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【爆撒英雄サトルのガイア建国記】  作者: 池上雅
第1章 ガイア建国篇
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*** 1 プロローグ  なんだよ! やっぱ召喚モノかよ! それにしてもこの天使サマ、美少女だなぁ。だからまあ話ぐらいは聞いてやるか ***



新連載始めました。

またよろしくお願い致しますです。

 


「…… なさい …… ろそろ …… るのです ……」


 ん? なんか声が聞こえる……


「……サトルよ…… 起きなさい……

 もうそなたは起きることが出来るはずです。

 さあ、起きて使命を果たすのです……」


 あれ? 俺死んだはずなんだけど。

 長い闘病生活の末に力尽きて、16歳で死んだはずなんだけど?


「サトルよ。

 わたくしは、若くして不幸な死を遂げたそなたの魂を拾い上げ、健全な肉体を与えた上でこの世界に転生させました。

 さあ起きるのです。

 そうしてわたしの使徒となって、わたしの世界に幸福をもたらすのです」


 俺は思わず即答してしまった。


「お断りします!!!」




 俺は目を開けて立ち上がった。

 周りは白い空間だ。

 目の前には15歳ほどに見える少女が浮かんでいる。

 髪は薄い金髪で、瞳は碧い。

 髪は細く長く、肩の下のあたりでまとめられている。

 なんだかものすごい美少女だ。神々しくすらある。


 体型はほっそりしているが、出るところは少しは出ているようだな。

 少女は薄い布の衣装をまとっていた。確か『トーガ』とか言われる衣装だ。

 だがなぜか彼女はぷるぷる震えている。

 なんだかショックを受けているみたいだ。


「あ、あの……

 わ、わたくしはそなたの魂を拾い上げ、健康な体を与えて復活させて差しあげたのですよ…… で、ですから、わたくしの使徒となって、私の世界に幸福を……」


 ははぁ、これ『転生モノ』か…… 本当にあるんだな……

 だが俺は断言したんだ。


「無理だ! 断わる!」


 びっくりしたのか少女の目がまん丸になった。


(綺麗な目だな……)



 ずっと病院で過ごしていた俺には同年代の友人はいない。

 というか友人は作らないようにしていた。

 小児病棟で友人を作ってもすぐに別れを迎えるからだ。

 それは退院であるか死別であるかの違いはあるが、別れであることには変わり無い。


 自分ではコミュ症である自覚は無いが、周囲の大人たちから見ればずいぶんと偏屈な子供だったことだろう。

 だから、目の前にいるような、神々しいほどの美少女と話をする機会は全く無かったんだよ。

 つまり女の子との話し方なんかよくわからないんだ。


 しかも俺は、当然ながら運動部に所属したことなど一度も無い。

 最近では医者も患者には丁寧に指導する。

 特に俺みたいな重篤な子供患者には、気味が悪いぐらい丁寧に接してたもんな。

 だから俺は、高圧的に命令されることには慣れていないんで、つい反抗的になっちゃうんだろう。



 美少女の目が歪み始めた。

 いや違うなコレ。うるうるし始めたのか……


「うっ、うっ、う……

 う、うぇぇぇぇぇぇぇぇぇ~ん!

 あ~んあ~んあ~ん!」


 ま、マイッタなおい……

 俺は人の涙はたくさん見て来たよ。小児病棟は常に涙に溢れているからな。

 でも慣れはしなかったんだよな……

 目の前の美少女は、まるで親しい者の死に臨むかのように、本気で悲しげに泣いている。


「ま、まあ、話だけは聞こうか。

 あんたの依頼を受けるかどうかは別の話だが……」


「ううっ。ひ、ひっくひっく……

 あ、あのね…… わ、わたしお姉さまにお願いして、お姉さまの世界からあなたを召喚したの……」


 随分とくだけた話し方になった。

 まあこっちの方が地なんだろうけど。


「わ、わたし、天使見習いだったの。

 そ、それで、長い間見習いとして頑張って働いたんで、初級天使にしてもらえたの」


 見習いからようやく初級天使に成れたばかりの新人さんか……


 おお!

 そう言えば少女の後ろに真っ白な翼が見える!

 綺麗だなぁ…… これが天使の翼か……



「なあ、キミの翼、見せてもらえないかな……」


「えっ…… い、いいけど……」


 美少女が後ろを向いた。

 おどおどした顔だけはこちらに向けている。

 素晴らしく美しい翼が見えた。

 ちょっと畳まれているようだが、大きさは差し渡し50センチほどか。

 羽の一本一本が光を発して輝いている。

 これが天使の持つ『神々しさ』か……


「な、なあ……

 そ、その翼、ちょっと動かしてみてくれないか?」


「う、うん……」


 すると光輝く翼がぱたぱたと動いた。

 ばさばさではなく、ぱたぱただ。


「か……可愛い……」


 思わず俺は言ってしまったんだ。

 なんかこう…… 小動物的な可愛らしさだ……


「えっ……」


 美少女天使がみるみる真っ赤になった。

 もともと色が白いんではっきりとわかる。


 さらに俺は気がついてしまったんだ。

(薄い……)


 そう。

 少女のまとうトーガの生地がかなり薄いのだ。

 しかも後ろの空間からも溢れる光のせいで透けて見える。


(細っそいウエストだな……

 あ! おしりの形まではっきりわかる……)


「な、なあ…… 天使っていつもそんな服着てるのか?」


「え? あ、こ、これ?

 この服、お姉さまが下さったの。

 男の子を召喚して依頼をするときには、こういう服を着ているとよく言うこと聞いてくれるわよ、って仰って……」


 わかってるじゃねえか、お姉さま!



「やっぱりヘンかしら? 着ない方がいい?」


 突然少女がまっぱになった。

 俺は大狼狽する。


「ま、ままま、待ってくれっ! 16歳DTにはそれは刺激が強過ぎる!

 お、落ちついて話も出来ん!

 そ、その服でいいから早く着てくれ!」


「そう……

 天使って、あなたたちとあんまり変わらない体だから、こっちの方があなたは慣れてるかとも思ったんだけど……」


 美少女初級天使は、そう言って自分の体を見渡したあと、また一瞬でトーガをまとった。


(あ…… 肝心なところには白くて柔らかそうな羽毛が生えてた……

 ち、ちょっとがっかり……

 で、でも羽毛の面積がやけに小さいからこれはこれで……)



「そ、それじゃあ説明するけど…… 聞いてくれる?」


 俺と同じ高さに降りて来た美少女が上目遣いに聞いて来た。

 長いまつ毛がふるふると震えている。

 かなりの破壊力だ……


「その前に椅子とか無いのか?」


「あ、ごめんなさい。

 使徒に仕事を依頼する時には、相手を立たせていた方が優位に立てるってお姉さまが仰ったから……」


 まあ間違っちゃいないけどさ、お姉さま……



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