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【爆撒英雄サトルのガイア建国記】  作者: 池上雅
第1章 ガイア建国篇
102/325

*** 102 ギャランザ王国ダゴラーザ侯爵軍との戦闘(?) ***

 



 夕闇迫るころ、ようやく後続のダゴラーザ侯爵軍が現れた。


「おお、バリステル卿、ドワーフ砦に我がギャランザ王国の旗とビクトワール大王国の旗が翻っておりますぞ!」


「もう砦を落としておったか。ボルグ男爵のヤツ、やりおるわい」


「それにしては出迎えが見られぬようですが……

 バリステル卿に対し、なんと不敬な!」


「はは、まあよい。

 すでに第2砦に向かったのであろう。

 父上からの指示は、攻略速度を重視せよであったからの」


「それでは我々はいかがいたしましょうか」


「うむ。ちと疲れた。

 今夜は我らはこの砦で休むこととする。兵たちに野営の準備をさせよ」


「ははっ! 仰せの通りに……

 それにしても、なぜ砦内には死体も血痕もないのでございましょうかの……」


「ははは、さてはドワーフのやつらめが、我が軍の威勢を見て逃げ出しおったか。

 ボルグめはそれを追撃して行ったのであろう」




「なあアダム、それにしてもこいつら緊張感のない軍隊だよなあ」


(数が多くなると油断も多くなるというのは本当でございますね)


「なんか一生懸命準備してたのが莫迦らしくなって来たよ。

 第2砦でおなじことやるのヤメて、もうこいつら壁作って閉じ込めておいて、後でゆっくり転移させるか……」


(そういたしましょうか……)


「あーあ、最初からそうすればよかったかなあ……

 後詰のビクトワール大王国軍もあんなに簡単に捕まえられるとは思わなかったし」


(もともとはヒト族軍7万を途中で削って行き、最終的にはドワーフ洞窟に入ったところで全員転移させる予定でございましたからね。

 まあ、何事も経験でございますから……)



 俺は第2砦と第1砦に行って、そこに留めていたドワーフ旧支配層を全員収容所に転移させた。

 第3砦から逃げていた奴らも同様だ。

 いったん広い収容所にまとめておいて、あとで生活態度順に仕分けするか。



 侯爵軍3万は、暢気に第3砦とその周辺で野営を始めている。

 幹部たちは全員砦の中だ。

 はは、こいつら簡易寝台まで持ってきてやんの。


 そうして俺は奴らが寝静まったころ、砦の上側と下側の砦から見えない地点に、谷を塞ぐ高さ100メートルもの巨大な壁を築いたんだ。

 壁を造りながらそれをマクロ化もしたし、解体の魔道具も埋め込んだから、これでいつでも消したり造ったり出来るだろう。

 侯爵軍を収容所に転移させるのも明日以降にゆっくりやろうか。

 そうして俺はシスティの天使域に戻ったんだ……




 そのころ、収容所に転移させられた先鋒軍兵士は……


「お、おい…… なんだよここ……」

「おれたちドワーフ第3砦の城壁内回廊に突撃してたんじゃあ……」

「な、なんかだだっ広くてまっ平らな場所だぞ」

「それにあの壁…… 50メートルはありそうだ……」

「い、いったいどうなってるんだ……」


「ぶ、分隊長、ど、どうしましょうか……」

「ま、まずはドワーフ共がいないかどうか確認だ」

「そんなこと言っても俺たち以外誰もいませんぜ」

「こ、ここには先鋒軍は何人いるんだ?」

「あーだいたい1000人ぐらいですかねえ」

「男爵閣下や戦士長殿は?」

「いないみたいですぜ」

「そ、そうか……」


「ねえ分隊長、あそこに小屋がたくさんあるんですけど、とりあえず中を調べてみませんか?」

「そ、そうだな。俺の受けた命令は『砦内のドワーフ共を殲滅せよ』だったから、もう殲滅してるよな」

「あはは、殲滅しようにもドワーフはひとりもいませんぜ」

「は、はは……そうだったか」


「分隊長! 小屋の中に食料がありますぜ!」

「端の方に水場もありやした!」

「俺腹減ったっす」

「そうか、それじゃあ食事でも作るか」

「おーい、当番兵! 食事を作ってくれーっ!」

「へへ、小麦も野菜もあるじゃねぇか。しかもこんなにたくさん……」

「ねえ分隊長、ずっとここに居られるといいっすね」

「あ、ああ……」




 翌日。


「それじゃあ今日は第3砦周辺にいるダゴラーザ侯爵軍3万を転移させるか。

 ちょっと大変だけど、1日かけてのんびりやろうぜ。

 後で仕分けするのも面倒だから、なんかいい方法は無いかな」


(それでは罪業カルマポイントの大きい順に私が色分けいたしますので、それらの者を『ロックオン』してくださいませ。

 そうして順に1人用収容所に転移させましょう)


「おお、いいな。

 そいつの名前やE階梯なんかのステータスと放り込んだ収容所のNo.も記録しておいてくれ」


(はい)


「それじゃあまず罪業カルマポイントが最大の奴を、俺の視界内で赤く表示してくれるか?」


(畏まりました)


「あー、やっぱり最初に侯爵嫡男が赤くなったか……

 うわ! こいつ罪業カルマポイントが8万もありやんの!

 一応詳細を見てみるか……

 ああなるほど、直接手を下して殺したんじゃあなくっても、殺人教唆なんかも含まれるのか。

 あとは過大な税を徴収して領民を死に追いやったり、奴隷にするよう命じた分も加算されてるんだな。

 それにしても8万超えは酷ぇな。

 こいつは終身刑確定だ」


 俺はそいつを『ロックオン』してから収容所に飛ばした。

 それからも、ときおり『マナポーション』を飲みながら日が傾き始めるまで頑張ったんだけど、結局3000人ぐらいしか飛ばせなかったよ。

 みんな周りの奴が次々に消えて行くんでパニックになってたけど。

 それにしてもこれ、けっこう大変な作業だわ。

 今度もっといい方法を考えようか。





 翌日。


(サトルさま、昨晩『転移の魔法』に組み込む【ソート】と【表示】の魔法マクロを開発してみました。

 ご指定の条件と、収容先の収容所の種別を仰っていただければ、順番にナンバリングされて『転移』させられるようになっております。

 また、そのナンバリングは可視化させて、本人の上に表示することも可能でございます)


「そ、それってさ、たとえば『罪業カルマポイントのうち、殺人もしくは殺人教唆100以上の者を選択して、全員1人用収容所に飛ばせ』っていうようなことが出来るんか?」


(はい。多少多めにマナの量が必要となりますが……)


「そうか! よくやってくれたアダム! これで『仕分け』が捗るな!」


(お役に立てて光栄でございます)




 俺はヒト族の収容所を訪れた。

 最初に捕獲したギャランザ王国先鋒軍を入れてある場所だ。

 まあ、最初の客だから少し丁寧に説明してやろうか。



「おっ、おい…… なんかあそこに突然若けぇのが現れやがったぜ」

「な、なんなんだここはいったい……」


「おい、よく聞けギャランザ兵ども。

 お前たちは全員俺の捕虜になって、これから収容所に入れられる順番を待っているところだ」


「なんだと小僧! 俺たちがお前ぇの捕虜だとぉ?

 寝言言ってるんじゃあねぇっ! しまいにゃ殺すぞゴルァッ!!」


「おいそこのマヌケ。お前、自分の立場もわかんねぇのか?

 お前は俺に捕獲されたんだぞ、猟師の罠にかかった兎みたいに」


「んだとぉこのヤロウっ!」


 あー、やっぱり殴りかかって来たか。

 それじゃあちょっと相手してやろう。


 俺はそいつのパンチを片手で受け止め、もう一方の手で軽くビンタを喰らわせてやった。

 おー、よく飛んで行くこと、30メートルほど飛んで小屋にぶち当たって気絶しとるわ。

 あ、ヤバ! 首の骨が折れてる!

 しょーがねえなあ、鍛え方が足りねぇんじゃねえか?

 まあ、俺にアヤつけてきた時点で、あいつには『命の加護』をかけてるからそのうち生き返んだろ。



「こ、こいつ…… 意外にやるじゃねぇか……」


「おい、みんなで一斉に飛びかかってブチのめしてやれ」


「へい分隊長。

 それじゃあみんなで一斉に、「「「「「「 あばばばばばばばばばばばばーっ! 」」」」」」」


 あははは、ショックランスLv1(広域型)って、浴びるとこんな声を出すんだな。

 みんな髪の毛がチリチリになって来てるわ。


「おいお前ら、これでわかったか。

 たとえお前ら全員が束になってかかって来ても、俺には到底勝てねえんだ。

 それがわかった奴は俺の前に整列しろ」


 あー、全員その場を動かんか……


「まだわかんねえようだな。

 さっきのはショックランスのLv1だったんだが、今度は全員にLv1.5だ……」


「「「「「「「 ぐげぇぇぇぇぇぇぇぇーっ! 」」」」」」」


「これでわかったか、分かった奴は手を上げろ」


 お、7割ぐらいが手を上げてるな。


「まだわからんアフォ~がいるようだの。

 それじゃあ今手を上げてるやつは右に寄れ。

 上げてない奴にはLv2.0のランスだ」


 はは、みんな慌てて手を上げて移動してるぜ。

 ほほう、それでも動かない奴が何人かいるじゃねぇか。


 俺はそいつらにLv2.0のショックランスを喰らわせた。

 当然全員気絶したが、10メートル上から巨大な水玉を落として気絶から覚めさせる。


「さて、これでもう自分の立場がわかっただろう」


「こ…… 殺すなら早く殺せ……」


 おー、こいつ根性あるじゃん!

 どれどれ、罪業カルマポイントは980か……

 そのうち戦場でのポイントは…… 

 おっ!これも980っていうことは、こいつ戦場以外での殺人歴が無いんだな。

 E階梯も3.0か…… 

 惜しいね。奴隷兵なんかやってなかったらいい村長になれたろうに。


「それじゃあ消えろ」


 俺はそいつを指差すと、刑罰の軽い収容者用の『1キロ四方、100人収容所』に転移させた。


「ほ、ほんとに消えた……」

「分隊長、殺られちまったんか……」


「それじゃあ今からお前たちの目の前に数字を出す。

 お前ら数字ぐらいなら読めるだろ。

 読めなければ周りの奴に聞いて、数字の順に並べ」


 うわっ、酷ぇな、1番のヤツ。

 罪業カルマポイントは580だが、そのうち戦場での分は20しか無いでやんの。

 後は全部単なる殺人か強盗殺人じゃねぇか。

 E階梯も0.3。ミミズ並みだわ。


「それでは今からお前たちを収容所に転移させる。

 念のため言っておくが、脱走しようとしても無駄だ。

 水も食料も供給されるが、看守はいないから脅しも買収も出来ない。

 基本的に100メートル四方の収容所に1人で配置された奴は『終身刑』になる。

 一生収容所からは出られないから諦めろ。


 多少更生の見込みのある奴は、4人用から100人用までの複数人収容所に入れてやろう。

 人数が多いほど罪が軽いということになる。

 生活態度次第では、何年後かに開放してやってもいい。

 だから真面目に暮らすように。それでは消えろ」


 俺は戦場以外での複数殺人歴があるやつを全員『1人用収容所』に入れた。

 日本でも複数殺人は基本的に死刑だからな。

 それ以外はE階梯も参考にしながらそれぞれの収容所に割り振っていったんだ。


 その場には奴らが身につけていた武器、防具、個人装備、服などが散乱している。

 まあ収容所には遥かに着心地のいい囚人服が用意されてるからかまわんだろ。

 俺はそれらの服や装備にクリーンをかけて、アダムの倉庫に転移させたんだ。

 それほどの価値があるとも思えないが、そのうち何か使い道も思いつくだろう。


 こうして俺はその日のうちに、『第3砦周辺の侯爵軍3万』と『ヒト○イホイにかかったビクトワール大王国軍2万』の全員を収容所に仕分けしながら入れることが出来たんだ。


 まったくアダムさまさまだぜ……





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