った。

 そいつの目玉が裏返って気絶すると、すぐに水をかけて起こす。


「なあ、こんなふうにされると痛いよな。

 でもさ、これがお前がやって来た事なんだよ。

 それにしてもお前はこんなことが楽しかったんだな。

 俺はまるで楽しくないが……」


「だ、だずげで……」


「お前、そう言って助けを求める相手を助けたことあるんか?

 無いよな。だから助けてやらないぞ。

 それに見ろよ、傭兵団とやらのお仲間も震えてて誰も助けに来てはくれないみたいだぞ」


「ぐぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎ……」


「次は脚の骨か……

 でもそれじゃあすぐ終わっちゃうな。

 その前に指でも落とすか……」



 俺はナイフ男を魔力で浮かせ、仲間たちによく見えるように足の指を1本1本引き抜いて行った。


「あが……あが……あがががが……」


 ああ、なんか目玉を裏返したままヘンな声を出し始めたよ。


「おーい、どうだぁ、助けを求められてもなんにもしない傭兵団の戦友さんたちよぉ。

 こいつはいつもこうやって誰かを痛めつけてたんだよなあ。

 次はお前たちだから、自分がどうなるのかよく見ておけよー」


 俺は更にそいつの足の指をすべてひっこ抜き、歯を叩き折り、目玉もくり抜いた。

 ついでに手をねじり取り、胴体を踏んで脚も毟り取る。


「はは、流石に虫の息か。

 それじゃあお前は隅の方で、痛みと共に今までの生き方を反省していろ」



 俺はそいつを魔力で壁際に放り投げた。

 ナイフ男の残骸は、もはやびくんびくんと痙攣しているだけだった……




 


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